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導師長の『お仕事』ってなに…?〜第3話−『導かれし者』の真の役割は…〜
REIM
『かんぱ〜いっ!』という声とともにグラスが合わさる音が鳴り響く。
「ふう〜、一時はどうなるかなと思ったけど無事に終わったな」祝杯を一気に飲み干したナッツがこう口を開く。
ベルファークの商店街にある酒場ではナッツ、ティア、さくら、ウェンディ、ティム、リサ、ミレナの7人が祝杯を上げていた。
「そうですね。ちょっとしたアクシデントがありましたけど」「あの、ウェンディさん? 人事の様に言っていませんか?」
と突っ込むティア。
「うんうん、ティアのゆーとおり」これはマリア。
「でも、これでシープクレストは…もとどおりになるんだよね?」心底、ほっとした顔を見せるさくら。
「まあ、すぐ元に戻らないけど、今以上に悪くはならないハズだよ」とナッツ。
ちなみに…海賊達はどーなったかというと…。
「ナッツの≪ファイア・ボール≫とティムの爆弾であっさりやったなあ〜」と思い出すかのようにリサ。
ナッツの≪ファイア・ボール≫で頭領が、ティムの手投げ爆弾で幹部一同がその場で重傷患者にされたという…。
「それだけではないがな。しかし、あそこでティアやさくら、マリアが逃げ出した連中をまとめて足止めしたのは見事だな」
とティア、さくら、マリアの3人を誉めるティム。
逃げ出した連中は…よりにもよって魔女っ子3人娘(笑)がいる方へ逃げ、≪カーマイン・スプレッド≫による一斉攻撃を受け、
全員、『お星様』になったという…。
それを聞いて…。
「はあ……何も出来なかったですぅ…」溜息混じりに呟くミレナ…。
(頼むから何もしないでくれっ、ミレナっ!)とナッツ、ティム、リサの3人が…海賊達のアジトに乗り込む前に心の底から
こう願っていた事はご愛嬌である(笑)。
そんなこんなやってるところに。
「あれ? 何かしら?」と急に輝き出したアクアマリンのペンダントを手に取るウェンディ。
「ナッツ、あれのペンダントはなんだ?」「ああ、あれは『遠話の首飾り』といってね、宝石に遠話の呪文を付与したものさ」
とティムに答えるナッツ。
「ふぅ〜ん。それってナッツも持ってるの?」問いかけるマリア。
「ああ。オレだけじゃなく、ティアやさくらはもちろん、導師長達全員持ってるよ」と答えながらアメジストのペンダントを
マリアに見せるナッツ。
ちなみにティアとさくらの二人はそれぞれ、ルビー、ローズクオーツのペンダントである。
「………あ、はい。分かりました、すぐに彼らを連れて戻ります」とペンダントに向かって誰かと話すウェンディ。
「どうしたんですか?」ウェンディに尋ねるさくら。
「ええ、今、『闇の賢者』から連絡があって…みんな、すぐ本部に連れて来て欲しいと」と答える。
「エイルから? 一体なにがあったんだ?」首を傾げるナッツ。
「さあ。でも導師長全員集めるって言ってたから…」「なっ!?」さり気なく口にしたウェンディの台詞に驚くナッツ。
しかもティアもさくらも驚きの表情を隠せないでいたりする。
一方、何も知らないマリア、ティム、リサ、ミレナの4人はというと。
「協会本部に導師長全員が集まるのがそんなに驚くような事なのか?」代表して尋ねるティム。
「ああ。あまり詳しいことは言えないけど…4年毎の『お祭り』を除けば、導師長全員が集まることはまずありえないんだ」
控えめに答えるナッツ。
『………………』押し黙るティム達。
「ほえ?」…但し、ミレナちゃんは除くけど…。
「それよりも早く行かないと…」と少し急かすティア。
「ああ、そうだったな。それじゃあ…」と言って≪シーン・クラビア≫を唱えようとするナッツだが。
「ちょっと待ってよっ! ここでナッツがいなくなったら、マリア、帰れないじゃないっ!!」かなり慌てるマリア。
一方、ナッツはというと。
彼女のこんな声を聞くや否や呪文詠唱を中断すると続けてこんな台詞を口にした…。
「そういや、マリアと一緒に来てたこと、すっかり忘れてたわ」「それってワザとっ!? ねえっ、ワザとなのっ!?」
それからほぼ40分後、大陸魔導師協会本部。
「う〜、タイクツぅ〜」と本部内の談話室の一角でだれてるマリアちゃん…。
結局…一旦、フィロンに寄ってからエンフィールドに帰る事になったのだが…。
「ねえ、まだ終わんないのぉ〜?」と対面の白い翼を持った女性に尋ねる。
「あのねぇ…そんなこと、ティーファに聞かないでよ。ティーファだって分かんないんだから」
ナッツから『話し相手になってやってくれ』と頼まれたティーファが文句を言う。
「う〜」更にうなるマリアちゃん…。
あの後、≪シーン・クラビア≫で本部に転移したナッツ達一行は到着するや否やティア、さくら、ウェンディの3人は導師長達が
集まっている会議室へと向かった。
一方、ナッツはというと、マリアを談話室に案内した後、本部内の『どこか』に行ってしまったのだ。
とまあ、マリアが暇を持て余していると…。
「…お待たせしました…」とかなり憔悴した顔をしたティアが近づい来る…。
「ちょっ!? どーしたのよっ、やつれた顔なんかしてっ!?」びっくりするマリア。
「その様子だと…
また
、食い違ったってワケ?」とティアの後ろで立っているエイルに尋ねるティーファ。
「はい? 食い違ったって、なにがよ?」小首を傾げるマリアちゃん…。
「まあ、それについてはあとから説明しますよ。それよりもマリアさん、これから私達と一緒に来てもらえませんか?」
とエイルにこう言われて、『なんで?』とマリアは更に首を傾げた…。
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「…そーだったんだ…あれからティアも大変だったんだ…」と彼女に同情するマリア。
「うん…私、こういう『会議』に出るの、初めてだったし…」マリアに話した為か、少し表情が柔らかくなるティア。
「まあ、今日みたいなことは事態は滅多にないんだけど。ティアにはキツ過ぎたかな?」ちょっとだけ反省するエイル。
「あったり前じゃないっ! 国を滅ぼすかどーかをティアに決められるワケがないじゃないっ!」代わりに怒るマリア。
詳しく説明すると。
ある王国で…生き物が狂い死にするという『奇病』が発生したのがきっかけであった。
そして、その『奇病』の調査を行った結果、地下から採掘した魔法鉱物をある魔法薬−それも禁断の−に精製する際に発生する
廃液を川に垂れ流していた事により引き起こされていたのだ。
この件に関しては…ある貴族が勝手にやった事なので普通は王国政府に非はないのだが、過去、何度もこの手の非合法行為を
やっていた為、ついに協会側が堪忍袋の緒を切ってしまったのだ。
その為、この王国に対する『対応』を決定する事と相成ったのが…。
「でもさ、マリア、なぁんか面倒くさいよーに思うんだけど?」
そう、彼女の言うようにこういった『重要案件』に対する対応策の決定の仕方が複雑なのだ…。
その決定のプロセスは通常時、以下の順序で行われている。
1.長老会議(大長老及び長老全員で構成)で対応案を策定。
2.諮問委員会(本部在勤中の導師長6人で構成)で対応案を審査、承認または否決。
ちなみに協会で『重要案件』とされる事案は次の通りである。
1.死霊系魔術(ネクロマンス)を使用した者への制裁。
2.創造系魔術(クリエイト)のうち、『生命創造』を悪用した者への制裁。
3.大量虐殺ならびに民族純化を行った組織に対する武力行使。
4.前記事案に準ずると考えられる案件。
長老会議で策定された対応案が諮問委員会で審査、承認される事によって『協会の意志』として効力を持つ事になるが、時々、
諮問委員会で修正意見を付けて否決される場合がある。
その時に行われるプロセスは次の通りである。
1.長老会議で修正意見に基づき再策定または修正意見無視。
2.導師長総会(導師長23人で構成)で再承認または審査拒否。
そして…。
絶対にありえないと言っても過言ではない程、まれなケースになるのだが…再検討した対応案が長老会議にて『修正意見無視』
もしくは導師長総会にて『審査拒否』となった場合も想定されている…。
その際はどうなるかというと…。
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