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デザイナーのための用具・材料学
  グラフィック・デザインの授業をするようになって、改めて思うことがあります。道具に対しての指導があまり出来ていないことです。特に初級の段階で、いろいろな課題をこなしながら使う道具についての使い方や選び方がいいかげんであることです。
道具に絶対的な使い方があるのかというと、それは疑問なのですが、少なくとも先輩としての経験を元に便利な使い方、効果的な方法、選び方を指導したいものだと思います。
学校が最初に斡旋する?道具についても問題があります。その道具を選ぶ上できちんと吟味しているのかという点です。私に言わせると使い勝手の悪いものが多いです。また本当に必要な道具なのかという問題もあります。本当に必要な道具を選んでいない点が上げられます。これは、それぞれの講師によって若干の違いはあると思いますが、私の経験からするともっと良いものが世の中にはあります。大体最初の授業で道具について説明するのですが、私が心からこれは良いものだなと思える道具が選ばれていないことが問題です。生徒にとっては不幸なことです。
そこで、一度道具についてまとめてみようと思い、ここにまとめてみることにしました。私は、文房具マニアではないのですが、自分にあった道具を選ぶことは好きです。また、ある程度のテクニックがあれば、どんな道具でも使いこなせることもありますが、無理して使い辛い物を買う必要もないと思います。そんな意味で、いろいろ試してみることは好きです。何回かに分けて、いろいろな道具を取り上げてみようと思いますのでよろしくお願いします。
デザイナーの使う道具、と言ってもごく普通の物(一部を除いて)ばかりですので、一般の人にも理解できると思います。
 
  第1回)サインペンについて  
  今回は「サインペン」についてです。最初にも書いたように私は文具マニアでないので、サインペンの定義がうまく出来ないのですが、「ボールペン」に対してペン先がフェルトで出来ているものがその代表だと思います。インクの問題もあると思いますが、ここでは黒い線が引けるペン先がフェルト系の道具と考えてください。
文房具店や画材店に行くといろいろな種類の「サインペン」が売られています。値段も100円ぐらいからちょっと高い物までいろいろですが、数ある道具の中でも、価格的に見て気分で使い分けられる物だと思います。ここに書いてある事を参考に皆さんも自分に合ったものを探してください。
なぜ、「サインペン」を最初に持ってきたかと言うと、デザイナーが常備している道具だからです。
打ち合わせに行くときも、ラフを描く時も、メモするときも、常にデザイナーと一緒です。(^O^)
「マーカー」で色づけを行うことを考えると、「サインペン」は水性(または耐水性)と表示されているものが使い易いです。これは、「サインペン」で描いたラインを油性の「マーカー」でニジませないためでしたが、最近はコピー機で縮小拡大をしてから、また何枚かコピーして色のバリエーションを考えたりと、コピーを使ってのテクニックが主流です。そのため「マーカー」もコピートナーがニジまないものが出来ています。(マーカーのテーマで後日紹介します。)現在は、「水性サインペン」を選ぶ最大の理由は、ニジみなくシャープに描ける意味合いが強いようです。また、種類も「油性サインペン」に比べてかなり多いです。
何故デザイナーが「サインペン」を使うか?「サインペン」を使うほうが良いのかは、連載企画の方で説明したいと思います。そちらを読んでください。
 
  「サインペン」のいろいろ  
  1.コピック・マルチライナー(耐水性)-写真
「マーカー」でニジまない耐水性のラインドローペンです。 太さも数種類用意されていて大変便  利です。メカニカルな表現やレタリング、各種デザインの下描き等に適しています。
太さは、0.05mm/0.1mm/0.3mm/0.5mm/0.8mm/1.0mmが発売されています。細いものは、ペン先がデリケートなので注意してください。買うときもチェックした方が良いようです。悪意ではないと思いますが、試し書きで先が折れているものがたまにあったりします。こんなものを買ってしまうと、3、4日立ち直れません。

 
  コピックマルチライナーの画像 コピック・マルチライナーブラシの画像 PILOTプチの画像 PENTEL SIGN PENの画像  
  1.コピック   2.コピック   3.パイロット   5.ペンテル  
  2.コピック・マルチライナーブラシ(耐水性)-写真
最近?(去年の秋)見つけたものです。ペン先が筆ペンのようになっていて、表情のある線が引けます。先の太さも何種類かありますが、もっと腰が強いものの方が良かったと思います。これはこれで使い方はあるのですが、使用チャンスが少ないようです。ベタ塗りには使えます。もちろんコピックなので耐水性です。

3.PILOTプチ<細字>(水性ペン)-写真
先に述べたコピックは、メカニカルな等幅の線を描くのには最適なのですが、面白味がありません。特にラフの段階ではあまりに律義なコピックの線が、どうにも好きになれない場合があります。コピック・マルチライナーブラシもありますが、私は筆圧が強いのか相性が良くありません。
デザイナーに成り立ての頃からいろいろ試しましたが、結局現在まで主として使っているのはこのペンです。
どこの画材店でも文房具店でも買うことが出来るものです。ちょっとプロっぽくないですが、なかなか使いやすいものです。ペンのデザイン自体はいただけませんが、筆記用具といった感覚が気軽に描くには良いのかもしれません。文字を書くにしても、スケッチを描くにも使い易いです。デザインするぞ、と肩に力が入りそうなペンは、初期段階(ラフデザイン)で上手く使えないようです。
お店では、いろいろなサインペンが売られていて見ているだけで楽しいのですが、最近の傾向はメカニカル(ハイテク)なライン用サインペンばかりです。プチペンのようなもので、新しいのがあると良いのですがなかなか発売されないようです。このペンは、新品の段階と多少使い込んだ状態では線の太さが変わります。これは、フェルト部分がつぶれてきて丸くなることによるものですが、出来れば新品を常に用意しておいてください。新品の細い線と使い込んだ物の太い線を使い分けると良いでしょう。また、このプチペンは水性のために、描いたラインが自分の汗やツバ(ちょっと汚いね)で流れることがあるので注意です。コピックのような耐水性プチがあると良いのですがね。

4.PILOTプチ<中字>(水性)
これは昔からあったのか記憶にないのです。この前、コンビニで見つけました。プチの<中字>タイプです。100円でプチと同じ値段です。ベタ面を塗るとか、縁取り、強調などに使えるかも…。
なによりプチ<細字>とインクの色が同じなのが良いです。


5.PENTEL SIGN PEN <太字>(水性)-写真
正式な名称がこれなのか良くわかりませんが、ペンにはこのように書いてありますので、たぶんこれが名称だと思います。水性の太字サインペンです。水性の太字サインペンは、あまり多くの種類が出ていませんので、他に良いものがあるのか私にもわかりません。このペンは大きなサイズのスケッチとか強調、アクセントに使います。ただ、色が若干薄いようです。黒というより濃いグレーだと思います。その点、最近見つけたPILOTプチ<中字>の方が良いようです。

6.油性のサインペン
サインペンは基本的に水性(耐水性)を使うことをお勧めします。先にも述べたように、水性サインペンの黒が真っ黒でない事があるので、黒にこだわるとき油性のサインペンが必要になります。油性のサインペンで注意することは、紙に描いたときにニジミが気になる点とその後マーカーが使えない点です。ニジミに関しては特にコピー用紙を使ったときは大変です。慎重に相性を考えてください。

最後に、サインペンで油性を選ぶ必要はないと思います。マーカーの黒で十分と言うことです。
ここで書いた事を参考に自分に1番合うものを探し出してください。探すことは結構楽しいものです。ポイントは水性(耐水性)と油性のコンビネーションだけです。これをごちゃ混ぜに考えると作業が大変なものになってしまうので注意してください。

「サインペン」についての章はここまでです。次回は「ペーパーセメント」についてです。
 
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