杏田朗平1
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杏田朗平俳句選集1
昼寝より片目づつ醒む老いかすか
運動会どの子にか似し母が駈く
秋立つと渦緊め直す蝸牛
マニキュアでぴゅんと峰雲を指しとほす
少女ゐて船室清まる秋の航
懼れ踏む皇統の香の杉落ち葉
嬰児ころぶ秋晴といふ傘下の些事
杏田朗平俳句選集2
寒砂利に紛るまいとて雀翔つ
彩の咳して美容師の軽い風邪
小声にてかけ合ふ電話雪の夜
嫁姑蒲団の表裏敲き合ふ
冬ぬくし拾ひし指輪だれに遣ろ
どの墓の悲鳴墓域の虎落笛
除夜の時計十二音ン目の音が違ふ
杏田朗平俳句選集3
元日に夕日といへるもののあり
神も明日を期す寒星を布石して
独楽搏って鎌倉に風起りたる
侏儒たりしわれが巨人となる初日
やはらかに四日の椅子を起ち上る
松とれてふだん着に似しはがき来る
杏田朗平俳句選集4
子を褒めて甘い口中地虫出ず
特急の中で風船静止せる
ふわと嘘言う羽根ぶとん干しながら
バレンタインデーすぐ脱げたがる浅い靴
スカートにうっすらと汚染雪あかり
悪童を諭す霰の短時間
思ひ届かず二月は小の小の月
杏田朗平俳句選集5
卒業やてのひらにある海と丘
あれがミレー・ゴンベヱ・ゴッホ種を蒔く
春月に蹤いて来られて嘘が言へぬ
涅槃図に鬚のダイバが最も哭く
嘘うまき舌朱く出す彼岸婆
循る血の匂い四月の化粧室
改札の屑に疾風花の駅
杏田朗平俳句選集6
ビルの裾濡し五月の花を売る
夜の薔薇園すべての棘がわれに向く
李咲き言葉尻濃き村娘
田螺ころがして地球が自転ちゅう
雨の日の噴水雨に濡れてをる
家に囲まれ呆然と麦熟るる
揚雲雀声のミシンを掛けどほし
杏田朗平俳句選集7
ひとつ良き風鈴買ひて他を聴かず
くもり日とは少女の寝顔糸とんぼ
影踏みや孤児には妣が来て踏まず
混む車中大峯行者すべて立つ
冥福を拒み流灯旋回るなり
憤懣を抑え銀河の尾をくぐる
うねりといふ女を擁きて浮き泳ぐ
龍馬よな抜き倒されし向日葵は
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