中央改札 交響曲 感想 説明

BackDraft Fighters Bible Rank14
regret man





「悠久幻想曲 OUTDOOR-story」
 


 -BackDraft Fighters Bible-



Rank 14「休日の・・・」



 今日はKeiにとって「待ちに待った」土曜日である。

 「日曜なんじゃないの?」と思うかもしれないが、Keiは自警団員、つまり公務員である。公務員の業務は基本的に週5日制。だから金曜の5つの鐘でもってその週の仕事は終わる。この一週間なにかと忙しかったKeiはこの土曜ののんびりできる時間を待ちこがれていた。

 そんなわけで朝・・・9つの鐘が鳴ってもKeiはまだベットの中にいた。

「ん〜・・・・・・・」

 よくもまぁ、スヤスヤと。気持ちよさそうにうなったり、寝返りを打ってたりする。でも、男の寝返りなど想像しても、醜いだけだ・・・。



コン コン コン



 おや、客か?ドアがノックされる。



コン コン コン



「んん〜・・・・んー・・・・」

 そんなもんじゃ、起きないだろうな・・・。



ドン ドン ドン!



「ふにぃ〜!Keiちゃーん!メロディだよー!」

 今度は少し大きめのノック。そして、元気いっぱい!メロディの声。

 へ?めろでぃ?!

「んん〜・・・・んっ!!!」

 Keiの眠っていた脳が瞬時に覚醒。跳ね起き、ドアの鍵を外しに行く。

ガチャコ・・・

「おはよぉ!Keiちゃん!!」

 鍵を開けると、ドアが凄いスピードで開き、メロディが元気な笑顔と一緒に挨拶をする。

「あぁ?・・・おぉ、おはよー・・・」

 Keiがボリボリ頭を掻きながら、むさっ苦しく挨拶。

「で、メロディ・・・どーした?こんな朝っぱらから?」

「ふみゅ〜!今日はねぇ、Keiちゃんと、あそぶ日なのぉ!」

「あぁ?」

 嬉しそうに答えるメロディ。訳の分からないKei。

「だからねぇ、Keiちゃんとぉ、あそぶ日なのぉ〜!」

「なにぃ?!」

 Keiは考えるそぶりをする。

(うぅ・・・ん。あそぶ日・・・あそぶ日・・・遊ぶ日・・・。ああ!そういやあ・・・)

 今週の水曜のことだった。Keiは仕事の途中、学校帰りのメロディ達に会った。その時、メロディにさくら亭に誘われたのだが、忙しかったため断った。残念そうなメロディにKeiは今度遊んでやるからと言った。そしたら、メロディが「いつ?いつなのぉ?」としつこく聞いてきたので、勢いで土曜と答えてしまった。

(すっかり、忘れていたな、HAHAHA!)

 いや・・・そんなジンガイ・・・・風に笑っても誤魔化しきれないような・・・。

「Keiちゃん・・・だめなんですかぁ?」

 案外、メロディがとても悲しそうに尋ねる。瞳をウルウルさせ、少し上目遣いにKeiを見る。

「い、いや!だ、駄目なわけねぇだろ!!マジで、めっちゃ、デラックスハイパーにオッケーだぜ!!ははっ・・・」

 メロディのこの「悲しみの表情」にKeiは弱かった。いや・・・Keiだけという訳ではないが、特にKeiは、言ってることが分からなくなるほど弱いのだ。

「にぃ?」

「いや、大丈夫。いつでも遊びに行けるぜ」

「ふみゃあ!!ほんとぉ!!」

「ああ」

「う・わーい!!ねぇねぇ、はやくいこおよぉ〜!!」

 悲しい顔から一変して、元の笑顔に戻るメロディ。Keiもそれを見て、安心し、表情を崩す。

「よし、それじゃあ・・・」

 Keiがあることに気付く。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「どおしたの?Keiちゃん?」

 急に固まる、Kei。首を傾け、不思議がるメロディ。

「め、メロディ!!ちょ、ちょ、ちょっと外で待ってろっ!!!!」

 そして、焦り出す。

「ふに?どおしてぇ?」

「い、いいから!!」

 Keiはやや強引にメロディを外に出した。

 何か分からず、ポカンとするメロディ。

「ふみゅぅ・・・。変なKeiちゃんですね〜・・・」



(俺・・・なんつうカッコしてんだ・・・)

 Keiが起きたときの服装・・・。なんと、Tシャツに派手なトランクスだけという、人の前に立つにはかなり恥ずかしい恰好であった。

 別に、同僚や上司なら全裸(!)以外どんな恰好でも構わないのだが、さすがに異性となるとそうはいかなかった。

(まぁ・・・アイツが、分かってなかっただけマシか・・・)

 メロディにそんな性意識がないのは、幸運であった。もし、叫ばれようものなら、変態扱いもありえたのだから・・・。

 ・・・とりあえず、Keiは私服に着替え、メロディと土曜の街に出かけていった。



 やはり、天気のいいときには、散歩。散歩といえば公園・・・というわけで2人は「陽のあたる丘公園」にやってきた。

 公園の中を歩きながら、2人はたわいもないおしゃべりをしていた。とはいってもKeiが色々なことを一方的に話しているだけなのだが・・・。

 実際その内容も、昨日あったことや一昨日あったことや一昨々日あったことなど、大した内容ではないのだが、メロディはKeiの言ったことに対して、興味深そうに聞き入っていた。時たま、「なんで、なんで〜?」と質問してきたりもした。

 例えば、

「なぁ、メロディ。一昨日にな、汚れた子犬を抱えたガキが誰もいない小屋に入っていくのを見かけてな・・・」

「子犬ちゃんですか?」

「その後に俺がその小屋に入ってみたら・・・かなり焦ったぜ」

「ふみぃ?」

「その中にはガキと犬ころ1匹だと思っていたらな、なんと他にも5人のガキと猫と犬が数匹いたんだ」

「にゅう?どうしてぇ?」

「なんでも、家で犬だのを飼えないガキ共がそこに集まって勝手に育ててるらしい・・・」

「そうだったんですかぁ」

「ああ、とりあえず・・・見つかるなと言ってはおいたけど、あの空小屋は売りモンだからな。いつかは追い出されるかもしれねぇな」

「ふみぃ・・・かわいそうなのぉ」

「い・・・いや、メロディ・・・俺にそんな目をむけられても・・・」



「なぁ、メロディ。お前って今、学校行ってるよな?」

「うん。今、メロディは『にかいせい』なのだー!」

「2回生?となると・・・トリーシャのヤツは何回生だ?」

「ふみ?トリーシャちゃんですか?たしか、4回生だとおもいました」

「ふーん・・・学校楽しいか?」

「うん!おともだちがいっぱいいるから!」

「そいつは良かったな。俺はあんまり好きじゃなかったけど・・・」

「どおして?」

「行くと、先公・・・先生って奴らに怒られてばっかだったから。『もっとやる気出せっ!!』ってな」

「いつもおこられていたんですか?Keiちゃん、マリアちゃんとおんなじだぁ!」

「オメー、俺をあんな『暴走非行少女A』と一緒にすんじゃねぇよ・・・」



 メロディは何でもちゃんと聞くので、Keiも話し甲斐があった。つい熱中してしまい、いつしか正午を軽くまわってしまった。

 ぐーきゅるるるる・・・・・

 Keiの腹の虫が大きく鳴いた。メロディのお腹も鳴ったのだが、Keiの音にかき消されて、Keiには聞こえなかった。

「・・・飯にすっか?そこの屋台もので・・・」

「うん!」

 2人は近くの屋台で食事をした。おいしそうに食べているメロディを見て、Keiはなんだか安らぎをおぼえた。

 昼食を終えたKeiとメロディは近くの大木の下に座った。そこは大きな木陰に覆われており、時折涼しい風が吹き抜けていた。梅雨ということもあり最近は雨でじめじめしたり、妙に蒸し暑いことが多かったのだが、今日はからりと晴れていた。

 再び、会話を始めた2人だが、食事後ということもあって僅かに睡魔が差してきた。
 やがて、メロディがコクリ、コクリと始めた。

「め、めろでぃ・・・?」

ふみゅぅ・・・

 そして、メロディはKeiの肩に身を預け、眠ってしまった。

「・・・・・しゃあないか・・・」

 多少困惑したKeiだが、結局メロディの体を支えてやることにした。

「ほら、メロディちょっとゴメンな・・・」

・・・うにゅぅ〜・・・

 僅かにメロディの体を起こし、Keiの上体にメロディの背を預けるようにした。Keiは大木に背を預けている。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 メロディの小さな寝息が聞こえる。

 最初、恥ずかしそうにしていたKeiも、徐々にメロディを優しく見つめた。

 

 涼しい風がKeiを、メロディを心地よく撫でていく。

(コイツの・・・寝顔・・・可愛いな・・・)

 メロディの寝顔を見て浮かんできた感情にはっとし、慌てて振り払うKei。

(なに、考えてんだ俺はっ!!俺に、ロリッ気・・・・はねぇぞ!!・・・たぶん)

 ・・・・・・おいおい、にーちゃん。最後の方、ちゃんと否定せんのか?・・・・・・



「・・・クスッ・・・」



(『ドキッ!!』)

 メロディが笑った。

 焦りと驚きに胸が高鳴るKei。

「ふみゅぅ・・・あったかいのぉ〜・・・」

(な・・・なんだ、夢でも見てんのか・・・)

 寝言のあとに、メロディはKeiの体にさらに寄り添ってきた。

「!!っちょ、めろ・・・」

「・・・すやすや・・・」

 またも驚くが、今度はそれほど動揺しなかった。

(しゃあねぇな・・・)

 Keiは頭をポリポリ掻き、それから、そっとメロディの頭をなで始めた。

 メロディが幸せそうな表情を浮かべる。

 Keiも何となく幸せな気分になる。

(ま、こんな日も、いっか・・・)

 メロディの頭を撫でながら、Keiもやがて心地よい眠りに意識をゆだねた。

 こうして平和と呼べる土曜日は過ぎていった。



 後日・・・この日の出来事はT・Fという名の少女により、「デート・・・」扱いで街中に広まることとなった。

 「あんなに純真な娘を・・・」とKeiは暫く、白い目で見られることなった。いつの間にか噂に尾ヒレに背ビレ、シッポに角までついていて・・・。

 この噂を聞いて密やかに喜んだのはY・Tという彼女の保護者だけだった。



                                                 (つ・づ・く・・・)




  
作者より

 ほのぼのとした「Rank14」をお送りしました。Keiとメロディ急接近ってな感じで・・・。

 こちらとしても、ああいうKeiを書いていて、楽しかったです。(色々ツッコめたし・・・)

 さて、次回「Rank15」は、再びKei大暴れ。



 「Kei in コロシアム、『格闘遊戯B−1グランプリ』」です。



 題名から、簡単に想像できると思うんですが・・・おっと!時間だ!それでは皆さん。

 また、来週ぅぅ〜・・・(おい!来週はむりやろ?)




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