涼ちゃんのパソサポ事情
やっとこボーナスでとうとうワープロ専用機から決別し、パソコンに乗り換えようと心に決めた榊原課長。
「と、言うわけだ。ここにボーナス丸々つぎ込んだ最新機種がある。」
「か、課長・・・・こんな即粗大ゴミ決定にボーナス丸まるって・・・・。」
「おや?海城君。何か言ったかね?」
「い、いーえ、いえ!何も!」
「ふむ。あまり滅多な事は言わない方がいいと思うのだが。ところで君の彼氏はパソコンに強かったね?」
「は、はぁ。あたしもよくわかりませんが、パソコン雑誌にエッセイ書くぐらいですし。」
「素人があまり弄って壊してもいかん。彼に組み立て(注:セットアップの事です)頼もうと思うのだが。」
「今からですか?直ぐ呼び出してもここに着くのは夜中の2時になりますよ。どう頑張っても。」
「ふむ。明日の朝から早速使いたかったのだが、仕方ないな。また後日にするか。」
「あー、課長。組み立て(注:セットアップですってば)ぐらいあたしがやりましょうか?」
「・・・・・・。出来るのか?」
「任せてください!あたしの家にあるパソコンだって自作なんですよ!」
「君が組み立てたのか?」
「いえ、見てただけ。ともかく、上手くやりますから、出来たら奢りで飲みに連れてって下さいね。」
かちゃ。かちゃ。かちゃ。
がちゃん。がちゃん。
ばしゃっ。ざざざーっ。
ぱきん。
ぺきん。
ぽきん。
しゅーっ。
ぷしゅーっ。
ぷしゅしゅーっ。
ぷぉーん。
ぽぉーん。
ぷぽぉーん。
ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。
トルゥゥゥゥゥゥ。トルゥゥゥゥゥゥ。
がちゃ。
「・・・・あー・・・・あー・・・・。あい、もしもし、風宮ですけど。こんな時間にどちら様でー?」
「あ、もしもし。あすかくん?えぐっ、えぐっ。お願い、早く着て・・・・お願い・・・・。」
「え?え?え?りょ、涼ちゃん?ちょ、ちょっとどうしちゃったの?何泣いてるの?」
「うぇぇぇー。か、課長が『お前ボーナス抜き!むしろ弁償!いや、とりあえずクビ!』ってぇぇぇっ!」
「・・・・・・???ま、まぁとにかく今から行くから。どこに行けばいい?うん、うん、うん。わかった。」
がちゃっ。
「ふぇぇぇー。あすかくーん!」
「泣くのは構わんから、わしのパソコンを何とかしろ。」
「あー・・・榊原さん。いくら練習用でも、粗大ゴミ置き場から壊れたパソコン拾ってくるのは・・・・。」
「ここに来たときは新品だった!」
「そ、そですか。・・・・いつもいつもご迷惑をお掛けします。とりあえず涼ちゃん。・・・・これ・・・・何したの?」
「え?えーっと。あははー。別に何にもしてないよ♪」
「・・・・・・・・・・・はぁ・・・・・・・・・・。」
「っさいっ!何もしてないって言ってるでしょっ!」
かちゃ。かちゃ。
「涼ちゃーん。何も足型付くまでモニター蹴らなくてもー。」
「うん、ごめん。今度から膝蹴りにするよ。」
「・・・・・・・・・・。」
ぐりぐりぐり。
「涼ちゃーん。なんかさっきからこのキーボード、珈琲の匂いがするんだけどー。」
「うん、ごめん。さっきこぼしちゃった。」
「・・・・・・・・・・。」
ひょいっ。
くるん。
ぼちゃぼちゃぼちゃっ。
「涼ちゃーん。マウスの中のボールどこ行ったのー。」
「うん、ごめん。あんまり腹立ったもんで、窓の向こうに投げ捨てちゃった。力いっぱい。」
「・・・・・・・・・・。」
「どうかね?風宮君。直りそうかね?」
「あすか君、ほんっとごめん!この埋め合わせは絶対するから!」
「・・・・・・全力でこれより高スペックのパソコン組みますので、どうかクビだけは勘弁してやってください。」
「まぁ、君がそこまで言うのなら。ところで、風宮君?」
「はい。なんでしょう?」
「こんな女のどこが良いのかね?」
「あ、あのー・・・・か、課長?こんな女って・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・さあ?」
「あ、あのさぁ、あすか君。その返事って、いったい・・・・。」
「一度だけだぞ。人生。」
2日後
「・・・・とりあえず榊原さん。・・・・これ・・・・何したんですか?」
「うむ。別段これといってした憶えはないな。」
「・・・・・・・・・・・はぁ・・・・・・・・・・。」
「憶えはないな。」
かちゃ。かちゃ。
「・・・・榊原さん。何も足型付くまでモニター蹴らなくても。」
「ああ、すまんな。今度から膝蹴りにしよう。」
「・・・・・・・・・・。」
ぐりぐりぐり。
「・・・・榊原さん。なんかさっきからこのキーボード、珈琲の匂いがするんですけど。」
「ああ、すまんな。さっきこぼした。」
「・・・・・・・・・・。」
ひょいっ。
くるん。
ぼちゃぼちゃぼちゃっ。
「・・・・榊原さん。マウスの中のボールなんですけど。」
「ああ、すまんな。あんまり腹立ったもんで、窓の向こうに投げ捨ててしまった。力いっぱい。」
「・・・・・・・・・・。」
「どうかね?風宮君。直りそうかね?」
「・・・・・ごめんね、あすか君。あたしの上司、こんなんで・・・・・・。」
「・・・・・・東京に帰らせてください・・・・・・。」
あとがき
屋代「ってかさぁ。そろそろ旦那のイラスト完成してくれないと困るんだけど?」
黒猫「いや、俺だって忙しいんだよ。柚っぺのところにひーさんのパソサポ事情書いたし。」
屋代「あ、それちょっと読んでみたいかも。これであすかのパソサポ事情があれば完璧だな。」
黒猫「書こうよ!それ!」
屋代「えー?だって、見返り無いしー・・・・。」
黒猫「なんだよ。俺旦那のイラ上げんじゃん。」
屋代「ってか、今何時だ?」
黒猫「21時47分?」
屋代「わかった。23時までに書いてよこすから、お前もそれまでに旦那イラ描けよ。」
黒猫「・・・・せ、せめて。23時30分で!」
屋代「わかった。電話切るぞ!」
・・・・ホントにこのあとがき含めて23時までに書き上げてしまった自分がちょっとアレだったり(笑)