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雫の5:ミーシャ・ノウス
正行


雫の5:ミーシャ・ノウス









「ハァイ」
玄関のドアを開けたらそこには知った顔。一時期エンフィールドにも顔を出していた
女性。金色の髪を結い上げ、白を基調とした旅装束。粗末な出で立ちにも関わらず、
その存在感は到底無視できるものではない。
「ミーシャ。久しぶりだな」
「ええ、そうね。貴方も元気そうね」
目の前の女性はよほど嬉しいのか、笑顔で溢れている。
そして雅信もまた笑顔だった。ただし、不自然な笑顔ではあったが。
「ああ。・・・さっきまではな」
「あら、どうしてかしら?」
「・・・お前の後ろにいる人達は?」
「この方達ならここを訪ねるまでの道中にあった飲食店の店員さんたちよ」
「ほう。で? なんでその方々が殺気だってらっしゃるんだ?」
ポン。
ああ、といかにもわざとらしく手を打つ。
「それは、お金がないから」
「ほう?」
「そういう事なの」
「ああ。事情は分かった」
「そう。助かるわ」
頷きあう男女。その後ろでは相変わらず今にも爆発しそうなニコヤカナ笑顔ノ方々。
「ああ。じゃあな」
「というわけで、この人が立て替えてくれるそうですから。そういう事で」
「待たんかい!」
結局、雅信の突っ込みも空しく全額支払う事になってしまった・・・・



「まったく、相変わらずというか、なんというか」
「あはは。いーじゃないの。ちゃんとお金はこうやって住み込みで仕事を手伝ってあ
 げるんだから。あ、それとも・・・体で返そうか?」
ニヤリ、とイタズラっぽい光が目に宿る。
「こらこら。自分の体を粗末に扱うんじゃない」
「はいはい。冗談ですよ〜」
「まったく・・・そもそも何でお金がないのにあんなに飲み食いするんだ」
「お腹が空いたから」
あっけらかんとした物言いに、頭に鉛を入れられたような気がした。
「いーじゃないの、たったあれくらいのお金で〜」
「ほほう」
少々怪しい光が雅信の目に灯る。
「50万Gがか? 一部、最高級の料亭でこれまた散々名品、珍品を食い荒らしたそ
 うだな」
「だって、量が少なすぎ。あんなんでお腹がふくれるわけないでしょ。
 それにたった50万Gじゃない」

( 注: 50万G = ¥5000万 )

「・・・一度、お前には金銭感覚というのをみっちりレクチャーする必要がありそう
 だなぁ。ふふふ・・・」
「あー、でもあの屋台の焼き鳥はおいしかったなぁ。あれで2Gって高いのかな?」
「・・・はあ。つくづく金銭能力が破綻しているやつだ」
「ま、そんなだから50万Gくらいでそんなケチケチしないっ!男が廃るわよ」
あっはっは、と笑いながら雅信の背を景気良く叩く。
「50万Gがそれっぽっちのわけあるかーーー!」
「なーによ。そんなに騒ぐほどの事なの?」
「こ、この女はぁ・・・・・」
ついには頭を抱えて泣きたくなってきた雅信。
「・・・そうだよな。50万Gなんて・・・お前をどっかに突き出せば山ほどおつり
 がくるもんなぁ・・・ふふふふふふふふ」
「そうそう。だからそんなに目くじらたてないの」
ミーシャはとても愉快そうに笑っていた。
「・・・・はあ」
その笑顔をみて何かをあきらめた雅信は、一枚の紙を取り出してきた。
「まったく・・・どっかにこの世界最高額の賞金首が転がってないものかねぇ」
「そうねぇ。どこかにいないものかしらね」
「捕まえれば50万Gなんて・・・もう桁が違うからなぁ」
「そういえば、今いくらだっけ?」
「10億G」
「いやー、しかしすごいわね。こいつ。一体何したらこんなになるのかしら」
「ちなみに、裏の世界だと今100億Gらしいぞ」
「へー、それ初耳。前聞いた時は90億Gだったのに」
「既に、世界賞金首ランキング2位をぶっちぎってるからな。1位と2位なんて桁すら
 違う」
ローズレイクから流れてくる水気混じりの風に髪を遊ばせて談笑した日のこと。
どこか、間違いつつものどかな午後の日だった。







とりあえず・・・雅信、女難進行中。
ツァルフォルネには『遊ばれ』、ルミリアには散々厄介事を持ってこられ、
ミーシャには利用されるという・・・・
現在女運、ないのか・・・?

ちなみにミーシャは世界五大国のダーンドール国を5分割する内の北領地、
ノウス公爵家の次女です。ただ今勘当中ですがv
神天無双六翼一派・北水流の使い手。
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