中央改札 交響曲 感想 説明

時の調べ 第三十九話 戻らない『何か』
FOOL


寒風吹き荒ぶ朝。
今日も労働の喜びを覚えるために、
数人の男女がジョートショップへとやって来た。

「おはようございます皆さん」

そして出迎えるのは、最近黒髪紅眼に凝っている
ジョートショップの居候レニス―――ではなく、
珍しく人間大のサイズになっているフレアだった。

「ああ、おはようフレア。ところで、レニスの姿が見えないけど何かあったのかい?」

彼女に挨拶を返しながらも皆が席に着き、リサが皆の疑問を代弁する。
だが、それに答えたのはフレアではなく、丁度台所から出て来たアリサだった。

「ええ、今日はレニスクンに無理言って休んでもらったの」

「無理って・・・おば様、あいつに何かあったんですか?」

「実は・・・レニス君、昨日の夜倒れたのよ」

これには皆が驚いた。
昨日まで元気にしていたのに急に倒れたと
聞かされれば無理の無い反応だろうが。

「ええっ!?」

「それでっ、レニスは大丈夫なのか!?」

「はい、ご安心ください。レニス様は今朝にはお元気になられたようでしたから」

「レニスクンは仕事をするって言ってくれたんだけど・・・
昨日、あんな事があったばかりだから、なんとか休んでくれるように頼んだの」

フレアとアリサの言葉に安心する一同。
そして、どこか脱力したような雰囲気を背負ったパティが
レニスの現状を尋ねる。

「そう、だったんですか・・・それで、レニスは今は? 部屋で寝てるんですか?」

「いえ。休みが決まった途端にお出掛けになられました」


・・・・・・

・・・・・・

・・・・・・

・・・・・・

・・・・・・

『は?』


「ですから、今日の仕事を休むと決めた途端にお出掛けになられました」

「ちょっと待てい。倒れたんじゃないのか?」

「そうですが・・・どうかしましたか、アレフさん?」

不満というか納得できないという心情をありありと顔に出して文句を言うアレフ他数名。
だがフレアは何も言わずに、ただニッコリと微笑むだけである。
何も言わないフレアの代わりにリサが収めに入った。

「まあ良いじゃないかアレフ。ここ最近レニスはオーバーワーク気味だったし、禄に休んでなかったみたいだからね」

「そういう事です。それに、『お友達探し』と称して時折仕事をサボる誰かさんの仕事を肩代わりしたり、
いつも珍妙な魔法でトラブルを起こすお嬢様の尻拭いや、『冒険』と称して危険地帯へと進入する誰かの
救出等で色々と疲れも溜まっておられるようですから・・・・」

「「「うあ・・・・(汗)」」」

約三名撃沈。

「それとフィリア様もオーバーワーク気味だったようなので
エリザさんとキャッシーさんにお願いして無理矢理引っ張って行って貰いました」

穏やかなフレアの声。
普段ならばその声を聞けば心を和ませる不思議な空気に包まれるものの、
今日に限って、特定の人物達にとっては巧妙に隠された棘を感じざるおえない物だった。

「はい、それでは今日の朝会を始めましょうか。
まず今日お休みの方はシーラさん、エルさん、クリスさん――――」
















「ほう・・・それで今日は仕事が休みか。ほいよ、Cランチお待ちどう」

昼を過ぎて散開としたさくら亭の店主、陸見・ソールは、カウンターに座っている
黒髪紅瞳の将来の義息子(ソール夫妻の中では決定事項)の目の前に彼の好物を置いた。

「ああ。スマンな、パティをこき使ってるのに俺が休みで」

「構いやしねえよ。存分に使ってやってくれ」

はっはっはっ、と笑いながら幸せそうにCランチを口にするレニスから
視線をすーっと横にずらす。

「・・・で、天下のハルク・シェフィールド様が家の様な大衆食堂に何の御用で?」

「何、偶には娘と町に繰り出したくなるものなのだよ、陸見」

レニスの隣りに座っているのはハルク&シーラのシェフィールド親娘。
ちなみに陸見の正面にレニス。その右隣りにシーラ。その更に右がハルクである。
ハルクは娘夫婦(シェフィールド夫妻の中では確定事項)の様子を面白そうに見ている。

「はっはっはっ、偶にはラ・ルナのようなお上品なお店にでも連れて行ってあげたらどうだハルク」

「ふっふっふっ、家の家系は庶民的なのでね。あそこは息が詰まるのだよ」

「はっはっはっはっはっ」

「ふっふっふっふっふっ」

「・・・何を牽制してるのかは知らんが・・・人が飯を食ってる時に不穏な空気を流すな」

呆れたような顔をしながら手元の湯呑みを傾けるレニス。
隣りのシーラも困ったような顔をしながらホットミルクを口付けている。

「ああ、スマンスマン(ちいっ! よりにもよってシーラちゃんが休みの時に
こんなトラブルがあるとはっ!? くっ、この陸見・ソール、一生の不覚ぅ!!)」

「すまない、気を付けよう(ふっ、チャンスだぞシーラ!! これを機に一気に引き離すんだ!!)」

親父二人の思惑が目の前の二人に通じる筈も無く、
陸見にとっては焦燥感を煽らせる、ハルクにとってはもどかしい時間が続くのである。

「レニス君、身体の方は大丈夫なの?」

「ああ、ただ疲れが溜まってただけだから。心配かけたみたいで悪いな」

「ううん、レニス君が元気なら、それで・・・」

(くあーっ!! 気付くな! 気づくんじゃないぞぉレニスぅぅぅぅぅぅっ!!!)

(シーラッそこだ!! そこでこう、ぐっと手を取るなりしてその馬鹿に気持ちを悟らせろ!!)

今日もさくら亭は平和である。







最後の鳥の唐揚げがレニスの胃袋に収まり、
レニスがお行儀良く手を合わせた。

「ごちそうさまでした。・・・ところで陸見」

「ん? 何だ」

「腕が落ちたな」


ゴスッ


「この天才料理人に向かって失礼な。何を根拠に」

「いやなに。パティが作るCランチの方が美味かったんでな。
だったらお前の腕が落ちたか、パティの腕が上がったかのどちらかだろう」

おお! 何という事だろう。この言葉をぜひとも今すぐ娘に聞かせてやりたい。
陸見はレニスのこの言葉に凄まじい優越感を覚え、思わずハルクへ視線を投じる。

「・・・ふふん」

「っ・・・!!」

先程とは打って変わって陸見有利。
ハルクが非常に悔しそうだ。

「さて、俺はそろそろ行かせて貰う。行きたい所もあるしな」

「どこへ行くの?」

「花屋」

三人の顔が驚愕に染まる。
陸見は包丁で指を切り、
ハルクは飲みかけのコーヒーで咽返り、
シーラは同じ言葉を繰り返す人形のようになってしまっている。
そんな三人の反応に苦笑しながらも、レニスは、そこで何をするのかを、告げた。

「ルリハコベの花を、買いに行くんだ」

パタと、陸見とハルクの動きが止まる。
陸見はレニスを僅かに睨むように、
ハルクはやや憮然としたような、でも不安そうに。
それぞれ、視線を投げ掛けてくる。

「・・・卑怯だってのは、解ってるんだけどな」

「・・・・・・ふん、まあいい。行けよ」

顎をしゃくって外へ促す陸見に、
謝罪するかのように礼をしてこの場を立ち去るレニス。
少しして、三人の空気に飲まれていたシーラが、
レニスを追いかけるためだろう外へと出て行った。

「・・・あいつが、こういう事を言い出すという事は、だ」

「何か隠してること請け合い、だな」

「それも、あいつ自身に関わる事・・・」

互いに申し合わせたように、小さく息を吐く。

「全部教えてくれとは言わないがなあ・・・」

「それでも、もどかしい物を感じざるを得ないな」

少しばかり重くなった店内の空気。
それを払拭するかのように、陸見は大きな溜め息をついた。



無論、目論見が敗れ去ったのは言うまでも無い。











「レニス君!」

「シーラ? どうかしたか?」

「えっと・・・」

思わず飛び出してきてしまったが、自分は一体何をしたくて来たのだろう?
今日は出来るだけ一緒に居たかったから? それとも昨夜倒れたという話を聞いて心配だったから?
わからない。だけど、一つ言える事が確かにある。
さっきのレニスは、今にも、崩れそうだった・・・。

「その、私・・・」

なんと言えば良いのか解らない。
自分が立ち入っても良い事なのかも解らない。
でも、追いかける事は止められなかった。
自分にも、何か出来る事が在るのではないかと。
そう思って。
そんなシーラを見て、レニスは苦笑する。
どこか嬉しそうに。どこか安堵した様に。
そして、ホンの少しだけ自嘲する様に。

「一緒に来るか? シーラ」

シーラは、一も二も無く頷いた。








さくら亭へと戻る道すがら、リサは町の外へと向かうレニスとシーラの姿を見かけた。
今日の仕事は比較的簡単なものだった為、午前中で仕事が終了したのだ。

「どこへ行くつもりなんだろうねえ・・・?」

デート・・・にしては、シーラの表情が硬いような気がするし、
今のレニスの表情は、なんというか・・・穏やか過ぎた。
あんな顔のレニスを見たのは初めて―― 一部の人間には時折垣間見せていたが――だった。

「リーサッ! どうしたの?」

「ああ、イリスかい。いや、別に・・・」

突如頭に飛びついて来たイリスに思わず言葉を濁すが、
彼女は目聡く二人の姿を見つけると、僅かに意外そうな声を発した。

「あ、レニスとシーラ。ふーん、シーラも連れて行くんだ・・・」

「どこに行くのか知ってるのかい?」

「そりゃあ、ね。今朝レニスがボケーっとして呟いてるの聞いたから。
あ、そう言えば最近のレニス、なんだか焦ってる様な気もするのよね・・・心当たり、ない?」

「あんた等に解んないのにアタシに解る訳無いだろう?」

最もなリサの反論に「むーっ」と唸りながら首を傾げるイリス。
小さな声で「やっぱり、そうなのかな・・・」と悲しげに呟く彼女と、
さっきまで二人のいた辺りを見て、リサは言いようも無い悪寒に襲われ身を振るわせた。

「また厄介な事が起こらなきゃ良いんだけどねえ」

この、リサの不安そうな呟きは『今回は』杞憂に終る。
しかし、そう遠くない日に、彼女が想像もしなかった形で
この予感が的中するなど、この時点では、誰も予測していなかった。

・・・いや、もしかしたら、その騒ぎの中心となる人物だけは、気付いていたのかもしれないが・・・











青々と茂る木々。
水辺に咲く草花。
それらは自分達を歓迎しているのか。
それとも拒絶しているのか。
自分が手にしている花そのものが、自分を皮肉っているのだが、
まあ、今は気にしない方が良いだろう。

「レニス君、ここに何があるの?」

「ここは・・・ちょっとした秘密の場所だよ」

そう。秘密の場所。幼き日の聖域。
俺が認めた者以外に立ち入る事を許さなかった場所。
そして、二人が好きだと言ってくれた、取って置きの場所。
今の『俺』の始まりの場所。

「わあ・・・綺麗・・・」

背後のシーラが感嘆の声を上げる。
木々が開け、そこには美しい水晶のような輝きがあった。
ローズレイクの揺れる水面が陽の光を受け、数多の煌きを放ち、
その向こうに広がる故郷の町並みは瑞々しい活気に満ちている。

「こんな場所があったんだ・・・」

「秘密の場所だからな」

そう。秘密の場所。幼き日の聖域。
俺が認めた者以外に立ち入る事を許さなかった場所。


だから、


ここに誰か居るとすれば、


『皆』の内の、誰か、なんだ。



そう、例えば―――



「トーヤ先生・・・? どうしたんですかこんな所で?」

そう、例えば。
目の前で怖い顔をして俺の顔を睨む、このガキとか。














「邪魔をする。レニスはいるか?」

そろそろ午後のお茶の時間と言う所で、
ジョートショップにラピスがやって来た。

「あら、ラピスさん。申し訳ありません、今レニス様は外出されているんです」

「ふむ・・・そうか。何か伝言等は受けていないか?」

「いえ、私は特に・・・あ、少々お待ちください。レミア、居る?」

フレアはふわりと宙を舞い、二階に居るであろう妹に声をかける。
さして待つ事無く二階からレミアが降りて来た。

「フレア姉様、何か?」

「あのねレミア。レニス様からラピスさんへ、なにか言伝を頼まれていない?」

「主様から・・・ですか? いえ、何も」

「そうか」

大して落胆した様子も見せず、
手に持っていた大き目の封筒をフレアに渡す。

「例の件、ですか?」

「ああ、如月と睦月の協力が得られたからな。大分絞り込めては来たのだが・・・。
所で、あいつは大丈夫なのか? あいつがやっている事は幾らなんでも無茶だぞ」

ラピスの鋭い視線に貫かれ、思わず身を竦ませるフレア。
それに気付いたラピスも視線を緩め、小さく謝罪する。

「レニスがどれだけのバケモノかは知らんが、見た所あいつの力は
『壊す事』『創る事』『殺す事』『生き残る事』この四つに特化しているように見える。
『維持する事』に向いているようにはどうしても思えないが」

「それは・・・」

「確かにあいつの力は強大なのだろう。今回の事も造作も
無い事かもしれん・・・奴が、何時もと同じなら、な」

フレアとレミアの動きが止まる。二対の瞳が
困惑したような、驚いているような、複雑な視線でラピスを見ている。

「・・・何故、主様の・・・」

「俺の事を『盟約者』と呼んだのはレニスだと思ったが?」

「まさかっ、『見えた』のですか!?」

「いや、ただの勘だ。お前達の様子を見ると、あながち間違いでも無さそうだがな」

驚愕の声を上げるフレアに、身も蓋も無い返答をするラピス。
その答えを聞き、なんともいえない表情になる二人。

「これ以上用は無い。帰らせてもらう。・・・ああ、そうだ。もう一つあったな」

踵を返し、扉に手をかけた所で、ラピスは足を止めた。
先程の驚愕の余韻が残るまま、訝しげに彼を見る二人。

「美術品盗難事件の関係で調べてみて判ったんだが・・・」

首を回し、顔を半分だけこちらに向ける。
彼にしては珍しい事に、どこか悪戯っ子のような微笑みを浮かべている。

「アリサさんの旧姓が『エルフェイム』だという事、知っていたか?」

「「!!!」」

今度こそ、二人は完全に絶句し、期待通りの反応を得たのか、
ラピスは満足げな表情でジョートショップを後にした。














「トーヤ先生・・・? どうしたんですかこんな所で?」

そう聞いた後、私は気付いた。
トーヤ先生の顔が、今まで見た事も無いくらい怖い事に。
怖い顔はそのままで、ゆっくりと近付いてくる。
そして、数メートルはなれた場所で、立ち止まると、
再度、私達を睨みつける。
いえ、違う・・・?
私達、じゃなくて・・・レニス、君?

「『レニス』・・・か?」

「ああ。その通りだ。『トーヤ』」

ちょっとした違和感を感じた。
トーヤ先生も、レニス君も、なんだか、いつもと、違う。
まるで、仇敵を見るような眼をしたトーヤ先生と、
それを当然の事の様に受け止めているレニス君。

そして、


トーヤ先生は、


私の目の前で、


レニス君を、



殴り、つけた。


なんで、どうして、トーヤ先生がレニス君を・・・!?
レニス君が殴られた衝撃で仰向けに倒れる。
私はすぐに傍に駆け寄ってレニス君の身体を支えた。

「レニス君っ!! トーヤ先生! なんで・・・っ!?」

私の悲鳴は、レニス君の手で遮られた。
口を抑えられた訳じゃない。
でも、私の前に出たレニス君の背中が言っている。
何も言うな、と。

「これでチャラにしてやる」

「感謝と謝罪、どっちがいい?」

「どちらも迷惑だ」

そう言い捨てて立ち去るトーヤ先生は、何時ものあの人に戻っていた。
レニス君も、そんなトーヤ先生の背中を小さな苦笑とともに見送っていた。
この二人の間に、一体何があったんだろう?
聞く事は、許されないんだろうけれど・・・
解ってはいるけど、私は、胸に小さな寂しさを感じた。






心配と不安、そして寂しさの混ざる視線を向けるシーラを無視し、レニスは立ち上がる。
殴られた時も手放さなかった二つの花束を持って静かに歩き出したその先には、二つの小さな墓標があった。
草木と湖に彩られた空間で、レニスの闇色の髪が、焔の宿る瞳が、ゆっくりと元の甘栗色に戻って行く。
いや、以前彼の言った事を信じるならば、こちらが偽りの姿なのだろう。

「・・・お前達は、怒っているかな。
やるべき事をせずにこんな所に立っている俺を」

そう呟き、ルリハコベの花束を墓前に置く。
ローズレイクから吹く風が、小さく青い花びらを優しく揺らす。

「それでも、一度ここへ来たかった。お前達に会っておきたかった。
・・・結局は、俺の我侭だがな」

だが、一人で来るのも怖かった。
しかし自分の事を知っている人間に一緒に来られるのも怖かった。
過去の自分を知らず、それでも傍に居てくれる人。
そういう人物であれば、誰でも良かった。
シーラが追って来た時、嬉しさと、申し訳無さと、
そして、まるで自分が彼女を利用しているような錯覚に襲われた。
いや、事実利用しているのだろう。
我ながら情けない。全く反吐が出る。

「レニス君・・・」

「俺の、大事な奴が眠ってる。・・・二人とも幼馴染でな、一人は親友。
もう一人は・・・そうだな、妹みたいに思っていたかな。向こうはどうだか知らないが」

背後のシーラからの躊躇うような呼びかけに、レニスは視線を墓標に向けたままで答える。
今の、自分の顔を見せたくは無い。どんな表情をしているのか、何となく解っているから。

「泣かないで、レニス君」

「・・・・・・え?」

シーラが何を言っているのか、訳が解らない。
一体、誰が、何時、何処で泣いているというのだ。

「泣かないで」

「何を言っているんだシーラ。俺は・・・」

レニスの背後から白く、細い腕が回される。
シーラの体がレニスのの背中に密着し、
互いの心音が聞こえてくるような錯覚に陥る。

「レニス君は、悪くない。何も悪くないから」

頬に手をやってみる。
指先を濡らすものは無い。
自分は泣いてはいない。
ならば、何故。
こうも、シーラの言葉は胸に響く。


「・・・約束、だったんだ」


無意識の内に、言葉が口をついて出た。


「傍に居てやると。守ってやると約束したんだ」


抜けるような青空に、一匹の大きな鳥の影が舞っている。


「俺も、傍に居たかったんだ。守りたかったんだ」


陽光を反射する水面を、魚が跳ねる。


「なのに、なんで・・・俺は・・・」


足元を大きなどんぐりを抱えた一匹のリスが駆け抜ける。


「なんで俺は、こんな所に居るんだよ・・・っ」


レニスの眼から、涙は流れなかった。






ただ、レニスの心だけが、幼子のように泣いている――――――
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