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BackDraft Fighters Bible 9th
regret man


LEVEL−UP TO ”Rank”
 COUNT DOWN 【3,2,1・・・】 
9th Grade「REST OF FIREMAN」
 
 人付き合いとは、実に大切なものだ。仕事の効率やプライベート時間の有効利用、趣味の共有といったものに特に当てはまる。ホント、「独りよりも、みんなで・・・」とはよく言ったものだ。
 あまり面倒くさがってはいけないと思う、こういうものは。
 ・・・・・そう思いますよ、Keiさん・・・・・
 エンフィールドの有名食堂兼宿屋、言わずと知れた、「さくら亭」。カウンターでただ、ひたすらに昼飯をかっこんでる男。やる気0、今は自警団第5部隊員Kei=Yest。
 Keiが自警団に入ってからと言うもの、コイツの評判は一気に街の中に広まった。ある意味、「トキノヒト」であった。
「ねぇ、Keiさん・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「Keiさん!」
「・・・・・・・・・・・・・・ん?」
 パティの呼びかけにすら気怠く返事をする。
「『ん?』じゃなくて、こんな時間にゆっくりご飯食べてていいの?とっくに仕事始まってるんでしょ?フォスターさんとかに怒られるんじゃないの?」
「いいや、あの隊長さんとは隊が違うから・・・」
「だからって・・・」
「オメーは黙って皿でも洗ってろ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
(・・・困った人ね〜)
 一度は黙るパティーだが、
「ねぇ、Keiさん」
「Keiさん、あまり評判良くないよ。この前も、飲みに来た人がさ、言ってたよ。『自警団も終わりだ。役立たず部隊にならず者を入れて』って」
「フ、言いたいこと言ってくれるな」
「もう少しさあ、真面目にやったら。いつも、喧嘩ばっかしてるんでしょ?!」
「いつもって訳じゃねーよ。それにありゃ、喧嘩を止めてんだよ。俺から『大安売り』なんじゃねぇ」
「でもわざわざ全員倒さなくても・・・」
「うるさーな、ったく」
 Keiは最後のスープを飲み終えると、伝票に書かれた代金を皿の近くにおいた。
「じゃあ、『おしごと』に戻るかな・・・」
「あ、ちょ、ちょっと・・・」
 パティに聞こえるようわざとらしく呟き、Keiは店をあとにした。
「ホント、よく分からない人ね・・・」
 パティはそう呟くと、カウンターの後かたづけを始めた。

 自警団事務所、第5部隊事務室。Keiの今の仕事場だ。今この中には、部隊長ジャン=カーライル、それと50歳前半、黒髪のオールバック、隊長補佐のルギア=アガムドの2人だけしかいない。
 なぜ、昼の始業はとっくに始まっているのに・・・・?なーに、他の隊員は事務所内の練兵場で縄の結束訓練を行っているからだ。
 ここで、第5部隊の組織図を説明しとこう。一番上に隊長、次点に副隊長、そして隊長の秘書的役割が隊長補佐である。副隊長の下には第1班から第6班までの班があり、各班に班長がいて、のこりは班員である。「班」という呼び方は、第5部隊独特のものだ。他の部隊では「分隊」と呼んでいる。何故こういう呼び方をするのかというと、第5部隊が災害対応センター(通称:センター)が起源だからだ。1年以上前に発足した第5部隊はその殆どのメンバーがセンターの人間で構成されていた。ただ、自警団事務所にいる人間は少ない。隊長、副隊長兼1班班長、補佐、1班、3班、5班の十数人しかいない。残りの班員は、センターの方で待機している・・・ということに、表向きはなっている。実際は、第5部隊への希望者が極めて少ないのだ、インターバルとして3ヶ月おきぐらいに入隊者を募ったのだが、最初だけ10人を越えたがあとは2、3人ぐらいだった。ちなみに、止めた人間はその半分以上に上り、今年3月の入隊者も3人しかいなかった。ちなみにKeiは、第1班に組み込まれていた。
 さて、事務室にいるこの2人はなにやら会話をしていた。しかし、部屋に2人しかいないにも関わらずその声は、2人だけにしか聞こえない程度の声だった。
「隊長・・・新隊員Kei=Yestの事ですが、少々厄介なことになってますよ・・・」
「ん?街での騒ぎの事か・・・。注意はしてるのだがな。でも、あいつのせいでここのところ喧嘩騒ぎは 減少しているのだろう?」
「まぁ・・・ですが、そのようなものは微々たるもので、実際には被害の方が大きいのです」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「特に怪我人の方が・・・。まだ、普通に喧嘩しってもらった方が怪我人が少なくて済みます。この前な どYestに間違われて殴られたという人が来ましたよ・・・」
「ひどいな・・・・」
「治療費を払って何とか丸く収まりましたが・・・。私たちに対する風当たりが一層強まりました」
「・・・・ふぅ」
 カーライルは一通り聞くと、溜め息をついた。
「・・・・・・・・・ですが」
「ん・・・・まだなんか、あるのか?」
 ややうんざり気味に聞き返す。
「なんていっていいのか、苦情を言いに来るものもいれば、その逆、お礼を言いに来る者もいて・・・」
「なに?!」
 今度は、少々驚く。
「なんでも、『雨どいを直してもらった』とか、『子供の面倒を見てもらった』、『風船を取ってもらった』、 と老人から子供まで・・・。悪い評判ばかりでも、そういった事も少なくは無いみたいで」
「・・・そうか」
(アイツめ・・・いつも街をぶらついてると思ったら、そんなこともやってたんだな・・・・)
 少し笑みを浮かべるカーライル。
「とはいっても、隊長。Keiへの非難が強いのは事実です。自警団内、我が部隊内でもだんだんと出てきてます」
「あの件か・・・」
「はい、入隊後いきなりの第一班副班長への抜擢、役職も『部隊錬成責任者』。これには、隊長もかなりの無茶をしたと・・・」
「アイツが入隊を決めた時の条件だったからな、それが」
「・・・分かっていますけど、そこまでして・・・」
「そこまでして、入れる価値があるのか?だろ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 押し黙るルギア。
「・・・・無いと感じた人間に、そんなことはせんだろ。見た目が旨そうじゃない料理は食う気がしないのと同じだ・・・」
(・・・なんか、違うような・・・)
 カーライルの答えには敢えて突っ込まなかった。
「なんといっても、『ハイレベルなプロボクサー』を『再起不能』にした男だからな。色々とやってくれるだろう、よくも悪くも・・・な?」
「そんなものですか・・・」
 ルギアがそうしめると、2人ともわずかに笑みを浮かべる。
 
 サァァァァァァァァァァ・・・・・・

「!・・・雨か・・・」
「今朝から少し降る気配はありましたが・・・」
 2人は窓の方を見る。
「あ、隊長。Keiの事は、現状維持ということで。実はもう1つお話が・・・」
 ルギアがそう切り出した時、
ガヤガヤ・・・・
 どうやら、隊員達がいい加減に訓練を切り上げて、戻ってきたようだ。
「・・・他の隊員が戻ってきたので、詳しいことはまたの機会に・・・。とりあえず、この資料に目を通しておいて
 下さい。フォスター隊長や各隊長にも同じ物を渡してあります。極秘ですので取り扱いにはご注意を・・・。では、
 私はセンターの方に行って参ります」
 ルギアは大きめの茶封筒をカーライルに手渡す。
「ああ、ご苦労。もし、Yestのヤツに会ったら、真っ直ぐ帰ってくるよう言ってくれ」
「分かりました」
 ルギアは隊員達と入れ違いに事務室を出ていった。
 カーライルはその茶封筒の中に入っていた資料のタイトルを見て、やや険しい顔をした。

「『安全保障隊』設立議事(仮案)について」

(評議会め・・・・また無駄な物を・・・)
 カーライルは再びその資料をしまい、鍵付きの引き出しにしまった。

 その頃・・・・
 Keiは東区にある古い雑貨屋の軒下で雨宿りをしていた。



サァァァァァァァァァァ・・・・・・

 一向にやむ気配がない。

(このまま降り続けてくれれば、星を・・・星空を見なくて済むのに・・・)

 そう願い、ただ雨が止むのを待つ。つじつまの合わない男である。

 はっきりしていること・・・Keiは・・・星空が嫌いであった。晴れた夜が嫌いであった。

 いや、嫌いになった・・・というのだろうか。
 
 雨の中を何人もの人間が通り過ぎていく。そんな慌ただしさは全く気にせず、湿気により下がっていく気温をなんとなく感じていた。
                                 (つづく)


作者より
 どちらかというと、第5部隊の紹介になってしまった。次回はちょっと諸々のため一ヶ月後ぐらいになるかも。(っちゅうか、どれくらいの人がこんな駄文を読んでんだろ?)
 
 次回、遂に『Grade』から『Rank』へとUP!それに従って、Keiも『運命を繰り返す』運命へと・・・・。
 なんてね。じゃあ、次回まで、アディおうッス!                                   
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