裁量労働制だと嘘をつき社員をだました
株式会社ハッシュの場合


 株式会社ハッシュでは1999年の春まで、裁量労働制を採用していませんでした。にもかかわらず時間外賃金が、全く支払われておりません。
 そのことを社員の1人が指摘したところ、「うちの会社は裁量労働制だから」との答えが帰ってきました。「いつから裁量労働制になったんですか」と聞き返したら、「君が入社する前からだ、そのことは入社時に君にも説明してある」と言われたのだそうです。
 しかし社員の皆は、裁量労働制だという説明を受けた覚えがありません。裁量労働制の採用に関する合意を会社側と行なった社員もいなければ、様式13号の書式による「裁量労働に関する協定届」も労働基準監督署に提出されていませんでした。
 もはや、真相は明らかだと言わざるをえないでしょう。ハッシュは裁量労働制を採用などしていなかったのに、「当社は裁量労働制だから残業代が支払われない」と社員をだましていたのです。実にあくどいと言わざるをえないのではないでしょうか。
 もしも本当に裁量労働制が採用されていたならば、会社は従業員に対して仕事の時間配分などを指示することができません。しかし当時のハッシュでは石田徹社長が社員に対して事実上、残業や休日出勤を命じていました。終業時刻の後や休日に仕事を行なわざるを得なくなるような指示を、社員に出していたのです。おそらく社員が真夜中や休日に働いている姿を見て、社長はサディスティックな満足を感じていたのでしょう。  たとえ裁量労働制を採用していたのだとしても、労働基準法36条と37条の規定が適用されることに変わりはありません。ところがハッシュでは「三六協定」がないのに残業が強要され、しかも残業代の支払いや休日賃金の割増しは全く行われていませんでした。
 ハッシュは1999年に入ってから従業員と「裁量労働に関する協定」を結び、裁量労働制へ移行したそうです。しかし仕事の時間配分を指示しないことや時間外賃金を支払うことなど、裁量労働制を採用した場合の義務を正しく課すのでしょうか。あくどい嘘をついた前例があるだけに、そう簡単には信用できません。私たちはハッシュの違法行為に被害を受けた経験者として、今後のハッシュの姿勢を厳しく監視していきたいと思います。



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