１０月１０日…。
ぼんっ！ ぼんっ！
と花火の音が学園内に響き渡る。
「くぅ〜っ、どれだけ今日、この日を待ち望んでいたかっ！」と半分イっちゃってる陸上部のアルベルト。
「そうか…アルベルト、水を差すようで悪いけど」と呆れた声でエル。
「なんだ？」「誰もオマエのことなんか、眼中にないようだな…」指を差す方を見ると…。
「ねえねえ、今日の女子短距離走、誰が一着だと思う？」「パティ先輩じゃないかな？」「でもさあ、シェール先輩もいるよ？」
と中等部の女子生徒達…更に。
「男子２４００ｍ走にね、ルシード先輩が出るって」「それ、ほんとっ！？」「ほんとほんと、ルー先輩が言ってたもん」
「じゃあ、みんなでルシード先輩を応援しようよ」「「「おーっ！！」」」と高等部の女子達の黄色い声…。
「なんでだーーーっ！！？」「知るか…」とアルベルトに突っ込むエルさんであった…。
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「…そろそろ、出番だぞ…」ビセットに声をかけるルー。
「う〜、オレ、キンチョーしてきた…」「そんな事で緊張してどうする気だ？」「だって、オレ、アンカーなんだぜっ！」
「だったら、ウォーミングアップでもしてろ」「それだって、何回もやったよっ！」くってかかる様にビセット。
「なら、イメージトレーニングはどうだ？」とルーに言われて、やってるみるビセットだが…。
「どうだ？」「だめだぁ〜、ゴール直前で転んでビリになって、みんなから責められているが見えるよぉ〜っ！」「！？」
ちなみに…彼のイメージの中で…クラスメートのトリーシャが怖い顔をしてチョップ棒を握り締めていたという…。
結果は……半分イメージトレーニング通りにゴール直前で転倒して…その拍子に一着でゴールインしたと言う…。
「これより、高等部生徒対教師の綱引き競技を行います」とシーラのアナウンスが響き渡る。
「それじゃあ、いきますか」と張り切ってるリサ先生。
「あ〜、やだやだ。なんでこんなこと、しなきゃなんないワケ？」「まあ、年寄りのバーシアにはちょっとキツいかもね」
とからかうヴァネッサ先生。
「あのね…あんたとはっ、一つしか違わないわよっ！」…睨みあう二人…。
「やれやれ…」「いつもの事ですよ…」それを見て呆れるゼファー先生にフィム先生…。
「それでは…はじめっ！！」という合図とともに…一斉に手を離す生徒達−一人を除く−と綱を引っ張る教師達…。
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「…これじゃあ、アタシ達がバカみたいじゃないの…」「…そうね…」「…セリーヌくんがいた時点で気づくべきだった…」
「…次からはセリーヌを出場禁止にすべきだな…」「…不本意だけどね…」と口々に言う教師達…。
「あのぉ〜、大丈夫ですかぁ〜？」…セリーヌちゃんの腕力−それも片手だけで−の前に５秒もかからないうちに惨敗した
教師達であった…。
一方、注目の女子短距離走では…。
「そ、そんなぁ…」「写真判定ぐらい、用意してよぉ〜」「…トリーシャちゃん…競馬じゃないんだから…」とがっくりする
シェールに、同着一位に文句をつけるトリーシャ、そして…小声で突っ込むディアーナ…。
「あははは、二人ともおしかったわね」と笑いながらパティ。
「笑い事じゃないってばっ」「そうよっ」口々に文句を言うトリーシャとシェール。
「そんじゃ、次はあたしの番ね」「あら？ パティ様も次ですの？」と声をかけるクレア。
「へ？ クレアも次なの？」「はい、お互い頑張りましょう」と言いながらスタートラインにつく…。
「おい、パティ。さっさとスタートラインにつけっ」とスターターのルシードが促す。
「はいはい、と…」「…位置について……用意…」
ぱぁんっ！ ぱぁんっ！
「フライングっ！ 全員スタートラインに戻れっ！」「誰よっ、フライングしたのはっ！？」「パティっ！ オメェーだよっ！」
「あは…あははは…」愛想笑いしながらスタートラインに戻るパティ…他の選手の視線が痛かったりする…。
「ったく…仕切り直しだ…位置について……用意…」とルシード…スターターのトリガーを引き…。
ぱぁんっ！ ぱぁんっ！
「フライングだっ！ 全員、もういっぺんスタートラインに戻れっ！」「パティ様っ！ 一度ならず二度…」
「クレアっ、今度はオマエだっ！！」…クレアの台詞を途中でぶった切るかのようにルシード…。
「あ、あのぉ…？」「………」…パティの視線が…結構痛かったりする…。
「…位置について……用意…」
ぱぁんっ！ ぱぁんっ！
…今度は…二人同時のフライングであったりする…。
「…オメーら、いーかげんにしろよ…」…マジ切れしかかってるルシード…。
「ちょっとぐらい、いいじゃないっ！」「そうですわっ！」と抗議するパティとクレア…それに対するルシードの答えは…。
カシャ
「…今度、フライングなんかしてみろよ…キャンセルの合図の代わりに…このＳＢライフルが即座に火を噴くからな…」
…どこから出して来たのか、彼女達の目の前でライフルのセフティーを解除するルシードと…それを見て、黙って首をこくこくと
縦にふるパティとクレア…。
…とまあ、散々フライングやらかした割には…トリーシャやシェールの時と同様、同着一位であったという…。
それから…男子２４００ｍ走では…。
どたっ（×３）
トラックを走っていた学生３人が急に倒れる…。
「バカか…アイツらは…？」「まあ…最初から全力でとばしていたしな…」「中距離走というのがわからなかったのかしら？」
それを見て呆れるアルベルト、エル、イヴの３人…。
…観客の前を…担架で運ばれるアレフ、ルシード、ルーの３人であった…。