中央改札
交響曲
感想
説明
導師長の『お仕事』ってなに…?〜第1話−ティア達の『お仕事』は?〜
REIM
「え? 明日から、ですか?」と急に台所仕事をしてる手を止めて聞き返すミュン。
「ああ。どうやらベルファークで何か問題が起きたらしくてな、協会に助けを求めて来たらしいんだ」と愛娘をあやしながら
答えるナッツ。
正確には言うとベルファークだけでなく、シープクレスト、クイーンズポートといった南東岸交易都市群からの共同要請である。
「そうですか。でも急ですね?」少し首を傾げながらミュン。
「まあ確かに。それよりも留守を頼んだよ」「はい、あなた…」
一方。
「明日から…ですか?」赤毛の生徒に聞き返すエンフィールド学園の校長。
「はい。協会からの要請で…」申し訳なさそうに言うティア。
「はあ…そうですか。判りました、気をつけて行きなさい」「ありがとう御座います」と頭を下げるティアである。
翌日、ローズレイク湖畔では。
「それじゃあ、気をつけて行って来なさいよ」とティアにこう声をかけるパティ。
「あんまり無茶をしたらだめですよ」これはシェリル。
その一方…。
「ぶーっ!! マリアにはなぁ〜んにも言ってくれないわけっ!?」とむくれるマリア。
ちなみに彼女はショート財団の仕事でベルファークに行かなければならなくなった為、ナッツとティアに便乗させてもらう事に
してもらったのだ。
「心配すんな、マリア…オレもムシされてっから」と苦笑するナッツ。
「それはそうと、どーやって行くつもりだ?」尋ねるアレフ。
「ああ、ティアの練習もかねて、転移魔法で行くつもりさ」「え? 私がですか?」突然、話を振られてびっくりするティア。
「そろそろ≪シーン・クラビア≫を使えるようになってもらわないと」「で、でもぉ…」困惑するティア…。
「あのさ…ひとついい…?」と恐る恐るナッツに尋ねるマリア。
「なに?」「ひょっとして、ティアって…転移呪文へたくそ…?」この問いに黙って頷くナッツくん…。
「……ねえ、ティア…ためしにさ、パティかトリーシャでやってみてよ…」…ちょっとびびるマリアちゃん…。
「う、うん…あのパティさん、いいですか…?」「ん? あたし? 全然っ、O.Kよ♪」と安受けあいするパティ。
だが…。
「うっそぉぉぉぉっ!!?」というパティの悲鳴が響いたと思うと。
どっぼぉーんっ!!
という素晴らしい音も響いて来た…。
…とまあ…ものの見事に失敗していた…。
「え〜とぉ…」「…ティア、戻って来たら魔法制御の練習、倍増な…」「…はい…」…あんまりといえばあんまりの『結果』に
しゅんとうなだれるティアちゃんであった…。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「ここが…ベルファークなんだ…」感慨深くこう呟くティア。
「マリア、海って、はじめて見るぅ〜っ!!」海を見てはしゃぐマリア。
結局、彼らはナッツの転移魔法でここベルファークに来ていた。
「さてと…先にマリアの用事を済ませるか…」と口を開くナッツ。
「え? そんなのマリア一人で出来るよ?」と不思議そうな顔するマリア。
「お前みたいなトラブルメーカー、放っておけるか」「ぶーっ!!」ナッツにこう言われ、膨れるマリア。
「あ、あの、マリアさん。まずはどこに行くのですか?」と彼女をなだめるかの様に尋ねるティア。
「…セナス財団ってトコよ…」…まだむくれているらしい…。
「セナス財団か…それじゃあ、行くぞ」「ちょっ!? 行くぞって、場所知ってんのっ!?」驚くマリア。
「ナッツさん、ここで暮らしていたことがあるから…」「……なっとく…」とまあティアにこう言われ、思わず納得してしまう
マリアちゃんであった…。
『…………』…ストローを口に咥えながら居心地悪そうに押し黙るマリアとティアの二人…。
今、彼らはセナス財団の応接室にいるのだが…。
「お久しぶりですわ、ナッツくん。結婚式以来ですわね」「ああ。シーリアも元気そうだね」とまあ知り合いなのか、ナッツが
濃いすみれ色の髪の女性と世間話をしていたのだ…。
「あの…ナッツさん…?」…流石にこの雰囲気に堪えられなくなったのか、控えめに彼に裾を引っ張るティア…。
「ん? ああ、済まない。実は…」と目の前の女性にマリアを紹介する。
「まあ、モーリスさんの。父がいつもお世話になっております」と前置きして、
「わたくしはシーリア・セナスです、以後お見知りおきを」と優雅に自己紹介をするシーリア。
それに対して、「いえ、こちらこそ。わたしはマリア・ショートです」ぎこちなく言うマリア。
「それでどのようなご用件で?」とマリアに尋ねる…。
「え〜とね…」ここに来た目的を話し始めるマリア…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「…というわけなの」と説明を終えるマリア。
それを聞いたシーリアは。
「それは…困りましたわ。実は…」と今の現状を説明する…。
要約すると…。
今、ベルファーク一帯に『海賊』が出没して、交易船が襲われていたのだ。
しかもその中にはエンフィールド向けの物資を積んだ船も含まれているのだ。
それによって、交易コストが急上昇してベルファークばかりでなく、エンフィールドの物価が少しづつ上がっているのだ。
ちなみにマリアの『用件』は、エンフィールド向けの物資が届かない『原因』の確認だったのだが…。
「…そんなのどーすることも出来ないじゃなぁい…」と力なく答えるマリア…。
しかし…。
「意外にそうでもないさ」と断言するナッツである。
それから30分後の事。
「…ナッツさん、遅いですよ…」とジト目で睨むウェンディ…。
あの後、ナッツ、ティア、マリアの3人は船着場に移動していた。
「済みません。別件の用事があったもんで」取りあえず謝るナッツ。
「まあ、いいでしょう…ところでそちらのお嬢さんは…確か…」とマリアの方に目を向ける…。
「この前、実況席で自爆した」「ああ、マリアさんですね」と変な思い出し方をするウェンディさん(笑)。
「ぶ〜☆」「まあまあ」拗ねるマリアちゃんとなだめるティアちゃん。
「あの、そろそろ行かないと…」「あれ? さくらもこの件の担当だったんだ?」少し驚くナッツ。
「ちょっとちょっと。一体なにすんのよっ!?」と更に膨れてわめく様に尋ねるマリア。
「なにって…海賊退治ですよ」「はい?」このウェンディの答えに目が丸くなるマリアちゃんであった…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
船上の人となった彼らは…船室の一室で打ち合せをしていた…。
「…ということです。なにか質問は?」と見まわすウェンディ。
「いや、ないけどね…それそうとオレがリーダーですか…」ぼやくような口調でナッツ。
「当たり前じゃないですか。それくらい出来てくれないと困ります」たしなめるようにウェンディ。
「やれやれ…」肩をすくめるナッツくん…。
一方。
「あの…マリアさん、ティアちゃん…さくらのこと、手伝ってくれるよね…?」とおずおずと問いかけるさくら。
「え〜とぉ…そんなの、マリアに…」「マリアさん、ちょっといいですか?」と言ってマリアを部屋の角に引っ張ってくティア。
「な、なによ…?」少し強がるマリア…。
「済みませんが手伝って下さい、マリアさん」手を合わせて小声でお願いするティア。
「なんで?」「実は…」と交易が停止してシープクレストの経済が崩壊しかかってる事を小声で伝えるティア…。
ちなみにシープクレストはさくらの出身地である…。
「…でもさ、それだったらベルファークだって…」と疑問を口にするマリアだが。
「ムーンリバーを通してエンフィールドと交易してるからあまり影響がなかったんです」先回りして答えるティア。
「お願いします、マリアさん…」「……わかったわよ…」と言ってさくらの方に戻るマリア。
「…あ、あの…?」すっかりしょげていたさくらが顔を上げる…。
「マリアがなんとかしてあげるからさ、大船に乗ったつもりでいなさいって☆」と大見得を切るマリアちゃん。
「あ、ありがとっ!」ぱっと表情が明るくなるさくらちゃん。
でも、その横では…。
「…泥船の間違いじゃないのか…?」ぽそっと呟くナッツくん。
「ぶーっ!!」「ナッツさんっ!?」きっと睨むマリアとティア。
その最中!
「た、大変ですっ! 海賊船が出ましたっ!!」と船員Aが部屋に転がり込んで来た。
魔法使い達一同は顔を見合わせると、
「甲板に急ごうっ!」というナッツの合図とともに競争するように甲板に上がった。
「どうしますか?」『導きの杖』を手にナッツに尋ねるティア。
彼らの船に向かうかのように海賊船をまっすぐと進んでいた…幸いナッツ達の船が風上にいたので距離は少しづつ離れているが。
「そうだな…」「早く捕まえようよっ!!」同じく杖を手にしながらナッツにこう言うさくら。
「いや、このまま泳がせよう」「なんでよっ!? さっさと捕まえればいいじゃないっ!!」とナッツにくってかかるマリア。
「ここで捕まえてもさ、結局、トカゲの尻尾切りになりかねないからね」と杖で海賊船を指し示しながらこう説明するナッツ。
「つまり、このまま逃がして…敵のアジトごと…?」「ああ、その通りさ、ティア」首肯するナッツ。
「…そうか…そういう手があるんだね…」目先の事に目がいってしまった自分を恥じるさくら…。
ということで。
「ウェンディさん」「なんですか?」とウェンディ−見届け役として派遣されている−に話しかけるナッツ。
「海賊船の近くに≪メテオロイド・ストライク≫をお願いします」とお願いする。
「威嚇…ですか?」「そう。ちょっと脅せば…」「あっ! そっかぁっ!」順にティア、ナッツ、さくらである。
「はあ…わかりました…
”Meteoroid=Strike”
」杖を振って印を切るウェンディ…。
しかし…。
ひゅるるるる…
「あの…さくら達の上から…変な音が聞こえるんだけど…気のせいかな…?」「え〜とぉ…」…こんなさくらちゃんの指摘に
ジト汗をたらすウェンディさん…。
「ウェンディさん…まさか…!?」…これはティア…。
「あは…あはは…はは……失敗しちゃったぁ〜、てへ☆」…ぶりっ子して誤魔化すウェンディさん…。
「ぶりッ子して誤魔化さないでよっ!!!」「ゴマかすんじゃねぇっ!! このっ、ボケなすびぃぃぃぃぃっ!!!」
というさくらとナッツの罵声と同時に!!
どっごぉぉぉぉぉんっ!!!
ナッツ達が乗船していた方の船が……そりゃもう見事に轟沈したのだった…。
中央改札
交響曲
感想
説明