中央改札 交響曲 感想 説明

BackDraft Fighters Bible 7th
regret man


「悠久幻想曲 OUTDOOR-story」 

 -BackDraft Fighters Bible-

7th Grade「Dearest Fire」

(入口が・・・くそー!!・・・あれじゃ、そう簡単には出れんわな。とりあえず、 ガキを・・・・2階だっけか・・・)
 中に突入したKei。すでに通路と思われる所は燃えた柱やら、魔法アイテムの欠片などで覆われており、何とか通れる状態であった。
 だが、そんな足場の悪い状態にも関わらず、Keiは一気に突き当たりまでダッシュをかけた。なんせ子供の命が懸かっている。その気持ちがKeiにそうさせたのだ。
 「邪魔だっ!!」
バガァァン!! 
 傾いて通路を塞いでいた棚を蹴りで、粉々にする。
 そして、突き当たりを左に曲がった。一本道だったので迷うこともない。曲がるとすぐに階段があった。その階段も至る所が燃えていて、まさに「炎の階段」・・・(そのままじゃねーか)
 Keiはためらうことなく、一気に駆け上がっていく。だが
ガラ・・・バラバララ・・・ 
 Keiの頭上に上から、燃えた柱が落ちてきた。
「っくっ・・・・!!おおぉぉっ!!」
 今度は右足を思いっきり上に蹴り上げた。
ガコォ!!
 重そうな柱をなんと一発で吹っ飛ばした。そして、ゆっくり右足を降ろすKei。(足場の悪い階段でよく片足の『蹴上げ』が出来るもんだ・・・。)
 更に、上に行こうとするが、
べきべきべき・・・
 階段が炎に負けて、崩れだした。
「やべっ!!」
 Keiは跳び、壁に足を付いた。
「つらぁっ!!」
ダンッ!
 見事な三角跳び!!なんとか、2階の床を掴むが、
ジィィィィィ・・・・
「っ!!!!!!」
 何かが焼ける嫌な音。運悪くちょうどKeiの掴んだ所は、金属の補強がされている部分であった。つまり、熱した鉄板を素手で握ったようなものだ。
「ぐぅっ・・・」
 手を放しそうになりながらも、必至で熱さに耐え、体を持ち上げた。そして、片足を付くと、一気に飛び上がった。
(つぅ・・・・最悪だな、まったく・・・)
 2階に着くと、まず辺りを観察するKei。どちらかというとこちらの方が燃え方が激しい。そして、いきなりの十字路。それぞれの通路に扉がいくつかある。
(どこだよ・・クソガキは・・・)
 神経を集中させ、どの通路かを見極める。
「・・・ぎゃぁ・・・・ほぎゃぁ・・・・・・」
(!!・・・こっちか!!)
 わずかな泣き声。それをKeiは聞き逃さなかった。正面の通路を選び、手前から1、2・・・・3番目の扉の前に来た。
「・・・ほぎゃあ!・・・ほぎゃあ!!」
(聞こえる・・・ここだ!!)
 スーと右拳を引き・・・ 
バキャッ!!!!
 アッパーが木製の扉を貫く。そのまま、バキッと扉を外した。
 中にの様子を見回す。煙もそんなに無い。火も大して立っていない。そして、部屋の隅には
「ほぎゃああ!!ほぎゃあああ!!」
 赤子同然の子供が『転がっていた』。よく見ると、近くにはベビーベッドが・・・。
(爆発かなんかしらんが、とりあえずベッドから落ちたことが幸いしたな・・・)
 Keiは赤子の近くにより低い姿勢で抱きかかえた。上の方では空気の温度が高いため呼吸困難に陥ったり、下手をすると気管が焼けたりする。実際、赤子もベッドから落ち、それほど温度が上がっていない床に転がっていたため、危険を免れていたのだ。
「もう少しで、出してやっからな!!我慢しろよ!!男だろ・・」
 いや、男はどうかは知らんが・・・。Keiは改めて、部屋の中を見回した。
(階段は使えねぇし・・・飛び降りて俺が無事でもコイツが火に巻かれるからダメだ・・・っくしょう・・・窓 でもあれば・・・)
 そんなKeiの目に留まったのは、壁に埋め込まれている、金属の彫刻板であった。
(ん・・・あれは・・・)
 よく見るとそれは埋め込まれているのではない。何かを遮っているみたいだ。
(そういや、こういった類の工場って、まほーの余波が漏れねーように窓とか入り口 とかに、結界が  張られるんだよな・・・もしかしたら・・・)
 あれは、窓かもしれない・・・。
(一か八か・・・ぶち破ってみるか・・・)
 だが、その瞬間、
ドバコォォンッッッッ!!!!!!!!
「ぐぉっ!!!」
 部屋の入り口の方で爆発が起こり、赤子を抱えたままKeiは吹っ飛ばされた。どさっと赤子をかばい、体勢を入れ替えて床を転がった。
「・・・つぅ〜・・・。まったく、次から次ぎへと死の匂い・・・。何かこんな気  分・・・」

        (最高だな・・・)

 そして、口元に笑みをうかべる・・・。そんな自分に浸ったりする。
 Kei!!てめー、浸ってる場合じゃねぇぞ!今ので、火が中にまで広がったぞ!!早く・・・
「じゃあ、行くか・・・」

「3班、放水開始ぃっ!!」 
 カーライルの号令により、3人の放水員の持つホースから高圧の水が飛び出し、燃えた建物を直撃する。ちなみに、消防車やポンプ車といった電動式のものではなく、手動の空気圧式の放水機である為、放水員の後ろでは別の隊員の2人がポンプのレバーを精一杯上下させていた。
(これで、炎はなんとかなるな・・・だが・・・)
 Keiが建物の中に突っ込んでから、10分が経とうとしている。カーライルはそれが心配であった。いくら消火班がセッティングに15分(!)かかったり、Keiに吹っ飛ばされた隊員の肋骨にヒビが入っていることよりもである。
 Keiが一般人だから、というのもあったのだが、それより他に、Keiに何かしら数奇なものを感じていた。

・・・つい先日、自警団事務所に変な男が連れてこられた。街中で喧嘩をしたらしいということだった。その男は「絡まれたから、振り払った」と正当防衛を主張していた。だが、第1部隊のアルベルトがその男になおもしつこく食い下がっていた。「お前がふっかけたのだろう?」と。普段なら気にしない光景だったが、オレはその男から、ある種の人間からかぎ取れる2つの匂いを嗅いだ。
             
             「闘気」・・・・そして、「殺気」

 そいつは暫くしてやってきたフォスターのヤツに興味を持った。顔はニヤついていたが、かなりの「殺気」をフォスターにぶつけていた。ま、軽く受け流されていたいたが。どうやら、フォスターがその場を収めたらしく、あいつが事務所を出ていく時、オレの方を見て、オレにも「殺気」をぶつけていきやがった。久しぶりに、「面白そうな男」と出会った気がした。あと、アルベルトのヤツがフォスターに不服を漏らしてたな。「何故簡単に返したのか?」と。そんときのフォスターの言葉「お前では無理だ」と返した。オレもそう思った。確か・・・名前は・・・Kei、Yes・・・・

ゴンッ!!! ゴンッ!!! ゴンッ!!!
 辺りに響いたハッと我に返るカーライル。自分が任務中に物思いに耽るなど・・・らしくないミスだ。コンマ点1秒で気を取り直す。
ゴンッ!!!! ゴンッ!!!! ゴォンッ!!!!
 その音は丁度正面の2階から聞こえた。
「な・・・なんだ?!」
 カーライルを含め、他の隊員が怪訝に思った。
(・・・!!窓かっ!!)
 カーライルが2階の窓(結界板)を見た。
 なんとぉ!!その結界板がひしゃげていた。しかも、「ゴン ゴン」言う度にその歪みは大きくなっていく。
(あいつかぁ・・・!!)
 カーライルの顔に、笑みが浮かんでくる。現場で笑う、隊長・・・この時カーライルを見た隊員はさぞ驚いたであろう。一命を争う現場で笑っていたのだから。
 結界板が、だんだん歪んでいく。そして、それを叩く音の間隔も短くなっていき、

ゴンッ!!!! ゴンッ!!! ドゴォォォォンッ!!!!!!!!!

 結界板が吹っ飛び、その後から、何かが外に向かって飛び出した。そして、

ズガァアアン!!!!!!!!!!!!
 
「うわぁっ!!」
 その窓から、爆発と共に炎が上がった。
「くそぉっ!!」
 爆発に怯みながらも、放水員がその窓にホースを向け、放水する。

どがががががんっ!!
 
 一方、その窓から飛び出した物体は、向かいの家の日差しを突き破り、地面に落ちた。
 隊員が、野次馬がそこに集まる。
「ふぎゃああああ!!ふぎゃああああああ!!」
 泣き声。瓦礫の中から赤ん坊の泣き声が聞こえた。やがて、
がらしゃぁぁんっ!!
 その中から男が、立ち上がってきた。
「っ!!」
「・・・・・・・・・・・・・よう」
 その男の第一言。服は煤けたり、焦げたり、顔や腕の露出している所も黒くなったり、やけどしたりしている。ただ、その腕の中には、すすで少し汚れているが、元気に泣いている、赤ん坊がいた。
 Kei=Yest・・・赤子の救出に成功!!って訳だな、つまりは・・・。
「大丈夫ですか!?」
 すぐに、救護班が駆け寄ってきた。
「いや・・・俺はねぇが、この赤ん坊を見てやってくれ!!」
「了解しましたっ!!」
 赤ん坊を隊員に渡すと、野次馬をかき分けて駆け出していった。
 実際、Keiはかなりの怪我をしていた。扉をぶち破った際の拳の擦り切れ、手のひらのやけど、2階から墜落した時の、打ち身、打撲。だが、Kei自身大したこと無いと思っていいるので、敢えて言わなかった。
「あ・・あのっ!!ありがとうございました!!なんとお礼を言って・・・!!!」
 野次馬の中から、さっきのおばちゃんがKeiの所に駆け寄ってきた。涙を流しながら、Keiの前で何回も深々と頭を下げる。
「いや・・・そんなもんいわんでいいから・・・早くガキの所へ行ってやれ   よ・・・」
「は、はい!!この恩は一生・・・」
「しつけーな、てめぇ!!忘れていいから、さっさと行け!!」
 Keiが声を荒げて言う。おばちゃんはビクッとしたが、もう一度Keiに頭を垂れると、救護班が向かった方向に走っていった。
(まったく・・・大事なガキなら、いつも持ってろってんだ、バーロウが・・・)
 Keiは、そのまま消火の行方を見守った・・・・・・。

 それから、1時間後、工場の火はきれいに収まった。Keiの突入劇が終わってから、工場の結界が殆ど無効化し、他の入り口からの消火が可能となった。また、第1部隊やのその他の部隊の隊員の協力も相成って、まったくけが人を出さずに、鎮火することが出来た。
 だが、
「おい!!!第5の役立たず共!!お前等邪魔なだけだ!!解散しちまえ!!」
「いらねぇんだよ!!災害センターだけで十分だ!!税金泥棒共が!!」
 野次馬からの上がった声は・・・なんとも厳しいものであった。
(こいつら・・・まぁ、見てりゃ分かるけど・・・どうやらこの街じゃ歓迎されてなさげだな・・・)
 Keiは、現場検証に走り回る、カーライルや隊員を見回すと、大きく溜め息をついた。


                                                  (つづく)

作者より
 炎の中から、赤子を救い出したKei!!・・・・かっくいい〜!!
 なんか書いてて、こういう活劇ってちょっといいかもって思ったり、思わなかったり。
とにかく!!自分が想像して書いたものと、読んでくれてる人が思い浮かべる光景は違うと思う。
ちょっと寂しいことだが、この書き物がその人の想像の世界を広げる糧にでもなってくれりゃ、書き手としても、本望である。
 さあ、次回は、「自警団第5部隊隊長ジャン=カーライル VS 完全やる気ZERO男                                 Kei=Yest」なお話。
では、近いウチに・・・シー・ユー・ラテー!!
中央改札 交響曲 感想 説明