−Capriccio−クライシス・ミッションREIM[HP]
9月28日、4回目のミッション授業の前日のこと…。
「はっ!!」「きゃっ!?」
からぁ〜ん
「あ……また、負けちゃった…」相手に弾き飛ばされて、床に落ちた長刀を呆然と見るシーラ…。
「でも、流石ですわ。短い間でここまで上達なされたのですもの」と誉めるクレア。
「そうでしょうか?」「ええ、そうですわ」とクレア…。
事実、シーラから一本を取るのに…最初の頃は5本やって5本とも取れていたのが、今では3本やって1本しか取れないのだ。
「おやおや、二人ともがんばってるじゃないか」と二人に声をかけるリサ先生。
「こんにちは、リサ先生。これから部活ですか?」「ああ、そろそろ地区予選が近いからね」とシーラの質問に答えるリサ先生。
「それにしても…パティ様もルーティ様も来ておりませんが…?」とクレア。
「ったく、なにやってのかね、あの二人は?」いらただし気にリサ先生…。
…ちなみにパティはというと…職員室でゼファー先生のさむぅ〜いギャクに付き合わされていたという…あわれなり…。
がらがらがらっ!
とルシードが体育館に飛び込んで来る…。
「ここにいたかっ、クレア……げっ!?」リサ先生の顔を見るや否や回れ右して逃げ出すルシード。
「待ちなっ!! あたしをバカにするとは…いい度胸してるんじゃないかい…?」…この台詞、ドスがききまくり…(怖)。
「ルシード様っ、その態度はリサ先生に対して失礼ではありませんかっ!?」これはクレア。
「ああ、悪かったよ…って、こんなコトして場合じゃねぇーっ!」と慌てて体育館を飛び出すルシード…。
「…なんだったのかしら…?」と呟くシーラ…その答えはすぐに判明した…。
なぜなら…。
「ルシードっ、待ちやがれっ!!」と今度はアルベルトが飛び込んで来る…化粧道具を手にしながら…(汗)。
「兄さまっ!!」それを見たクレアちゃんの柳眉がつり上がる…。
「げっ!? クレアっ!?」「今度という今度は、我慢がなりませんっ!!」と慌てて逃げ出す兄を追いかける妹…しかも…
長刀を手にして…。
「…クレアさんも大変ですね…」としみじみ呟くシーラ…。
「ふう…助かったぜ…」…入口近くに置いてあった跳び箱の影から姿をあらわすルシード…実は逃げたと見せかけて、そこに
隠れていたのだ…。
「一体、どうしたんだい…?」と尋ねるリサ先生…。
「ああ、アルベルトのヤツ、俺に化粧させろって、うるせんだ…」「あの、どうしてですか?」と問わずにいられないシーラ…。
「あのバカっ、この俺の顔が女みてぇな顔だってほざきやがったんだっ」と不機嫌な表情になるルシード…。
「ほぉ〜、そんなに『女々しい顔』って言われるのがイヤかい…?」…ニヤリとした顔でリサ先生…。
「当たり前だっ!!」「だったら、ウチに来な、男らしくしてやるよ」「あのな…俺は剣道部には入らんぞっ!」
と咄嗟に退路を確保するルシードと彼を捕獲しようとするリサ先生…。
一方…。
「…どこのクラブも…勧誘、大変なのね…」…軽音楽部の部員確保−今も籍は置いてある−に一苦労したシーラちゃんが思わず、
こう呟いていた…。
その日の深夜、ミッション・ルームでは…。
「…さてと…データのアップロード…完了と…」と端末の前で伸びをするフィム先生…。
更にデータが入っていたDVD−RAMのフォーマットを実行し…データを消してしまう…。
「明日のミッションが楽しみだな…みんな、どういう反応をするのか…」と言って…仮眠をとる為に宿直室へと向かった…。
さて、ミッシュン授業の当日…。
「…集まったようだな…では、始めるぞ…」とランディ先生…。
それを受けて…。
「Mission Program Loading…Virturl Data Loading…」
と淡々と端末を起動するフィム先生…。
「…Access Nodes…All Green! Mission Program Standby!」と報告する。
「ではっ、行って来いっ!!」と授業開始を宣言するランディ先生である…。
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「…あの、シェリルさん、大丈夫ですか…?」「…ええ、大丈夫です…」とメルフィに答えるシェリル…。
メルフィのクリア条件が…『シェリルを倒せ』であった為、彼女に殴りかかったのだ…。
「ったく、なんちゅーシナリオだ…」と呆れるルシード…遠回りしていた為、紅月に一回ぶちのめされただけで済んだ…。
「あら? 紅月様がいらっしゃりませんわ…?」とクレア…彼女も紅月に3回ほど殴られている…。
「ちょっと待て、何者なんだ? 紅月は?」と他の3人に問いかけるルシード…。
「「「……さあ…?」」」と口をそろえる3人…。
一方…。
「…誰よ…あいつ…?」「学園の人じゃなかったよね…?」
と口々に言うマリアとトリーシャ…彼女達も紅月に邪魔をされたのだ…。
「じゃあ、誰よ?」これはパティ…。
「さあ…わからないわ…?」と呟くように口を開くシーラである…。
ミッション後、食堂では…。
「…というわけだ…おかげでシャドウとやらに先にクリアされてしまった…」と淡々と語るルー…。
今、彼らは…ルシードの呼びかけでここに集まっているのだ…当然、今日のミッションの事を聞く為に…。
「そうね…私も紅月さんに倒されて…」とリーゼ…。
「くそっ、思い出しただけでも腹が立つぜっ!」とアルベルト…こっちは…不幸にもシャドウにミッションを邪魔をされた挙句、
ご丁寧にメンバー全員をぶちのめしていったのだ…。
「…ってことはだ…全員が紅月か、シャドウとやらに妨害されたわけか…」とルシード…。
「何者なのよっ、あいつはっ!?」とルーティ。
「さあ? ランディ先生の言葉をそのまま借りるなら、外部から送られて来た『データ』となるけど?」淡々とイヴ。
「そいつはどーかな?」「あら、私の意見に問題でもあるのかしら?」「ああ、根本から間違ってるぜ」とイヴとルシード…。
「いいか。ランディせんせーはだ、外部からのハッキング・データと言ったな?」「ああ、そいつは間違いないぜ」とアレフ。
「でだ、ここの学園のセキュリティって、外部からハッキングを見逃すほどザルか?」
「そぉんなのっ、あるワケないでしょっ!」と即座に反論するマリア。
「…そうか…外部からだとランディ先生やフィム先生を目を誤魔化す事は不可能か…」と理解するルー…。
「ああ」「…学園に忍びこんで…データを入れたということは考えられないでしょうか…?」と意見を口にするクリス…。
でも…。
「でもさ、ミッション・ルームには入れないよ? カードキーがないと?」とトリーシャ…。
「しかもよ、メイン端末室はランディ先生やフィム先生しか入れないしね」これはローラ…。
「いずれにしても情報が足りないな」とルー。
「ああ…とりあえず、学園の方針には従うさ…」とルシード…続けて、
「もし、ミッション中に誰かが紅月やシャドウの為に怪我したら…俺は絶対に許さない…」と言って手にしていたスチール製の
コップを握り潰した…。
おまけ…。
「はい、ルシードくん」と横から一枚の紙が差し出される…。
「…なんだ…?…アリサさん、これ?」「あなたが今、潰したコップのお値段。ちゃんと弁償してね、ルシードくん」
…その時のルシードの顔は……見物であったという…。