仕事よりも朝礼の方が大事だとされた
株式会社ハッシュの場合


 株式会社ハッシュの勤務時間は朝9時半から夕方6時半までで、実働は8時間。したがって月曜日から金曜日まで出勤すれば、それだけですでに週40時間労働です。にもかかわらず週の初日だけ、いつもより30分だけ早く出勤して職場の掃除をすることが義務づけられていました。これは労働基準法32条違反。この30分間に対してハッシュは時間外賃金を支払っていませんでしたので、さらに労働基準法37条にも違反していたことになります。
 加えてハッシュでは、朝9時50分から朝礼を行なっていました。これは勤務時間の内ですから、とりたてて違法ではありません。しかし同社の石田徹社長は、なぜか始業時間を朝10時からだと勘違いしていたようです。もしも本当に始業時間が朝の10時なら、9時50分から朝礼を行なうのは違法と言わねばなりません。いったい社長は、どういうつもりでいたのでしょうか。
 この朝礼で社長は日頃、法律に違反するようなことを何度も堂々と公言しておりました。たとえば毎晩8時までは会社に残っていろだとか、俺の言うことが聞けない奴は会社を去れ、などというようにです。そして社長はある日、やはり朝礼の場でこう言いました。我が社の社員に求められるのは、いい仕事をすることなどでは決してない。とにかく朝礼に参加して社長の話を聞くことこそ、我が社の社員が果すべき任務なのだと。  その時に社員の一人は、すかさずこう言い返したそうです。「私はいい仕事をするためにこそデザインを学び入社したのであって、決して違法なヨタ話を聞くためではない。いい仕事をすることより違法な話を聞く方が大切だというのなら、この会社に自分がいる必要はない」
 そしてその社員は、すぐさまハッシュを退職しました。いい仕事をしたいというデザイナーとしての自負が、ハッシュに留まることを潔しとしなかったのでしょう。



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