中央改札 交響曲 感想 説明

BackDraft Fighters Bible 5th
regret man


「悠久幻想曲 OUTDOOR-story」 

 -BackDraft Fighters Bible-

5th Grade「炎は・・・『窒息』する」

 さくら亭・・・・いまだに食い続ける男、1人。
 ひたすら食ってる。ただ食ってる。息するのも忘れて食ってる。
 なんかさ・・・これだけ食ってばっかの男見てると・・・ムカつかねえ?
「んぐ、んぐ、んぐ、んぐ、っんぐ!!」
 お前さ・・・こういう時ばっかヤル気なってんじゃねぇぞ!!
 そう・・・今、君の目は生きている。おめでとう、Kei。今の君は輝いているよ(見捨てモード)。
「凄い・・・」
 トリーシャがもう何度目かの「凄い」を言う。
「っごくん!!あぁ!しつけーな!ええっと、おめーは・・・あー・・?」
 そう言ってKeiは、ナイフでトリーシャを指す。
 それを見て何を言いたいのかを察したトリーシャは、
「トリーシャっ!!トリーシャ、フォスター!!さっき言ったばっかでしょう!!」
 口を尖らせてトリーシャが言う。
 どうやらコイツ・・・Keiは、人の名を覚えるのが苦手らしい。
 今、コイツの頭の中には「ト・・・何だっけ?シェリだっけ?」・・・と、トリーシャとシェリルの名前がこんがらかっていた。
「さっきもパティの名前忘れてたし・・・。ちゃんと覚えてよ、もう」
「ああ!覚えた!思い出せた!」
 急にひらめいたふりをするKei。
 そんなKeiを冷たい視線で見てるトリーシャは、
「じゃあ彼女の名前は?」
 そう言って、シェリルを指すトリーシャ。
「ええ・・・。あっ!シェリアだなっ!合ってっだろ?!?」
「あの・・・シェリル・・・です・・」
 おずおずと否定するシェリル。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 silence(沈黙)。それも冷たいsilence。
カチャ カチャ
 再び、食べ始めるKei。しかし、さっきまでの勢いは・・・無限遠方で0に収束、もとい消滅してしまった。
 一方、Keiの後方の席では、
「あいつらをヤッたのは本当にアイツなのか?」
「なんか、全然強そうじゃないッスよ?」
「人違いかも・・・しらんな・・・」
 Layの弟子(brother)共が、Keiの方をチラリ見ながらそんなことを話していた。
「あいつはLayさんのとこにとっくに報告しちまってるだろう・・・だが、間違ってもここに来ること は・・・・ないな。多分・・・・」
「『始末しとけ』ぐらいッスかね?やっぱり・・・・」
「いや・・・あの人の考えは俺等には理解できんよ。『足止めしとけ』とも言っていたし・・・」
「でも・・・もし、ここ来て人違いだったら・・・洒落になんないッスよぅ・・・」
「もう行かせちまったんだ!!びびんじゃねぇよ!!」
 間違いはテメー等だ!!「1」をヤッたやつ、つまりKeiは合ってるけど、Layの性格を読み違えてるぞ。
カチャ カチャ カチャ
 さっきとは打って変わった勢いのKeiを見る、brother3人。コイツ等を話してる順に「b1」「b2」「b3」としておくか・・・。
 もちろん、Keiの食べるペースも遅くなった。
 話す話題も見つからず、そのまま20分が経過した。

カラランッ!!

 乱暴にさくら亭のカウベルがなった。
「あっ!いらっしゃ・・ぃ・・・」
 パティの語尾が小さくなった。なぜなら、今現れた客が、ただならぬ雰囲気をかもし出していたからだ。
 その客・・・白いスーツに、ロングコート。両手には黒手袋・・・さらに、長身で、ツンツンのスポーツ刈り。金髪にしてんじゃねぇ!!って奴だった。
 ドカドカと店に中に入る。店の真ん中まで来ると、店の全体を見回した。
 客も何事かとその方を見る・・・が、その男と「取り巻き」の男の視線に目をすぐに背けた。
 なんか店の雰囲気が変わったのを感じたKeiは、食器から視線を上げた。
 そして・・・・・
 男と目があった。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 目と目で通じ合う・・・・なんてざけたことはないが、Keiと目があった男・・・Lay=Queensは、Keiを見る目をすうっと細めた。
(コイツか・・・・)
 一方、Keiの方は・・・そんなことシカトッ!!って感じで食器に視線を戻す。
 Layは、それを見ると、今度はKeiの方に歩み寄ってきた。
 そして、Keiの傍まで来るとそこで立ち止まった。
カチャ カチャ
 そんなことには興味も持たず・・・というかシカトを決め込んで食事を続けるKei。
 しかし、一緒なテーブルについている2人は、この男がかなり気になった。
 おそるおそる見上げては、目を反らす・・・そして、Keiを見る。この行為を数回。
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
 silence。だが、今度は緊迫したものがあった。
 やがて・・・・
「おいっ」
 太い声でLayがKeiに声をかけた。
(シカト・・・・・・・・・)
「おいっ!」
 再び、呼ぶ。今度は少し強めに・・・。
(シカト・・・・・・・・・)
「おいっ!!」
 更に強く、怒気を込めて言った。
 客は手を止めこれに注目している。パティも足を止めてKeiの方を見た。
 Keiも見られていることに気付くと、手を止め、こう言った。
「おいっ!!なんか呼んでるぞ。呼ばれた奴返事ぐらいしろや!」
 LayとKeiを除く全員がつんのめる。Layは額に青筋を浮かべ静かに言った。
「俺は貴様を呼んだんだ」
 そして、拳を固く握る。なんかいつでもぶん殴るって感じだ。
 Keiは視線をLayの方へ移す。だが、睨まなかった。「敢えて」、キョトン・・・雰囲気で見た。
「まぁ、知ってたけど・・・」
 わざと無視してたのは分かってたけど・・・・。
「貴様。いい度胸だな。俺を無視してたわけだ・・・」
「違うな。『シカト』してたんだ」
「一緒だっ!!」
「ちげーよ。ニュアンスが違う・・・」
 ついに声を荒げたLay。気圧されるような迫力だが、Keiは・・・まるで風にたなびく柳・・・って感じだった。
「フン。まあいい・・・・1つ質問しよう」
「・・・なんだ?」
 軽く苦笑すると、LayはKeiに尋ねた。
「貴様、少し前にボクサーを相手にしたか?3人ほど・・・」
「うーん、そうだなぁ・・・」
 Keiは腕を組んで「敢えて」考える仕草。・・・この「敢えて」は十分Lay達への挑発となった。
「・・・・忘れちゃった・・・」
 おどけて言うKei。
 それが、Layの怒りに火を付けた。
「貴様がやったのは分かってんだ!!」
 そう言って、Keiの襟首を掴み上げ、引き上げた。
「っ!!」
 緊迫する店内。冷静なのは・・・・もはや?・・・いまだに?・・・Keiのみであった。
「テメェが格闘家ってのは、分かるんだよっ!!いくらおどけても、フツー人を装ってもな・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
「体から滲み出てる、『闘気』と『殺気』は・・・誤魔化せねぇよ・・・」
 Keiは・・・それを聞き、フッと笑った。脅されているようなものなのに・・・その表情には、悦び(pleasure)があった。
「・・・・面白しれぇ・・・・。燃えてきたぞ・・・」
「あっ?!?」
 つかまれながら発したKeiの呟きに怪訝な顔をするLay。
バシィッ!!
 裏拳でLayの手を払うKei。少し驚きの表情を浮かべるLay。
 そのまま立ち、Layを見上げるKei。
 ・・・・・・・・・・身長がこうさせるのよ・・・・・
「で、俺がやったけど。なんかしてくれんの?お・れ・に??」
 Keiはもうコイツのいわんとしていることが分かっていた。
「あいつらは俺のBrotherでな、ボクシングを俺が教えてたわけ。この『チャンプ』の俺が!! よって俺が教えたからには負ける訳には・・・特に無様すぎる負けは許さん訳よ。俺の『名誉』 に、『称号』に傷が付く・・・。俺は、これが唾をかけられるより嫌いなんでね・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 それを聞いて、フゥっと息を付くKei。なんか・・・幻滅・・・したっぽいぞ。
「なあ・・・・俺も1ついいか?」
「なんだ?」
 今度はKeiが質問した。
「おめぇの『格闘』って・・・『名誉』の為のモノか?」
「ああ。そうだ」
 即答するLay。
(そんだけか・・・・・・・・・・・・・・・・・)
「じゃあ、話は終わりな・・・」
 がっかりして、Keiは再び席に着こうとした・・・が、
「おい!俺の話はまだ終わってねぇぞ!」
 そう言って、Keiの肩を掴んだ。
「言っただろ?!俺の名誉を傷つける奴は許さんと。傷は・・・傷でもって返して貰おう・・・」
 Keiの肩を握る手に力を込める。
「・・・・・・・」
 Keiは、肩の力をフッと抜いた。それから、
グォッ!!
 一気に肩に力を込める。
バチンッ
「っ!!」
 Layの手がわずかに弾かれた。
 脱力し、瞬発的に肩の筋肉を絞める。そうすることで大きく筋肉を膨らますことが出来る。Keiがやったのはまさにそれだ。
 だが・・・握力の強いボクサーの手が弾かれるというのは・・・・聞いたこと無い。
 そして、首だけをLayの方に向けた。
「・・・つまり、『喧嘩大安売り』ってワケか?」
 そのままLayの方に完全に体を向ける。
 それから左手の親指を立て、入り口を指す。
「表・・・」
 その一言で、全てが分かる。fighterってそんなもんだ。
 Layはニヤリとする。嫌らしい笑いだ。するとポケットに右手を入れた。そして、何かを握ったまま出してきた。 
グググググググッ
 Keiの顔の前まで持ってくると、更に強く握りだした。
「邪魔したな・・・」
 そう店の中にいた客に言うと手をパッと開いた。そしてドアに向かって歩き出した。
チャリン チャリチャリン・・・・・
 Layの手から落ちてきたモノ・・・に興味を示さずKeiもドアに向かった。
 ドアの前に立ち止まるとパティの方を向き、
「悪ぃな・・・ちょっと騒がすぞ・・・」
と言って、店を出た。
と、思ったら・・・・
「飯、そんまんまな。まだ食うからよ」
 戻ってきて、こう付け加え、出ていった。
 店の中はシンと静まりかえっていた。中の人間は入り口の方を向いたまま固まっていた。
 そんな中、トリーシャはさっきLayが落としたモノに目をやった。
「金貨・・・・っ!!」
 拾って初めて唖然とした。それは『歪んだ』1000G金貨であった。
 この世界、金貨にもいくつか種類がある。1G、10G、100G、500G、1000Gとあり、価値が高いほど大きく、厚くなっていく。1000G金貨は大きさ、厚さとも500円玉より少々あるものであった。
 だが、普通500円玉を握るだけで、ひしゃげさせるようなことが出来るであろうか?
無理じゃん、どう考えたかって・・・。それほど人間離れした握力を、Layは持っていた。
 そして、それが1枚ではなく、なんと3枚。
「ふつうこの金貨ってこうならないよね・・・・」
 誰に尋ねるというわけでもなく、トリーシャが呟いた。パティを含め周りでそれを見た人間は、少なからず恐怖をおぼえた。
「た、大変っ!!自警団に伝えなきゃっ!!大変なことになるかも・・・」
 トリーシャが慌てて叫ぶ。少し遅れてパティが反応した。
「確かに、急いだ方がよさそうね・・・」
 焦りの色が伺える。そして、トレイをカウンターに置いた。
 店の外に向かう2人。トリーシャが一足先に外に出ると、そこは・・・
ざわざわざわ・・・・
 人だかり・・・と言っていいのか?やや人だかり、ぐらいか。とにかく、人が輪をなして集まってやがった。
 Kei、そしてLay。この2人を囲むように・・・ちゅうか、囲んでいる。
「・・・・・・・・・・・・・・」
「くっくっくっくっく・・・・・」
 双方、顔は笑っている。
 左手を腰に当て、首を少し傾け気味なのはKei。無言でニヤついている。
 指をボキボキ鳴らしながら、くぐもった笑いをしてるのはLay。
 距離は5メートル。臨戦態勢・・・といった距離か。
「おい、男・・・・・・・・」
 指を一通り鳴らし終えると、Layが尋ねてきた。
「ぶっ殺される前に、名乗っておけ」
「『カスボクサーが、ワセリンくせーんだよ3世』だ」
お前・・・名前っちゅうか、悪口じゃん。

「・・・・・・・・・・・・・」
 
妙な沈黙。Layは、ゆっくり両手を構えた。
「・・・・・・・・・・・・・死ね」
 静かにそう呟くと、Layは一気にKeiとの間合いを詰めた。
「っ!!」
 Keiは大きく2、3歩後ろに跳んだ。
 Layはニヤッとすると、身を低くして、右手を振りがぶり、
ズァッ!!
 地面の砂を大量に巻き上げた。
 Keiは両手で目を覆った。だが、そこに
ドンッ
 左の重いボディブロー。Keiは右腕で受け止める。
「・・ちっ」
「はあっ!」
 今度は右で2連続ジャブ。左腕を上に持っていくことで対処。だが、
がしぃっ!!
 LayはそのままKeiの左上腕を掴んだ。Keiは振りほどこうと自然と体が後ろにいく。そこが
Layの狙いだった。ガードがはずれ気味のKeiの懐に一気に飛び込み、
ガンッ!!!
 左でKeiの顔面を殴りつけた。
「っ!!!!」
 後ろによろめくKei。
「しゃあああああっ!!!」
どががががっががっっ
 気合いと共にLayがラッシュをかけた。それをすべて受けるKei。
ズンッッッ!
 そして、左ボディー。Keiの体が前に折れる。
(仕舞いだ・・・・・)
 でかい体を下に沈め、右手を下に持っていく。
「っだあっ!!」
ゴッ!!!!
体、主に膝の『バネ』を利用して撃つ、超強力なアッパーカット。現代ボクシングでは相手の腰より低くしゃがむことは禁止されているのだが・・・たとえルールに則らなくても
打てるときに、強烈な一撃を叩き、敵を撃砕する。ここら辺りがLayの『ストリートボクサー』と呼ばれる所以であろう。
 Keiの体が後ろに吹っ飛び、体をスルーしながら勝ちを確信するLay。だが・・・
タッ・・・タタタ・・ダンッ!!
 後ろにつんのめるも、Keiは倒れることなく、体勢を立ち直した。
「プッ」
 口から血の混じった唾を吐いた。
「・・・・それで?」
 Keiは・・・『全くこたえていなかった』。平然と立っている。
 一方、Layの方は・・・驚き、そして焦っていた。
(馬鹿な!!フルラッシュの後、『アッパーボム』までまともにはいってるんだぞ!! 何故・・・死なん!?!)
 ちなみに、とはLayが勝手に名付けたものである。そういう名前ではないので、あしからず。ちゅうか、そんな訳わからん名前つけんなや。せめて「ウルトラ・ハイパー・デリシャス・アッパー」とかにしろよ。
 また、これら一連の動きは周囲の人間をも驚かせた。

「お、おいなんかあいつ。あんだけヤバそうなパンチ喰らって平然としてるぞ」
「今殴ったのって、コロシアムで連勝してるやつじゃん・・・。なんや一般人も倒せねぇのか。 以外と大したことないかも・・・」

 驚きから、蔑み。幾ばくかKeiから神経が離れ、周囲の声が耳に入る。どうやらこの男・・・
自分の『評価』に関することは結構耳敏いみてーだな。
(・・・っの野郎!!)
 Layは焦りを感じたが、それを打ち消すぐらいの怒りをもおぼえた。
 再び、拳を構える。
「・・・・ふぅ・・・。これで多分終わりだな・・・」
 Keiが溜め息をつき、もの悲しく呟いた。
「あぁ?!なんだとっ?!?」
 よく聞き取れなかったらしく、怒り任せにKeiに怒鳴るLay。
「いや・・・お前と闘うの・・・もう終わりだから・・・」
 そしてKeiも胸の前に両拳を軽く構えた。
「終わりぃ??なんだお前・・・冗談のつもりか?」
「別に、本気だけど・・・。『あいつ』と一緒にしてやるから、安心しろ・・・」
 そう言い終わると、KeiはLayとの間合いを一気に詰めた。
ガッ!!
 右のボディーブローをLayに打つ。構えた片腕を下げてガードするLay。
(くっ・・・!!なかなか・・・) 
 Keiは両手で続けざまに放った。これには身を低くして防いだ。
(いいパンチだが、単純だな・・・。次、大振りが来たら、間髪入れずに
 顔面を潰してやる・・・)
 ボディーに来る攻撃をガードしながら、Layは画策した。
 そして、Keiが右腕を後ろに引いた。
(頭狙い・・・来たなっ!!)
 Layは両腕で顔面をガードした。
(貰ったっ!!)
 Layの先読み!!Keiの右ストレート!!

メキャ・・・・・・・

 ・・・・・嫌な音・・・何かが折れたような・・・・・
「っ!!!!・・・・・ぁぁああぁああぁああっ!!!」
 いきなり、Layが叫び声をあげ、両腕をかばうように体を丸め込んだ。
「きぃ・・・きさまぁっ!!!!・・・・」
 Layは苦痛に耐えながら・・・いや、それを誤魔化すようにKeiに向けて叫ぶ。
 何が起こったか・・・・・・・
 簡単に言うと、Keiは、ガードしているLayの両前腕を叩き折ったのだ。言うのは簡単だが、実際考えてみると・・・・結構無理がある話だ。プロボクサーの前腕は、何度もの試合で、殴られ固く鍛えられていく。普段からも、かなり鍛えてあるため、
「パンチで叩き折られる」
なんてことは、あり得ないのだ。だが、それがあり得た。
「どう?二度と拳闘が出来なくなった感想は?痛い?悲しい?」
 おどけて、ニヤつきながらLayを挑発するKei。
 はっきり言って・・・・むかつく様相だ。だが、両腕を使えなくなったも同然のため、反撃に移れないLay。
(こ・・・・これか・・・)
 YES!「1」をやったのも同様の技デース。
「Bye、bye、キンパツ・・・」
 Keiは、Layの懐に入り、Layの金的を蹴り上げた。
ドムッ!!
「っ!!」
 そして屈んだLayの顎に、掌底打ち上げ。
ガッ!!
 いや・・・・そのまま、
ガァンっ!!!!!
 地面に叩き落とした。
 ピクピクけいれんするLay。そこに、スッと足を上げるKei。そして・・・

         ニコッと笑うと、

          ぐぁしゃ!!

「っ!!!!!!!!!!!!!!」
 顔面を踵で踏み潰した。
 
 やがて、けいれんすらしなくなったLayを確認すると、無言で足をLayの顔から外した。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 辺りに漂う、気味の悪い《silence》・・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おい」
 自ら作り出した沈黙をKei破るKei。Layのbrother共に話し掛ける。
「は・・・・はひっ・・・」
 怖さで声が裏返っちゃってるよ。
「邪魔だから、連れて返って、コイツ・・・」
 そう言って、ニコッと微笑みかける。
ぞくぅっ!!
 その笑みに寒気をおぼえた。さっきの戦いでのあの笑顔と・・・・かぶる。
「は・・・はやくしろっ!!」
「馬鹿!!そっと持て、そっと!!」
 などと言い合いながら、Layを抱えて、猛スピードで走り去っていった。
「ふー・・・・さて・・・」
ざわ・・・
 Keiが動くと周囲もまた動いた。全員さっきのあの恐ろしさが忘れられないでいた。
(飯。続き食わなきゃなぁ・・・・)
 Keiがさくら亭の方に歩き出した時、
「お前ー!!ちょっと待てー!!」
 なんやら、ごつい男が5、6人ほどKeiの方に向かって走って来るではないか。
 声を張り上げているのは・・・・アルベルト!?
 人だかりを押しのけ、Keiの前にやってきた。
「おい。誰かコイツに呼ばれてるぞ」
「お前だ、お前っ!!」
 間髪入れずに、突っ込むアルベルト。
「おう、俺か?!で、何用?」
 アルベルトは呼吸を整えると、きつい口調でKeiにこう告げた。
「自警団の者だが、ここで人が襲われてると聞いてな。ちょっと話を聞きたいんだが・・・」
「俺に?他の奴とかいっぱいいるけど?」
 だんだんピリピリしてくる2人。
(どーしよーかな・・・。ま、2、3日ぐらいならいいか・・・)
「じゃ、話してあげましょうか」
 敢えて、アルベルトの神経を逆撫でするように言うKei。
「(ピクッ)!。それじゃ、事務所まで来てもらおうか」
「ほいな」
 と、Keiは、ここで「ある人物」を捜した。
「ええと、パティーちゃーん!!パティちゃーん!!」
 急に呼ばれて、ビクッとするパティ。
「飯、かたしちゃってくれ。金はちゃんと払いに来っからさ!!」
 それだけ、叫ぶと、自警団員に囲まれ、Keiは事務所に向かった。

・・・・・ツマラネェ、モット・・・・・・・・
    ・・・・・・・モット・・・モエツヅケラレル・・・モノヲ・・・・・
 
 誰かの・・・魂からの叫びか・・・・。俺には、妙にもの悲しく聞こえる。

作者より
 節目と言うことで、少し長め。ちなみに、5話目を出すのも長すぎ。
長い繋がりと、いったところで、次回。
 「悦び、新たなる悦び。これなら・・・燃えられる・・・・」
 と、落ちが付いたところで。バイヤイ♪
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