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デザイナーのための用具・材料学
  第10回)デッサンの道具について  
  一言でデッサン(dessin)といっても、いろいろあります。美大受験を考えていた頃は、毎日のように石膏像と向かい合っていましたが、石膏像や静物モチーフを鉛筆・木炭等で描く美術教育としてのデッサンからもっと自由な発想・作風のデッサンまでいろいろです。
ここでは、基本的に石膏像や静物モチーフを描くため、デッサン用具・画材として売られている物を取り上げてみます。もちろん、自由な発想から考えれば、さまざまな画材がデッサンに使えると思います。
パステルやコンテ、色鉛筆、絵の具、釘で石版や金属版を削るのも良いかもしれません。が、そこまで広げては、説明も出来ないのでここでは、ごく一般的なデッサン用具・画材を取り上げてみました。


<鉛筆デッサン>
1.鉛筆
これは鉛筆の項目で取り上げたので、そちらを見て下さい。ただ、生徒がデッサンを描くのを見ていて気がついた事をひとつ書いておきます。

小・中学校の図工、美術の教育において、どうも美術に使う鉛筆は「4B」ぐらいの軟らかい物、と言う概念が埋め込まれてしまっているようです。
もちろん何か一本の鉛筆を用意して絵を描こうとする場合、「2B」〜「4B」ぐらいの濃さ(軟らかさ)がある方がトーンの幅も作りやすいし、描きやすいと思います。ただ、数本の鉛筆で「2H」〜「6B」ぐらいまでの幅を用意する事をお薦めします。このぐらいの幅が無いと描き分けられないと思いますし、無理して一本の鉛筆で描く事も無いと思いますよ。
「H」のような硬質の鉛筆でしか表現出来無いこともあるので、軟らかい鉛筆ばかり用意しない方が良いと思います。

2.練りゴム(練り消し、練り消しゴム)
通常の「プラスチック?消しゴム」は使用しない方が良いです。一番の難点は「消しゴムのカス」出る事です。消した上から鉛筆等で描くときに非常に厄介です。「練りゴム」を使ってください。 

「練りゴム」は粘土のように軟らかく、形を変えることが出来。ゴムで鉛筆芯の粉を吸い付けるようにして取り去るわけです。そのため使っているうちに、最初白かった物もだんだん黒く(グレー)に成ってくるのです。形を変えたり出来るので、先を細くすれば、細かい所も。平らにすれば広い面も白く出来ます。
消す道具と言うより、「白い鉛筆」と考えてください。白く描く感覚です。鉛筆の他、木炭やカーボンチョーク、パステル、コンテなどにも使えるので、1個は買っておくと良いと思います。(60円〜100円ぐらい)

3.サッピツ
絵を描いているとき、画面の調子を整えたりする時に指で擦ったりしますが、指だと手の油が画面につき画材のノリが悪くなることがあります。また、細かい(細い)部分には指では大きすぎたり広すぎたりするので、サッピツを使います。
サッピツは紙を巻いて作ってある鉛筆のような物です。画面の調子を整えたり、紙の目をつぶしたりする時に使うと良いでしょう。(数種類の太さの物が売られています。60円〜100円ぐらい)

4.クリップ(ダブルクリップ、目玉クリップ)
紙(用紙)をカルトンに固定するのに使います。四隅を止めるために4個は必要ですが、上側2個だけでもOKです。個人的には「目玉クリップ」の単純な物の方が使いやすいと思います。(1個20円〜40円)


5.カルトン(画板)
「カルトン」は画用紙や木炭紙を収納したり作品を挟んでおくのにも便利です。デッサン時は画板として使用できるので、最初に購入しておくと良いと思います。
木炭全判(685×535mm)で2,200円
木炭半切(560×400mm)で1,600円
また一枚板もの(画板)でそれぞれ1,100円、750円です。

6.イーゼル
教室で描く場合には各教室に準備してあるので必要ないのですが、自宅で描く場合はやはりあった方が便利です。携帯用の簡易なイーゼルでも何とか使えますが、安定性のある木製の物がお薦めです。
サイズや形はいろいろありますから画材店で確認してみてください。(10,000円ぐらい)

7.デッサンスケール、はかり棒
デッサンスケールはプラスチックで出来た構図を決める枠です。絶対に必要な物ではありませんが、どうしても上手くモチーフを画面に入れられない人は、一度使ってみるのも良いかもしれません。
はかり棒は、石膏像のプロポーションを割り出したり、垂直水平を確認したりするのに使います。これも絶対に必要と言うわけではありません。通常良く鉛筆で代用していたりします。
石膏デッサン等で行き詰まったときなど、気分を変えるのに良いかもしれないですね。
 
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  <木炭デッサン>
 
  鉛筆以外は同様の道具が必要になります。ただ、「木炭デッサン」ならではの道具もありますので、ココで紹介しておきます。
デザインを勉強していく上では、鉛筆デッサンが中心になるようですが、始めてデッサンを勉強する人にとっては、木炭デッサンの方がやりやすいと思います。大きな形をとらえる訓練であれば、木炭デッサンの方が理解が早いようです。是非一度木炭デッサンにも挑戦してみてください。木炭という炭が作り出す濃淡の美しさに感動すると思いますよ。


1.木炭
木炭デッサンですからこの木炭は欠かせません。描画用木炭としゃれた言い方の方が良いですね。
かなりの種類がありますが、鉛筆の時のように何種類か揃えておいた方が描きやすいと思います。材質により硬さや濃さが異なります。あまり硬いものばかり買ってしまわないようにしましょう。
柳(ヤナギ)材が1番手に入りやすく、描きやすいので、これを中心に選んでください。これの太さが違うものを2〜3種類セレクトするのが無難だと思います。メーカーによっては、最初から数種類の太さの木炭をセットした物を発売していますので、始めて木炭デッサンをする人はそれを選ぶのが無難です。ある程度描いてみて自分に合っている物を見つけてください。

柳(ヤナギ)の木を高熱で焼いた木炭は、青みがかった黒で濃淡の調子が非常に出しやすい物です。
ヤナギの他に栗(クリ)や榎(エノキ)、椋(ムク)、玄圃梨(ケンポナシ)などがあります。すべてヤナギより硬めの材質になります。細部の表現や描き込みをおこなっていく際に便利です。また色味も若干異なるので、研究してみると良いと思います。
一本あたり100円ぐらいが基本ですから、3本セット売りでだいたい300円〜400円で売っています。もちろん太さにより値段は変わります。画材店によって扱っているメーカーや種類が違うので、実際にお店で確認してみると良いでしょう。
物によっては、軸に銀紙を巻いたものがあります。銀紙アレルギーの人は注意が必要です。手が汚れなく良いのでしょうが、私にとっては邪魔な物という感じです。(ひょっとすると湿気対策かも)

2.芯ヌキ
木炭独特の道具に成ります。木炭はその断面を注意深く見てみると、中心に他とは質感の違う芯があります。この芯を針金で抜いておく事が大切です。
芯を残しておくと、描き心地が良くありませんし、消してもうまく木炭が落ちなくなる事があります。紙に木炭がうまくのらない状態も起こります。
芯のヌキ方はまず、針金を木炭の中心(芯の部分)に通して行きます。煙突掃除の感覚ですね。針金が木炭を貫通したら針金を抜いて、息を吹き込めば残った粉も吹き出せます。これで準備完了です。
300円ぐらいで画材店で購入する事が出来ます。細い針金があればそれで代用する事が出来るので無理に買う必要はありません。


3.紙やすり
芯を抜いた木炭の先端を描き易い形に整えます。紙やすりは、今では100円ショップで買う事が出来るので、それでよいと思います。
細部の書き込み時など、先を尖らせる時には便利ですよ。

4.食パン
練りケシでも木炭を消す事が出来ますが、やはり昔ながらの食パンが良いと思います。デッサンをやっている雰囲気も出ますしね。
安いパンで充分です。食べるわけではないので。大切な事は、ビニール袋に入れておく事です。1〜2時間も放置しておくと、食パンはパサパサになってしまいます。常にビニール袋に入れておきましょう。

5.ガーゼ
木炭を押さえたり、ガーゼで叩いて木炭を全体的に落としたりします。薬局などで売っている普通のもので結構です。画材店では売っていないと思います。その割に必要な道具?だと思います。


後、フィキサチフ(定着材)作品完成時に木炭を定着させます。などが必要だと思います。
 
  「デッサンの道具」についての章はここまでです。  
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