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T.アイデアをまとめていくプロセス  
  3.ラフ(原寸)
前回に引き続き今回も最初は「ラフ」の話からです。
前回は特にサイズに関しては触れませんでしたが、「ラフ」の中にもサイズにこだわらずにアイデア主体のもの以外に、実際の制作物の大きさで描いてみるものもあります。
原寸ラフです。
原寸といっても、もちろん限度があります。雑誌広告ぐらいなら問題無く原寸で描けますが、ポスター(B倍)や屋外広告(看板、ビルボード)などは無理です。(^^ゞ 時間をかければ描けないこともないかもしれませんが、それだけの意味はないと思います。このようなものは、縮小で制作してください。

原寸で描く意味のひとつは、レイアウト上のチェックと確認があると思います。
実際の原稿サイズで描く事により、文字のサイズがハッキリと理解できると思います。また、文字数の確認、写真の使用サイズの確認などリアリティーあるレイアウト上のチェックが出来ます。
もうひとつは、カンプとしての役割です。上記のような確認を含んだ表現の提案をクライアントとにおこなう場合、この後述べる「カンプ」を使用しますが、「カンプ」の場合は制作物完成見本として徹底した作りこみが必要です。そのため時間と費用がかかるのが欠点といえるでしょう。
例えばレギュラーものであれば、クライアントとの打ち合わせに、原寸ラフが最終確認形態で済むと思います。原寸ラフを見るまでもなく、縮小ラフで済むことも多いとは思いますが、カメラマンにお願いして撮影をする場合などモデルやヘアーメイク、スタイリストが絡む場合、またイラストレーターに仕事を依頼するときなどは、やはり原寸状態(カラー)の物があると良いと思います。スタッフ間のイメージの共有化をより確実にするためです。

私は、この原寸ラフをサインペンとマーカーで描いています。それは、表現の自由さとドライな製作環境が得られること、色の表現が豊富であることなどが理由です。現時点(技術的に)ではパソコンだけではこれだけの自由な発想の具現化は無理です。時間(膨大な)と費用をかければ、可能でしょうが、それでは掲載に間に合いませんし、料金がかかり過ぎます。

あのSFXを駆使した「スターウォーズ(エピソードT)」でもコンテ(ラフ)の段階はサインペンとマーカーで描かれています。劇場で売られていたパンフレットを買って見た人も多いと思いますが、とても綺麗なラフが何点もありますので参考にしてください。いきなりパソコンで作られたわけではないのです。

その点を若いデザイナーやクライアントの担当者に再確認していただきたいと思います。

パソコンで作られた「ラフ」を喜ばないで下さい。そこには発想としてのオリジナリティーはないかもしれないのです。どこかにあった物を流用していることが多いのだということです。

4.カンプ(コンプりヘンシブ、タイプドカンプ、バチカン)
競合プレゼンテーション(コンペ)やクライアントとの打ち合わせのために製作されるもの。
現在はパソコン(Mac)で製作・出力されたものをスチレンボードやイラストボードに貼りこんだものが多いです。昔(そんな昔ではなく2〜3年前)は、カンプライターに絵を描いてもらい、写植文字を色のフイルムにしたものを貼り込んで作っていました。もちろん今でもおこなわれているし、CMコンテボード等はまだまだカンプライターが描くことは多いです。
この段階でのパソコンの使用に関しては私も認めています。偉そうに認めていますなどと言ってしまいましたが、最終段階(入稿原稿)への繋がりと表現素材の変更等を考えると、パソコンの便利さがここでは評価できます。

つまりこの段階でパソコンを利用する利点は、入稿原稿(版下)の製作に上手く繋がりやすいし、作業上効率良くおこなえると考えています。
今の世の中、ラフの段階ではパソコンの使用を否定してきましたが、パソコン無しには原稿を作ることが出来なくなってきています。原稿の入稿は版下からデータ入稿に変わってしまいました。そのため作業の流れの中で、パソコンが必要です。そのパソコン登場としては、現在はこのカンプ製作からが良いと思います。
コピーまで入れ込んだカンプを「タイプドカンプ」といいます。ほぼ実際の原稿と同じようなものを作るわけです。それを上手く利用することは、作業時間の大幅な軽減に繋がります。
また、もうひとつの利点として書体や文字の大きさ、その文字の色や色指定を変更するのにパソコンは便利だという点です。キャッチコピーの大きさと色を変えるなど瞬時におこなえるし、その候補を2案3案作ることは朝飯前です。これがパソコンの良いところです。パッケージの作業など色違いで数種類制作する事がありますが、パソコンを使えば簡単にその何倍ものデザイン案を作り出すことが出来るし、直し・修正が簡単におこなえるのです。
このことからパソコンでカンプ(タイプドカンプ)を作ることは、非常に便利であると共にクライアントのニーズに速やかに応えられるものだと考えています。

3の「ラフ」までの話と4「カンプ」との違いを十分理解していただきたいのです。
ここの理解の違いが現在の問題点なのです。アイデアの構築・検討の段階とデザインの詰めや展開の作業。この性質の違いを上手く自分のやり方に取り入れてください。
単純な話でまとめれば、机を2つ用意して欲しいということになるかもしれません。
パソコンデスクしかない環境では駄目ですよ。
 
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