中央改札 交響曲 感想 説明

ぱにっく・ざ・ぽーしょん≪中編≫
REIM


 さて、些細な紆余曲折な事があったが…取りあえずクレアが逃げた方向へ歩き始めるリオとティアの二人…。
 陽のあたる丘公園にさしかかった辺りで。
 「あれ? エルさんとマリアお姉ちゃんだ。どしたの?」お互い怪訝な表情で顔を見合わせてエルとマリアの二人−多分、何かの
 『理由』でケンカが中断したのだろう…−に声をかける。
 「あ?」「なぁんだ、リオじゃないの…それよりも…なにやってんのよ…?」…まだ、リオの服の裾を掴んでいるティアを見て、
 こう尋ねるマリア…。
 「うん…実は…かくかくしかじかで…」と二人に説明するリオ。
 「なるほどね…その結果、アルベルトのヤツがティルトを抱えて凄い勢いで走って行った、と」納得するエル。
 「え?」「いやな…ついさっきな…」とアルベルトがこの近くを走り去った事を説明するエル。
 「そ、そうだったの…?」ちょっとだけ呆然とするリオ…。
 「きゃは☆ ティルトも災難って感じぃ〜☆」人事の様に言うマリア。
 「うん、僕もびっくりしたよ…だって、こんなことをする人って…マリアお姉ちゃんしか思い浮かばないし…」…立ち直って、
 本人を前にして危険な事をさらりと口にするリオ…。
 「…なんか言った…?」「それについてはアタシも否定しないよ」「ぶぅ〜」エルにこう言われ、むくれるマリアちゃん…。
 「それでね、クレアお姉ちゃんを探すの手伝って欲しいんだけど…?」と話しかけるリオ…すると…。
 「…あ、あのさぁ…」…ジト汗をたらしながら、こう呟くマリアちゃん…。
 「……?」「…後ろを見てみな…」「え?」…エルに言われて後ろに振り向くと…。
 「………」………頬を膨らませ、リオの事を怒った目で睨んでいるティアちゃんがいたりする…。
 「…え…えとぉ…?」「………リオさんの……浮気者…」…こんな強烈な一言をぽそっと呟く…。
 「あ、あのっ、そういう事じゃなくてっ」「………」…更に睨むティアちゃん…。
 「……こ、これってぇ…『焼きもち』ってぇ…」「…言うんだろうなぁ…やっぱり…」…呆然と呟くマリアちゃんとエルさん…。
 一方、リオくんはというと…。
 (く、クレアお姉ちゃんのばかぁ〜っ!!)…こんなややこしい事態を引き起こした張本人を心の中で罵倒していたという…。

   カララン…♪
 「あ、いっらしゃい〜って、なぁんだ、マリアか…」『さくら亭』に入って来たマリアの姿を見るや否やあからさまに残念そうな
 顔になるパティ。
 「ぶぅ〜、マリアで悪かったわねっ!」それを聞いて拗ねるマリアちゃん。
 すると。
 「お〜い、マリア。それよりもだ…」と外からエルの声が聞こえる…。
 「…パティ…覚えてなさいよ…」と小さな声で呟き、続けて、
 「大丈夫。由羅、いないわよ」外にいるエルにこう伝える。
 ちなみに今、店内にはパティの他にリサとシーラ、それとトリーシャの3人がいたりする。
 「そうか…」と言って、リオやティア−どうにかなだめすかしたらしい…−と一緒に『さくら亭』に入って来るエル…。
 「一体、どーしたのよ?」とエルに尋ねるパティ…。
 「…それよりもさ、エル…あの二人、何時の間にくっついたのさ?」とリオとティアの二人−まだ服の裾を掴んでいる−を見て、
 こう尋ねるトリーシャ。
 しかも…『面白い噂話のネタ、みぃつけたぁ〜♪』という顔をしながら…。
 「ま、それは後で聞くとして…でも惜しかったねぇ、もう少し早く来てれば面白いもんが見れたのに」と笑いながらリオ達に
 向かってこう言うリサ。
 「あ、あの…もしかして、アルベルトお兄ちゃんのこと…?」…恐る恐る尋ねるリオ…。
 「そ。さっきね、アルベルトがティルトを抱えて飛び込んで来たんだ…」…込み上げる笑いを堪えるリサ…。
 「そ、それもさ、丁度、セリーヌがお茶してるところに…ね……ぷっ…」リサの後を引き取ったパティが堪え切れず、吹き出す。
 「それでどーなったんだよ?」「ふ、二人ともセリーヌさんに張り倒されてさぁ…」笑いながらエルの問いに答えるトリーシャ。
 「…二人とも…生きてるのかな…?」…ぽつりと呟くマリアちゃん…。
 「でもアルベルトさん、一体どうしたのかしら? なんとなくは分るんだけど?」と誰ともなく尋ねるシーラ…カウンターの下の
 辺りにちらっと目を向けながら…。
 (…そこに隠れてるんだ…)…事の張本人の居場所を突き止めたリオは…何も気付かなかったフリをして、
 「うん、誰かさんの作った変な薬のせいでね…かわいそうな事にティアちゃんとティルトお兄ちゃんが巻き込まれちゃったんだ」
 ワザとらしくこう続けた。
   ごんっ
 …カウンターの下から鈍い音が聞こえて来る…。
 「へぇ、珍しいコトもあるもんだねぇ。マリア以外にこんなコトをやらかすのがいるとはね」「ぶぅ〜」とからかうリサ。
 「そうなの。それでティアちゃんはリオくんに、アルベルトさんはティルトさんに…ってなっちゃったんだ」これはシーラ。
 「でもさぁ、リオくんだって満更でもないんじゃないの?」とリオを見つめてるティアを見て、こうからかうトリーシャ。
 「………そ、それよりもね、ちょっと手伝って欲しいんだけど…」…ちょっとした意地悪を考え付いたような顔をしながら、
 カウンターの方に近づくリオくん…ちなみに(ちょっといじめてやろっと♪)と思っていたりする…。
 「何をだい?」「えとね、さっきも言った誰かさんを捕まえたいんだけど」リサにこう答える。
   ごちんっ
 「それで捕まえたらどーするの?」とトリーシャがカウンターの下に隠れている人物に聞こえる様に意地悪く尋ねる。
 するとリオはワザと聞こえる様にこう言った。
 「そうだね………マリアお姉ちゃんの魔法実験の実験台になってもらっちゃおうかなぁ〜」
   どかんっ!!
 こう言い終えた瞬間、カウンターが派手に揺れた…。
 「そりゃ、いい考えだな」「きゃは☆ マリア、がんばっちゃうから☆」とこれまた意地悪そうに同意するエルとマリア。
 「うぅ……うぅ〜〜……」という唸り声がカウンターの下から聞こえて来たりする…。
 「はいはい、それくらいにしときなさいよ。ほら、クレア。早くそこから出て来て謝っちゃいなさいよ」
 流石にいたたまれなくなったのか、唯一人、カウンター下の様子が見えるパティが『みんなでクレアちゃんをいじめちゃおう♪』
 作戦をやめさせ、更にクレアに助け船を出す…。
 「も、申し訳ありませんでした〜」とまあ半泣しながらカウンターから姿を現すクレアちゃんであった…。
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 「それでね、クレアお姉ちゃん。どうしたら薬の効果をなくせるの?」とティアの方を向きながら尋ねるリオ。
 「……あの…これを見て頂けませんか…」それを受けて、一枚の紙を懐から取り出すクレア…。
 「これなに?」「はい…私が作った『お薬』の処方箋ですわ…」紙を受け取るリオ…。
 「どれどれ…」「これを元にして中和薬を作るコトになるワケね…」と横から覗きこむトリーシャ達…。
 「あ、でも、誰が中和薬を作るの?」誰ともなく尋ねるシーラ…。
 「マリアは論外だから…ナッツに頼むか…」「…ナッツさん…魔法薬の調合、出来ないって言ってた…」というエルの呟きに
 小声で…こんな突っ込みを入れるティアちゃん…。
 『…………』…押し黙る一同…。
 「…シェリルにでも頼む…?」…辛うじて呟くパティ…。
 「…それが一番いいかも……あれ?」もう一度、処方箋を覗き込み首を傾げるトリーシャ…。
 「どーしたんだ、トリーシャ?」「うん…この字の書き方、見覚えがあるなぁ〜って…誰だっけなぁ〜?」考え込むトリーシャ。
 そして…。
 「あっ! これ、マリアの字だよっ!!」『えっ!?』驚く一同。
 「へ? あ、ホント、マリアの字にそっくり………って、なぁんでクレアがコレを持ってるのよっ!?」とわめくマリアちゃん。
 だが…クレアが答える前に…。
 「マリアちゃん、その『お薬』、誰を『実験台』にするつもりだったのかなぁ〜?」…とぉっても素敵な『微笑み』を浮かべた
 シーラちゃんにこう聞かれるマリアちゃん…。
 「…え、えとぉ…」…でっかいジト汗をたらし、思わず後退りする…。
 …なにしろ、この時のシーラの顔を見たマリア、パティ、トリーシャ、クレアの4人が口々に『二度と思い出したくないっ!』と
 言わしめた程、『素敵な』笑顔だったという…。
 「まあ待て、シーラ。マリアへのお仕置きは後で好きなだけやらせてやるから…先にティアの方をどーにかしないとな」…かなり
 物騒な事−マリアにとって−を言うエル。
 「そうね」とここは一旦、引き下がる事にするシーラ…でも、まだマリアを睨んでいたりする…。
 (ここここの場から早く逃げないと…マリア、殺されちゃうっ!!)…睨まれて思いっきりアセるマリアちゃん…。
 そんな彼女の心うちを知ってか知らずか、
 「でもさぁ、結局はシェリルに頼むんでしょ?」と誰ともなく尋ねるトリーシャ。
 「そーだな、それしかないな」「だったら早く行って来たらどーだい?」同意するエルと急かすリサ。
 「それはそーと、今ドコにいるのよ?」これはパティ。
 「今の時間だったら…ローズレイク…かな?」答えるトリーシャ。
 それを聞いたリオはというと。
 「ローズレイクだね? それじゃあ、さっそく…」と『さくら亭』を後にしようとするが…。
   くい
 「わっ!?」…ティアに裾を掴まれている事に気付かず、転びそうになるリオくん…。
 慌てて振り返ると、
 「……私も一緒に行きます…」と呟くティアちゃん…。
 「そ、それはいいんだけど…ちょっとお願いがあるんだけど…?」「?」…可愛らしく小首を傾げる。
 「あのね、裾、掴むのやめてくれないかなぁ…動くと転んで危ないし…」とリオ。
 「…いや…」「…『いや』って言われても…」困った顔になるリオ…。
 こんな彼らを見ていたギャラリーはというと…。
 「あはは、ほんっとリオにベタ惚れね」「パティお姉ちゃん〜、笑い事じゃないよぉ〜」面白がって見ているパティ。
 「そうですわね、このまま、お付き合いしてどうでしょうか?」「クレアお姉ちゃんっ! 誰のせいだと思ってるんだよぉ〜」
 自分の『失敗』を棚に上げてしまうクレア。
 「あははは、リオくん。ティアちゃん、泣かしたらダメだよ」「トリーシャお姉ちゃんっ、それ、どういう意味なのさっ!?」
 こんな事を口にするトリーシャ。
 「ほら、早くシェリルのトコに行きなよ」というリサだが…目が笑っていたりする。
 「そんなこと言ってもぉ〜」情けない声をあげる…。
 そして、ティアの方に振り返り、
 「ティアちゃん、お願いだからさぁ、その手、離してよぉ〜」「いや…」…首を横に振る…。
 「そんなこと、言わないでさぁ〜」と拝むようにリオくん…それに対し、無言でいやいやと首を振るティアちゃん…。
 「ティアちゃんっ! その手を離してよっ!」このままでは埒があかないと思ったのか少しきつめの口調で言うリオ。
 「…そんな顔をしたってダメだよ」何かを訴えるような顔を見せるティアに対し、突き放すように告げるリオ。
 でも…。
 「……ぐす…あんまりです…」「わぁーっ!? お願いだから泣くのはやめてってばぁ〜っ!」女の子の『最終兵器』を出され、
 途端に慌てふためく…。
 「こらぁーっ!! さっき、泣かしたらダメだって言ったじゃないかぁーっ!!」と怒るトリーシャちゃん。
 「泣きたいのは、僕の方だよぉ〜」これはリオくん。
 そんなこんなをやってると。
   ぽんっ
 何かをひらめいたように手を叩くとリオとティアの側に来るシーラ。
 「ティアちゃん、手を出してくれる?」という問いかけに首を傾げながらも言われた通りに左手を出すティア。
 そして、彼女の左手を掴み、更にリオの右手を取ると。
 「ティアちゃん、これならいいでしょ?」と言って二人の手を握らせるシーラ。
 「うん…シーラさん、ありがとう…」…頬を朱に染めて裾を掴んでいた手を離すティアちゃん…。
 「シーラさんっ、あったまいい〜」と誉めるトリーシャ。
 一方…。
 「あ、あの…? もしかして…手をつないだまま、ローズレイクに行かなきゃならないの…?」戸惑いながら尋ねるリオくん…。
 「だって、ティアちゃんがこんなんじゃ、しかたがないんじゃないかな?」と答えるシーラ。
 「そーそー。ほら、早く行った行った♪」と急かすトリーシャ。
 半ば諦めてまわりを見渡し…ティアと目が合う…上目遣いでリオの事を見詰めていたりする…。
 (どうか…途中で由羅さんに会いませんように…)…こう思わざるえないリオくんであった…。
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