中央改札 交響曲 感想 説明

「退魔チーム○○○」
蟲田


 魔法動力プロセッサ・・・・。故障しない限り無限にエネルギーを提供してくれる画期的な装置、この装置がもたらした恩恵は大きく、文明を加速的に発展させた、人々は快適で平和な生活を手に入れた。そして、人々と魔法は関係は遠のき忘れ去られていった。しかし、近年魔法及び魔物がらみの事件が増加してきている。原因のわからないまま人類は再び、古代の悪夢と対決し始めたのである。
 幽霊や魔物、科学では決して解明されない摩訶不思議な超常現象、それらを解決する現在の退魔師グループ、これは彼らが体験した事件の一部である。



 ここは今まさに発展しつつある港町である。町は旧市街と新市街の大きく分かれ、古くからあるものと、新しいものその両方が混在している場所もあった、ちょうどそのその街の中心の三角州に彼らは住んでいる。
彼らの日常はとても誉められたものではない。誰かが音楽をかけたらしいゆったりとした音楽が流れはじめた。
 事務所の談話室ではおやつをつまみながら、ボーイッシュな容姿のした少女がファッション雑誌を読んでいる。そこに一見すると優等生タイプで大人しそうな娘がやってきた、手には厚めの本を持っている。娘は少女の隣に座ると仲良く話し始めた。娘と笑い会っていた少女が何気なくおやつ手を伸ばすと、そこにあるはずのおやつがない。少女が顔を上げると、ばさばさの髪で胴着を着た少年が少女のおやつをすごい勢いで食べている。少女は慌てて取り返すがおやつは無くなってしまっていた。少女は怒り少年を追いかけ始めるが、少年は大人しそうな娘の陰に隠れてニヤニヤ笑っている。娘は何とか仲裁しようとしようとオロオロしている。
 そのころ庭では20代前半の女性が昼寝をしていた。露出度の高い服を着た、かっこいいというイメージのスレンダーな女性で、誰かがかけたらし音楽の音が丁度いいのかハンモックに揺られながら至福の表情である。その傍らでは女性と同じ年頃の男性が鉢植えの手入れをしていた。伸びすぎた葉をハサミで切り、ジョウロで水を与えている。クールな外見をしていてほとんど無表情だが、鉢植えの手入れは楽しいらしい彼にしては珍しくゆるんだ表情をしている。
 一方、事務所では大きな眼鏡に黒系統のスーツを着こなした女性が目の前にいる青年に説教をしていた。青年は整った顔立ちをしているが今はだらけた表情をし、普段魔物を威圧するつり上がり気味の目もその鋭さを失っている。足元には犬が寝そべっている。青年は説教をまともに聞く気はないらしく、適当に相づちを打ったり、耳の穴をかいたり、止めにあくびをして見せた。そこでスーツの女性の我慢は限度に達したらしい。目を吊り上げガミガミと大きな声を上げ始め、さすがの青年も「マズイ」と思ったのか低姿勢でまーまーと宥め始めた。
 音楽はサビに入り始めたのか、激しいテンポに変わった。
 とその時、寝そべっていた犬が突然立ち上がり吠えた。すると町のどこかで超常事件が発生したことを告げる警報が鳴り響き青年の顔が鋭くなった、昼寝をしていた女性が飛び起き、談話室での騒ぎもピタッと収まった。スーツの女性は通信機を操り実働メンバーを事件現場にナビゲーションしていく、その移動時間を無駄にせず、鉢植えの手入れの手入れをしていた男性が、せわしなくコンピューターのキーボードを叩き、起きた超常現象の原因を探り始めた。どうやら今回の現象は魔物が原因らしい、コンピューターの画面には魔物の姿が浮かんでいる。
 現場ではコンピューターの画面に写ったものと同じ魔物が大暴れしている。魔物は大きな口をガパッと開き、メンバーに向けて無数のスピリッツを吐き出した。メンバーはパッと散開するとすぐさま反撃し始めた。ボーイッシュな少女がヒラリ、ヒラリとまるで妖精のように魔物の攻撃を避け、風の魔法で魔物の注意を引く。その間に胴着を着た少年が連続で拳を突き出す、拳には炎がまとわりつきおり亡霊を打ち払っていく。味方が減ってきたのを知った魔物は二本足で立ち腕を激しく振り回し、口から炎を吐き始めた。大人しそうな娘が目を閉じ杖を構え精神集中をしている、大きく杖を振り呪文を唱えると目の前の空間から水流が生まれ、渦となって魔物の吐いた炎をかき消していく。スレンダーな女性が頭上でぐるりと槍を回し地面に叩きつけると、そこから砂塵が巻き起こり魔物を撃った。追い詰められた魔物は強力な魔法を使った、突如として地面がめくれ上がり、はじけ飛んでいく。跳んだ地面は大岩となってメンバーに襲い掛かる、さすがのメンバーもそれを防ぐので精一杯かと思われた。が、その攻撃をものともせず魔物に向って飛び出す影。退魔師グループのリーダー格の整った顔立ちの青年が長剣を片手に一直線に突き進む、眼前に迫る大岩を高いジャンプで避けると長剣を高々と構えた、魔力が込められた長剣の刃は根元から光を放ち放電し始める。青年がジャンプの勢いと自分の体重を魔物に叩き付け真っ二つにすると、魔物の体は四散し消滅した。青年はメンバーに振り返りニィと笑った。

 そこでルシードは言った。

ルシード「なんだ、これは。」

 ルシードはしかめっ面をして言い放った。眉はピクピクと痙攣し口も引きつっている。どうにもお気に召さなかったようだ。『不評』1票。とメモをとる。
 今、BFメンバーは最近はやりのメディアミックス作品、ニコラス・ピースクラフトの小説をアニメ化したものである。ピースクラフト氏はある事件がきっかけで知り合ったホラー作家で、フローネは狂信的な彼のファンだが、あまりに凄まじい内容の本ばかり書くため、誰にも理解されていない。このアニメは彼がBFをモデルにしたあの作品である。好評につき第二段が発売されることになり、その先駆けとしてアニメ化されることになったらしい。第一段の発表から半年随分と手回しの早いことだ。

ティセ「ご主人様〜。ティセはどの人ですか〜。」
ルシード「おまえはいねぇよ。おっさんに会ったことねぇだろ。」
ティセ「あう〜。残念です〜。」
(『不評』1票。)

ビセット「あの拳法家、俺だよなカッコイイー。いやーあの先生見る目あるなー。」
ルーティ「うん、最初あったときはシーツかぶった変なおじさんだと思ってたけど。」

 ビセットとルーティはいたく気に入ったらしい、TVの画面を食い入るように見つめている。
(ビセットとルーティで『好評』2票。)

バーシア「メルフィ〜。あのハンモックほし〜、ねぇー買ってー。」
メルフィ「ダメです。そんなもの経費で落とすわけにわけにはいけません。」
バーシア「いいじゃない、それくらい。あたしの昼寝用にさ。」
メルフィ「勤務時間に使うつもりですか!!」

 バーシアの要望にメルフィが怒った。

バーシア「あー、その顔そっくりだわ。」
メルフィ「似てません。」

 メルフィは顔を赤くし、ムキになって否定している。『好評』『不評』の両方に1票ずつ追加する。

フローネ「センパイ。」

 フローネに声を出した瞬間、その場にいるほぼ全員がピタッと会話を止めた。声をかけられてしまったルシードは錆付いた機械のような動きで振り返った。いままで、なるべくフローネを見ないようにしていたようだが、無駄に終わったようだ。

フローネ「私感動しました。ピースクラフト先生の作品をTVで見ることができるとは思ってもいなかったです。ピースクラフト先生は偉大な作家ですね。」
ルシード「・・・ああ。よ、よかったな・・・。」

 今にもアッチの世界に連れて行かれてしまいそうな目をして、詰め寄ってくるフローネにルシードが顔を引きつらせた。とりあえず『好評』に1票付け足す。
 フローネは人物構成がどうのだの、話の流れがどうのだの全員に詰め寄り始めた。こちらに回ってくる前になんとかしなくては・・・。

フローネ「ゼファーさんもそう思いません?」
ゼファー「そうだな、そんなに気に入ったのなら、感想文でも送ってやるといい。」

 よしうまく返した。チラッとルシードに視線を送ると意図を察したらしい。追い討ちをかけるように、フローネを促した。

ルシード「それがいいな、勤務時間も終わってることだし、そのまま休んでいいぞ。」
フローネ「えっ、いいんですか?」
ルシード「いい、いいから行け。」
フローネ「??。それじゃ失礼します。」

 露骨な態度のルシードに、多少不審そうな顔をしたものの、フローネは素直に自室に引き上げていった。詰め寄られる心配のなくなったメンバーは安堵のため息をつき話題を戻した。

ビセット「しっかしみんなそっくりだなー。」
ルーティ「そうそう、私なんか妖精みたいでかわいいし。こう、ひらッひらッって感じで。」

 身振り手振りを交えて話すルーティを、ルシードが冷たく切り捨てた。

ルシード「妖精だ?ひらッひらッていうより、ドタバタって感じだろうが。」
ビセット「あはははは、いえてる〜。」
ルーティ「なによビセットまで〜。ビセットだってねー・・・・」

 さっきまで同意見だったビセットにまで笑われ、ルーティはルシードよりもビセットに怒りを感じたらしい。ルーティはビセットがモデルのキャラクターの批判を始めると、なにおーっとビセットも反撃し口論を始めた。そんな二人を尻目にティセは間延びした声でルシードに話し掛けた。

ティセ「ご主人様〜。」
ルシード「あ?」
ティセ「ティセも皆さんと一緒にアニメ化されたいです。ピースクラフトさんにあってもいいですか〜。」
ルシード「おまえはダメだ。」
ティセ「あう〜。」

 ティセが泣きそうな顔をすると、メルフィがルシードを責めた。

メルフィ「ちょっとルシードさん。なんてこと言うんですか。」
ルシード「るせぇな。あのおっさんがティセ知ってたら嬉々として書きそうじゃねぇか、本部の頭の固い連中に知られたら、ここに置いとけなくなるだろ。」
メルフィ「そうかも知れませんけど・・・、他にも言いようがあったはずです。」

 メルフィの言い分にルシードはうむむと唸ると、メルフィに「適当に話し合わせろよ」といい、ティセを説得しにかかった
。どうやら、子供がアニメかされえるとお化けにあってしまうとか、魔力がないとアニメ化されないとか、子供だましのウソで説得するつもりらしい。ウソをつくのが苦手なのかメルフィは話を振られるたびに言葉をかんでいたが、ティセは信じたらしい。

所長「バウッ。」
ゼファー「むッ・・・。」

 ゼファーが下を向くと、所長がなにかを言いたそうな顔でこちらを見上げていた。言いたい内容がわかるのか、ゼファーは所長にTVの説明をする。

ゼファー「所長は出ていただろう。事務所に連絡を伝えるロボット犬、彼のモデルが所長だ。なかなか味のあるよい役だな。」
所長「バウッ。」

 所長は納得したように吠えた。

ゼファー「所長はこの作品を気に入ったか?」
所長「バウッ!!」

 ゼファーが確認するようにたずねると、所長は力強く吠えた。

ゼファー「そうか。よかったな。」

 ゼファーが所長の意見もメモすると、それに気づいたバーシアが声をかけてきた。

バーシア「あんた、先からなにメモってるの?」
ゼファー「ブルーフェザーにおける、この番組の賛否だ。」
バーシア「・・・楽しい?」
ゼファー「いや、だが役に立つ日がくるかもしれないぞ。」
バーシア「あっそ・・・。」

 バーシアは呆れ顔のまま、ツッコミを入れるのも面倒だと話を打ち切った。バーシアにかまわず最後に自分の意見をメモする。これで全員分の賛否を取れたことになる。

フローネ「皆さん!!」

 フローネに声を出した瞬間、その場にいるほぼ全員がピタッと会話を止めた。
(なぜだ、部屋に戻ったはずでは!!)
 動揺を隠しているとフローネが続けた。

フローネ「私、感想文を書いていて思ったんですけど、みなさんも応援メセージ、書きませんか!!」


こうしてシープクレストの夜は更けていく。






あとがき
 最後まで、読んでいただいた方、ありがとうござました。作者です。
 悠久幻想曲のアニメ化・・・どうでしょう。某人気ゲームソフト○○○大戦がアニメ化されたとき、スッゴイ不評だったらしいので、アニメ化されなくて正解だったかも知れませんね。ゲームでもUQ1、UQ2でシナリオにたずさわっていた人達が、PBではシナリオを書いていないようで、雰囲気やノリは違うように感じるのですがみなさんはどう思いますか?CDドラマのシナリオライターさんは確か同じだったはずなのですが、いったいなにがあったのでしょう。
 話を戻しまして、メインイベント2B、このシナリオは好きです。『恐怖の闇鍋パーティー』『巨大タコの襲来』というピースクラフト氏のホラーは、欠片も読んでみたいとは思いませんが、大騒ぎした割には原因がくっっっだらない、これは悠久幻想曲の伝統的なシナリオのような気がします。ただPBのメインイベントはすべてそうですが、続きものだけにどんな選択しようと、話を強引に戻そうとするのでにキャラの行動や台詞が支離滅裂なることも・・・。ピースクラフト編最後の 『ファン心理』でも、戦闘に負けても勝手にグリフレンツは崩壊してしまう、せめて戦闘に負けるとサリバンを捕まえ損ねて、ビノシュ室長に怒られるとかそういうのがほしかった。初プレイ時、リセットを何回もして勝った私っていったい・・・?
 長々と愚痴ってしまいましたが、それではまた、機会がありましたらまた私の駄文にお付き合いください。最後にもう一度、皆さんありがとうございました。

2004年 10月 原作 悠久幻想曲3 PerpetualBlueより  「退魔チーム○○○」 蟲田
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