中央改札 交響曲 感想 説明

BackDraft Fighters Bible 3rd
regret man


「悠久幻想曲 OUTDOOR-story」 

 -BackDraft Fighters Bible-


3rd Grade「不完全燃焼」

「ちょいまちっ!!」
 声は大きかったが、なんとも情けない言葉だ。
 NOヤル気のKei=Yestが、まさに動き出す瞬間だ。
 周りの人間、いやほぼ全員が声の主の方を見る。
(・・・・・・・・・・・・)
 一同沈黙。
(誰だ、こいつ・・・・・)
 その場にいたある人間Cの気持ち。
 Keiは場が止まったのに乗じて、喋り出した。
「自警団よりおっさんの医者が先だ。誰かさっさと連れてけ!」
 今度は、騒ぎの中心部に向けて、Keiは歩み出た。そして、ちょうどトリーシャ達と
ヤローどもの間に立つ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 なんか、場はまだ混乱していた。誰1人、Keiの言ったことを理解した者がいなかったのが
いい例だ。まあ、変な男(!)がいきなりで出てきて、なんかわめけばそうなるわな。
混乱は、いつの間にか静止に変わっていた。空気も止まってようで、息苦しい感じだ。まあ、呼吸
に差し支えはないんだが。
 Keiはそんな空気を感じ取り、今度は、強めの口調で言った。
「そ・の・おっさんを医者に連れてけって言ったんだよっ!!」
 そして、トリーシャに介抱されているおっさんを右人さし指でさした。
「おまえらだよ!!おまえら!!そんな抱えてたって、おっさんの怪我は治らんぞ。さっさと
 行けってんだ!!」
 それから、トリーシャ達に向けて言う。
(ええ・・と・・・・)
 戸惑うトリーシャ達。だが、すぐにハッとした。
「え!で・・でも・・・」
 Keiは、ようはトリーシャ達に「行けっ!」と言ってるようなものだ。っちゅうか言ってる。
「ほら・・・早くせんと、そのおっさんイっちまうぞ!!」
 いや、別に死ぬわきゃ、ないんだがこれぐらい言った方がいいだろう。
「いいから、行けってんだよ!!」
 何回目か、同じ台詞を言うKei。しつけーぞ!まあ、トリーシャ等が動かんのもワリーが。
 顔を見合わせる、シェリルとトリーシャ。そして・・・
「じゃあ、ボク達行くから。ほら、おじさん肩・・・」
 おっさんに肩を貸すトリーシャ。遅れて、シェリルもその逆サイドから支える。
「ちょっ!ちょっと待てっ!!」
 ウルトラ遅れてハッとする「1」。こいつは今までずっと、Keiとトリーシャ達のやりとりを
ボサッと見ていただけであった。「2」、「3」に至っては、いまだ状況が飲み込めずにいた。
「あん?なんだ?!」
 首をひねって、「1」の方を向くKei。
「なんだ、じゃねぇ!!お前、勝手に何してやがんだ!!」
「見て分からねぇのか?おっさんを医者に行かせたんだ。てめーは脳タリンか?」
「んな事聞いてんじゃねぇぞ、コラッ!!」
 さっきまでのざけた冷静さは、どこへやら、一変して乱暴な口調へと変わる「1」。
 てめー・・・これじゃ「2」とキャラがかぶるじゃねーか!!
「んな事聞いたよ」
 Keiは冷静に、だがいかにも挑発的な言葉を発した。
「・・・いいかげんにしろよ。チビのおっさん・・・」
「あぁっ?」
 Keiが初めて、表情を変えた。その顔は、喧嘩を売られたチンピラであった。
 しかも、この2つ。Keiの気に障るには、十分であった。すなわち、「チビ」、「おっさん」。
特に身長に関して、Keiは気にしている方であった。コイツは・・・可哀想に、170センチ
身長がないのだ。167と後半。・・・男として、平均にも達していない。ちょっと涙が
出てくらぁ・・・・・・。
「『あぁっ!!』っじゃねんだよコラッ!!人の女を勝手に行かせやがって!!テメーなにやった 
 かわかってんのか、おぉ!?!」
(人の女・・・・?)
「おい!!!待て!!!ええっと・・・・おっさん引きずってる、右の女っ!!!!!」
 ようは、トリーシャの事だな。Keiはトリーシャをでけぇ声で呼び止めた。
「え?!な・・・なにぃ!!?」
 トリーシャがおっさんを肩に預けつつ、Keiの方を向いた。
「お前、こいつの女かっ?!?」
 コケちまいそうになるトリーシャ。
「んなわけないでしょうっ!!!」
 力一杯否定するトリーシャ。
「そうだろうな・・・・」
 これは、Keiのつぶやき。
「分かった!!!後一つ!!!自警団とか行かねーでくれ!!!
 めんどくせー事んなっから!!!!頼んだぞっ!!!!!」
 トリーシャは、その言葉に戸惑ったが、Keiの様子を見て、答えた。
「わかったよ!!!気を付けてね!!!」
(・・・なんか変な人だなぁ・・・)
 トリーシャがKeiに対する、第一印象であった。まぁ、これはいつでもそう思うことに
なるんだが・・・・。
「代わりに、患者がもう3人・・・・・てとこか・・・」
 再びつぶやきKei。
「オラッ!!!こっち向けっ!!」
 Keiの肩を掴み、強引に方向転換させる「1」。
「っうおっ!!」
 わざとらしく驚きの声をあげる。そして・・・
バコッ!
 振り向きざまに放ったKeiの裏拳がちょうど「1」の頬に決まる。
「っつっ!」
 数歩後退をする「1」。それを見て、殺気を膨らます「2」、「3」。
 だが、一番膨らませたのは・・・・
「てんめぇ・・・・・」
 殴られた頬をおさえながらKeiを睨む。
「・・・・絶対無事では帰さねぇからな。タコ殴りにしたあと、その腕をへし折ってやる・・・」
 きれたのとは逆に冷静に言葉を発する「1」。ゆっくり両腕を上げて構えをとる。
「カスボクシングマンが。引退が早まるぞ?」
 Keiはひょいっと肩をすくめて、聞いた。十分な・・・「挑発」。
「・・・・死ねぇっ!!!!!」
 「1」が飛び出していった。プロボクシングと呼ぶにふさわしい、ステップインダッシュ。
だが・・・・

    「・・・・自分を恨め。
              後悔に生きろ・・・」

 そう言ってKeiは、ゆらりと後ろにさがった。


「これで大丈夫だ」
・・・・・所変わって、ここはクラウド医院。さっきの「おっさん」は、ここの医師トーヤ=クラウド
によって、極めて適切な治療が施された。・・・とはいっても、顔の下半分を包帯で覆っているという
悲惨な姿であった。
「あ・・・ありがとう・・・ござい・・・ました・・・」
 おっさんがトーヤに礼を言う。だが、前歯が数本折れている為か、詰まりながらであったが。
「おじさん、ホントに大丈夫なの?」
 トリーシャが心底心配そうにトーヤに尋ねた。
「前歯が5本折れ、鼻骨も軽度の骨折。軽傷とは言えないが、時間がたてば治る。オレを誰だと
 思っている」
 なんか自慢か皮肉かよう分からん。トーヤは、トリーシャを睨んで答えた。
「べ・・・別にドクターの腕を信じてないわけじゃないよ。ただ、ちょっと心配で・・・」
 トーヤの鋭い眼光に、ややうろたえ気味のトリーシャ。
「二度は言わん。もう、大丈夫だ・・・」
「よかった・・・・」
 トーヤの言葉に安堵したのは、シェリルであった。
「よかったですね!ええっと・・・・」
         ルター 
「・・・ああ・・・Rutarだ・・・」
 ディアーナの聞かんとしてることを察したおっさん。とはいってもこれはファミリーネーム。
レ ン
ファーストはRenといった。
「Rutarさん!先生が言うからにはもう安心です!」
 そう嬉しそうに言うディアーナを見て、トーヤは、重く口を開いた。
「しかしな・・・・ディアーナ」
「はい?」
 首をトーヤの方に向け、話を聞くディアーナ。
「小娘共を助けようとして負傷するものもいれば、急患の流血を見て卒倒し、負傷するモノもいる。
 何か矛盾を感じないか・・・・ディアーナ」
「うぅ〜・・・」
 トーヤの言葉は「ディアーナ」のあたりが一番強調されていた。そう言われて、小さくなる
ディアーナ。コイツの額には・・・・なんかちいせぇコブみてえなもんがあらぁ。
 まあ大体察しは付くけど・・・・。
「ま・・・まぁ、ドクター・・・・」
 トリーシャがフォローに入った。ただ、事実なだけに完全な反論もしてやれなかった。
(そうだっ!!)
 話題を変えることを試みるトリーシャ。
「でもさ、でもさぁ、最悪だよね。なにもしてない人をいきなり殴るなんて・・・」
「い・・・いや・・・ワシが・・・しゃしゃり出た・・・ばっかし・・に・・・・」
「そんなことないっ!!おじさんが出てきてくれなかったら、ボク達が何されていたか・・・」
 まあ、確かにこのおっさんが出てきた結果、Keiが動いたもんなー・・・
「・・・・そう言えばっ!!」
 トリーシャがあることに気付いた。ある男の存在・・・自分らを逃がしてくれた、なんか
変な人。・・・・・・・Keiのことか・・・・・
「シェリル!あの人どうなったんだろう?!!」
「えっ?!」
 いきなり振られて、戸惑うシェリル。
「ほら、あの人だよっ!!ボクらを助けてくれた、あの男の人っ!!」
「あっ!!」
 シェリルも思い出した。
「非道いことされてないかな?おじさんみたいに・・・」
 そう言っておっさんを見るトリーシャ。
 ゾクッと悪寒が走る。
(あの人も殴られてたら・・・あの変な人たち怒ってたし・・もっと非道いことになってたら・・・)
「ボク、見てくるっ!!」
 そう言って、さっきの場所に戻る決心をした。
「ト、トリーシャちゃん。で、でも・・・」
 シェリルはトリーシャを呼び止める。そして、おっさんの方を向いた。
「あっ・・・」
 ここでおっさんを置き去りにするのは、さすがに無責任だろ。
戸惑うトリーシャ。キョロキョロと視線や頭を動かし不審な行動をとりだした。
 そんなのが、数十秒・・・・。すると、
「嬢ちゃんたち・・・・行きな・・・」
 おっさんが、口を開いた。
「えっ!?」
 これには、シェリルもトリーシャも驚いた。
 いや、何にってただおっさんが「行け」と言ったことにだけ・・・
「ワシには・・・・分からんが・・・嬢ちゃんらを・・・助けてくれた・・・
 人が・・・別に・・・いたんだろう。ワシは・・・いいから・・・」
 おっさんの目は、穏やかであった。表情は、包帯だらけでよくは分からんが。
 トリーシャは、トーヤの方を見た。トーヤは「ふー」と息を付く。
「分かった。オレに任せておけ」 
 トーヤはうんざりしたように言った。
 トリーシャの顔がパッと輝く。
「ドクターありがとう!!シェリル行こうっ!!」
「ちょっと待って!トリーシャちゃんっ!」
 診察室を駆け出して行くトリーシャ。遅れまいとそれに続く、シェリル・・・・だが
スッ
 立ち止まり、おっさんに頭を深く下げた。そして、シェリルも再び駆け出していった。
「やれやれ・・・・」
 トーヤが、「仕方ないな」みてーな、口調で言った。でも、うんざりって感じな割には、以外と
優しそうな雰囲気じゃん。
「先生」
 ディアーナが、トーヤの方を見た。
「なんだ?ディアーナ」
「やっぱり、先生って優しいですね」
「ふん」
 ぶっきらぼうに答える、トーヤ。
「だがな・・・・」
 今度は、重く口開いた。
「はい?」
「あいつ等話だと、患者が増えるかもしれんな、もう1人」
「えっ?!」
 驚く、ディアーナ。・・・・・分かんねえだろうな、こいつには。
「この人を殴ったのは、現役のボクサーだ。結構重い階級のな。プロのパンチは凶器そのものだ。
 人だって簡単に殺せる」
 淡々と言う、トーヤ=クラウド28歳、独身。・・・いや、かんけーねぇし。
「特に、喧嘩ともなると・・・・。どうしたものか・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「たっ、大変じゃないですかっ!!」
 ディアーナが、驚く。2回目だぞ、お前・・・・。
「確かにな」
「せんせーっ!!どーしてそんなに落ち着いているんですかっ!!」
「まだ、決まってないからだ」
 ディアーナが、焦れば焦るほど、トーヤは逆に冷静になっていった。
「オレとしては・・・・。次患者が来ても、お前が倒れないことの方が、気にかかる」
「うっ・・・・」
 絶句!ザ・ディアーナ・・・・。お疲れさま。

「はぁ、はぁ・・・・トリーシャちゃん、待って・・・・」
 息を切らしながら、シェリルがトリーシャの後を追う。
 まぁ、文学少女とスポーツ娘じゃ、体力がちがうわな。
 しかし、トリーシャはそんなこと聞いちゃいねー!!
(あそこを曲がれば、もうすぐっ!!)
 あいつ・・・つまり、Keiのことで頭がいっぱいであった。
 そして、角をまがるっ!!!
ドンッ
「きゃっ!!」
「おうっ」
 その曲がり角でちょうど、見知らぬ不審な、オレだったら即行、通報するような男とぶつかった。
「ご、ごめんなさいっ!!」
 誰かも確認せずに謝る、トリーシャ。
「いや、別にいいが・・・くらってないし・・・」
 の割には、「おうっ」とか言ってたじゃねぇか。
「急ぎますので、これでっ!!」
「気を付けるこった」
「・・・・・・・・・・・えっ?!!」
 聞き覚えのある声に数歩進んで、立ち止まるトリーシャ。
 振り向けば、そこには・・・・
「あ、あなたっ!!」
 その男・・・・ヤル気なし、ご都合マンKei=Yestであった。
「ト、トリーシャ・・・ちゃん。はぁ・・・やっと・・・追いついた・・・はぁ・・・
 あっ!!」
 息を切らしながら、トリーシャに追いつくシェリル。この女もKeiを見て、驚いた。
「あ・・・あの・・・」
「何だ?」
「大丈夫・・・だったの?」
「あ?何がだ?」
「あの人等に、何もされなかった?」
「なんかした」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
(やっぱ、よく分かんないや、この人・・・)
「でも、無事で良かった」
「ん?」
「ボク達、君のことが心配だったから。ほら、おじさんが殴られて非道いことになったでしょ。
 だからさ、君ももしかしたら・・・・って」
「ああそう。いらんことだな」
「とにかく、ありがとね」
「ありがとうございました」
 シェリルと、トリーシャが礼を言う。
「いや、別に構わんが・・・」
 Keiは、頭を掻きながら答える。そして・・・・・・・・
ぐ〜・・・・
(空腹だ・・・・・・・・。あっ、そうだな!)
 いいこと思いついたか?
「おいおめー等」
「なに?」
「俺に旨い飯屋を教えてくれ」
「・・・・美味しい、御飯屋さんですか?・・・」
 いきなりの、なんの脈絡も無い質問に一瞬戸惑う2名。
「・・うーん・・・。あっ、シェリル。『さくら亭』なんかいいんじゃない?」
「あっ!いいかも」
 トリーシャが、出した提案に同意する、シェリル。
「どっかあんのか?」
「うん。とってもいいトコがある。ボク等に付いてきて。案内するから!」
「マジでっ!?すんげー助かるっ!」
 顔をほころばせ、まじに悦ぶKei。
(それにしても・・・・・)
 Keiは、この名も知らない少女に思うところがあった。
(いきなりタメ語とは・・・。面白れーヤツだ・・・)
 そして、Keiはトリーシャに付いていった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ねぇ・・・?」
「あ?なんだ?」
 数分歩いたトコでトリーシャが、Keiに尋ねた。
「さっきの人たち、そうしたの?」
「戦った・・・・・・・」
「えっ!?」
「・・・・つまらねぇ、下らねぇもんだった・・・・」
 そして、苦笑を浮かべるKei。誰にと言うわけでもなく・・・燃え切らない自分に・・・
 トリーシャは押し黙った。何かそれ以上言える雰囲気ではなかった。

(下らねぇ・・・・くだらねぇ・・もっと悦ばせろ
              ・・・・・俺を楽しませろ・・・・・)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 更に、数十分後、
「着いた。ここだよ!」
 そう言って、トリーシャは「さくら亭」を指さした。
「おお、着いたか」
 何故か、他人事のように呟くKei。・・・・・・何他人ぶってんだ、テメー!!

                            
                                     (つづく)


作者より
 何か、1,2時間のシーンにすんげー時間かかった。まぁ、ダキョーしたくねぇから当然か。
これから、書きたいところ・・・って訳にはまだいかんのだなー、これが。
 つうか、結構リアルな描写が増えるから。
 ふふふ・・・ここで話を、先を予想しても・・・全部裏切ったる!!
 予想だにしねー話を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・夜露死苦!
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