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EVERLASTING EVERYDAY 第2話「アリサさんの拾いモノ」
柊真


――翌日正午、さくら亭にて――

ご都合主義により何故か何時ものメンバーがそろっていた。
「そういやさ、昨日の夜何かの遠吠えみたいなの聞こえなかったか?」
とアレフがみんなに聞くと、リサが
「ああ、しかもアレは2種類だね。1匹は多分オーガだけどもう1匹は聞いた事ない声だった。」
とまぁ内容はアレだが食後の会話と洒落込もうとしていたところへ突然の乱入者があった。


「大変ッス!!」
空飛ぶステキな犬ことテディである。
「どうしたのテ・・・」
――スコーン
シーラが言い終える前に何かがテディの眉間にクリーンヒットしたようだ。
「もうちょっと静かに入ってきなさい!」
厨房から出てきたパティが言う。
どうやらアレを投げたのは彼女らしい。
しかも、エモノを見ると包丁だったりする。当たったのは勿論柄の方だが
だがそんなことは気にせずに
「で、どうしたって?」
「そうだったッス!ご主人様が行き倒れを見つけたッス!しかも血もいっぱいでてるッス!!」
「どこでだい!?」
リサが椅子から立ち上がりながら言う。
「雷鳴山の麓ッス!」
「行くよっ!アンタ達もついてきなっ!」
リサが駆け出す。
「ち、ちょっと待てよ!」
「わ、私も・・・!」
アレフとシーラがあとを追う。
「ボクは他の人を呼んでくるッス」
テディも飛び出した。
後に残されたパティは
「ったく救急箱くらい持っていきなさいよ・・・」
と呟きながら駆け出すのだった。
しかしパティよ、それは救急箱じゃなくて裁縫道具だ。
結局みんななれない事態に動揺しているのであった。





――雷鳴山麓――

「で、アリサさん。コイツがそうなのかい?」
最初に着いたリサがそう尋ねる。
「ええ、そうなんだけど・・・
私一人じゃどうすることもできないから・・・・」

と、そこへ遅れてでたアレフ、シーラ、パティが到着する。
が、
「うっ・・・」
「ヒデェ・・・」
「っ・・・・」
男の状態を見て硬直する。シーラはもはや直視すらできない。
「どいてな、とりあえずアタシが見てみるから。」
リサが前へでて男の傷口を調べ始める。




「どうだ、助かりそうか?」
アレフが聞くが、リサは首をよこに振って
「正直アタシには分からない、傷口自体はあまり深くないけどこの出血量じゃね・・・
それに怪我以前にかなり身体が衰弱してるみたいだ。」

そこに謀ったかのようにテディが呼びに行っていた、
エル、マリア、ピート、シェリル、メロディ、クリスが到着する。
「うっわぁ、すっげぇ血。」
とピートが騒ぎ出すが
「うるせぇ、黙ってろ!!」
アレフに怒鳴られ小さくなる。

「アンタ達魔法治療はできるかい?」
とリサに尋ねられ
「少しなら・・・」
「私も・・・」
「マリアも〜」
クリス、シェリル、マリアが答えるが
「お前は止めとけ」
とエルに止められるマリア
「ぶぅ〜マリアだって・・・」
「今の状況くらいわかるだろ?他にできることを手伝え」
そこまで言われて無理を言うほどマリアも子供じゃない。

クリスとシェリルが魔法での治療を始めるが
「流石にこのままじゃ運べないね。担架くらいつくるから手の空いてるのは手伝っとくれ」
とのことで他の連中は木の枝などで担架を作り始める。


「よし。完成だ。クリス、そっちの方はどうだ?」
「なんとか出血は止まったけど・・・」
「上出来だ。これ以上はアタシ達じゃ無理だからクラウド医院に運ぶよ。」
「じゃあ俺をリサで運ぶから誰か先にクラウド医院に行って・・・」
「いや、コイツはアタシとエルで運ぶよ、アレフはそこにあるコイツの荷物を持って来な。」
と言って近くに転がっていたヤケにでかい袋を指差す。
一瞬硬直したアレフが
「ちょっと待て!こんなの一人で運べるワケ・・・」
と言って振り返るが、既にみんなはかなり遠くへ行ってしまっていた。


「・・・運べばいいんだろ、運べば。・・・よっと。」
荷物を持ち上げる、が
――どかっ
押し潰された
「な、なんつー重さだ、何が入ってやがんだ・・・・」
なんとか立ち上がり歩き出す。
しかしこのペースではクラウド医院まで1時間はかかるだろう。



――クラウド医院――

現在トーヤと男は治療室に入っている。
既にここに到着してから30分以上だ。
そろそろアレフも来る頃だろう。

――ガチャ


アレフが入ってくる。
死にそうな表情をしているが誰も相手をしてくれない。
それどころではないのだ。
彼もその空気を読んで真面目モードに切り替わる。


更に数分――

静かにトーヤが出てきた。
「で、どうなんだ!?」
真っ先にアレフが尋ねる。
「まず大丈夫だろう。」
その言葉を聞き、みんなから安堵の息がもれる
「かなりの疲労はあるが、傷もそう深くないし、血もあの男のものじゃない。」
「へ?でもあそこにはアイツしか・・・」
「事実なんだから仕方ないだろう。あとは目が覚めてから栄養のある食事を取ればすぐに回復する。」
「だったら、ウチで預かってもいいかしら?」
アリサが突然そんなことを言い出す。
「何言ってるんですか、アリサさん!」
「正体のはっきりしない男を引き取るのは感心できないね。」
「そうッス!やめた方がいいッス!」
と方々から抗議を受けるが
「ふむ、まあいいだろう。」
トーヤの一言であっさりカタがついてしまった。



こうして男は餓死寸前の身から、ジョートショップへと移ることになるのだった。
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