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交響曲
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BackDraft Fighters Bible Rank12
regret man
「悠久幻想曲 OUTDOOR-story」
-BackDraft Fighters Bible-
Rank 12「戦慄の・・・」
Keiの側面から2人の男が飛び出した。それに合わせKeiは、オーソドックススタンス(右構え)をとる。だが、
「死ねぇ!」
2人はフェイント。Keiの後ろからもう1人、別の男がブロードソードを手に襲いかかった。
男は「獲った!!」と思った。しかし、
メキャ・・・
「はばぁっ!!」
Keiの後ろ蹴り、カカトの部分が奇襲男の人中(鼻下から上唇の間の急所)付近をえぐる。
奇襲男は、喰らった部分を両手で押さえ、血しぶきを上げながら、後ろに吹っ飛んだ。
ヒュ、ヒュン!!
暗闇の茂みから、再び何かが飛んでくる。さっきは投げナイフ、今度は・・・小手槍!!
全部で4本飛んできたが、2本をかわし、2本を片手で1本ずつ取り、そのまま気配のする茂みの方に投げた。
「ぐあっ!!」
「ぎゃあっ!!!」
各方面から叫び声が上がった。Keiには分からなかったが1人は肝臓を、もう1人は喉を貫かれていた。わずか十数分ですでに、4人が再起不能にされた。残った人間に焦りの色が浮かぶ。だが、殺気はまだ消えていない。
(くっ、こうなったら・・・直接、斬る!!)
一部の残党達はそれぞれ自分の剣を抜き、Keiの隙を茂みの中でうかがった。また、Keiは構えを解き、注意深く周りをうかがう。両者の間に暫く、沈黙が流れる。
やがて、Keiがうつむき、深い呼吸をした。
(今だ!!)
『しゃあ!!』
わずかに声を上げ、3人が三方向からKeiに襲いかかった。
ゴゴゴガンッ!!
一瞬・・・その間に3人はKeiの肘、蹴り、拳によって宙に浮いていた。
全員が受け身をとれず、不様に地に落ちる。
グワシャ!!メキッ!!
「うごぉ!!」
グシャ!!!グシャァ!!!
「ぎゃぁあぁ!!」
ゴキ!ズガ!!
「ぅばあ!!」
Keiが倒れた男全員に
トドメ
・・・
を刺しにいく。2人は顔面を潰され、片足を折られ、もう1人は顔面に膝を喰らった後、木の幹に再び顔をぶつけられた。
「・・・・・ぅ・・・ぁぅぁ・・・・ぁぁぁ・・・・・」
すでに息絶えている者。息も絶え絶えの者。7人が戦闘・・・いや、再起不能にされた。
「まだだ・・・。出てこいよ」
まだ全員ではない。Keiにはまだ強烈な、今までの連中よりも飛び抜けた殺気を持った人間がいると感じ取っていた。
敵は残り3人。うち2人はすでに戦意を失っていた。それぞれ、Keiの行動をうかがっていたのだが、Keiと自分たちとの実力がかけ離れているとに気付いた。
(おい、やばくないか、アイツ・・・)
(やばいなんてもんじゃねぇ、化け物だよありゃ・・・)
(もう逃げようぜ、報酬は半分もらってんだし・・・。後の報酬なんかもういいよ、俺は。命の方が大事だ)
(そうだな。第一、俺たちゃ、誘拐が本職なんだ。殺すのなんか、
一般人
パンピー
とかだし・・・)
そう言って、男はもう一度Keiの方を静かに覗く。どうやらこちらには気付いていないようだ。
(じゃあ、行こうや、きょうだ・・・い・・・!!)
ボト・・・
「っっっっ!!!!」
男が仲間の肩に手を置いた時、その男の首が、ゆっくりと地面に落ちた。
「使えん連中だ・・・」
残った男の耳元に、そう小さな声が聞こえた。
ざくっ・・・・
「ん!」
Keiがある方向を向く。1人の男がKeiに飛びつき、体当たりをかましてきた。
「ちっ!!」
その男を避ける。不様に木にぶつかる男の体。
(!!・・・コイツ、死んでる!!)
木に当たった男はなんと心臓を一突きに、死んでいた。
そして、Keiが再び体を入れ替える。次の瞬間、
ズバァッ!!
その男の胴体もろとも、Keiの後ろの木が斜めに切断された。
崩れ落ちる樹木。舞う血煙。
すでに切り株となった木の近くに1人の男が立っていた。
(あぶねーヤツだ。死体をぶん投げ、影になって斬り込みにくるとは・・・)
Keiは男の方を静かに見る。
姿は周りの人間とそう変わらない。黒装束に口を覆う布。顔を黒く塗っている。ただ、周りの人間より背丈があるのと、少し変わった剣を引っ提げていることが違っていた。
その剣とは、長さはロングソードぐらいだが、剣の刀身の幅が通常の2〜3倍あり、刃の薄さは通常の半分も無い。Keiが確認できるのは、この時点では刀身の幅までであった。
「てめーかよ・・・コイツ等の『ラスボス』は?」
Keiがその男を見て、わずかに微笑みながら言う。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
『ラスボス』は何も言わずに、剣を構えた。
ダッ!!
ラスボスが大きく前に踏み出す。Keiも両腕を上げ、構えをとる。
ビュン ガツッ ズバァ!!!
ラズボスの鮮やかな斬撃がKeiに襲いかかる。
「ちっ・・・・」
小さく舌打ちをし、Keiはその斬撃を避ける。さすがに、斬撃を体でガードする馬鹿はいない。生身のKeiにはひたすら避けるしかなかった。
どっ・・・
Keiの背中が太い木に当たる。ラスボスはニヤリと笑い横薙の一撃を繰り出した。が、
(かかったぁ!!)
これはKeiの思惑通りだ。Keiが背にした木はかなり太い方だ。さっきのような力を溜めた斬撃ならまだしも、この斬撃は体勢的にさっきのような威力はない。
(刃は木の途中で止まる・・・)
体をわずかにずらすだけで、斬撃は止まり、Keiの反撃が可能になる。
・・・・・・・・・はずだった。
ズ・・・
刃が幹に
さっくり
・・・・
と入り、
(!!こ、こりゃ、やべぇ・・・)
そのまま、
シャァオン!!
その木をKeiごと薙払った。
木が切り口からずずっとずり落ち、ずんと倒れた。
「なんと、まあ、悪運の強い男だ・・・」
ラスボスはその木の根本を見て言った。
Keiは・・・なんと生きていた!!予想外の斬撃の鋭さに驚いたものの、とっさに身を後ろに倒し、転倒しながらも斬撃を避けたのだ。
「悪運だと・・・」
「ああ、悪運だ。貴様は俺の斬撃を甘く見た。そんなヤツが俺の剣をかわせるはずがあるわけなかろう」
「斬撃・・・か。今分かったが、てめえのその鋭さは、『実力』じゃねぇ。その剣だな。幅は広いが、刃は極薄。なのに大層な重みがある。その重さと刃の薄さでもって驚異的な切れ味を生み出す・・・違うか?」
それを聞くと、ラスボスはやや嬉しそうに言った。
「ほう・・・どうやら。訂正した方がいいな。俺もお前も。悪運というのは違ったようだ。あと、この剣の重さは130sはあるんでな。『ウデ』じゃ無いというのは、違うな。この『重力大剣』と、自在に操る俺のこの 『腕力』。両方で、俺は最強なんだよ」
「最強か・・・大層なもんだな・・・。じゃあ、それがテメェじゃねえことを教えてやる・・・ほんの十秒で、な・・・レイダーの護衛さん・・・」
「!!・・・貴様、いつ気付いたっ!!」
ラスボスが初めて表す、焦りの色。
「まぁ、いつ気付こうが関係ない。貴様はここで死ぬのだからな」
ダッ!!
Keiに向かって駆け出すラスボス。
ダンッ!!
それにあわせて、Keiもラスボスに向かって駆け出した。
ラスボスが振りかぶる。そこに、なんとKeiが懐に飛び込み、足払いをかました。
(なっ!!!)
ブンッ!!
一度踏ん張り何とかそれをかわす、ラスボス。Keiは体勢を崩し、地面に膝をつく形となった。
(もらったぁぁ!!)
その隙をラスボスは逃さない。Keiの脳天に両手持ちで一撃を叩き込んだ。
ガキィィィィィン!!!!
脳天を割った音にしてはずいぶん固い音だ・・・・。
双方が攻防を繰り出した姿勢のまま固まっていた。
ラスボスは刃の折れた剣を振り切った体勢、Keiは片膝をつき、頭の上で左拳を右の手のひらにぶつけた体勢。
ラスボスには焦り。Keiには余裕の笑み。
「・・・・あ・・・・うぁ・・・・」
「ちょっと、
マジ
・・
になっちまったなぁ!」
Keiは大きく立ち上がり、頭突きをラスボスにかました。
「ぶっ!!」
そして、左足を軸に体を回転させ、
「らあっ!!」
ドゴゥッ!!!!!
ちょうど、鳩尾に右後ろ蹴りを喰らわした。
「う・・・ごはっ・・・」
Keiに大きく蹴り飛ばされ、後ろにあった木にぶつかった、ラスボス。
「どうだ、立てねぇだろ・・・。決まったからな・・・」
Keiの蹴りは、鳩尾を捉え、体内では、内臓を破裂させた。
「ま、まさか・・・お、俺の・・・剣を・・・へし折るとは・・・・」
ラスボスが自分がやられるまでのことを思い出す。脳天への一撃はKeiの変則真剣白刃取りによって防がれたのだ。普通に刃を挟みとるのではなく、左の手を拳にすることで、「刃取り」の時、刀身を叩き折る。
「普通よりも刃が薄いからな、縦が強くても、横はもろい・・・当然狙うだろ?」
「く・・・非常識な・・・足払いは、その為の『伏線』・・・だった、のか・・・」
・・・・・そんなことより、鉄を叩き折ることが、もはや普通じゃないような・・・・・
「ふん・・・俺は、てめぇらを生かしておくわけにはいかねぇんでな・・・すぐにでも殺してやる・・・・」
そう言って、Keiはラスボスに歩み寄っていった。
(つづく)
作者より
殆どアクションシーンでした・・・何が、どうなってるか分かったかな?
さて次回。
「冷酷な中に優しさを・・・」
これを主題に、とりあえず運命的出会い編完結・・・。では、あでゅうー♪
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