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SLEEPINGMURDER
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SLEEPING MURDER
第2話家族
                                          

「むう、まずいよなあこれは・・」
ジンは木の上から下の光景を見てふかぶかとためいきをついた。
「だからマリアじゃないっていってるでしょ!このばかエルフ!!」
「信用できるか!ついさっき失敗した時やる気まんまんだっただろ!」
「だからそれの途中で爆音がしたから来てみたっていったでしょ!!何回同じこといわせんのよ!!ばか!!」
「なんだと!!」
「なによ!!」
「ちょっと二人ともいい加減にしなよ!怪我人がいるんだよ!」
「トリーシャはだまって「て」「ろ」!!
トリーシャが果敢にとめようとするが効果ゼロ。
「どうしよう・・ボクだけじゃとても運べないし・・」
ついには途方にくれてしまう。
「やれやれ・・これはもうでていくしかないかな・」
あきらめてでていこうとしたその時。森から誰かが出てきた。
「ご主人様、す・すごいことになってるっス」
「本当・・あら、マリアちゃんにエルさんにトリーシャちゃん。どうしたのこんなところで?それに・・その人は?怪我をしているようだけど・・」
「はい、さっきの爆発に巻き込まれたみたいなんです。早く病院につれていきたいんですけど二人がけんかしだして・・」
「ぶう、マリアは悪くないもん!」
「なんだと!」
「二人とも、今はそんなこといってる場合じゃないでしょう?」
にっこり笑いながらやんわりと諭されようやく言い合いをやめる二人。
「う・・そうだね、わかったよアリサ」
「・・うん、ごめんなさいアリサさん」
「さすがアリサさん・・」
アリサに歓心するトリーシャ。そしてエルが怪我人をおんぶして町に歩き出した。
「やれやれ、とりあえずなんとかなったか・・」
ほっと一息つき木の枝に腰をおろす。
「しかし・魔法のつかえんエルフに精霊界でもおそれられている超天災魔導士マリアの組み合わせとはな、おもしろいことになってきたなあ・・ん?どうした?」
いきなり虚空にむかってしゃべりだすが、その瞳はしっかりなにかをみつめている。
「何?普通の治療じゃ1週間は動けない?それはこまるな、しかたない、レイル奴の癒しを頼む。え?俺はどうするのかって?本当は帰るつもりだったが・・気が変わった。もう少し我が主の側にいるよ。なんでって?それはもちろん、面白そうだからさ」
会話を終えじっとアリサをみつめ、おもむろにくちをひらく。
「あの人間にまかせてみるか・・」
そう静かににつぶやきジンは柔らかな風とともに姿をけした。


「さて。」
男はベッドから上体を起こしとりあえずつぶやいた。
「ここはどこだ?」
病院ではないそれはたしかだ。タンスや机のおいてある病室などあるはずがない。
生活感あふれる部屋を見渡すと壁にはお気に入りの黒いコートがかけてあった。
一通り辺りを見回して今度は自分の体に目をむける。
「結局レイル達にいやさせたのか。だから病院に運ばれなかったのか?」
しばし考えこんでいると下から誰かが上ってくる音がした。
「とゆうことはここは二階か、ってどうでもいいなそんなこと。」
ドアを開ける音がして一瞬警戒したが馬鹿らしくなってすぐにやめた。
そしてドアが開き柔らかい雰囲気の女性が入ってきた。
「あら、起きていたの。」
その暖かい表情を見て完全に警戒をとく。そしてとりあえず疑問を解消することにした。
「突然でなんなんですが、ここはどこであなたはだれなんです?」
多分予想どうりの質問だったのだろう彼女はすぐに口を開いた。
「ここはジョートショップと言う何でも屋で、私はアリサ・アスティアといいいます
。ここの経営者をしているの。」
「はあ・・で、何で俺はここに運ばれたんですか?」
とりあえずこの人が俺を助けてくれた事はわかる。わからんのはその事だ。
「うん、その事なんだけど、ジンくんからの手紙があるの。」
「手紙?ジンからですか?」
表面上は平静を保ったが内心俺は戸惑っていた。あいつは手紙なんかく奴じゃないし
そんな必要もないからだ。そして俺はその内容に思わず声をあげた。
<そこで働け。
       ジンより>
「なんでやねん!?」
混乱している俺にアリサさんが追い討ちをかける。
「そうゆうわけだからこれからよろしくねクロウくん。」
「え、な、なんでそうなるんですか!?」
パニックに陥る俺にアリサさんが心持ちせめるような口調でいった。
「ジンくんとはあなたを運んでいる途中であったの。そこで、旅先で全然働かないあなたについ怒って呪文で吹き飛ばしたって聞いたのよ。」
「はあ?」
いや、あれは変態にやられたんだ。ジンもそれは知ってるはず。いったいなんなんだ?
しかもなんだその理由?そりゃ確かに俺は食べるも寝るも金を使わずやってきたから
働いたことはないが、何でここではたらかないといけないんだ。
「ジンくんに頼まれたの、あなたを働かして欲しいって、あなたが拒否したら
絶交だともいってたわ。それはあなたも困るでしょう?」
「そりゃまあそうですけど、あなたはいいんですか?」
「ええ、ここは私一人で運営しているから、逆にたすかるわ」
「そうですか。」
それならそうするかな、少し冷静になって考えたあと俺は結論をだした。
あいつの考えはなんとなくわかる。あの変態の言葉を重視したんだろう。
あの様子からして昔の、五年より前の俺を知っている可能性が高い。
だからこの町に留まらなくてはならないしそれには金がいる、といったところか。
あんな凝った嘘をついたのもそのためだろう。
「それで、どうするの?」
とゆうアリサさんに俺は答えた。
「はい、それじゃあお言葉に甘えてここで働かしてもらいます。」
それを聞いてアリサさんはにっこりほほえんだ。
「うん、それじゃあ部屋はここでいいかしら?」
「はい、なにからなにまで本当にすいません。」
助けてもらった上に住み込みで働かしてもらうなんて。なんだかもうしわけない。
アリサさんはそんな俺の憂鬱を察したのだろう。俺の方をみて言ってくれた。
「気にしなくていいのよ、私も家族が増えたみたいでうれしいから」
「家族、ですか。」
「ええ、そういえばあなたの家族どうしていられるの?」
「それは・・」
一瞬話そうかどうか迷ったがすぐにきめた。この人に嘘はつきたくない。
「わからないんです。」
「どういう事?」
アリサさんが戸惑いを口にする。
「俺は五年以上前のことを覚えていないんです。なにせ五年前気がついたら
原っぱで寝転んでましたから。だから家族が何処にいるのか、いや、いたかどうかも
わからないんです。」
「そんな・・」
「ちなみに、そのクロウと言うのも本当の名前じゃないんです。昔、名前がないんじゃ
不便だから、黒ばっか着てるからクロウ(鴉)って半ば強引に名付けられて・・まああだ名
見たいなもんです。」
いったん区切ってアリサさんにめをやると案の上戸惑いの視線を俺にむけている。そりゃまあいきなりこんなこと言われても困るか。
「すみません、いきなり変なこといって。」
それから一応誤解されないように付け足しておく。
「なんか結構ハードな事いいましたけどあまり気にしないでください。実際俺自身別に辛いと思ったこともないですし、それどころか・・」
「何?」
「いえ、なんでもありません」
危ない危ない、調子にのって喋らなくてもいいことまでいいそうになった。全く、俺はこんなに
饒舌だったか?やれやれ、とりあえず話題を変えよう。
「まあ、それはともかくジンはどこにいるんですか?」
「ジンくんならさくら亭にいると思うわ。」
「そうですか、それじゃあちょっといってきます。」
それを聞いてアリサさんは首をかしげる。
「さくら亭をしってるの?」
「いえ、知りません。けど明日から仕事をしなきゃいけないんだし、まあ散歩がてらに町
をみて回ろうと思いまして。」
「それなら、テディを連れて行くといいわ。」
「いや、悪いですよ。」
「気にしなくていいのよ、これから一緒に生活するんだから。それじゃあ準備がおわったら
おりてきてくださいね」
「あっ、ちょっとまって」
いってしまった。
「なんだかなあ・・」
ため息をついてベッドから起きあがる。
「家族、か。」
ついさっきあの人の口から出た言葉を思い出す。
そして、あの時自分が言いかけた言葉を思い出していた。
「それどころか、痛みを感じたことすらない・・」
自嘲的につぶやいて俺は部屋をでた。これから始まる生活に密かに期待を抱きながら。


後書き まず始めに、前回もし感想を送ってくれたかたがおられれば、深くおわびをもうしあげます。実は投稿してすぐにホットメールのパスワードを無くしてしまい。感想をもらえたのかもわかりません。本当にすいませんでした。今後はこういうことはないようがんばります。
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