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悠久の刻 第十参話
らむだ?


第十参話

〜マーシャル武器店〜

「エルー、頼んでた弾丸届いたか?」
例の依頼が終わった次の日に買いに行ったのだが売り切れていた、いや売り切れていたと言うのは正しくない、最初から置いてないのだから。フルメタルやダムダム弾など普通の店に置いてるわけがない。(マーシャルの店だから置いてるかも、という考え方も出来るが。)
「悪いなリョウ、まだ届いてないんだ。明日には届くと思うけど。」
「そうか。なんだこの剣は?この前はなかったよな。」
一本100Gのところに置いてある錆びついた剣を手にとって言った。
「マーシャルが昨日何処からか仕入れてきたんだよ。封印がしてあるってマーシャルは言ってたけどねえ。それがどうかしたのかい?」
マーシャルの事だからまた騙されて二束三文の物を高く売られたのだろう、と二人は当たりをつけていた。
「いやちょっと気になって聞いただけ。なんか書いてあるな。これか封印って?」
凌斗は剣の腹に書いてある文字を見て言った。
「そ、アタシには七支刀の前の字が読めないんだけどね。」
「何々、畢星七支刀か。」
凌斗は苦もなくあっさりと読んだ。
「なんだって?」「あめふりのななつさやのかたな、この刀の名前だな。しかし七支刀にしては・・・」
と言いかけた所で古く錆びついた刀身が砕け、左右に3本ずつ枝のついた蒼く輝く透明な刀身が表れた。
「封印とやらが解けたって考えていいのか?」「多分ね。」
凌斗が刀身を見ながら言った。
「エル、これもらっていくわ。」
そう言って財布を出そうとした所で
「いいよ金は。一本くらいなくなっててもマーシャルにはばれないから。それに、この間の礼もあるし。」
「そうか?じゃあありがたく貰っとこう。」
そう言うと刀の刀身が消え柄だけになった刀を懐に閉まった。
「い、今のどうやったんだい?」
エルは魔法を使う事は出来ないが魔法を使ったかどうかは分かる。
「封印が解けたときに一瞬でこの刀の使い方が分かったって言うのかな?そんな感じだ。俺もよく分からん。」
「ふーん。」
納得出来るような出来ないようなそんな説明だった。実際凌斗にもよく分からないが考えてもしょうがないので今度図書館で調べようか、と思うだけである。
「エル、メシ食いに行かないか?奢るぜ。」「本当かい?じゃあ遠慮なく。」

〜さくら亭〜
カランカラン
「いらっしゃい。」
いつもなら凌斗に毒づくパティの元気がない。そんなパティを見ているとエルに余所者らしき男が近づいてきて
「おお、美しい人よ。是非私めと共に昼の・・・」
ドグシャ
最後まで言い終わる前に凌斗の踵落しで撃墜された。どうやらパティはこいつの相手に疲れたらしい。
「人のツレを目の前でナンパしてんじゃねえ。」
不機嫌そうな顔で言った。
「りょ、凌斗君。」「さすがリョウ、容赦ない。」「ええ、初対面の人に遠慮のないいい攻撃だわ。」
ちょっと待て、感心する所が違うぞ。特にイヴ(かなりキレてる。シーラとイヴもやられたらしい。)
このナンパ男から数m離れた所にアレフが立っていた。
「いたのかアレフ。どーせ、ナンパしようと思った子がこいつに取られてさらにその子が一晩で捨てられたと知ってさくら亭にいるこいつに抗議しに来たんだろ。」「な、何でそこまで。」「はぁ、大当たりかよ。この手の男の行動パターンから適当に言ってみたんだが。」
正確に言うと何も考えずよくあるパターンを言っただけ。そこまで話したところでナンパ男が起き上がった。
「いきなり何をするんだね君は?!」
「うるさい、人のツレを口説く方が悪い。名を名乗れ。」
正論と言えば正論だが・・・踵落ししなくても。ちなみに凌斗は安全靴(甲の部分を鉄板等で強化してある靴)を履いている為、踵落しはまだ優しい方。つーか、安全靴で全力で腹蹴られたら内臓破裂するだろう。
「そうですね。確かに私の方が無作法でした。私はさすらいのナンパ師ガイ。世界中の街という街をさすらい、美しいお嬢さん方に一夜の夢を与えているのですよ」
「・・・要するに絞れるだけ金を絞りとって終わり、の旅するヒモか。アレフの方が数百倍ましだな。こいつはデートにかかる金は全て自分で出す。」
ガイをこき下ろしながら一応アレフの弁護もする奴。
「ま、まあ、モテない男のひがみはほっときましょう。」
あまりにこき下ろされ話題を変えようとするが、
「あのな、一応言っとくがここの女性陣はお前やアレフより俺を選ぶぞ。三択ならな。パティ、灰皿。」
誰と付き合うのが一番ましか、という考え方の話だが。(凌斗にとっては。)
とにかくこの一言でナンパ師は完全に叩きのめされた。
「と、とにかく、アレフといったな。どちらがナンパ師として上かナンパ勝負だ。」
もはや話せば話すほど墓穴にはまるので凌斗の相手をやめたようだ。
「俺はそんな事のためにナンパはしない。街一番の称号が欲しけりゃくれてやるよ。」
話がナンパでなく、そして街レベルでなければ格好がつくのだが。(笑)
「そんな事を言っていてよく街一番のナンパ師などと名乗れるな。」
うれしいか?そんなん名乗って、と周りは思うが当人たちはいたって真面目。
「うるせーよ。俺はそんなもん名乗った事は一度たりともない。」
名乗った事あったような・・・。
カランカラン
「凌斗クンいるかしら。」「はい?」
凌斗はアリサの方に振り返る。
「素晴らしい。・・・これほどまでに美しく可憐な方がこの街にいたとは。」
いい加減こいつのセリフ書いてるほうがむかついてくるな。
「急なお仕事が入ったから一度ジョートショップに戻って欲しいんだけど。」「欲しいッス。」
「メシ食ってからじゃダメですか?ダメ、・・・だよなやっぱり。エル、奢りは今度って事で。」「ああ。」
そんなやりとりをして2人と1匹は帰って行った。
「よし、決まりだ。アレフ!先に彼女を口説いた方の勝ちだ。」
そう言うとガイは出て行ってしまった。
「お、おい!」

〜ジョートショップ〜
カランカラン
アレフはガイより先回りしてジョートショップに来た。
「で、くだらない勝負の対象はアリサさんに決まったのか?」
凌斗はアレフが入ってくるなり開口一番そう言った。
「よく解るな、そうなんだ。でも俺には本気でアリサさんを口説くなんて出来ねえ。」
「当たり前だ、そんなことするような奴ならお前との縁切って叩っ殺してるよ。」
何気に言う事過激だな。
「お前恐ろしい事言うな。」「あの人の幸せになれるんなら俺は誰でも良いが、奴は許さん。」「お前、母親の再婚に反対してる子供みたいだぞ。・・・とりあえずアリサさんに全部話そう。」
「そんなことするまでも無い、ぴったりの依頼が来てる。」
そう言うと急に入った『依頼』をアレフに見せた。

カランカラン
しばらくしてガイがやってきた。
「あなたに一目で心奪われたものです。私とお茶していただけませんか?」
「良いですよ。ただ一つ条件があります。」「なんですか?その条件とは。」
確かな手ごたえを感じ、口の端が多少緩むのを押さえながら言った。馬鹿だ。
「キャシーさんを始めとするエンフィールドで貰った女性達の鍵を返して、今日中にこの街から出て行くと約束してくださるなら一度だけお茶にお付き合いいたします。」
静かに、しかし力強い口調で言った。
「なっ、何を。」
「ちなみにてめえのした事は夕方には街中に知れ渡ってるから誰もてめえの相手なんぞしねえぞ。」
ガイが来る前にさくら亭に行き、トリーシャに頼んでばらまかせたのだ。
「くっ、解った。鍵を返そう。こんな最低の街こっちから出て行ってやるよ!」
そう言ってガイは店を飛び出そうとした。しかし
「ちょっと待て。罰として、四肢関節外しの刑。」
あっという間にガイの両手足の関節が外れ、ガイは床に倒れこんだ。
「な、何をしたんだリョウ。」「両腕と両足の関節外した。」
さらっと言うな恐ろしい。
「じゃ、アリサさん、ちょっと出てきます。」
そう言うとガイを抱えて外へ出て行った。

「ただいま。」「リョウ、どこに行ってたんだ?あの男は?」
四時間後、ようやく帰ってきた凌斗にアレフが行き先を尋ねた。
「アフターケアとしてドクターの所で整形手術。あの顔じゃ二度とナンパなんてできないだろうな。ドクターもああいうのが嫌いみたいで仕事一回手伝うんで手をうってくれた。」
だからさらっと言うな。
「そ、そうか。(こいつだけは怒らせない方がよさそうだ。)」
確かに怒らせたら何されるかわかったもんじゃない。

依頼内容:ガイという流れのナンパ師から鍵を取り返して罰を与えて欲しい。
依頼者:被害者一同
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