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悠久の刻 第八話
らむだ?


第八話 

〜雷鳴山〜
「ふう、面倒くせえなあ。」
と凌斗がモンスターの額を両手の銃で正確に撃ち抜きながらぼやく。その発端は四時間ほど前に遡る。

〜自警団事務所〜
「おっさん、今日の仕事の内容は?」
凌斗は自警団の依頼を受けて事務所にいた。
「なに、大したことじゃない。モンスターが多くなってきたようなのでシュウ君達第三部隊と一緒に雷鳴山のモンスターを退治してきて欲しい。」
「それこそおっさんやシュウの仕事だろう。うちに頼むなよ。」「全くだね。」
とリョウが不服そうに言い、エルがそれに同意した。
「君らの言うとおりなのだが、それだけの実力がある団員の手がさけないのだよ。」
「やれやれだな。まあ、行ってくる。」
そして現在に至る。

「ったく、なにが増えているよう、だ。大量発生もいいとこだ。」
とモンスターを撃ちながら言った。自警団が3ヶ月に一度退治しているにもかかわらずモンスターが普段からは考えられないほど増えているのだ。
ちなみにシュウ達は別のルートで退治している。
「これだけいると弾丸代もバカにならん。雨が降りゃ一掃出来るんだが。」
(しかし、なんなんだ?この妙な感じは。)
凌斗は異様な感覚を覚えたがまずは目の前の敵を倒す事にした。

「ようやく一段落って所か。大丈夫か?」
周りの敵を一掃し凌斗が弾丸を込めながら三人の調子を確認した。
「ああ、アタシは大丈夫だ。」
とナイフの血糊を吹きながらエルが言った。
「俺も大丈夫。」「シーラは?」
この二人については特に心配はないのだがシーラは、
「・・・大丈夫。」
と口では言ってはいるが明らかに顔色が悪かった。基本的に普段はあまり動き回らないのでスタミナがないのと、凌斗とエルは魔法が使えず、アレフも多少使える程度なので魔力の消費がシーラに集中しておりだいぶ疲れている。凌斗はしばらく考え込むと、
「10分ほど休憩。アレフは周囲の警戒。」
「何で俺なんだよ。」「お前が一番元気そうだからだ。」
アレフが文句を言うがすぐに反論された。一番元気なのは本当は凌斗なのだが。
「凌斗君私は大丈夫だから。」
「いいから休んでろ。怪我されたらこっちが困るんだ。」
しかし言った先から、モンスターの集団が来た。
「リョウ、熱烈な歓迎みたいだぜ。」
とアレフが50Mほど先のモンスターの大群を指差した。
「ったく、おっさんに危険手当でもつけてもらうか。」「まったくだな。」
と凌斗が冗談を言い、それに対しアレフが相づちを打つ。
「面倒だし、ちょっと真面目にやるか。アレフ、下がってな。」「なにするんだ?」
凌斗はアレフを下がらせると指先に力を集中した。
「闇流闘法、爪雷!!」
リョウは指先に電気の玉を発生させ捻じ込むように打ち出した。
電気の玉は互いに絡み合うような軌道で飛び、モンスター達の1Mほど手前で弾けた。
「ストライーク、ってか。(…この技こんなに威力出たか?)」
元いた世界ではせいぜい木に穴ができる程度の威力しか出なかった。
ふざけるリョウの後ろで三人は狐につままれたような顔をしていた。
「なんだリョウ、出し惜しみしてたのか?」
とエルが言った。が、シーラとアレフは、
「なんだあの魔法、詠唱もなしにあんなすごいもんが使えるわけ・・・、」
「それよりも魔力を感じなかったわ。」
と驚いていた。
どんな魔法を使う場合でも能力によって長さは違うが詠唱しなければならないし魔力が周りに多少は放出される。
「何言ってるんだ。俺は魔法なんか使ってないし、使えないぜ。」
と凌斗が言った。実際これは特殊能力の部類に入る。
「馬鹿言うな、だったらあんなことできるわけないだろう。」
「そう言われたって、使えねえのは事実だぜ。」「じゃ、どうやって・・・。」
そんな話をしているうちにボス格のモンスターがやってきた。
「話はここまでだ。相当怒ってるみたいだぜ。」
と茶化した。急に雨が激しく降り出した。
「なんだこいつ、頭が三つある。」
とアレフがもらした。
「ケルベロスだわ。本で見た事がある。」
とシーラが言った。
〔ケルベロス、 体長10m程度、三つ首の狼のような魔獣。地獄の門番と呼ばれる。〕
「地獄の門番ってか、俺はまだ地獄に用はないぜ。」「同感だね。」
と、凌斗が茶化すとエルが同意する。
「リョウ、さっきので一気にやっちまえよ。」
とアレフがせかした。
「だめだな。」「どうしたの?」
とアレフの案を却下する凌斗に対してシーラが理由を聞いた。
「漏電して危ないんだよ。」
彼の技は電気を伴うため水溜りが出来ているような状況だと非常に危ないのだ。
「なんか方法はないのかい?」
「防げるかどうかは分からないんだが・・・。アレフ、シールドを張れるか?」
と何か思いついたように言った。
「直径5mぐらいなら。」「じゃあ、アレフはシールドを張る準備をしろ、エルと俺はあいつの足止め。」
「わかった、まかせな。」
そう言ってエルはケルベロスの方へ走っていった。
「凌斗君、私は?」「シーラ?シーラは・・・、アレフのサポート。」
シーラには出来れば何もさせたくなかったのだがそう言っても聞かないだろうと判断し、
アレフのサポートをさせることにした。
「で、アレフは張る準備が出来たら教えてくれ、合図したらすぐに張れ。」
「それはいいけど大丈夫か?」「まあ、何とかなるだろ。エル!目を潰せ!」
とエルの加勢に行った。苦戦しつつも全ての目を潰したとき、
「リョウ、準備できたぞ。」
とアレフが凌斗に合図した。
「エル、しばらくそいつを食い止めてくれ。」
と凌斗は一歩下がり、掌を天にかざした。すると、すごい音と共に凌斗に雷が落ちた。
「久しぶりにやったから死ぬかと思ったな。エル、アレフ達のところへ行け。アレフ!エルが来たらすぐにシールドを張れ!」
「わかった。お前は?」「簡単だ、この犬を殺す。」
アレフの問いに対し凌斗はそう答えた。
「1人で出来るわけ・・・、」「どけ!!」
エルが言いかけた瞬間、凌斗はエルを突き飛ばした。
「リョウ、お前・・・。」「だから・・・言ったんだよ。さっさと行けって。」
ケルベロスの爪が凌斗の腹に深々と切り裂いていた。
そしてエルは凌斗の方を見ながら、アレフ達の方に走った。
「主は我が盾我が剣、我は主と共にある、主よ我らを守りたまえ、ディストーションウォール!」
エルが来るとアレフはシールドを張った。それを確認して、凌斗は、
「さて、こっちもさっさとやるか。」
と雷の電気を左足に集めた。
「闇流闘法非伝、雷迅穿!!」
リョウは素早くケルベロスに近づき、真ん中の頭の眉間に鋭く抉るような蹴りを見舞った。電撃はケルベロスの身体を貫き、濡れた地面を伝って、アレフの張ったシールドで弾けた。
「なるほどこんなもん喰らったらただじゃすまないだろうな。」
とアレフは納得していた。

パチパチパチパチ
嵐の中何処からか拍手が聞こえてきた。
「ヒャハハハ、よく出来たなぁ、弟殺し。」
声がしたほうを見ると白髪眼帯の男が立っていた。
「誰だてめえは。」「俺か?俺はシャドウとでもしとくか。」
そのとき凌斗は先程から感じていた違和感の正体はこいつだと悟った。
「・・・そういう事か。シャドウよりドッペルゲンガーの方が分かりやすいな。」
神経を集中してシャドウと名乗る男を見るとますます自分と同じだという事が分かった。
「さすがだなぁ、まさか一目で気付くとは思わなかったぜ。」
と特に驚いた様子もなく言った。
「白々しい。悪いが腹を爪で裂かれて死にそうなんだ。分かるだろ?俺が死んだらどうなるか。」
昔読んだ小説などではこの手のものは本体が死ぬと消える場合が多いのでそれに賭けたのだ。
「けっ、今日は引いてやるよ。お前の言うとおりお前に死なれちゃ困る。」
銀髪の男は何処へともなく消えてしまった。もっとも凌斗が考えた理由とは少々違うのだが。
「とりあえず、賭けに勝った・・・か。まったく、最近ろくなことがない。」
そう言うと凌斗は下山しだした。


作者

お判りだと思いますが凌斗は雷使いです。
なお某奪還屋の天野○次と違って電気充電による怪我の完治などというとんでもない真似は出来ません。
暗流闘法というのは親から習った格闘技に自分の電撃を加えてアレンジしたもので、
凌斗が銃を使っているのは楽だから。本来は素手での戦闘。銃はマーシャル武器店で買った物。
え?普通の学生じゃなかったのか?指摘ごもっとも。完全に個人的な趣味、主人公最強主義は不滅!(笑)
御意見、御感想、御要望等ありましたらメールください。
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