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U.相手が理解できるスケッチを描く  
  2.ラフを描くテクニック(遠近法)
最初に前回の光と陰について、チョッと補足しておきます。
陰と影は違います。同じ「かげ」なのですが、意味合いが違うのは分かると思います。
主とする物体(または部位)により光が遮られて、他の物体(または部位)に直接光があたらないことによって生じるものが「影」です。そして前回説明したものが「陰」となります。
それと、私が美大受験の時、熟長が何べんも繰り返し指導していた言葉があります。
「影の中の明るい部分は、光のあたる所の暗い部分よりも暗い。」
当たり前のような、訳の分からない呪文のような言葉です。これを忘れると立体としてのマスな感覚を捕らえきれずに、気持ちの悪い表現になってしまいます。反射光を変に明るくしすぎることの無いようにしてください。
常に描いている物の本来の形を忘れないでおくことが大切です。球は球です。それぞれ、ちょっと考えておいてください。特に石膏像のように白いものを描くときは、注意が必要だと思います。

本題に入ります。
ラフを描くテクニック、今回は遠近法(感)についてです。
遠近感については、見たもの見えたものを見たとおりに表現したい願望をある法則の上に叶えるものです。こんな法則やテクニックを知らなくても、最初から見たとおりに表現出来る人もいます。
そんな人を絵が上手い人。と、言います。

また、絵をメカニカルに表現する場合に必要になります。建築パースやインテリアデザイン、工業デザインなどの分野では「パース画」と言い、表現のテクニックとして必要です。

遠近法には「幾何学遠近法」「空気遠近法」の2種類が考えられます。そしてこの2種類を併せて使用することにより、よりリアルで自然な表現が生まれてくるわけです。
幾何学遠近法はパース画に使用されています。
立方体を描くと分かると思います。ひとつ描いてみましょう。

【1消点図法】

これが立方体?と言うような絵でごめんなさい。グレーの部分が立方体です。騙し絵のようです。これは「1消点図法」と呼ばれるもので、インテリアデザインなどでは俯瞰図としてよく用いられます。四畳半の部屋を天井から見たような形ですね。家具の配置などを描きこむわけです。図法の名前からも分かるように消点(V)が1つだけの図です。
消点(V)とは、物は見ている人(自分)からの距離によって大きさが変化して見えます。手前の物は大きく見えるし、遠くにあるものは小さく見えます。つまり無限大に遠いものは1点に成る訳です。それが消点です。適度な大きさから点までの変化のライン(ブルーの線)が出来るのですね。
また、この点を移動することにより目線(見ている位置)を変えることが出来ます。アイレベル(レッドの線)に沿って消点(V)を左右に移動させることにより立方体の見え方が変わります。もちろん上下の変化もありますよ。

つぎは「2消点図法」です。
先ほどの消点(V)が2つあるものです。(V1、V2)

【2消点図法】

少しは立方体のように見えるようになりました。消点がV1とV2の2つ設定されています。この絵に屋根を付ければ、家の絵になりますね。
先ほどと同様に、赤い線がアイレベルです。この線の位置を上に上げれば高いところから見下ろしているようになるし、下げれば低いところから見ているような形になるわけです。
また、それぞれのVの位置を変えることにより、右左に見ている方向を変えることが出来ます。
ただ、アイレベルを上に上げただけでは実際にはおかしな絵になってしまうので、もう1つのVが必要になります。それが、「3消点図法」です。

【3消点図法】

V3が新たに増えた消点です。これにより見下ろしていることによって生じた遠近感も感じることが出来ました。
通常スケッチをおこなう場合、この3消点図法の考え方を理解しておけば大丈夫です。たぶん。
ただ、常にスケッチを描く紙の上に、この消点を描き込んで検討できるわけではありません。そこが作図とスケッチの違いの1つです。この消点を紙の外に意識してください。

スケッチ上は消点を意識した絵が普通ですが、作図においては他にも図法があります。一応記述しておきますと、「アイソメトリック(Isometric Projection)等角投影図」と言われる物と、「アクソノメトリック(Axonometric Projection)不等角投影図」と言われる物です。これらは消点を設定しません。建築等の平面図から立体を意識する時に用いられる投影図です。デザイン上の効果として、グラフィックデザイナーも使ってみると面白いと思います。
 
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