中央改札 交響曲 感想 説明

Secret Inquiry ≪後編≫
REIM


 「…あの…本気…ですか…?」…やっとの事でこう尋ねるリーファ…でも本当は『正気ですか?』と尋ねかったのだが…。
 一方、ザナはというと…固まっていたりする…。
 「ん、そうだけど? なんか、おかしいかな?」と小首を傾げる美穂。
 「い、いえ、そういう訳ではなくてですね…」…言葉に詰まってしまう…。
 「まあ、いっか」と言うや否や、表情を引き締め、
 「これから先の話はあたし達以外には聞かれたくないんで、尾行者の確認と排除、お願い」と二人に命令する美穂。
 「了解!」と言い残して、その場から消えるリーファ…当然、まだ固まっていたザナの首根っこを引っ掴んで…。
 彼らの見送った美穂はというと…。
 「さてと…挨拶しに行きますか…」と呟きながら部屋を出た…。

 数十分後、シェフィールド邸では…。
 「…というワケでぇ、お嬢さんも含めてジョートショップを監視しますのでよろしくです♪」と挨拶する美穂…。
 一方、『挨拶』されたセーラはというと…。
 「…………あのね……何かおかしくない……?」…しばし固まっていたのか、やっとの事でこう口を開く…。
 その傍らでは…取次ぎをしたジュディがティーセットを持ったまま、完全に固まっていたりする…。
 「おかしいですか?」「あのね、どこの世界に監視する相手の関係者に『挨拶』する奇特な人がいると思う?」と小首を傾げる
 美穂にこう言い返すセーラ…。
 「そうかなぁ?」「そ、そうかなぁって…」…言葉に詰まる…。
 「それにさ、こんなのやるだけムダだしぃ、だったら不愉快な思いをする前に挨拶した方がいいかなぁってね♪」とアルベルトが
 聞いたら…怒り狂って槍を振り回しそうな事をほざく美穂…。
 「………はあ……」…盛大な溜息をもらすセーラ…。
 …彼女が『デュルセル隊長の孫娘』と聞いてはいたが…厳粛、実直を絵に描いたような『祖父』とは違い、その『孫娘』の方は…
 些か『軽い』感じがする…。
 「…まあ、いいわ……それで用件はそれだけかしら?」と美穂に尋ねるセーラ。すると、
 「もう一つ、あるんだけど? それも重要なお話が」と美穂。
 「?? 何かしら、それは?」…『重要な話』と聞いて、身を乗り出す…。
 「シェフィールドさんが盗難事件について、今まで調べた情報を些細な事でもいいから全て教えて欲しいの」と切り出す…。
 これを聞いた瞬間、思考が停止してしまうセーラ…。
 しばらくして…。
 「……本気でしょうから、それについては聞かないけど…」と前置きしてから、
 「…あなた、頭の方、大丈夫なの? なんなら、それ専門のお医者さんを紹介するわよ…?」と続ける…暗に『正気なの?』と
 聞いているようなもんである…ちなみにジュディは…まだ固まっていたりする…。
 「なぁんか遠まわしにひどいコト、言われてるような気がするなぁ」と美穂…。
 「あらそう? だったら、お耳も診てもらった方がいいわよ?」「………そこまで……言います…?」…流石にむっとする…。
 「だいたいね、あなた、自警団員でしょう? それくらい自分で調べられるでしょうに」と何か…話に矛盾を感じているセーラ。
 「まあ、確かにそうですけど…あたしが欲しいのは『ジョートショップから見た情報』なんですよ」これは美穂。
 「それで聞いて、どうするの……って、なんであなたが事件に首を突っ込んでいるわけっ!? あなた、監視役でしょうっ!?」
 と話の矛盾に気づく…。
 「まあまあ、細かいことは気にしないで下さい♪」「気にするわよっ!!」としゃあしゃあと受け流す美穂に言い返すセーラ…。
 「シェフィールドさん、怒ると血圧が上がりますよ?」となだめる美穂の睨みながら、
 『あなたが上げているのでしょうっ!!?』と思うセーラだが…口のしたのは…こんな『強烈』な台詞であった…。
 「ふぅ〜ん…そんなこと言うんだ…じゃあ教えてあげない♪ あなたが何をしているのかを教えてくれるまで♪」
 ………この瞬間、立場が『大逆転』してしまい…半泣しながら洗いざらい『白状』させられちゃった美穂ちゃんであった……。
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 「…とほほほ…こんな目に遭うとは思わなかった…」…やっとの事でセーラが調べた情報を手に入れて『陽のあたる丘公園』で
 ベンチに腰掛けながら、情報の分析をする美穂…。
 「美穂さん、何を見ているのですか?」と何時の間に来ていたのか、彼女に声をかけるリーファ−ザナも一緒である…。
 「あなたも見る?」と二人にベンチに座るようにゼスチャーで示すとセーラからもらった『メモ』を渡す…。
 「こ、これはっ!?」目を見開くリーファとザナ。
 「あんな状況化でよく集めたと思うわ…」「『挨拶』は…『これ』を手に入れる為だったのですね…」と感心するリーファ。
 …玉石が交じり合った情報の中から『玉』の部分を洗い出し、そして…。
 「ザナくん、ショート財団の財務状況を極秘の分も含めて徹底的に調べて」「はいっ!」とある意味、非合法な指示を出す美穂。
 「それとリーファさん、ここ9ヶ月間のハメット・ヴァロリー氏の行動を全て探って」続けてリーファに指示を出す。
 …どうやら、ハメットが全ての鍵を握っていると判断したらしい…。
 「任せて下さいっ!」と頼もしい返事を返すリーファ。
 「あと、あたしは…シャドウの方を調べるわ…」…ともかく、事件解決に向けて…賽は投げられたのであった…。

 丁度その頃、自警団事務所では…。
 「しかし、よろしいのですか?」とノイマンに問うリカルド…。
 今ここ−第三部隊長室−にはノイマンとリカルドの他にティルト−当時、副隊長待遇で役職は主査−がいた…。
 「何がだね?」「盗難事件の件です。美穂くんでは些か荷が重いと思いますが?」とリカルド。
 「私はそうは思わないが?」「ですが…」「フォスター隊長、団長には何かお考えがあると思います」と口をはさむティルト。
 「ティルトも不満そうだな?」「ええ。どうして団長が資料室担当の美穂を指名したのか、わかりませんから」と答える…。
 「ふむ…ここから先は他言無用だ。いいな?」と二人の同意を得る…続けて、
 「実はだ、自警団資料室というのは隠れ蓑にすぎん。実体は…」と彼女が脱税や汚職の摘発を担当していた事を話すノイマン…。
 「…というわけだ…理解出来たかね?」この問いに頷く二人…。
 「ですが…大丈夫でしょうか? この事件は来年の3月まで解決しなければならないのですが?」とリカルド…。
 「だから、君やロビンの二人に『敵』の目を欺く為に囮をやってもらっているのだよ」これはノイマン。
 「…ロビンは凄く不満そうでしたけどね…」と呟くティルト…ちなみに当時、ロビンは先任チーフで副隊長待遇であった…。
 「心配する事はあるまい。何しろデュルセルの孫娘だ。無事に事件を解決してくれるさ」

 …9ヶ月後、美穂は無事に事件を解決し、そして…『真犯人』を暴き立てたのであった…。

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 「……美穂さんってばっ!!」「わっ!!?」と突然、横から声をかけられて驚く。
 「…びっくりしたぁ…なぁんだ、トリーシャちゃんじゃないのぉ…驚かさないでよぉ〜」とおっきな黄色のリボンをつけた少女に
 文句を言う美穂…。
 「だぁってぇ、美穂さんってば、いくら声をかけても気づかないんだもんっ」拗ねたように口を尖らせるトリーシャ。
 「ごめんごめん。それで何か用なの?」「あ、そだ。これ、ボクからの差入れだよ♪」と包みを渡す。
 「へぇ〜、クッキーだね。ありがと♪」と礼を言って受け取る。
 「えへへ、ちょっと作りすぎちゃってさ…ところで美穂さん、なに見てたの?」と手にしている書類を目ざとく見つける…。
 「あ、これ? フィムさんの冤罪事件の調査報告書よ」「ふぅん…って、あれ? それって、お父さんが調べたんじゃあ…?」
 と首を傾げるトリーシャ…。
 「ああ、それはね…フォスター隊長を囮にしてね、そのウラであたしが調べていたのよ」と美穂…更に。
 「でね、調査がまとまったところでフォスター隊長の名前で報告してもらったってわけ」と続ける…。
 …父親思いの娘の前でそういう事を言うべきではないと思うんだけど…?
 「…ふぅん…お父さんを囮に…ねぇ…」…ね、ぷるぷると肩が震えていたりするでしょ…。
 「…あのさ、トリーシャちゃん…なんでチョップ棒なんか持ってるの…?」…気づいた時には既に手遅れだと思おう…。
 「…お父さんを囮にしたからだよ…」「…あは…あははは…」…自分が『失言』をしでかした事に今頃気づく美穂…。
 「…で、最後に言い残すことはないの…?」

 …この後、美穂ちゃんがどうなったかは…みなさんのご想像にお任せする…。

     ≪Fin≫


 [あとがき]
  パティ「さて…今回は美穂を主役にした話だったわね」
  REIM「ええまあ。少し裏話をしますと…このお話、本来は第8幕で書く予定だったものなんですよ」
  パティ「第8幕? ああ、瑞穂が初登場した話ね。でもなんで、今頃?」
  REIM「まあ…久々に長編を書いてみようかなぁ〜って、記憶の片隅から引っ張り出してきたんですよ(苦笑)」
  パティ「ふぅ〜ん…で、次回作はだれが主役?」
  REIM「う〜ん…取りあえず、候補はフィム&シーラ、ティア、クリス&瑞穂の5人とでも言っておきましょう」
  パティ「いいかげんね…(呆)」
  REIM「…それ言わないで下さい…自覚してるんですから…」
  パティ「ま、自覚してるだけ、よしとしますか(手に持ってたフライパンをテーブルの上におく…)」
  REIM「…それ、何です…?」
  パティ「あんたの制裁用(断言)」
  REIM「………なぜ……?」
  パティ「さあね。でもさ、次回はフィムとシーラの二人、主役にした方がいいわよ。シーラのお母さん、怒ってたわよ」
  REIM「何故です?」
  パティ「………(無言でフライパンを手に取る…)」

   ……第19幕以降、二人が主役じゃなかったんだねぇ……。(←殴られて気づいた…)
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