中央改札 交響曲 感想 説明

BackDraft Fighters Bible 8th
regret man


「悠久幻想曲 OUTDOOR-story」 

 -BackDraft Fighters Bible-

8th Grade「火は何を持って制す?」

 あれから8日が経った・・・・・。
 Keiは、もうどの辺りまで来たのだろうか?・・・ちょぉぉっと覗いて見てみよぉ〜♪
ドカッ バキッ
「・・・て、テメェ!!」
 5、6人の男共がKeiに向かって怒鳴っていた。Keiの足下には、Keiに今殴り倒された思われる男共が同じく5、6人倒れていた。
 なんだ・・・喧嘩中か?まぁ、エンフィールドとかいう街でも喧嘩したり、火事に巻き込まれていたりしてたし・・・・。騒ぎの耐えない男だなぁ・・・。
「じ、自警団が暴力ふるっていいのかよ!?あぁっ!!?」
 は?・・・自警団?
「うるせーな、貴様等。こんな街中の公道で大人数で喧嘩してる連中が悪い。全員、迷惑罪で俺が裁 いてやると言ってんだ。喧嘩両成敗っていうだろ?」
「な、なんか無茶苦茶理不尽だぞ、お前・・・」
「うるせー!!さっさと俺に倒されろ!!」
 Keiはそう言って、ゆっくり男達の前に歩み寄っていった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 いやはや、どーも。コイツまだ、エンフィールドにいるみたいで・・・。しかも、『じけー団』だって、じけー団!!何を曲がり間違ってか制服まで着てるし・・・ハァ・・・。
「さぁ、テメー等。さっさと事務所にいくぞ」
 Keiはさっき倒した男達と今殴り倒した男達を両手一杯に掴み、ズルズルと引きずって、歩き出した。その制服の左胸には銀色のネームプレートが光っていた。

          『エンフィールド自警団
           第5部隊 Kei=Yest』

 あの後・・・・
「おい、役立たず共!!聞いてんのか、コラッ!!」
 現場検証の準備に走り回っている第5部隊の連中に罵声を飛ばす野次馬たち。普通は火事が収まったらこういう類の奴らは、自然と解散するはずだが・・・。しかし、今回の火事ではそうはいかなかった。消火活動が遅く、人命救助も、Keiなしには出来なかった。いつもでもうるさい野次馬が、さらにやかましくなった。
「てめーら、能なしが!!!解散しろ、解散っ!!元のセンターに戻れっ!!!」
 髭の来い青年が罵る。
(もう、俺には関係ないか・・・・にしても・・・)
 Keiは自分の宿に戻ろうと、ゆっくり歩き出したわけであるが・・・野次馬が邪魔で通れなかった。しかも、うるせぇ!!と、きたもんだ。
「消えろっ!!消えろっ!!消えろっ!!」
 いつの間にか、野次馬全員が一丸となって「消えろコール」を連発していた。
(・・・・・・・・・・・・・・・・)
「消えろっ!!消えろっ!!消えろっ!!」
(・・・・・・・・・・・・・・・・)
 Keiさん・・・・なんかだんだんむかついて来てませんか・・・??
「消えろっ!!きえ・・・」

「うぅるせぇぇぇぇえええっ!!!!!カスどもぉぉおおぉぉおっ!!!!!!」

 う、うわぁ!!Keiがキレたぁ!おかげで、周りの声が消えちまった。第5部隊の連中も驚き、Keiの方を見た。
「・・・・うるせぇってんだよ、カス共め。通れねぇんだよ、お・れ・が・・・」
 大きくはないが、怒りのこもった声で、野次馬に言った。
「がたがた、ぬかすな。お・れ・はな『コイツ等の新しいお仲間』だよっ!!分かったか、コラ」
 辺りはまだシンと静まり返っていた。Keiのかなりの「勢い発言」である。つまり、Keiは「第5部隊の新隊員」と偽った訳だ。よく考えると、これは、偽証罪なのだが・・・。
 野次馬達は、最初理解出来なかったが、なんとなく納得したらしかった。
「どけ・・・」
 そう言って、Keiがもう一歩進むと、人垣が二つに分かれた。そこを悠々と歩くKei。
 野次馬達はただそれを黙って見送った。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 カーライルは黙ってKeiの後ろ姿を見ていた。
(『・・・・新しいお仲間だよ・・・・』)
 さっきのKeiの言葉が頭をよぎる。
(・・・・・あいつめ・・・偽証罪だぞ・・・このままじゃな・・・)
 何か悪いことを企んだか、カーライルがニタ〜っと笑った。
「・・・・ぃちょう・・・隊長・・・・隊長っ!!」
「・・・ん?ああ、なんだ」
「隊長、どうしたんですか?急にニヤついたりして。検証の準備が整いましたよ」
「ああ、そうか・・・あっ!!お前・・・・」
 カーライルは1人の隊員を呼び止めた。
「はい、何でしょう?」
「事務所に走って、さっきの男の名前と宿泊先を調べて、オレに報告しろ」
「え?!・・・あ、はい!了解しました」
 何か腑に落ちないものを感じつつ、自警団事務所に向かって走って行く隊員C。
「よし、じゃあ始めるか」
 そう言って、燃え崩れた建物の中に向かった。
 野次馬は・・・・いつの間にか自然消滅していた・・・・。

「・・・・・・・・・・・・・・・ん・・・?」
(どうやら、寝てたっぽいな・・・)
 Keiは、ベットから身を起こした。窓から外を見ると、辺りは丁度黄昏の刻を迎えていた。
「うっ!つぅ〜っ・・・・」
 体中を痛覚が駆けめぐる。おかげで、Keiはほぼ完全に覚醒することが出来た。
「実は、結構やばかったりするかも・・・な」
 などと・・・1人でぼやいたりもする。
 あれから、Keiは医者にも行かず、宿に戻り、手の応急処置のみを行い、ベットに寝っ転がっていた。何故Keiが医者に行かなかったか・・・「めんどくせー・・・」だそうだ。医者に行くと、多分、数日の入院、良くても通院が義務づけられるであろう。別に、急ぐわけでもないのだが、色々やらかしたこの街に長くいたくはなかった。
(次は・・・朝まで起きねー・・・)
 そう思って、もう一度ベットに倒れ込んだ。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 だが、一度起きると、人間そう簡単には寝られないモンである。まぁ、中には特殊な人種もいるみたいだが・・・・。なかなか寝付けないKeiは、あっちへこっちへと寝返りを打ち、そしてその度に苦痛を強いられた。
 そんななか、
ギシ ギシ ギシ
 ぼろい宿の廊下を、歩く音。しかも、だんだん大きくなってくる。
ギシ ギシ ギシ
(・・・・近付いてきてやがる・・・・)
 足音が近付いてきてるのだ。それも、Keiの部屋に向かって。ちなみにKeiの部屋は、宿の一番端にある、部屋自体、そんなに多くはないので、こんな端に来る人間はKei以外いない。
ギシ ギシ
 そいつがKeiの部屋の前で止まる。明らかに「Keiの部屋」に用があるみたいだ。
(なんだよ、まったく・・・)
 Keiは、ベッドの下から、忍ばせてあった「投げナイフ」を音を立てずに取り出し、ゆっくり身を起こして、ベッドに座る体勢に移った。
コン コン コン
 3回のノック。何も答えない。代わりに、フーッと息を吐き、ナイフを持った右手を左の肩口まで持っていき、投げる準備をする。
コン コン コン
 更に、3回ノック。同じく返答なし。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 沈黙《silence》。Keiもさっきの体勢のまま動かず。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「・・・・・・・・・・・・ぷっ」
 やがて、外の人間が吹き出した。
「??!?」
 困惑するKei。
「ははははっ!!いやいや、客にそれ程の『殺気』をまき散らされても・・・・まったく、困ったヤツだ・・・ははははっ」
 やがて、愉快そうに笑い、そのままKeiの部屋のドアを開けた。
ビュンッ
 なんのためらいもナシにナイフを投げるKei!!
ガッ!!・・・・コトン
 ナイフは・・・・ドア近くの壁に『柄の方』から当たり、床に転がった。
「・・・。今のは、『わざと』か?」
「・・・・・別に。コントロールは良くないから・・・」
 Keiは、特に動じることなく答える。
 でもちょっと刺さるのを期待してたみたい(喜)
「で・・・なんだ、自警団のおっさん。ここはあんたみたいなのが泊まりに来るトコじゃないんだが・・・」
 ドアの所に立って笑っている男。なんと自警団第5部隊隊長ジャン=カーライルであった。
「見かけで判断するモンじゃないと思うぞ。宿って所は人を泊めてなんぼの所だからな・・・」
「フッ・・・確かに・・・」
 Keiもそこでやっと笑みを浮かべる。
 カーライルはナイフが当たった壁に寄りかかる。
「鍵も掛けずに、不用心だな。それともよほど自信があるのか?」
「いや、掛からねぇんだそこ」
 Keiはドアノブ下の鍵を指した。カーライルがそれをくるくる回す。それは永遠に回転するだけで掛かる気配は無かった。カーライルがフッと苦笑い。
「でもな、おっさん。あんたここに泊まりに来た訳じゃねーだろ・・・」
 Keiが首を少し傾ける仕草をして、尋ねる。
「ああ。単刀直入に言うとな・・・。お前を『逮捕』しに来た」
「へぇ〜・・・罪状は?」
「『偽証罪』ってとこかな・・・」
「いつ偽証った?」
「さっき。証人も大勢いるぞ」
 どうやら、カーライルはさっきのKeiの『新しいお仲間』発言のことを言ってるらしい。Keiは自警団員でも、公務員でも何でもない。あそこでの発言は確かに問題であろう。しかも、多くの野次馬が聞いていていたのだ。
 ただ、Keiは怒ることなく、興味深そうにニヤニヤしながら聞いていた。
「へぇ〜・・・いきなりそんなことを言われて俺が『ハイ、そおッスか』と聞くと思うか?」
「いや、そうは思わんよ。いきなりナイフは投げるわ、初対面の人間に対して『殺ろす気』でいるわ。・・・それなりことをする気ではいるよ・・・」
 そう静かに言うと、カーライルの目がスゥッと細くなる。

ぞく・・・・

 Keiはその目から、背中に寒いものを感じた。カーライルがKeiに向けて放ったもの、それは強烈な『殺気』であった。だが、Keiはビビってはいない。逆に、面白いった感じで、口元の笑みを濃くした。
「ふーん、じゃあ・・・ここで死んでくか、おっさん・・・」
「いや、やめとこう・・・」
 カーライルがいきなり、素に戻り、冷めたことを言う。
「今のお前じゃ、10秒とかからずに倒せる。それでは面白くないんでな・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
 いつもなら、ここで反論するKeiだが・・・。今回、特にこのカーライルに対しては、それが出来なかった。何か反論出来ない何かをKeiは感じ取ったのだ。確かに、今のKeiは万全ではない。というか、かなりの怪我を負っている。これでは、『勝てない』。そうとも思ったのだった。
「まあ、オレとしても別にお前を裁判にかけたり、牢屋にぶち込みたい訳じゃないんでな・・・」
「言ってることがよくわかんねぇな・・・俺を『逮捕』しに来たのに、法には掛けない、と。矛盾してねぇか おっさん・・・・」
 Keiはベッドから立ち上がり、カーライルの方に歩き出し、数歩前で止まった。
「普通に捉えればそうなるな。だが、オレが言ってることはそういうありきたりな解釈ではないんで   な・・・」
 カーライルは足下のナイフを拾い、刃先を指でなで始めた。一度刃先に目を落としたが、再び視線をKeiの方に向けた。
「もったいぶらずに言えよ・・・。あ・・・まさか『俺が欲しい』とかいう、イレギュラーすぎなことなら、GOODBYEだぜ・・・」
「お前、よく分かったな・・・」
「!!!!」 
 Keiの顔から笑みが吹き飛んだ。代わって出てきた表情は・・・驚愕と嫌悪。
「・・・まあ、冗談はさておき。変な意味じゃなく、正確には、『お前が必要』と言ったところか・・・」
「い、いや・・・大して変わんねぇ感じがするが・・・」
「・・・お前を今、ウチの隊に入れたい・・・と言うことだ・・・」
「・・・・・・・あ?」
 Keiは怪訝な顔をする。ちょっと言ってることが理解できてなかったみたい・・・。
「あー・・・・つまりな・・・俺に、その、テメー等の自警団に入れと・・・」
「その通りだ」
「あぁ??・・・・・・」
 ようやく理解したみたいだ。
「・・・・くっくっくっくっく」
「・・・・ふふふふふふ」
 何故か笑い出す2人。なんか不気味だぞ・・・。

『はぁーっはっはっはっはっはっはっ!!!』
 
 そして、2人で大笑いし出した(!)。2人して狂ったように笑い続けた。
「ひゃっひゃっひゃっひゃっ!!あー・・・はっはっはっは!!・・・・お断りだ」
 いきなり真顔に戻って答えるKei。カーライルも同時に笑うのを止める。なんか忙しい奴らだな。
「俺はさ、別に失業してたり、冒険が好きで、放浪してるわけじゃねぇんだよ。落ち着こうと思えば、いつだって旅を止めれるし、仕事だって見つかる。こんなちんけな街で、落ち着こうなんて気はさらさらねぇよ。明日にはもうこの街を出る。今日来た理由がそれなら、もう話は終わりだ・・・」
(何考えてんだ、コイツは・・・流れ者にいきなり、自警団になれとか・・・)
 Keiははっきり言って、呆れていた。とても普通の人間の考えていることではないと・・・どちらかと言うと少し、気味が悪くなってきたので、追い返そうと決めた。
「・・・そうか。だがな、さっきも言ったとおり、お前には『偽証罪』がかけられてるし、街の中で、喧嘩騒 ぎも起こしてる。このまま、街から出すわけにはいかないんでな・・・」
「なんかさっきより容疑が増えてるぞ!!」
「それに・・・な

        お前は今まで・・・何人と闘い、何人殺してきた・・・
 
「あん?」
 カーライルが何気なく質問してきた。その内容と声は実に凄味を帯びていた。
「お前を昨日事務所で見たとき、お前はオレにかなりの『殺気』をぶつけたのを憶えているか?普通の流れ者に、あんだけやれ、と言っても無理だよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

      お前から血の匂いはしない・・・・・・・・だから、殺し屋ではなく
          ・・・・生死をかけた格闘家だな、お前は・・・・

「こんな面白いヤツをみすみす逃す気はないんでな」
と、最後に付け加えた。
「・・・・・・へぇ・・」
 Keiは、ぼやくように感嘆した。
(こんなヤツが・・・こんなちんけな街にいたとは・・・)

        ・・・・・・・オモシレェ・・・・・・

「あ?」
 今度はKeiの呟きにカーライルが反応する番であった。
「あんたみたいなヤツが俺みたいなヤツを必要って言ってることがだよ。やる気なんかなかったけど、面白くなってきた・・・で、俺がなんで必要なんだ・・・」
「ふっ・・・」
 カーライルはさっき拾ったナイフをなんと、Keiに向かって投げた!!
ひゅん トンっ!
 ナイフはKeiの頬のぎりぎりをかすめて、後ろの壁に突き刺さった。
「少し、長いぞ・・・」
 そして、カーライルは話し出した。

 なんだ、単純なヤツだ・・・普通はそう思うだろう。ただ、こういった類の連中は、言葉に秘められたもの以上にその人間の本質を見ようとする。特に、格闘家といった類は、掴みやすく、探りにくいといった二元性を持っている。今行われたのは、会話だけではなく、この2人が、言葉よりもどれだけ、その人間の持つものを見抜こうとした、一種の『闘い』であった。その『闘い』の結果・・・

「まったく、テメー等、ちゃんと歩けコラ!!人が見てるだろーが!!」
 ルクス通りを事務所に向けて大の男を引きずって歩いている、自警団員Kei=Yestがいるのだった。

                                                     (つづく)

作者より
 Kei=Yest。自警団入隊おめでとー!!しかも、問題多き『第5部隊(災害対応)』。あんなに強いんなら『第1部隊(戦闘職種)』にすればよかったのにねぇ・・・。まぁ、カーライルの男気に惚れた(!!)ってことかな。
 さーて、次回は・・・。やっと、悠久キャラが久々に登場。暫く「なんか悠久じゃない」とか言われてたから、出しちゃうよー!!  では、アミーゴゥ!!
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