中央改札 交響曲 感想 説明

悠久の刻 第十四話
らむだ?


悠久の刻 第十四話

〜ジョートショップ〜
カランカラン
「おはようございます。」「あ、シーラさんいらっしゃいッス。」「シーラちゃん、おはよう。」
休みの日、シーラはジョートショップに来ていた。
「アリサおばさま、凌斗君は?」
シーラは手近な椅子に座って言った。
「寝てるわ。昨日遅くまで何かやってたみたいだったけど。」「ボクが見たときは炭をいじっくてったッス。」「炭を?」
テディの言葉に首をかしげるシーラ。一体炭で何をしようというのか。謎である。

「ん、く、あ〜〜。ふん、大体10時くらいか。」
バキリ、ゴキャ、ゴキゴキ
凌斗は起き上がり、首の骨をかなり派手に鳴らした。
服を着替え、部屋から出たとき居間に三人の人間(二人と一匹)の気配を感じた。
(テディとアリサさんに、もう一人はシーラか。なんで休みの朝っぱらから居るんだ?まあいい、飯食ってあれのテストでもするとしよう。)

「んー、おはよう。アリサさん。シーラ。」「あら凌斗クン。起きたのね。」
凌斗はあくび交じりにアリサとシーラに挨拶した。
「おはよう。凌斗君。」「そういえばシーラ今日はどうしたんだ?」
アリサが用意していた朝食の前に座って言った。
「今日は時間が出来たから約束通り凌斗君に魔法を教えてあげようと思って。」
「ああ、そういえばそんな約束もしたな。しかし、普通そういう事は前の日に言わないか?」
(本で読んだから大体の事はわかるんだが・・・、帰らせるのも面倒だ。実物を見て観察するのも悪くないか。)
そう言いながらも朝食を平らげていく。
「え、その、先生が急用で来れないって今朝聞いたから。」
「まあ、いいけどな。」
凌斗は食べ終わると皿を下げて洗い始めようとしたが
「凌斗クン、折角シーラちゃんが来てくれたんだから私にまかせて教えてもらいなさい。」
とアリサが凌斗を押し出した。
「はあ、それじゃよろしくシーラ。」
と言いながら先ほどまで座っていた椅子に深く腰掛けた。
「それじゃ始めましょ。まず魔法には大きく分けて、物理魔法、精霊魔法、」
説明を始めたシーラの言葉をさえぎって凌斗が言いだした。
「あ、その辺はいい。本で読んだ。物分りは悪くない方だと思うんだが、どうも具体的なイメージが出来ないんだ。魔法なんて使った事もなければ見たのはここに来てからだからな。」
「え、見たことがないって・・・。凌斗君、あなた何処に住んでたの?」
シーラが驚くのも当然である。少なくともエンフィールドがある大陸で日常的に魔法を使ってない場所など聞いた事がないし、恐らく世界中探してもそんなところ指で数えられるくらいだろう。と思っていたからである。
実際この認識は正しいものであることは言うまでもない。
「何処って言っても・・。月、とか?」
真面目に答えてもアレなので適当にはぐらかす事にした。
「もう、凌斗君ってば少しは真面目に答えてよ。」
と少し怒った顔をしている。
「まあそんな事どうでもいいだろ。それよりも実際に何か使ってみてくれないか?」
シーラは無理に聞き出すことが出来ないので諦めて魔法を見せる事にした。
「炎よ、我が呼びかけに応え敵を討て ルーン・バレット。」
シーラが呪文を唱えると赤く燃える火の玉が机の上に出現した。
「なるほど。大体わかった。じゃ、俺もやってみよう。炎よ、我が呼び掛けに応え敵を討て ルーン・バレット。」
凌斗が胸の前に手を構えて呪文を唱えると白く燃える火球が現われた。
「・・・・・・・・」「? どうした。」
凌斗はルーン・バレットを見て固まっているシーラに話し掛けた。
「え、あの、白いルーン・バレットなんて初めて見たから、綺麗だなあって思って。」「そうか。」
凌斗は手元の火球をいじくってラグビーボール状に変化させたり、円盤状にしたり、しまいには一つが二つ、二つが四つ、四つが八つ、と次々と分裂させながらお手玉をしている。
(凌斗君って飲み込みが早いとかそれ以前に・・・)
実は魔法を使えないというのは嘘なんじゃないかと思い始めるシーラだった。
「ふん、こんなものか。」
(意思、いや魔力を集中してその魔力に指向性、ベクトル、及び属性その他をイメージによって付与する。その感覚を理解すればそう難しい事でもないな。)
言うと一斉に消してしまった。
「凌斗君、ホントに初めてなの?8つ一度に操作するなんて。」
シ−ラはどう考えても納得出来ないので凌斗にその疑問をぶつけた。当然だがこんな事普通はそれなりの練習をしなければ出来るものではない。
「こんなもの初めてでも感覚を掴めば出来る。」
「はあ。」
必死で努力をした、とまでは言わないが何度も練習してやっと出来るようになった事をこんなものと言われてしまっては言葉がなかった。
「ところで、前に出した電気は魔法じゃないの?」
シーラが凌斗に対して抱いている最大の疑問はこれである。魔法じゃなければあんな事が出来るはずがない。しかし、今凌斗が使ったルーン・バレットからは魔力を感じたがあの電気からは全く魔力を感じなかった。
「種のない手品・・・、だろうな。わかりやすく言えば。」
「凌斗君、真面目に答える気ないでしょ。」
「俺は自分が知らないものを人に教える方法はないと思うけど。」
身も蓋もない言い方である。しかし凌斗は出る理屈はわからないしそれを解明しようとも思わない、凌斗が考えるのはこの能力のおもしろい使い方だけである。
しかしシーラとしては本気なのかとぼけているのかわからなかった。
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