中央改札 交響曲 感想 説明

雫の16:遊園地
正行


雫の16:遊園地









「ジラさん、今なんて?」
 新聞から顔をあげて、きょとんとした表情で聞き返す少年。
 今やミッシュベーゼンの居候となった雅信である。
「いやね、お客さんのトラフさんからちょっと離れた街の遊園地のチケットをもらって
 ねぇ。ちょうどいいから行ってこないかい?」
 そう言いながら3枚のチケットをピラピラさせる。
「ちょっと見せてもらっていいかな?」
「あいよ」
 チケットを受け取ってしげしげと見つめる。
「ふーん………」
「どうだい? 誰か誘っちゃくれないかい?」
「更紗は?」
「うーん、あの子こういう所は苦手って言ってね………」
 苦笑で返された。
「……………うん。分かった。じゃあ俺に考えがある」
「?」
「はは、まあ………たまには、ね。せっかくだから3枚じゃあなぁ………」





 ―――――日曜日。

「で……………?」
「おお、やっと着いたなぁ」
 半眼のルシードを横目に、伸びをする。
 みんな、主に子ども組は目の前のゲート、及びその広大な敷地内から聞こえてくる
嬌声に目が輝いていた。
「俺達はなんでここにいるんだ?」
 だがルシードはそんな事におかまいなく、現状についての再確認を迫ってきた。
「ふっ………心配するなルシード。BFの留守はキチンとまかせてある」



 ―――そのころ、BF事務所では

「バウ!」
「ZZZ…… 」



「所長は犬だろうがっ!」
 ゼファーに噛み付くルシード。
「あああ………なんでこんなことに……………」
 頭を抱えるメルフィ。
「わーいわーい、遊園地ですー」
 はしゃぐティセ。
「あー、こらこら。はしゃいでケガすんじゃないよ」
 年少組の手綱をとるバーシア。
 etc,etc.
 遊園地の入り口ではBFのメンバー+クーロンヌ+ミッシュ+αがわいわい騒いでいた。
「まあそう心配するなって。それに上の方にはキチンと話は通してあるから」
「なに?」
 ポンと優しく雅信がルシードの肩をたたく。
「…ルシード」
「あんだよ」
「所詮大統領や首相なんかは表の顔や駒にすぎないのさ」
「ふむ。まあ一般論だな」
 さらっと危険な事をのたまう少年にあっさり同調するゼファー。
 というか、どんな一般論だ。
 それと、それは答えになってるのか?
「それに、アメも残ってるからな。大丈夫だって」
 動物組は留守番である。
「あのヤローがいないとスッキリするな」
 今やすっかり俗物になった死神ルミリア・ハーヴェスまでついてきていたりする。
「まあ一応すぐに戻れる手段は確保してある。アメとは定時連絡もとってるし、今日は
 たくさん遊べばいいさ」
「……………こんな大人数でか?」
 アーシェが横から加わってくる。
「こんな大勢で遊びに行くのは初めてですね」
「あー、そうかもな」
「アーシェは楽しくない?」
「………ったく、今日だけだ。付き合ってやるぜ」
「ちょっと! そこ何やってんのよ!」
「あー、シェール。そんな大声をたてるなって」
「なんですって!?」
「リーゼさん、リーゼさん。俺と一緒に遊園地を全制覇しよう!」
「ちょっとビセット! あんたは黙ってて!」
 こちらでもちょっとした騒ぎが起きたのを尻目に、こっそり微笑む。
「更紗、大丈夫か?」
「………うん。平気だと思う……」
「まあ、周りの目は気にしなくていいから、今日は皆と楽しく遊ぶといい」
 雅信は少しかがんで、更紗と目線を合わせて、
「なんだったら、ルシードを一日レンタルしようか?」
 素敵な笑顔でそうのたまった。道楽モードだ。
「こらてめえ、何勝手なことぬかしてやがる!」
「お、ルシードは冷たいなぁ」
「……………ルシードは、冷たくない」
 ふるふる、と精一杯首を横に振って一生懸命否定する更紗。
「だってさ。良かったな、る・し・ー・ど」
 ぽんぽん。
 背が足りないのでルシードの背中を叩く。
「てめえは黙れ」
「ふぉっふぉっふぉ。そんな顔を赤くして迫っても説得力はないのぅ」
 くくく、と雅信の好々爺のような笑みにルシードは憮然とした表情で更紗の相手
をしていた。
 ちなみに、ルシードとフローネが付き合っているのは周知の事実だ。
「じゃあ、行こうか!」
 そうして先程から色々と好奇の視線を浴びていた集団は、ようやく入場を果たした。






 というわけで遊園地ネタ………の初め。
 いや、悠久1じゃできないから仕方なく舞台を3にしてみました。



追記:

 そして、午後のニュースにて。
 本日未明。某遊園地が謎の崩壊をした事が流れていた………
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