中央改札 交響曲 感想 説明

彼方からの旅人 前章
天宮 昴


 建物と建物の間、その狭い隙間に一人の男が立っていた。
 年の頃17,8歳。まだ顔にあどけなさの残った青年だ。
「殺す………。殺してやる……………。」
 ポツリと呟く。
彼は天涯孤独だった。いや、正確には天涯孤独になってしまったと言うべきだろう。
 元は純粋だったのだろうその瞳も、今は憎悪の炎だけで埋まっていた。
 彼自身、己の中にここまでの憎しみがあるとは思わなかった。ここまで人を憎めるとは
思ってもみなかった。

 外の方から音が聞こえる。
「来た………。」
 その手には一本のナイフが握られている。そして、その存在が彼のこれからの行動を示
唆していた。
 足音が近付いてくる。
(もう少し………、もう少しだ………。)
 彼は瞳を閉じる。
 浮かんでくるのは死んだ家族の顔。
尊敬していた父、優しかった母、強かった兄。
 家族は、彼一人を残して全員死んでしまった。
「これで終わる。これで……………。」
 瞳を開く。
 一人の男が青年の視界に入った。青年は駆け出す。

「俺の父、母、兄。俺の家族を返せ………。」
 青年は、歩いてきた男にナイフを突き刺す。突然の事だったので、男には自分の身に何
が起こったのか、一瞬理解できなかった。
 自分の置かれた現状を理解した男は、大声をあげながら青年を突き飛ばす。この時、青
年の突き刺したナイフが抜けたため、男の二の腕から血が噴き出した。
 声を聞いたのだろう、離れた場所から男の護衛らしき人間が数人走ってくる。
 尻餅をつき、後退りしながら自分から少しでも遠ざかろうとする男を青年は見下す。
そのまま、一歩一歩男に近づいていく。
 後退りしていた男は、行き止まりに行き着いてしまい、それ以上青年から遠ざかること
はできない。
 青年は男の目の前までくると立ち止まる。
「俺の家族の痛み、苦しみ、思い知れ!!」
 そう言うと、青年は男にナイフを突き立てた。その切っ先は男の鎖骨を叩き折り、心臓
に到達する直前で止まった。
「ハァ、ハァ、ハァ……………。」
 膝を着き、肩で息をする青年。
護衛の男達が到着した時、緊張の糸が切れたのか、青年は気絶してしまった。


[後書き]
 お目汚しでした。
天宮 昴といいます。これが初投稿になります。
拙い文です。あまつさえかなり短いです。しかも全く悠久らしくありません。これだけで
は思い切りオリジナルです。
 ………まぁ、前章ということで許して下さい。次からは悠久らしくなるはずです。
また、アドバイスなど大歓迎です。叱咤、激励、誹謗中傷等々お待ちしております。
いや、まぁ、誹謗中傷は無いにこした事はありませんが………。

 それでは、ここまで読んでくれた方々に謝辞を述べて後書きとかえさせていただきたい
と思います。

 どうもありがとうございました。
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