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導師長の『お仕事』ってなに…?〜プロローグ−導師長達の『相談』〜
REIM
時はフィムとシーラの結婚式からほぼ2週間後のこと。
魔法都市フィロンにある大陸魔導師協会本部内のとある一室では…『闇の賢者』エイル、『水の賢者』ウェンディ、『時の導師』
グスタフの3人が深刻な顔で何事かを相談していた…。
「………今の彼らの現状は、さっき話した通りだ」と先程から読み上げていた報告書から顔を上げるグスタフ。
「それでどうしますか? 来年は当番交代ですよ?」グスタフからの報告を受けてエイルに問いかけるウェンディ。
「そうだねぇ、確かに僕とウェンディは…来年で任期満了になるね」首肯するエイル。
「まあ、私には関係ない話だがな。一つだけ言わせてもらえばだ…来年すぐにティアにやらせるのもどうかと思うが?」と疑問を
二人にぶつけるグスタフ…。
少し解説すると…総勢24人いる導師長−正式には『導かれし者』−達は二人を除いて、一定年数の間、本部に在勤する義務を
負っているのだ…。
ちなみにその年数はというと。
1.任期8年…1人(対象者:『光の王者』、『闇の賢者』の2人)
2.任期4年…1人(対象者:『炎の賢者』、『水の賢者』、『地の賢者』、『風の賢者』、『樹の賢者』の5人)
3.任期2年…3人(対象者:残り15人の『導き手』)
なお、『時の導師』は永年常勤であり、また、『理の導師』については唯一人、非常勤とされていた…。
「そうですね…まあ、ティアさんばかりではないですが…」とウェンディ。
「確かにね。ナッツ、さくらも導師長になってから日が浅いしね」同意するエイル。
更に補足するかのように。
「それを言うならヒルダもジュリオも同様だがな」と口を開くグスタフ。
「そうですね…とりあえず8年の方は僕がもう一期続けることにして…4年の方はヨーコにでも…」というエイルを遮るように。
「そんなことしたらヨーコさん、キレますよ?」と言葉をつむぐウェンディ。
「そうだよなぁ…既にやってるしなぁ…」嘆息するエイル…。
「ああ。4年の方はヒルダ、ジュリオ、さくらの3人から選ぶしかあるまい…経験不足は否めないが…」とグスタフ。
その後、難しい顔を付き合わせていた彼らだが…。
「…やっぱり経験をつんでもらうしかありませんね…」というウェンディの呟きに…『どうやって?』とも聞かずにただ黙って
頷くエイルとグスタフの二人であった。
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ところ変わって、エンフィールド学園では…。
「クリスっ、コントロールが甘いぞっ! それとマリアっ! そのスペル、間違ってるっ!」「は、はいっ!」「ぶぅーっ!!」
「あの瑞穂さん、それはそうじゃなくて」「ひ〜ん、もう休みましょうよぉ〜」「そーだよぉ〜。ボク、疲れちゃったよぉ〜」
「それじゃあ、これが全部出来たら」「ティアちゃんのおにーっ!!」
…クリス、マリア、トリーシャ、瑞穂の4人がナッツとティアにシゴれていた…。
なにしろ…。
「そろいも揃って…魔法実技なんかで赤点取るか、普通?」…ジョートショップ経由で校長からクリス達4人の『補習授業』を
依頼されたナッツがこうグチをこぼしていた…。
その最中に。
「やってますね」とバスケットを手にしたシェリルがやって来た。
「あ、シェリルさん。こんにちは」「こんにちは、ティアちゃん。これ、パティさんからの差し入れです」と言ってバスケットを
ティアに差し出す。
「ありがとう御座います」「どう致しまして。それとナッツさん宛ての手紙を預かって来たんですけど」礼を言うティアと手紙を
差し出すシェリル。
「ああ、ありがとう。それじゃあ、しばらく休憩にするか」と言い終えると受け取った手紙の封を切り、内容に目を通す。
その横では…。
「わ〜いっ!」「やったぁーっ!」「じゃあさ、早く食べない? ボク、もうお腹ぺこぺこだよぉ〜」とまあ早速、パティからの
差し入れのサンドイッチを頬張るシェリルやティア達6人…。
すると。
「ティア、悪いけど明日からベルファークに行ってもらうぞ」と手紙を読み終えたナッツがこう話しかける。
「…ベルファークにですか…?」食べかけのサンドイッチを飲み込みながら尋ねるティア。
「ああ、本部から要請だ。まあ、オレも行くことになってるけどね」さっきの手紙をティアに渡すナッツ。
一方、話が全然見えない面々はというと。
「ところでさ、なんでベルファークだっけ? そこに行かなきゃならないの?」と興味深々に尋ねるトリーシャ。
「ん? ああ、『仕事』をしに、ね」「『仕事』? どんな仕事なのさ?」更に尋ねる。
「トップシークレット」「けちぃ〜」ことなげにこう答えるナッツ…。
でも…。
「マリアね、今こう思ったんだけど…きっとさ、トリーシャに説明すんのがイヤだったんだってね☆」と半分冗談みたいな口調で
からかうマリア。
だが。
「……マリア、今度から魔力制御の講義、3割増しな…」…図星だったらしい…。
「そんなのっ、オーボーよっ!!!」と顔を青くして絶叫するマリアちゃんであった…。
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