中央改札 交響曲 感想 説明

「ライシアンの少女」@
蟲田


「ライシアンの少女」

オレの名はルシード・アトレー。この春はれて保安局の一員になれたと思ったら・・・ 局内のお荷物部署「ブルーフェザー」に室長待遇で無理やり配属されちまった。室長っていったら聞こえはいいけどよ、「ブルーフェザー」の室長って言ったら局内じゃへみたになもんだ、ここにいるヤツって言ったら、全く使えそうにねぇヤツ等ばかりだ、そんなダラダラした生活が一ヶ月ぐらい続いたころだ。


「本部より連絡。エクネス山の林道で、旅芸人の一座と思われる幌馬車が何者かに襲撃されたとの通報があった模様。」
ウチのオペレター、メルフィの声で事務所内にいるメンバーが食堂に集まってくる。作業室で武器の手入れをしていたルシードが一番最後らしい。

ルシード「なにがあったって・・・?」
ゼファー「遅いぞ、ルシード」]
ビセット「山ん中で馬車が襲われたらしいよ。」
バーシア「粉々になった幌馬車と、ケガ人数名が発見されたってさ。」
ルシード「幌馬車ね・・・。そんな、アナクロなもんよく使ってんな。」
ルーティー「旅芸人の一座なんだって。」
ルシード「あっそ、で?」
ルーティー「捜査に加われって、命令が来たんだってさ。そうなんでしょ、メルフィ?」
メルフィ「ええ、何でも、第一捜査室の捜査員が別件で半数以上出払っているらしいのよ。それで、ここへ応援の要請が・・・。」
ルシード「却下だ。」
メルフィ「・・・え?」
ルシード「そりゃ、内の仕事じゃねーだろう。」
ビセット「また始まったよ・・・?」

ビセットの言う通りである、ルシードが着任して以来、似たようなやり取りがくり返されてきた。
この若き新任リーダーは、「担当外の事件には出動する気はない」と公言して、しょっちゅう揉め事を起しているので、
着任そうそう転属願いを出したことと相俟って、局内じゃかなりの有名人だ。

メルフィ「あなたの転属願いが受理されなくても知らないぞて、脅しも来ているのよ。」

メルフィが強気な態度で言い放った、ルシードも大抵このあたりで引き下がるのだが、

ルシード「その手でもう数回ダマされた。上の連中は、俺をここから出すつもりはねぇんだよ。」

今日はもう少し時間がかかりそうだ、

ティセ「でも、ご主人様・・・。馬車の人たち、きっと困ってもすぅ・・・。」
ルシード「 あん、こういうときのために一捜の連中がいるんだろうが。半数になっても頭数もいるし、なんだかんだいってあいつらは優秀だ。こいつら連れて行って、仕事増やしてどうする。」

ビシッと他の実働メンバーに指さしながら、ルシードが言う。
刑事調査部 第一捜査室 略して「一捜」ルシードが転属願いを出している部署で、強盗や殺人といった凶悪事件を担当しているせいか、エリート意識が強く、BFを馬鹿にした態度をとる者が多いため、あまりいい感情を抱いてはいないが、ルシードは実力の方は認めていた。しかし・・・

ビセット「なんだよそれ〜」
ルーティ「ひっど〜い」

ルシードのあまりの言葉に、ビセットとルーティがブーたれる。

ルシード「ほ〜」 

ルシードのほほが引きつった。

ルシード「新市街の放火の手伝いで証拠品踏み潰したり、家宅捜索で床板踏み抜いて大騒ぎした、誰かさんのせいで始末書を書かされたンだがな。ん?」
ビセット&ルーティ「う・・・」

指の関節を鳴らしながら、さらに続けようとルシードが息を吸い込んだ瞬間を狙ったように、ゼファーがボソッ言う。

ゼファー「しかし、心配だな。」
ルシード「 あ?」
ゼファー「あの辺りには、滅多に目撃されないとはいえ、魔物も住んでいたはずだ。人間がいつまでもいると怒って出てくるかもしれん。そのうえ、怪我人の血の匂いもするだろうからな・・・。」
ルシード「・・・・・」

一瞬の葛藤。

ルシード「・・・ったく、わかったよ。行きゃいいんだろ、行きゃ!」

さすが幼馴染。ゼファーはルシードの性格を把握しているらしい。

ルシード「メルフィとゼファーはいつもどうり事務所で、本部との連絡を頼む。」
ゼファー「わかった。」
ルシード「ビセット、ルーティ、バーシア。出動だ、ついてこい!」
ティセ「あ、ティセの一緒にいきますぅ。」
ルシード「おまえは、掃除と洗濯と皿洗いと買出しとゴミ出しと留守番だ。て、いうか邪魔だ。ついてくんな。」
ティセ「あぅ〜…」
ゼファー「ティセ、家事も立派な仕事だぞ。」
ルシード「んじゃ、出るぞ。ブルーフェザー出動だ。」
メルフィ「全く…。駄々こねないで最初からそうしてよ、もう…。」

ルシード達が現場についたときには、捜査はすでに始まっていた。ルシードが現場を仕切っている人物を探すと、着任式のとき一度だけ見たことのある一捜室長、ゲイリー・ヴァレス二等官の姿が見えた。ルシード達が近寄って、本部の要請を伝えると、

ヴィレス「本部の余計な気の回し過ぎだな。…まあいい。せっかくの応援だ、使わせてもらおう。ゼファーは足の怪我で補佐に退いたのだったな。おまえが新しい四捜の室長か。」

筋は通すといった態度をとった。レスターや、ミラといった一捜の若手のBFに対する高慢な態度しか知らなかったルシードは、肩透かしを食らった気分になったが、すぐに気を取り直し続けた。

ルシード「四捜室長…ルシード・アトレー准等官だ。」
ヴィレス「私はゲーリー・ヴァレスだ。確かおまえは保安学校卒だったな。四捜行きとは気の毒な話だ。」
ルシード「放っといてくれ。…そんなことより、現場の状況を聞かせてくれ。

ヴィレスの話によると、被害者は芸を生業に旅をしている一座が5名、全員重症で病院に搬送されており。犯人は狂暴な肉食動物だろうとのことだった。そして、いざ作業の手伝いをしようしたときだった。

男の声「うわああああああああああっ!!!」

男の声と共に、銃声が響く。

ルシード「なに・・・!?」
ヴィレス「もしや・・・!!」
ビセット「今、言ってた動物!?」
ルシード「行くぞ!!」

その場に駆けつけると、3mほど背丈の人型の動物が、女性のウエストほどもある腕を振り回して暴れており、先ほどの悲鳴の主らしき男が発砲を続けていた。

ルーティ「なっ、なんなの!」
バーシア「ルシード!!」
ルシード「わかってる!あれは、動物なんかじゃねぇ!・・・魔物だ!!」
ビセット「こいつが馬車をぶっ壊しやがったのか!?」
ヴィレス「まさか、魔物の仕業だったとは・・・!?」
ルシード「ヴィレス室長。一捜の連中を下げてくれ。ここからは俺達の管轄だ。」
ヴィレス「止むを得んな・・・。後退しろ!魔物に拳銃は効かん!怒らせるだけだ!!」

ヴィレスが一捜の捜査員に後退の指示出し始めると、ルシードも指揮を取り始めた。

ルシード「ビセット!事務所のメルフィに連絡を取れ!魔法の使用許可だ!!」
ビセット「了解!」
ビセットは素直に従い、ついでにゼファーに両肩と頭からの角や、緑色の肌など魔物の特徴を伝える。
その間にルーティはハンマーを取り出し、上着の内ポケットの護符の枚数を確認し、バーシアはより効率的に自分の武器に魔力を伝えるため、聖水で槍を清める。
ルシードも腰のセミオート拳銃に、銀の弾丸が入っているのを確認すると左手に持ち、右手で肉厚の片手剣(グルカナイフ)を引き抜いた。ルシードの武器は両方とも至急品だったが、グリップなどを自分用に改良していたので、手には馴染んでいた。
ビセットも通信を終えると、そのままルシードの右隣についた。ビセットは拳法家志望で、戦闘でも徒手空拳で戦うので、戦闘準備を必要としていなかった。ルシード、ビセットが耐久力で劣るルーティの前にたち、ルシードから1歩左後ろ、後衛と前衛どちらの援護もできる位置に、バーシアがつくのが今のBFの陣形だ。

まず、ルシードがこちらに注意を引くために、引き金を引く。

魔物「ガア!?」

銀の弾丸は魔物の肩口に当たり、筋肉に突き刺さるが、ルーティの親指分ぐらいの深さの傷しか与えられない。

ルシード「チッ・・・、やっぱ、牽制ぐらいにしか使えないか。」

ルシードは毒づいたが、魔物は怒りの表情でこちらに向かってきた。

バーシア「来るよ、ルシード!!」
ルシード「行くぞ、おまえら!!」

魔法が日常的な力ではなくなった昨今、保安局員は許可なく魔法を使えない。本部が許可を出すまで時間を稼ぐ必要がある。

ルシード「ルーティ、前に出すぎるなよ!」
ルーティ「わかってるよ、も〜」
ルシード「ビセット!許可が下りるまで牽制だけだ!!」
ビセット「平気だって。魔法なしでも俺の拳法でやっつけてやるって。」
バーシア「いいから、指示に従いなさいって。こんなことで怪我しちゃつまらないでしょ。」

突出しがちなビセットとルーティと抑えながら、何度か攻撃を繰り返したとき、メルフィからの通信が入った。

メルフィの声「魔法のしよう許可が取れたわ。」
ルシード「ゼファー、魔物の特徴はわかったか?」
ゼファーの声「ああ、今、調べがついた。そいつはトリアケレス、火属性だ。パワーで押してくるタイプの魔物だ」
ルシード「よし。バーシアを俺とビセットの耐久力を、ルーティを敵の耐久力を下げてのち、かく乱。」
バーシア「あいよ。」
ルーティ「は〜い」
ルシード「ビセット、突っ込むぞ、攻撃力を上げとけ。」
ビセット「待ってました。」
ティセの声「ご主人様〜」
ルシード「あん?」
ティセの声「がんばってください〜」
ルシード「・・・あ〜、ありがとよ。・・・メルフィ、ティセを通信機に近づけさせるな・・・」

命令を出しながら、ルシードは銃を腰に戻し、攻撃的な構えを取る。ビセットも同じ構えだ。
それを見たトリアケレスは、ルシードがこの人間の群れのボスと判断したらしい。猛然と襲い掛かってきた。
ルシードは呪文を唱えているメンバーを庇う意味でも、避けられないと判断し迎え撃つ。

トリアケレス「ガアアアアアアア!」
ルシード「ぐっ!」

トリアケレスの右ストレートを剣の腹を盾にして防いだが、衝撃が腕に伝わってくる。見るとトリアケレスは追撃しようと左腕を振り上げている。ルシードは『カウンター』を狙って、あえて攻撃を受けようとした。

ルーティ「ステフ」
バーシア「ハードン」

間一髪のところで間に合った味方の魔法のおかげで、『カウンター』効果が上がる。

トリアケレス「ガアアアアアアア!」

トリアケレスが後退したところに、攻撃力を強化したビセットの跳び蹴りが襲う、

ビセット「これでどうだ」

さらに拳の連携、

ビセット「まだまだ」
トリアケレス「ガアア!!」

トリアケレスが怒りの対象をビセットに向けようとしたとき、今度はルーティハンマーがトリアケレスの脇腹を襲った。

ルーティ「こっちだよ〜」

いいながらルーティは、護符を投げつけ後退していく、非力なルーティの攻撃とはいえ、ハンマーで殴られれば魔物とはいえ痛い。トリアケレスがビセットかルーティ、どちらを攻撃するか迷ったときだった。ルシードはダンッと大きくジャンプした、手に持つ剣には大量の気と魔力が込められているが、バチバチと放電している、現在では魔力を100%伝えてくれるような武器はほとんどない、込めらた魔力が拡散するときに、このような現象がおきる。

ルシード「破ッ!!」

ルシードの『ジ・エンド・オブ・スレッド』を、受けたトリアケレスの右腕は切り落とされ地面に転がり、トリアケレス自身もしばらくの間、痛みにのた打ちってきたが、ヨロヨロと立ち上がると、そのまま逃げ出した。ここまでやれば二度と人間には近寄らないだろうと、判断するとルシードは言った。

ルシード「俺たちの勝ちだな。」

勝ち台詞を行ったルシードに、バーシアが近づいていく、

バーシア「そんな技いったい誰に習ったの?保安学校?」
ルシード「保安学校の戦闘術の教官が、こんな大技教えるかよ。いや、機動隊志望で入れば別かな?」

ルシードが保安学校の教官たちの顔を、順に思い出している間に、ビセットとルーティも話を聞きつけてきた。

ビセット「え、今のって保安学校の技じゃないの?」
ルーティ「なになに、何の話?」
バーシア「いまのルシードの攻撃の話。で、誰に習ったの?」
ルシード「姉貴。つーか遠縁の親戚で兵法レカキスの師範代だな、今はもう師範に成ってるかもしれねぇけど・・・」
ルーティ「へ〜、ルシードにも先生いたんだ。」
ビセット「どんな人なんだ。」
ルシード「金髪碧眼でボン、キュッ、ボンて感じの美人なんだが・・・、笑顔で人をしごくサド女だぞ・・・」

珍しくルシードが苦い顔をしていった。

バーシア「へー、もしかしてその人のこと怖いの〜?」
ルシード「ん、んなわけねぇだろ!!」
ルーティ「フフ♪」
ビセット「へへへ♪」

意外なルシードの弱点発見に、ルーティとビセット耐え切れず笑いはじめ、バーシアもニヤニヤしている。それを見たルシードは、不機嫌な顔のままどなった。

ルシード「おら、現場に戻るぞ!」



BFのメンバーが戻りヴィレス報告していたとき(正確には、報告のあとルシードとレスターが、人のシマに勝手に入り込んできただの、管轄内の仕事をこなして文句いわれるいわれはないと喧嘩している最中)、半壊した幌馬車から半壊した幌馬車の中で、被害者をもう一人発見下との報告が入った。
その被害者、おびえているライシアンの少女の扱いについて、また、ルシードとレスターが一悶着あったが、結局ルシードの「少し落ち着かせてから、事情聴取すべきだ。」という意見が通り、ライシアンの少女はとりあえずは他の被害者同様に病院へ収容されることになった。
鑑識が到着し、ほかに手伝えることもなくなったので、ルシード達は「新しい情報がでてきたら教えてもらう。」という約束を取り付け、帰ることにした。

ルシード「あー、帰りたくねぇな・・・。どうせまた、メルフィあたりにがみがみ言われるんだろうし・・・。」
ビセット「「もっとリーダーとしての自覚を持ったらどうなの!?」・・・って感じ?」
ルシード「うるせぇな・・・。・・・ったく、早く転属願いが受理されねぇかなあ。」
ルーティ「アハハハ・・・!まーたそんなコト言ってる。」
ビセット「そんじゃ、まあ、帰るとしますか!」

ルシードの転属願いが受理されるのはまだまだ先のようだ。




あとがき
最後まで、読んでいただいた方、ありがとうござました。作者です。
実を言うと、SSを書くのって初めてなんですよ、楽しんでいただけたら幸いです。
ここでかかれているBFメンバーは、基本的に私設定なので、ゲーム中や皆さんの中にある、BFメンバーとはかなり食い違いが出ていると思いますが、同姓他人だと思ってください。こんなのBFじゃないやい!という人は見ないほうがいいかもしれません。
ちなみに私の中ではPBの世界でも、階級制度はあるだろうと考えていますので、ルシード君には准等官という階級を与えています。もちろん他のBFメンバーも階級を持っていますが、保安学校出ではないので出世は遅いです。保安学校での成績がよかった者は、警察の巡査長あたりからのスタートになります、ローワンあたりもきっとそのあたりになると考えました。そう考えるとルシード君、すごい大抜擢だなー。
あと、ルシードが使っていた拳銃ですね、UQ1のときアルベルトがオオグモに向かって、なんのためらいもなく撃つシーンがあるので、魔法能力者が銀の弾丸を使えば、多少の効果があるということにしました。もちろん、民間人からいきなりスカウトされている、BFメンバーに銃を持たせるのは危なっかしいので、ちゃんと訓練を受けた人間、ルシード、ゼファーあと、勤勉そうなメルフィあたりぐらいでしょうかね、にしか帯銃の許可は出ていません。ほかにもいろいろあるのですが、今回はこの辺で。(でも続くのか?この話)
最後にもう一度、私のつたない文章に、付き合ってくれた皆さんありがとうございました。



警察の階級PB階級役所人物例
警視総監連邦長官連邦警察本部長レナード・ローナー
警視監一等警士方面局長
警視長二等警士方面本部長
本部の部長
警視正三等警士方面本部長
本部の部長
大規模保安局の局長
警 視一等官連邦の課長ファーン
保安局の局長
警 部二等官連邦の総括官ロイド部長 ヴァレス
保安局部長
警部補三等官室長ビノシュ デール・パクストン
准等官室長待遇主任ルシード ゼファー
巡査部長局士部長主任フレッド レスター ミラ
巡査長局士長係ハリー ローワン
巡 査局士 係ブラスコ BFメンバー
無し見習い 公的な役割は無し(ティセ)
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