プロ野球・合併とか1リーグとかの話
このページは、プロ野球の大阪近鉄バファローズとオリックスブルーウェーブの合併話に端を発した(もちろん伏線はいろいろあったと思われますが)さまざまな騒動について、日記で述べた文章をまとめたものです。
参考リンク
以下はこの問題に関して言及されており、なおかつ(スタンスに違いはあれど)1リーグ制を頭から否定してはいない方々の文章へのリンクです。なお1リーグ制絶対反対の方々の文章については、ちょっと検索すれば山ほど見つかると思いますのでまあええかと。
大阪近鉄オリックスブルーウェーブバファローズ(違) - 2004/6/13
んー……。
既にテレビのニュースなどでも報道されていますので特に情報元へはリンクしませんが、驚きましたですね。以前にチーム名の売却案が機構側にストップをかけられたり、シーズン中にも関わらず赤字額の発表が行われたりといったこともあり、近鉄球団としてもそうとうにしんどいのかなというのはありましたけれど。
それでも単に親会社やフランチャイズが変わるだけであれば、(当の球団のファンにとってはもちろん一大事とはいえ)他への影響は最小限に抑えられたと思いますが、なにしろ一チーム減って、そのうえ奇数になってしまうんですからねぇ。言い方は悪いですが、(売却ではなく合併となると)当事者だけでなく他球団をも否応無しに巻き込んでしまっているわけで。
ただ、だからといって両球団に対してああだこうだという気がしないのも事実です。いや、実際つらいんじゃないかと思いますですよ、特にパシフィック・リーグは。ましてやバファローズやブルーウェーブにとって最大のライバルは、ライオンズやホークスではなくタイガースでしょうから。
自分は大阪に住んではいますが在阪三球団のファンではありませんし、またホークスファンということもあってパ・リーグのほうをメインに見ていますので、そういう立場からするとむしろ(今回の二球団に対しては)気の毒な感じすらします。だからといって、現在タイガースファンの人にこの二球団を応援してくれーってのも変な話ですし。
もちろん運営方針云々といった批判もできないことはないでしょうけれど、実際問題、年俸なんかでもめた時に、何年で何十億円、みたいな条件をポンと出せるような球団が他にあったら(そしてそれを選手がカードとして意識していたら)、もうどうにもならないんじゃないかという気が。結局は引き止める為に無理してでも年俸を上げるか、批判覚悟で(おそらくは実力も人気もある選手を)放出するか、でなければ無理にでも不満を抑え込むか、なんて選択になってしまうわけで。
しかし今年パ・リーグが導入したプレーオフ制とそれに伴う試合数の減少(140試合→135試合)ですらセ・リーグから異論が出ていたくらいですから、5チームなんてことになったらそのままどうぞとはならないんでしょうね。再編云々はまだちょっと気が早いかなと思わないでもないですが。
来年どうなるかはともかく、全体的なことについていえば、やっぱり本格的にフランチャイズを分散するべきなのかなぁとか。ホークスにしたって、本拠地が福岡ではなく大阪のままだったら(南海ファンの方にはもうしわけありませんが)観客動員でトップを争うようなチームにはならなかったんじゃないかと思いますし、北海道に移ったファイタースの先行きにしても自分はけっこう楽観的に見ていますし。
しかし今年もまだ先は長いというのに、選手の方はやりづらいでしょうね。特に当事者のバファローズ対ブルーウェーブ戦なんて妙な気分じゃないんでしょうか。
敵の敵は味方? - 2004/7/1
例の近鉄とオリックスの件ですが。つい先日、(既に断られた買収話を)大々的に発表した会社については既に皆様ご存知のことかと思いますが、あちこち反応を見てまわったところ、見事に二分されているというか、はっきり言ってしまえば支持する人が意外に多いことに非常に驚きました。
いやまあ何かと話題の渡辺恒雄氏につきましては、言わなくてもいいことをと思うこともしばしばですが、どうもこの話題に関連しての反応などを見ていますと、話題の某社がどういう会社で、今回の一連の動きがどうかということよりも、あまりに同氏に対する感情が先走っている方が多いように見受けられることにいささか辟易したり。
同氏の発言を逐一引き合いにだして、例えば「知らない人」発言などを揶揄される方も少なくないようですが、それを言うならば、(今回の某社を)支持される方に見られる「どんな会社かよく知らないけれど」といった枕詞もどうなんだろうという。
どうもそういった反応や報道などを見ていると、初めて(もしくは数回)名前を聞いた会社で何をやっているのかよく知らないけれども、インターネット関係で儲けていて株価も上がっているらしいから立派な会社なのだろう的な認識なのかなと。で、旧態依然とした体制を破壊する改革者に見立てて。
一方で、バファローズやパシフィック・リーグの存続を望みつつも「あの会社でなかったら」といった意見も少なくありませんが、それも全く故なきことではありません。というのも、その業務の関係でネット上の掲示板やウェブ日記などで話題になる事も一度や二度ではないからなんですが、とりあえずスラッシュドットジャパンでも、過去にこんなにとりあげられていたりします。正直なところ、話題になって目についたものを、お金にまかせて手当たり次第という印象は拭えないんですが。
もちろん財力だけでなく意欲や能力も持ち合わせていて、買い取ったコンテンツなどをきちんと運営していくのでしたらそれはそれでいいんですが、どうも新たな権利者となるたびにトラブルや突っ込みどころを生じることが多いように見えます。そのあたりは上記ストーリーの中でもそのたびに指摘されていますので、あちらが買うと言っているんだから売ればいいじゃないかと球界や近鉄などを批判する前に、ぜひ一度目を通していただきたいと思ったりするわけで。
中でも音楽 CD を MP3 に変換するサービスは、当初権利者の許諾は必要ないとの発表だったのが、結局利用者が自ら JASRAC 等に複製の許可を得ておかなければならないと変わりまして(代行サービスも無し)。何というか、あまりといえばあまりにも。
クラウンライターライオンズ - 2004/7/9
※注(8/21)−現在、下記リンク先は最新の記事に差し替えられており、バックナンバーも見当たりません。また以下の文章について誤解のないように補足しておきますが、ノーさんこと野崎氏が(1リーグ制について)賛成されているということではありません。
至極まっとうな見解というか、タイトルだけですと一見1リーグ制反対のように見えますが、必ずしもそうではなくて、移行するのであればせめてこれだけはというお話です。
実際問題1リーグになったからといってバラ色の未来が待っているとは思いませんが、それは2リーグ制を堅持していても同じなわけで。むしろ現在の2リーグ制の、特にパシフィック・リーグに於いて球団を所有するのがしんどいという会社が複数存在している状況で(でなければ合併話なんて出ないでしょうし)、なおかつ現在の形態を維持しようとするほうが、よりイバラの道なのではという気が。
そういったことを踏まえて考えてみますと、少なくとも今回某社がバファローズを買収したとしても、今後も同じようなことが起きると考えられるのではないかと。そもそも個人的には、某社が意欲・能力・経済力を備えているとは思えないんですが、仮にそれだけ立派な会社だったとしても、極端な話、ダイエーとロッテ、西武と日本ハムが合併したりしたら結局は同じことですし。
もちろんファンや選手の方が合併に反対するのは当然だと思いますが、1リーグ制を支持する人だけでなくて、2リーグ制を維持してほしいという方もまた、今後どうすべきかという見解を示すべきではないかなぁと。現実にギブアップしている会社、ギブアップしそうな会社が存在している以上、ただ合併反対、某社に買ってもらえばいい、で止まってしまうのではちょっと。
それと最近は選手会会長の古田選手や近鉄の中村選手の発言が報道されることも多いようですが、選手の年俸が大いに経営を圧迫していると思われる状況で、そのあたりについての妙案や発言は出ていないんですかね。例えば上限や総額を決めるとか、あるいは年俸はこれだけでもいいからぜひ来年もこのチームで、みたいな声とか。
渡辺恒雄氏と古田選手の仲がいいとは到底思いませんが、今まで選手会が行ってきた活動というか、フリーエージェント制度の導入や、あるいは複数年契約にメジャー挑戦といった選手側が主張する権利の拡大は、選手を繋ぎ止める、あるいは獲得するために球団側に多額の出費を強いるようになり、結局のところ渡辺氏を喜ばせているだけのように見えてしまったり。もちろん代理人制度の導入であるとかの活動も行っていますし、出せない企業には球団を手放してもらって、よりお金を持っているところに、ということなのかもしれませんが。
最後にあくまでオマケですが、自分の某社に対する印象は7月1日の日記(上記「敵の敵は味方? - 2004/7/1」)を参照してください。というかそもそも、投資家から集めた現金はたくさん持っているものの、純利益はそれほどでもないという噂を小耳に挟んだんですけれど、はてさて。
オールスターゲーム - 2004/7/11
何だかんだで二試合とも見まして、ふだんあまり見られないパシフィックの選手を見られ、さらにチームとしても勝利したりで面白かったとは思ったんですが。例えば松坂投手や城島選手や小笠原選手や渡辺投手や岩隈投手や谷選手といったプレーヤーを、1リーグ制になれば通常の野球中継でも見られるかもしれないという期待は、(1リーグ制に)反対する人にとっては何のメリットにもならないのかなぁとふとそんなことを。
というか、選手やファンが(近鉄とオリックスに限らずチームが減少する)合併に反対するのは、それはもう(賛同するかどうかは別として)感情としてはもちろん理解できないことはないんですが、ただそういった動きを報じつつ、それに乗じて球界批判を繰り広げる、特に2リーグ制堅持を訴えている(ように見える)マスメディアに対してはちょっと待ったれやと。
それはなぜかといいますと、本当にパシフィック・リーグに存続させる価値があり、かつ存続させたいと考えるなら、球界に対して非常に大きな影響を与えると思われる有効な手段があるにも関わらず、それを行使しようとしないからなんですが。
既にお察しの方も多いと思いますが、パシフィックのゲームをセントラルのゲームと同様に放送すればいいんじゃないですかねぇ。そしてセントラルと同じ程度の放映権料をパシフィックに落としてくれていれば、リーグ存続の危機なんてことになっていたかどうか。まあどのみち今からではあれでしょうけれど。
放映権料の分配については過去にもときおり話に出たりはしていたようですが、たとえそちらが例によって某オーナーの強力な反対で実現できないとしても、放送局のほうから全チーム(あるいは両リーグ)同程度に放送したいと働きかけるかぎり何の問題も生じないでしょうし。パのファンとしては、オールスターや日本シリーズでだけ持ち上げられても苦笑いのほうが浮かぶわけで。
セ・パ同等に放送することや、あるいは(今までセントラルのオーナーが危惧していたように)1リーグ制で巨人戦が減少することによって、セントラルのチームの取り分が減って、仮にそれで経営に影響が出るのでしたら、それこそそういった負担を(セントラルと放送局が)パシフィックに押し付けてよろしくやっていたという何よりの証左ではないかと思いますし、そもそも商売上の理由で何かといえば巨人阪神セントラルのマスメディアが、ファンの声とやらを盾にして近鉄やオーナーたちを批判できるのかとも。
プロ野球 - 2004/7/30
えーと。リアル野球(何)は既にオールスターまで終わっているんですが、いつまで開幕戦を描かれるおつもりなんでしょう(汗)。>水島先生
と、ドカベンの話はこっち(どっち)においといて。ここ最近の騒動について思うことのまとめっぽいものを。
1リーグ or 2リーグ
はっきり言ってしまえば、自分はどちらでも構いません。とりあえず、1リーグになったら、あるいは球団数が減少したらプロ野球は終わり、みたいな見方には賛同いたしかねます。ペナントレースの興味云々についていえば、勝ち負けや優勝チームにしか興味がないのならともかく、ある程度ひいきのチームがある方は、順位が何位であろうとそこそこ興味は持続するんじゃないかと思いますし、そもそも単純に「野球」を見るという楽しみもあるわけで。
自分はホークスファンですけれども、何も優勝を争うようなチームになったからというわけではなく、南海から福岡ダイエーになったときから、それこそ南海から引き続いて十何年連続で B クラス、なんてのもずっと見てきましたし。そんな時代に、優勝争いに加わっていないからといって興味を失っていたら、開幕直後しか見るところがありませんですよ(笑)。
それと実際問題ペナントレースへの興味と言い条、現時点でパシフィック・リーグのペナントレースに興味津々な方は(全体の中で)どのくらいの割合なんだろうという。テレビをつけても地上波でホークス対ライオンズの首位攻防戦を観戦することはできず、放送されているのは巨人戦か阪神戦ですしね。
またオールスターゲームや日本シリーズがなくなるじゃないかとの意見については、逆にいえばそのときくらいしかパに興味を持たない人も大勢いるんだろうなという、ちょっと皮肉な感想も。(パの)各球団が苦しんでいて、実際ギブアップするところも出るような状況で、オールスターと日本シリーズの代表を出すためだけに崩壊寸前のリーグを維持させられるのだとしたらそれは何か違うような。
それよりもなによりも、1リーグどころか2リーグで現につぶれそうになっているという事実があるわけで、何がなんでも2リーグ12チームという意見には自分は与しません。もちろんそれで維持できるのでしたら、反対する積極的な理由もありません。が、何が良い悪いではなく、某オーナーに対する反発心のみが先走っている意見が多いように見えるのは、いささか気になるところではあります。
というか、テレビや新聞はこれだけファンの声や選手の声といって(2リーグ制維持を)煽っているんですから、来年もパが存続した場合はさぞかしテレビ中継や紙面での露出が増えるんでしょうね。もちろんニュースで「この他の試合の結果はこうなっています」なんてこともなく(苦笑)。
プロ野球・1リーグ制への反対意見に思う事(前編) - 2004/8/17
一連の騒動について自分がまず好ましくないと思うのは、何だかもう球界を取り巻くいろいろな問題がごちゃまぜになっていて、結果2リーグ制支持こそがファンの声である、みたいな報道がなされていることですね。で、実際にこの問題に関連する要素を(厳密に分類しているわけではありませんが)思いつくだけ列挙してみるならば、以下のような感じでしょうか。
- 近鉄とオリックスの合併そのもの
- 合併による球団数の減少
- 近鉄を買収すると表明した会社
- 任意の球団に対する好き嫌い
- オーナーやコミッショナーといった運営側
- 現在のドラフト・FAなどの制度
- 2リーグ制・1リーグ制
- 放映権料等の経営に関する問題
- セントラル・リーグとパシフィック・リーグの格差
もちろん人それぞれ、そもそものスタンスとして、セントラルもしくはパシフィックにしか興味がないとか、贔屓の球団以外はどうでもいいとか、12球団等しく愛している(笑)といった違いがあるでしょうし、さらにこういった要素の一つ一つに対して、各自がいろいろな意見を持っているはずで、それらを勘案するなら、単純に2リーグが良くて1リーグは絶対ダメ(もちろん逆も)と決め付けてしまえるようなものではないんじゃないかという気が。
で、自分個人の意見としては、1リーグか2リーグかというのはそんなに大きな問題なのかと。もちろん1リーグにすれば全てバラ色になるとは思いませんし、2リーグといっても全て現状のままではそれもまたまずいと思いますが、まずその二点についてはたいがい同意していただけるのではないかと考えます。
さらにリーグ数以前に、まず現在のような状況に陥った理由を洗い出して、これからの制度や運営を考えないと、結局は1リーグでも2リーグでも衰退するのではと主張すれば、これまたやはり賛同していただける方は多いと思います。
そこから自分の場合は、(リーグ数やチーム数に応じて)制度やシステムさえきちんと改良・整備されれば、逆に1リーグでも2リーグでも運営は可能ではと考えるわけです。特に自分はダイエーとパシフィックを中心に見ていることもあり、巨人のおこぼれがどうこうといった下世話な話でなく、もっと単純に「全球団を同じ土俵で戦わせてはいけないのか」という根本的な疑問を持っていますので。
もちろん絶対に1リーグでなければいけないとは言いませんが、ただ50年前に振り分けられた2つのリーグの所属チームについて、ひたすら墨守しなければならないものであるとは自分は思いませんし、またそれほどの強固な理由があるとも思えません。そういえば昔、そもそも関西私鉄3球団が同じリーグというのもどうなんだろうという意見も聞いたことがありますですね。もう昔話ではありますけれど。
それはともかくどうしても2リーグでなければならないのであれば、例えば以下に挙げるような制度で運営してもらえれば、少なくとも自分は(笑)ある程度納得できます。もちろん目先の形式だけ変えても仕方がないのは言うまでもありません。
- 成績により上下する「一部・二部制」
- 「イースタン・ウェスタン」のような明確な根拠がある振り分け
- 全ての振り分けの一覧表を作り、毎年それに合わせて変更(干支みたいな感じで)
- 両リーグの力を同等にするため総合成績の奇数順位チームと偶数順位チームを振り分け
てなわけで次回の更新(木曜日になります)では、1リーグ反対を訴える方々が参考として紹介されることの多い某サイトで、1リーグ制がダメな理由として挙げられている「1リーグ制による消化試合の増加」と「オールスターと日本シリーズの消滅」について、自分の思うところを書きたいと。もっとも、後者については以前ちらと書きましたし、その時と(話としては)大して変わりませんが。
プロ野球・1リーグ制への反対意見に思う事(中編) - 2004/8/19
結論から先に書いてしまいますと、自分は12チームだろうが10チームだろうが、2リーグだろうが1リーグだろうが、プロ野球に対しての興味が急激に増減する事はありませんし、ホークスファンではありますが、仮にホークスが合併したならしたで、以降はその合併後のチームを応援していくことになると思います。
もちろん単独で存続するに越したことはありませんし、本拠地が変わって選手も大幅に入れ替わり、縁もゆかりもないようなチームになってしまったらさすがにわかりませんけれど、それでも野球に対する興味自体を失うようなことはないかと。
逆に言えば、○○が△△したら(贔屓チームが合併したら、1リーグになったら etc)プロ野球を見ないとか、ファンをやめるといったような発言は、内容にもよりますが自分には「何故に?」と感じられるケースが多いですし、最初から「1リーグ制にしたら野球は滅びる」的な決め付けに対しては、はっきり異を唱えます。
もちろんいろいろと理由を挙げられる方もいらっしゃいますが、実際にはそれらの多くが1リーグ制「でも」ダメな理由であって、純粋に1リーグ制「が」ダメな理由にあてはまるようなものは少ないように思います。
結局のところ大掛かりな改革が必要とする点では多くの人が一致しているものの(現実にギブアップした球団があるわけですし)、チーム数やリーグ数をいじることを手段の一つに含めるかどうかで意見が分かれており、自分としては「12チーム・2リーグ」について、絶対に変更してはならないものだとは考えませんし、変更されたから興味を失うようなファクターではないということで。
といったところで、1リーグ制反対の根拠として目にすることが多い気がする、というより『日本一わかりやすい「プロ野球1リーグ案がダメな理由」』というサイトでその以下の二点が理由として挙げられており、同サイトに対して「わかりやすくまとめられていますので一度読んでください」といった感じでリンクがはられていることが多いので、とりあえずその二点について少々ツッコミを。
とはいえ、このことを以って(1リーグ制と2リーグ制の)どちらがどうと言うつもりはありませんが、(自らの言葉による)ツッコミも検証も補足も説明もなく、ただリンクだけはって「問題点がよくわかりました」とだけ書かれても「ほんまかいな」としか。
消化試合が増加?
チーム数が倍になり、ゲーム数も倍になるなら確実にそうなると思われますが。実際には各チームとの対戦を減らして総ゲーム数は現在と同じ程度に設定されるはず(というか倍はこなせませんわな)で、チーム数が増えたからといって上から下までのゲーム差が倍になるわけではありません。チーム数に関わらず、どんなに負け続けても1位と最下位のゲーム差が総ゲーム数以上に広がることはありえないわけで(笑)。
たしかにチームと対戦カードが増えている分、一般的に消化試合と呼ばれるカードは増えると思われますが、一つ一つのカードのゲーム数は減少しているわけですから、それらを合計したゲーム数が増えるわけではない点には注意が必要かと。さらにそれを言うなら、消化試合と同様に優勝戦線に絡むカードも増えるはずです。ただし、こちらも同様にゲーム数が増えるわけではありませんが。
今まで下限が6位だったのが10位や12位になると、何だか上からごっつい遠くなったように見えますけれども、その順位はというとこれは勝ち負けの数で決まるわけで、今までと同じゲーム差の中に、6チームが存在するのと10チーム( or 12チーム)がひしめきあうのでは、自分は後者のほうが面白いと思うんですが。優勝とは関係のない順位争いにしても、上下との差がより詰まっているはずですし。
もちろん1チームが独走した場合などはあれですけれど、逆に(両リーグで)1チームずつが独走するような力関係の場合に、(1リーグなら)その2チームで優勝争いになるというケースも考えられるわけです。そもそもそのあたりはペナントレースの具合によっても変わりますので、一概にチーム数が増えたからどうこうと言えるようなものなのかなと。優勝に関係ないチームが増える可能性もありますが、優勝に関係するチームが増える可能性も同様にあるわけで。
といったところで、チーム数が増えてもゲーム数が増えない限り、少なくとも「シーズン中盤以降は消化試合だらけ」のような極端な事態にはならないと思うんですけどね。もちろん可能性がないとはいいませんが、それを言うならやはり同様に「シーズン中盤以降も優勝に関係する試合だらけ」というケースもありうるでしょうし。何にせよ、こういうのは実際にいろんな状況をシミュレートするなどして数字を出してみないと説得力を欠くように思います。もちろんこの項も(笑)。
それとまあ贔屓チームが優勝争いから脱落したら、試合も何も見ないというファンの方はそんなに多くないと思うんですけどね。任意のチームのファンが消化試合(と一般に呼ばれるゲーム)を見るのは、何もペナントレースに興味がないわけでなく(そういう方ももちろんいるでしょうけれど)、1位なら1位なりの、3位なら3位なりの、6位なら6位なりの、順位に応じた応援の仕方・試合の見方があるからだと思いますし。
と、長くなりましたのでもう一つの「オールスターと日本シリーズ」については明日に。
プロ野球・1リーグ制への反対意見に思う事(後編) - 2004/8/20
昨日何やかやと書いた消化試合やゲーム差についての議論ですが、こういうのは実際に見てみるのが手っ取り早いと思い、両リーグの20日現在の成績を使って、一つにまとめた順位表を作ってみました。別リーグのチームとの対戦はもちろんありませんので、贔屓のチームについて本当ならこんな位置じゃないなどの主張はあるかもしれませんが、とりあえず雰囲気だけでもということで。なおゲーム差については、1位ではなく一つ上のチームとのゲーム差を記しています。
チーム | 勝 | 敗 | 分 | 勝率 | ゲーム差 |
ダイエー | 64 | 43 | 4 | .598 | |
中日 | 60 | 41 | 1 | .594 | 1.0 |
西武 | 64 | 45 | 1 | .587 | 0.0 |
巨人 | 56 | 51 | 2 | .523 | 7.0 |
ヤクルト | 51 | 47 | 2 | .520 | 0.5 |
日本ハム | 54 | 54 | 2 | .500 | 2.0 |
ロッテ | 53 | 56 | 3 | .486 | 1.5 |
阪神 | 47 | 55 | 1 | .460 | 2.5 |
近鉄 | 48 | 58 | 2 | .453 | 1.0 |
広島 | 45 | 55 | 0 | .450 | 0.0 |
横浜 | 43 | 53 | 2 | .447 | 0.0 |
オリックス | 40 | 67 | 2 | .374 | 8.5 |
オリックスがちょっと何ですが、1位から3位、4位から11位まではけっこう熾烈なことに。また優勝が仮に上位3チームに絞られたとしても(そう決めてしまうのもまだ早いと思いますが)、直接対決3カードだけでなく、その3チーム×他の9チームの計27カードが優勝争いに関係するカードとなります(リーグ全体の対戦カード数は66カード)。
さらに優勝争いの望みや A クラス争いなどを考えるなら、他の対戦カードでもいわゆる消化試合と呼ばれても仕方のないカードはもっと減少することになるかと。もちろん人によっては違った見方もあるでしょうから、とりあえず自分の感想はこのくらいにとどめておきます。
オールスターと日本シリーズ
これまたよく1リーグ反対の理由としてよく挙げられる、オールスターと日本シリーズがなくなる、もしくはつまらなくなるという意見ですが。ある意味、2リーグに分かれているから日本シリーズの最大7試合だけで優劣を付けざるをえないのであって、日本シリーズを盛り上げるために(もちろんそれだけが理由ではないにしても)2リーグを維持すべきという意見には、何かこう微妙に話が逆になっているような違和感を感じます。
パシフィックのファンで1リーグ制に反対される方の理由としては、何といってもパに所属するチーム数の減少やリーグそのものの消滅を避けてほしいというのがあると思いますが、しかしオールスターや日本シリーズを心配するような「余裕」はあまりないんじゃないかという気がするんですよね。なにしろチームの存続やペナントレース自体がどうなるかといった状況なわけで。
というわけでこれらを理由に2リーグ制の維持を主張される方は、正直なところセントラルのファンの方が多いのかなぁと思ったり。要はパを守りたいのでなく、単に(セにとっての)「中ボスとラスボスはきっちり用意してもらわなければ困る」みたいな。実際にそう感じられたのか、「パはオールスターと日本シリーズのためだけに存在してるわけじゃない」というような意味合いのことを書かれている方もいましたし。
もちろん単純に今まで何十年も同じ方式でやっていたから、そのアタリマエだったことを変更するのに抵抗を覚える方が多いという側面もあるのでしょうけれど、ただそういった過去を抜きにして眺めれば、全てのチームで一つのリーグ戦を行い、優勝と順位を決めるというのは、「短期決戦で勝負が決まってしまい、優勝チーム以外の力関係もわからない現在の方式」よりは、むしろごくごく自然な考え方ではないかなぁと。チーム数と日程的に可能ならという条件付きではありますけどね。なんぼなんでも高校野球で総当たりリーグ戦を行うわけにはいかないでしょうし(笑)。
仮に2リーグの頂上決戦がイベントとして必要なものだとしても、その振り分けや方式がずっと固定されているのが妥当かという議論は、もっと以前からあってもよかったのではと思います。振り分けについては少し前にも書いたので省略しますが、方式については例えば現在のパシフィックのプレーオフであるとか、あるいはたすきがけ方式(パの1位−セの2位の勝者とセの1位−パの2位の勝者)とか。まあ即それらが良い悪いというのではなくて、何十年もの間、変更らしい変更が必要ないほど、(現在の2リーグ制と日本シリーズは)完成されているのかという疑問ですね。
また1リーグでの東西決戦などの代替案に対しては、リーグで1位と6位だったらとか、その下位のチームの方が勝ってしまったりしたらといった感じのツッコミがありますが、それは2リーグ制でも同じことではないかとも。単にペナントレースで対戦しないから力関係が明らかになっていないだけであり、あるいは一方のリーグの全チームがもう一方のリーグの全チームよりレベルが高いにも関わらず、日本シリーズだといって盛り上がっていた年も過去にあったかもしれず。とはいえプレーオフなどをやるんだったら上位チーム同士でやるべきだとは思いますが。
何かまとまりがなくなりましたけれど、要するにオールスターと日本シリーズは、何ヶ月もかけて行われるペナントレースよりも重視すべきで、かつ一切変更を加えてもいけない(リーグ数を2に束縛するほどの)イベントかということですね。それに最強チームを決定するのが目的ならば、現在の日本シリーズよりは、総当たりリーグ戦で1位が優勝というほうがよほどすっきりしていると思いますし。
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