事故日記

00/4/1に徳島県那賀郡上那賀町で僕自身が被害者となったひき逃げ事故のことと、事故後の流れについて書いてあります。非常に稀なケースだと思うので何かの役に立てて頂ければ幸いです。

 

四月1日は天気が良かったので昼から走りに出かけた。この日は母親に阿南市桑野町の祖母から梅干をもらってくるように頼まれていたのでとりあえづ桑野を目指した。

しかし、まだ13時過ぎ。その日中だから、帰りに寄ればいいやと桑野辻の交差点から195号線を西へと四つ足峠まで走った帰りのことであった。(ツーリング記録丹生谷参照)

 高知県境の四つ足峠から阿南市まで

のちょうど中間あたりの上那賀町長安に

は那賀川最大のダム長安口ダムがあ

り、このダムの資料館近くのダム湖を渡

る橋を渡り終えたところで事故は起こっ

た。

 

 

 

 

 

 現場付近の拡大図。

 

 

 

 

 

 午後6時過ぎこの写真奥のカーブの先

にある橋(手すりに見え隠れしてる橋)を

真中くらいまで来たときえらいスピードで

カーブを曲がろうとしている黒い車を確

認。カーブを曲がりきれるわけ無く案の

定センターラインを割ってきた。

このままでは当たる!!と無意識のうち

にスピードを落とし、寄れるだけ寄ったが

黒い車のボンネットが真横を通り過ぎた後、気が付けばバイクとともに転んでいた。

とりあえづ、起き上がることは出来たので、後ろを振り返るとその黒い車がスピードを落とすのが見え

る。ドライバーは降りてくるだろう。思いっきり文句ゆうてやろうと思った瞬間、なんと急発進した。ナン

バー覚えてやろうと見つめるも遠くて分からなかった。橋渡った所の3つ角で右に入ったのを覚えた。

バイクを見るとまだエンジンが回ってるので止める。サイレンサーが無くなってる。15メートルぐらい離

れたところに落ちている。車にもぎ取られそして落ちたのだろう。右ひざが痛むことに気づく。どうすりゃ

いいのか分からない気持ちと怒りでいっぱいだった。すこしすると高知側から軽トラが一台来たので無

理矢理止まってもらって事情を説明し、

今通った黒い車のナンバー見なかったか

聞いてみる。が、やはり分からず。警察

に行こうとその軽トラに乗せてもらおうと

頼むがおっちゃんと女の子が乗ってて無

理っぽい。そのうちに、音にビックリしたと

対岸の商店主が来る。このカーブでは事

故が結構あるらしい。大きい音がしたとき

はたいてい事故が起こってるらしい。その商店主の携帯から鷲敷警察署に電話。相手の特徴を聞か

れるが黒い車としか答えられない。ここまで来るのに40分かかるらしい。軽トラのおっちゃんと女の子、

商店主にお礼いって別れる。写真見て分かるとおり欄干にぶつかったり、ダムに落ちてたら死んでた

かもしれないのに、死んでたかもという恐怖感はあまり無かった。相手への怒りで一杯だった。警察が

来るまではそのままにしておく方がいいので倒れたままにするが、これでは40分もこの傍でいないとい

けない。落石注意の看板と赤パイロンが落ちてたのでそれをバイクの前後に置いておいた。

ダンプカーや軽トラ、帰宅途中の家族連れ、走りや風シビックの兄ちゃんまで通行車は少ないけど、み

んな止まって心配してくれる。丹生谷はいい人ばかりだ。しばらくして赤色灯回したパトカーが来る。相

撲取りみたいなでかい人と中年の人と若いしのお巡りさんが乗っている。バイクの写真撮ったり、マフ

ラーの飛んだ距離測ったり、現場をスケッチしたりしてはった。バイクはとりあえず、ダム資料館の駐車

場に置いておきパトカーに乗って帰ることになる。が、パトカーは何故か鷲敷に戻らずさらに山中を目

指す。全く訳が分からなかった。よくわからんうちにパトカーは黒い車と対向する。警官の目が一斉に

その車に集まる。前右部が凹んでるのを見つけ、相撲取りみたいな警官が止めろ!と言う。一斉にお

巡りさん全員が飛び出し職務質問。パトカーに置いてけぼりにされる。相撲取りみたいなお巡りさんが

乗ってた男に”事故は誰でもあるが、逃げるのは故意だろがー!!”と怒鳴ってるのが聞こえる。どう

やら犯人のようだ。パトカーの中でもはっきり聞こえるぐらいでかい声でむちゃくちゃ怖い。面白そうな

ので外に出てみてみようとドアを開けると一番若いお巡りさんが飛ぶように帰ってきて出てはいけない

と言われる。残念であった。そして、その車にでかいお巡りさんと中年のお巡りさんが乗り込み、パトカ

ーに自分と若いお巡りさんで鷲敷署へと戻る。鷲敷所に着き、親に迎えに来てもらうよう頼む。犯人の

男が取調室に蹴飛ばされるように入れられてるのが見え、怒鳴られているのが聞こえて被害者なのに

犯人カワイソウとか思ってしまう。そして自分は生活安全指導室という部屋で取調を受ける。壁の予定

表は猟銃検査の予定とキャンペーンばかりである。平和そうな警察署である。そして、この事故のため

に急遽呼ばれたらしいお巡りさんが被害者の調書を書く。住所氏名などと、今日の事故内容を日記風

に書いてゆくのだが下書きしてから清書するので時間かかって大変そうだ。実際警察官って書類作り

ばっかりで大変だそうだ。なかなか面白い人で東灘区の灘の字がなかなか書けずに困ってはった。

そして、若いお巡りさんに病院に連れて行かれる。阿南市内に行かず、何故か鷲敷よりひとつ山中の

相生町の診療所に行く。当然パトカーに乗せられる。この若いお巡りさんはむちゃ飛ばす。バイクでも

70キロぐらいで走ってた道を80以上で飛ばす。50キロ制限なのに。パトカーなので追いつかれた車は

皆急にスピードを落とす。するとまるでヤクザベンツの如く激しくパッシング。そして黄線区間でも平気

で追い越す。屋根にはパトランプが回ってる。なるほど、天下無敵の緊急車両だからいいのか。(謎)

パトカーには常に無線連絡が入ってくる。まさに特番でやってる警察のまんま。”羽ノ浦で原付と歩行者

の人身事故発生!!”とか”マルソウ情報です。石井町の192号線でバイク2.3台が蛇行運転!!”と

か。県内のニュースが絶え間なく聞こえる。が、若いお巡りさんはかまわず飛ばしまくる。

そして診察を受ける。この頃には既に痛みは引いていたが、右膝打撲三日間の安静療養が必要と診

断される。鷲敷署に戻って調書の残りを取り、親の車で実家へ戻る。帰ったときには12時を回ってた。

4/2

レッドバロン徳島店に引き上げの要請をしに行く。鷲敷署に数日置いておくことになるので長安口から

鷲敷署への移動はしてくれないらしい。で、長安口から鷲敷署までは鷲敷署御用達のレッカー業者で

運び、鷲敷署から徳島はレッドバロンに頼むとする。で、レッカー移動にバイクのカギが要るので鷲敷

署へ父親の車でカギを持ってゆき、ついでに事故現場を見に行った。何故か、昨日のでかいお巡りさ

ん(ちなみに交通課長)とその現場で出くわした。お巡りさんも明るいときに現場を見ておきたかったら

しい。そして家に戻った18時ごろ自衛隊の上官の方が謝罪に来られる。そして19時頃容疑者の親御さ

んが謝罪に来られる。事故を起こすと大変だ。

4/3

徳島新聞、朝日新聞徳島版に掲載される。それで、朝6時40分に桑野のばあちゃんから電話。田舎は

朝早い。加害者本人が謝りに来る。すぐ捕まったから別に怒りは無くなったし、とくに話すこともなし。

メロン頂けてラッキーってとこか。

4/4.5

さしたる進展はなし。

4/6

自衛隊の上官が来られる。正装である。かなり位の高い人のようである。”処分を軽くしてあげて”との

内容の嘆願書を書く。加害者の自衛隊内の処分が重かろうが軽かろうが自分には関心の無いことな

ので。保険のニッセイ損保より電話。連絡先、バイク屋の確認のみ。

4/7

朝10時より鷲敷署に出かけ、裁判用の正式な調書取りをする。約3時間かかる。ここでやっとバイクを

返してもらえる。レッドバロンに連絡して引き上げてもらう。加害者の処分が決まったらしい。懲戒免職

のはずが、俺の嘆願書のおかげで謹慎一月になったらしい。なんか、いいことをした気がする。

4/8

レッドバロン徳島で工場長とバイクの話をする。工場長のぱっと見では約30万とのこと。店長代理に”

新聞のっとったなー”と話される。すこし有名人だ。ノーマル以下の値段なら適当なフルエキにしてくれ

るとのこと。神戸に戻る。

4/9

特に進展はなし。日曜だし。原付のパンクにはまいった。

4/10

工場長より電話。RFが詳しい診断を受けた結果、マフラー、外装以外に、フロントホイール、スイング

アームにも歪みがあるとのこと。修理費用は60万以上。修理代が査定価格を大きく上回ってしまった

いわゆる保険会社でゆうところの”全損”である。何が何でもこの修理費用とこの事故によって使わざ

るを得なくなった金(電車代など)をニッセイ損保から貰うことを心に決める。示談交渉は保険屋任せに

するものでなく”駆け引き”であることを肝に銘じ、雑誌等で前例を研究する。

 

4/11

とくに進展なし。

4/12

ニッセイ損害補償より留守電。翌日かけ直すとのこと。

4/13

ニッセイ損保より留守電。聞いたときまだ営業時間内だったのでかけなおす。修理費が60万以上って

ことで全損で処理するとのこと。希少車の為査定額が前例になく、調べるのに時間がかかるらしい。と

りあえず、ローンが残ってる事と、購入時期、金額(68万)、改造場所、自分で消耗品交換などをして

て、非常に愛着のある車両であることをを伝える。多分、最初は30万前後を提示してくると見たから、

これをいかにつり上げるかが今後の課題。

4/17

修理見積書が届く。62万2670円。保険屋からは連絡なし。かなり腹立つ。ここ数日は忙しくてこちら

からは掛ける間がないし。

見積書

4/18

ニッセイ損保より留守電あり。ついに査定額が決まったか。明日は昼から暇。

決戦は明日。

4/19

留守電あったので、電話するが、担当のF氏は外出中。19時20分ころにやっとF氏から電話がある。

(残業中何だろな〜すんまへんなぁ)そして、査定額はわづか32万円。キレイに乗ってる事やマフラー

換えてる事、引き上げ費用を加味しても、たったの41万7千円!!!当然即答で却下。たった40万や

そこらでRF900Rの中古が買えるわけない。とりあえず、

# バイクは趣味の物なので、実用車のように減価償却されては困る。

# RF900Rの中古は50万から60万はする。

# 中古を探してみてそれを買える値段でないと納得する訳にはいかない。

ことを伝え、電話を切る。

50万は少なくともすることを聞いて、一、二万ならともかく、10万もはF氏の一存では決められないので

上司に相談するそう。

明日あたりバイク屋いっていくらぐらいで売ってるか聞きに行こうと思う。

 

4/20

レッドバロン東神戸でRF900Rの中古があるか聞く。ワインレッドが一台だけあって52万円だそうだ。

このことをニッセイ損害補償に伝えておく。担当F氏は出張中なので伝言を頼んでおいた。

4/21

人身の方のことで留守電あり。

4/24

人身の事で電話。診察費15825円と慰謝料8500円でいいですか?とのこと。

別に普通に生活してるし、保険代で稼ごうとか考えないので、すぐに返事。

人身については約30秒で交渉終了。

4/25

電話あるがバイト中で出られなかった。

4/26

示談書(人身)

ニッセイ損害補償M氏より人身の方の示談書が届く。

何も連絡無かったが100対0で処理されてたようだ。

人身については問題ないので振込先等を記入し、捺

印。夕方F氏より電話。やはり52万は無理らしい。そ

の中古車は何年式か聞かれるが、分からないし、

7000台も中古車が載っている本みても2.3台しか

載ってなくて、さらに同じ色は全くないくらい希少車だ

から同年式同じ色はまず見つからないこと、また、そ

ういうバイクだからこそオーナーズクラブがあったりす

るので、他車種に乗り換えるわけにはいかないことを

伝える。いくら出して欲しいのか聞かれたので、修理

 

代の62万を要求する。F氏電話の奥で困った様子。(困る事か!?当然だろ。)何度も5年落ちの車

両を2年近く使ってるからそれは難しいと説明されるが、勝手にぶつけられて壊されているのだから修

理代は出してもらわんと困るし、その修理代は保険屋が出そうが、加害者が出そうが知った事でない

から加害者にも交渉するように頼んでおいた。人身のほうの示談書の返信ついでにRF900Rの相場を

書いた雑誌の切抜きと、事故現場の写真を同封し、加害者のFさんに保険屋が修理代出してくれなくて

困っているから交渉してくれと依頼の手紙を書いた。

4/27

昨日俺が提示した金額は60万。だが保険屋がニッセイ損保が出せるのは42万が限度で、それ以上

は加害者が負担してくれるかF氏が加害者に交渉することになっていたのだが。夕方、F氏から電話。

なんと、加害者が差額18万出してくれるようになったとのこと

これで、なんかスッキリとはしないが、交渉終了!!

思わぬ展開に驚いたが、なにはともあれ5月中旬にはBig Machine Riderに復帰できそうだ。

加害者Fさん有難うございます!!Fさんの住む岡山には足向けて寝れません。みたいな感じ。

(よく言われるが俺は相当なお人よし。)

兎に角、鬱陶しい示談交渉とも先行きの見えない不安ともサラバ!!

かなりうれしい。

次は、この60万で新しいのを買うか、修理ついでに純正品の代わりにマフラーとかをカスタムして乗り

続けるか。悩むところだ。

5/5

レッドバロン徳島へ。修理に決定。外装を妥協し、アドバンテージのスリップオンとオーリンズリアサス

を入れる事にする。

5/7

人身の支払いの確認書と、物損の示談書が届く。(とゆうか届いていた。)

5月中旬

自分の口座に60万入ってる事を確認。

5/29

午後9時ごろレッドバロン徳島店にRFを引き取りに行く。約二ヶ月たってやっと復活。

修理にかかった費用は結局52万3860円。オーリンズ入れなかったら40万以下。最初の査定額で十分

直せたような・・・・。ま、外装は思いっきり妥協した事だし。

走り出し、シールドを上げると夏の風を感じた。

 

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