遅刻を理由に真面目な社員を解雇した
株式会社ハッシュの場合


 株式会社ハッシュでは、新しく入社してくる社員に3箇月の試用期間が言い渡される習わしでした。実際には3箇月に留まらず、違法に試用期間が延長される場合も多かったのですが。
 そんなハッシュにある時、Bさんというデザイナーが入社してきたのです。彼にも他の社員と同様、3箇月の試用期間が言い渡されたことは言うまでもありません。
 このBさんはデザイナーとしての能力も高い上、とても真面目な人でした。毎晩のようにように遅くまで会社に残り、黙々と仕事をこなしていたのです。いくら残業をしたところでハッシュでは、全く残業代が支払われていなかったというにもかかわらず。おそらくは周りの社員たちが遅くまで仕事をしているのを目の当たりにし、それを見捨てて自分だけ帰る気にはなれなかったのではないでしょうか。そんなふうにBさんは仲間思いで、とても気立てのいい人でした。
 しかしハッシュの石田徹社長は、そんなBさんの仕事ぶりを知りません。社員に残業を強制しておきながら、自分は何かと口実を設けて早目に帰宅していたからです。
 毎晩のように真夜中近くまで働いていたBさんに、朝も定時に出勤するよう強いるのは酷だと言えるでしょう。ある日のことBさんは、朝礼に遅刻してしまいました。そんなBさんの顔を見るなり社長は、「お前は即クビだ」と言い渡したのです。毎晩のBさんの仕事ぶりや、その人柄も知らないで。
 会社はBさんに対し、その日までの給料しか払わずにすませようというハラでした。それは見捨てておけないと、さっそく私(後藤)が介入。Bさんは勤めはじめてから14日を過ぎていたため、即時解雇はできないはずなのです。遅刻を理由に即時解雇を行なうことも、一般に認められてはおりません。その点を指摘した結果、私はBさんに対して1月分の「解雇予告手当」を支払わせることに成功しました。



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