入社説明も嘘だらけのハッシュの場合


株式会社ハッシュに入社する時、「当社は労働基準法を順守している」と私(後藤)は説明を受けました。その一方で「当社では残業代が支払われない」とも聞かされたのです。主として会社の社屋の中で仕事が行なわれるのに残業代が支払われないのだとすれば、そこから予想される答えは1つしかありません。ハッシュでは裁量労働制が採用されているのだろうという答えです。その時は私も、したがってハッシュは裁量労働制なのだろうと考えて入社を決断しました。
にもかかわらず実際に入社してみたところ、ハッシュでは裁量労働制が採用されておりません。裁量労働制の採用に関する従業員と会社側との合意も存在しなければ、労働基準監督署への届け出も行われていなかったのです。しかも石田徹社長は仕事の時間配分などを従業員の裁量にゆだねず、きわめて一方的な指示を行なっていました。あえて終業時刻の後や休日に仕事を行なわざるを得ないよう、わざと仕向けていたのです。どうやら社長は社員が真夜中や休日に働いていると満足を覚える、サディスティックな嗜好の持ち主だったのだと考えざるを得ません。
裁量労働制が採用されていないのに、主として会社の社屋の中で行われる仕事に対して残業代が支払われないのは明らかな労働基準法違反です。しかし法律違反を指摘した社員に対してハッシュは、「残業代が支払われないことに関しては入社時に合意したはずだ」と開き直る姿勢を見せました。おそらく労働基準法の13条を、よく知らなかったのではないでしょうか。会社は労働基準法の内容を熟知し、順守する義務があるというにもかかわらずです。会社として最低限の義務すら知らずにいたハッシュは、実におそまつだと言わなければなりません。
法律違反を指摘して時間外賃金の未払い分を請求しようとした社員に対してハッシュは、わずかな額の和解金を支払って事を済ませようとしました。しかし労働基準法の13条で定められているとおり、たとえ当事者同士が合意しても労働基準法の規定から免れられるわけではありません。ハッシュは裁量労働制を採用する前の社員や退職者に対して、時間外賃金の未払い分を支払う義務があるのです。



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