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バースディー・フェスティバル〜第4話−ファイナル・ゲーム−ティアの初陣〜REIM[HP]


 「……で、瑞穂…次なに…?」と『もう好きにして』といった口調で問いかけるトリーシャ…。
 「…え〜とぉ…あ、これで最後ですね…」とちょっと乱雑に書類をめくりながら、ほっとした口調で呟く…。
 「で、なに?」「『魔法技能競技会』ですね」と瑞穂が答えるや否や。
 「えっ!? ホントホントっ!?」という声とともに…。
   ずぎゃっ!
 …瑞穂を後ろに突き飛ばしてプログラムを引ったくるマリア…。
 「きゃは☆ これよこれよっ! 魔法使いなら、やっぱこうじゃなきゃ☆」……あっちに世界にイっちゃったみたい…(汗)。
 でもね、マリアちゃん…やっぱさぁ、さっきのはマズかったんじゃない…?
 「まぁりぃあ〜さぁん〜?」…突き飛ばされた勢いで壁とキスしてた瑞穂がとぉっても素敵な『笑顔』でマリアに微笑む…。
 …ね、瑞穂ちゃん、怒ってるでしょ…?
 「……たらぁ〜…」と汗が流れる擬音を口にするマリア…。
 「………え〜、じゃれてる二人をムシして、ボク一人で先に進めたいと思いまぁす〜」とマイクに話しかけるトリーシャ…
 だが…。
 「マリア、悪くないもんっ!!」「いいえっ!! 今のはマリアさんが悪いですっ!!!」「瑞穂のばかーっ!!」
 「なんですってぇーっ!? ”Carmine=Spread!”」「い、いやーっ!! ”Carmine=Spread!”」
 「ちょっと待てぇぇぇぇぇっ!!!?」…とトリーシャを間にはさんで…≪カーマイン・スプレッド≫を撃ち合う二人…。
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 「…えと…『不慮の事故』で医務室に担ぎ込まれちゃったトリーシャちゃん達に代わって…私、シーラ・シェフィールドと…」
 ここで軽く深呼吸をする…続けて、
 「…フィムリード・フローティリスくん、パティ・ソールちゃんが引き続き司会を務めます」とアナウンスする。
 「…何やってんだか…あいつらは…?」ぼそりと呟くフィム…。
 「…さあね…で、これどーゆう競技なのよ?」と二人に尋ねるパティ。
 「ん、トーナメント形式で魔法戦をするんだとさ」と『誕生日会実施要綱』をめくりながら答えるフィム。
 「それでね、禁止項目は『開催都市に甚大な被害を与える魔法は禁止』だけとなってるわ」横から書類を見てシーラ。
 「……そ、そりゃそーよねぇ…」とパティ…ジト汗が一筋流れ落ちていたりする…。
 「あと、武器の使用もOKだとさ」とフィム。
 「ふぅん…魔法使いだから、魔法オンリーと思ってたけど、そーじゃないんだ」と感心するような口調でパティ。
 「じゃ、シーラ。まずは…こことここで…次は…」とトーナメント表を指し示しながら説明するフィム。
 「うん、わかったわ…えと、最初の試合を始めますっ」とマイクに向かうシーラ。
 更に続けて、
 「まずはAグループ第1ブロックと第2ブロック、それとBグループ第5ブロックと第6ブロックですっ」とシーラ。
 「選手は、Aグループ第1ブロックが『闇の賢者』エイル・アーガイドと『光の王者』フロスティア・ルーシェン…」
 と次々と選手の名前を読み上げるフィム…。
 一方、控室では…。
 「あの、大丈夫なの…?」「なにが?」「だから、ティアちゃんが…」と会話しているナッツとミュン…。
 「大丈夫ですよ、危険があるようなら最初からこんなことはやりませんから」とくちばしをはさむウェンディ。
 「そうですが…」いまいち納得出来ない顔をするミュン…。
 「まあ、心配なのはわかるさ…ちょっと耳かして…」と彼女の耳元で囁くナッツ…。
 「あ? そうだったの…?」「ああ、オレもちょっと心配だったしね」と苦笑するナッツである…。

 「Aグループ第1ブロック、第2ブロック並びにBグループ第5ブロック、第6ブロックの出場選手は集合するようにっ」
 と集合を促すリカルド。
 ちなみに試合場は4面に分けられ、審判は第1試合場がリカルドで第2がアルベルト、第3がロビン、第4がティルトである。
 「…本当に大丈夫だろうか…?」と不安気な口調で呟くティア…今、彼女は第1試合場で試合開始の合図を待っていた…。
 一方、対戦相手のエイルはというと…軽く背伸びをしていた…。
 「…ナッツさんの言う通りにするしかないか…」と呟き、腰に差してある木刀の柄を握り絞める…。
 それと同時に…リカルドは右手を高く上げて…そして…。
 「はじめっ!!」と振り下ろす!
 だけど…。
 「おいっ、こらっ!?」「試合、始まってるぞっ!」「フォスター隊長の合図が聞こえないのかっ!?」という審判達の声が
 第2〜4試合場から上がる…。
 「後でちゃんと試合するって。あっちの試合が気になんのよ、わたしは」と構えている対戦相手を無視して審判のアルベルトに
 向かい、こう答える『導き手』の麗芳…しかも地面にどっかと腰を下ろしているし…。
 みると…第1試合場以外の選手達も見物に回っていたりする…。
 憐れなのは…「あ、あの…?」…麗芳に無視された格好のさくら−麗芳の対戦相手で『樹の導師』である−であろう…。
 その『見物』対象になった第1試合場では…。
 「…どうしようか…?」木刀を正眼に構え、エイルの様子を探るティア…。
 しかし…。
 「君の方から来ないなら、僕から行くよ、”Fire=Ball!”」と詠唱なしで≪ファイア・ボール≫を発動させるエイル。
 「!? ”Rune=Barret!”」と横に飛び退り、すかさず≪ルーン・バレット≫で火球を粉砕するティア。
 「やっぱり、ナッツの生徒相手に≪ファイア・ボール≫はムリだったね」と感心するエイル。
 司会者席では…。
 「どーゆうこと?」「俺も詳しいことは知らんが…≪ファイア・ボール≫は、何かをぶつけるだけで防げるんだとさ」
 とパティの問いに答えるフィム。
 「ふ〜ん…それをナッツから教えてもらっていたんだ…」と納得するパティ…
 「そうかもね…それにナッツさんが一番得意な魔法は≪ファイア・ボール≫だって、ミュンさんも言ってたし…」とシーラ…。
 という会話が拡声器を通して会場に流れていたりする…。
 「ふぅ〜ん…そーなの…?」と控室にいたヒルダが横目でナッツを睨む…まあ、彼女の最強呪文が≪ファイア・ボール≫だから、
 仕方がないと言えば、それまでであるが…。
 「ははは…」と乾いた笑いをするナッツ…でも、内心は…(パティっ、シーラっ、余計なコトを言うなぁ〜っ)であった…。
 ちなみにミュンはというと…(誰にも言わないでって言ったのにぃ〜)と心の中でシーラに抗議をしていた…。
 横道それたけど…試合の方はというと…。
 (エイルさんに近づいて間合いを取らないと…だったら…)と思うや否や。
 「”Needle=Scream!”」と魔法を放つティア。
 「わっ!? ”Fire=Ball!”」と慌てて雨のように飛んで来る針を熔かすエイル。
 「今だっ!!!」とランニング・ジャンプしてエイルの面、目掛けて木刀を振り下ろす!
 しかし。
 「”Icicle=Spear!”」「!?」慌てて木刀で≪アイシクル・スピア≫を叩き落とす。
 「危ないなぁ〜、それで頭を叩いたらダメじゃないかぁ〜」とのほほぉんとした口調のエイル…。
 …き、緊張感がそがれる…。
 「そ、そんな…」少なからずショックを受けるティア…不意を突いたはずなのに先読みされていたのだ…無理もない事である…。
 「そんじゃ、次は僕からだね…”Bamming=Flare!”」と≪レイ・ブラスト≫に次ぐ威力を持つ対人攻撃魔法を放つ。
 「!!?」「なっ!!?」慌てて地面に伏せて、火炎の帯をやり過ごすティアとリカルド。
   ズッゴォォォンっ!!!
 …かわされた≪バーニング・フレア≫は、そのままコロシアムの壁に当たり…大音響とともにその一部を崩した…。
   しぃ〜〜〜ん
 …コロシアムに静寂の時が流れる…。
 「あららら…やっちゃった…」…自分のやっておきながら何を言ってやがるっ、オマエはっ!!
 「…両者、暫く待て…」と言う一方、(なんという破壊力だ…)崩れた壁を目にしながら立ち上がるリカルド…。
 (…やっぱり私の力量じゃあ…でも、せめて一矢は報いたい…けど…)と立ち上がりながらティア…。
 「それでは、始めっ」と試合を再開する…。
 (…やはり、この魔法でしか…でも、私の技量じゃあ……あ! そうかっ!)と何かをひらめいたらしい…。
 「それでは私の番ですね、行きますっ!」「どうぞ」…これまた、のほほぉんとした口調で答えるエイル…。
 一方のティアは…口の中で何かを呟き、そして、
 「たあーっ!!」と再びランニング・ジャンプしてエイルに向かって木刀を振り下ろす!
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 「だからね、これで頭を叩いたら危ないじゃないか」と右の人差し指と中指で木刀を受け止めているエイル…バケモンである…。
 「…って…あれ…?」…木刀を持っているはずのティアの姿が見えない…。
 その直後!
 「”Lightning=Javelin!”」「どわぁ〜〜っ!?」と零キロ射撃で≪ライトニング・ジャベリン≫の直撃を
 背中にくらい、情けない悲鳴を上げるエイル…。
 「や、やった…」とすぐさまエイルの間合いから離れるティア。
 …何の事はない…エイルに向かって突進する前に遅発発動で呪文を詠唱しておき、更に彼が指2本で白刃取りするや否や、すぐに
 木刀から手を離して相手の背中に回わり、すかさず≪ライトニング・ジャベリン≫をエイルに投げつけたのだ。
 無論、魔法の遅発発動を得意とするナッツの入れ知恵である…。
 「痛いなぁ、射撃呪文の零キロ射撃って結構痛いんだよ?」と背中をさすりながら場違いな事を口にするエイル…。
 「…そういうものかね…?」と思わず突っ込みを入れるリカルド…その口調は…只々呆れていた…。
 「そういうものですよ…今度は僕の番だね……”Sleep!”」
   ぽて
 「………フロスティア導師長を試合続行不能と見なし、エイル導師長の勝ちとする…」…いまいち納得のいかない顔でエイルの
 勝利を告げるリカルドであった…。
 一方、第2試合場では…。
 「……終わったな…それじゃあ…」「あ、審判、ちょっといい?」と言いかけるアルベルトをさえぎるように麗芳。
 「なんだ?」「わたし、棄権するから」「はぁっ!?」と素っ頓狂な声を出すアルベルト…。
 「だからぁ、棄権するんだってばっ!」とたたみかけるように麗芳。
 「そ、そうか…麗芳導師長の試合放棄により、さくら導師長の不戦勝とする…」と半ばしぶしぶとさくらの勝ちを告げる…。
 「ふう…というコトだから、次、がんばってね」「え? なんで?」と麗芳に言われ、きょとんとするさくら…。
 「だってね、あんたの次の相手、エイルだよ」「ほ、ほえぇぇぇぇぇっ!!!?」という絶叫が響き渡った…。

 「死んじゃう〜、死んじゃうよぉ〜」と顔に無数の縦線を走らせながら、控室でオタオタするさくら…。
 「まあまあ…大丈夫ですから、そんなに深刻にならないで下さい」となだめるウェンディ…だけど…。
 「エイルさんの対人魔法は≪レイ・ブラスト≫止りですから…」「…ねえ…ウェンディ…?」「はい?」
 「…≪レイ・ブラスト≫って、対人魔法の中で二番目の破壊力を持ってるんだけど…?」と呆れた口調で呟くヒルダ…。
 「まあ、当たったらちょっと痛いけどね」と横から口をはさむヨーコ…ホントに『ちょっと痛い』で済むレベルか…?
 「やっぱりっ、死んじゃうよぉーーっ!!」…既に錯乱状態になってるさくら…。
 「ヨーコっ、ウェンディっ! そーゆうのはウソでもいいから『大丈夫』と言うべきよっ!」と怒るヒルダ…それに対する答え。
 「ウソは嫌いですっ!」「そうそう、こーゆうコトははっきりと言ってあげなきゃ♪」…確かに…正論である…。
 「…そりゃね…お二人とも≪レイ・ブラスト≫が使えるからそー言えるんだけど…?」ぽそっと呟くジュリオ…。
 ちなみに指導的立場にいる『導かれし者』9人の魔法技量はというと…。
   1.≪メテオロイド・ストライク≫:ウェンディ、エイル
   2.≪レイ・ブラスト≫:ヨーコ、グスタフ
   3.≪ファイア・ボール≫:ヒルダ、さくら
   4.≪クリムゾン・ナパーム≫:ティア、ジュリオ
 となっている。
 え? ナッツはどうなんだって?
 それは…。
 「先手必勝〜っ! ”Sleep!”」「くっ!!」「うそぉ〜っ!?」…どーやら、≪スリープ≫で片をつけようとして
 失敗した人がいるみたい…。
 「ったく…お〜い、麗芳」「ん? なに?」「お前の妹、ちょっとばっかし吹っ飛ばすけど…いいか?」と尋ねるナッツ…。
 「淑芳ちゃんを? いいよ、死ななきゃ」「ちょ、ちょっとっ、麗芳さんっ!?」…姉に見捨てられ、思いっきりアセる淑芳…。
 「淑芳…そーいうことだ………”Scarlet!”」「んきゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」…対人魔法最強の攻撃呪文により、
 あっさりと吹っ飛ぶ淑芳…。
 それを見た面々は…。
 「…じ、自業自得…かな…?」とヨーコ…声が微かに引き攣っていたりする…。
 「…≪スリープ≫なんか使うから…」…冷ややかに言い放つウェンディ…でも、ジト汗が一筋流れていたりする…。
 「……あたし……棄権…しようかな…?」と脂汗だらだらで呟くヒルダであった…。

 …余談だが…トーナメントBグループは…豪快に吹っ飛ばされた淑芳を別にして…ナッツ、ウェンディ、ヨーコの3人を除き、
 全員、即座に棄権したという…。
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