減給するぞと脅して退職させようとした
株式会社ハッシュの場合


 株式会社ハッシュで私(後藤)は編集部門に所属し、主として雑誌などの原稿を執筆していました。そんな私に対してハッシュは1998年の秋、2つの選択肢のうちどちらか片方を選ぶようにと言ってきたのです。2つの選択肢のうち1つめは給料の3割カット。そして2つめは原稿を書くだけでなく、会社の営業活動の補助を行なえというものでした。
 しかし懲戒処分としての減給の対象となるような行為を、私は全くしておりません。私は入社してから1度も遅刻や欠勤をせず、他にも懲戒処分に相当するような事実は皆無だったのです。その上ハッシュの就業規則には、懲戒処分としての減給に関する規定が存在していませんでした。したがってハッシュは私のことを、懲戒処分として減給することはできません。しかも給料の3割を減額するというのは、明らかに労働基準法91条違反だと言わざるを得ないでしょう。
 一方で会社は従業員の配置を、自由に変更することができます。編集部門へ採用された私が営業に回れと命じられても、それを拒むことができる法的な根拠は存在しません。
 そこで私は給料の減額が「不利益変更」に相当し違法でもあることを伝え、それをはっきりと断りました。その上で会社に対し、営業活動の補助を行なっても構わないと返事をしたのです。
 にもかかわらず数日の後、いきなりハッシュは私に対して解雇を通知してきました。これが不当解雇であることは、言うまでもありません。
 今になって考えてみればハッシュは、おそらく初めから私のことを解雇したいと思っていたのでしょう。そのため減給を選ぶか、それが嫌なら営業に回れと言ってきたのではないでしょうか。その2つのうち私が両方とも受け入れることを甘んじず、自分から辞職を申し出てくることを期待していたのだろうと思われます。このようなハッシュのやり方は、きわめて悪質だと言わねばなりません。



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