中央改札 交響曲 感想 説明

ルーンの逆襲−No1
とも


 「ソレ」は前触れもなく、唐突に起こった。




 「デュークくん、今頃どうしてるかなぁ…」

 「何よ、またノロケ? だいたい、いっつも手紙のやりとりしてるんでしょ…」

 ローレンシュタインの空の下。後は卒業を残すのみとなったシーラは、呆れ果てる由紀
を無視して空を見上げていた。もうすぐデュークの元に帰れる、それが今のシーラの行動
力の源であった。そのデュークも先日遊びに来ていたし、今は少し遠くに行っているメア
とは違って由紀は二人の行動を知ってげっそりとしていた。

 「まったく…メアはここに残るって言い出すし。」

 「いいじゃない、それがメアの選んだ道なんだもの。」

 ムスッとした表情でぼやく由紀を、シーラは微笑みながら諭した。ため息をついた由紀
は、やっていられないとばかりに肩をすくめると、外へ出かけようし…動きを止めた。

 「…何?」

 動物的カンというやつか、耳はピンと張りつめたようにせわしなく左右に動き出す。尻
尾も緊張しているように動きを止め、目は警戒と恐怖の色に染まっていた。

 「由紀、どうし…!」

 ルームメイトの行動に異常を感じたのか、シーラも周囲に気を配り始める。しかし、そ
の一瞬後に…シーラ自身が身体に異常を感じた。

 「シーラッ!」

 「由紀、来ちゃ…だ…め…。なに…これ…。デュークく…ん……」

 駆け寄ろうとした由紀を目で制し、シーラはその場で自身の体を抱くように座り込んだ。
由紀は何もできずに立ちすくみ、ただ親友の成り行きを見守ることしかできず…

 「嘘…。シ、シーラァ―――ッ!!!」

 後には、石像と化したシーラがあるだけだった。





 「ティナさん、用意できたわよ〜♪」

 孤児院、ティナの部屋をノックしたのはローラ。今日はティナにお菓子の作り方を教え
てもらう約束となっており、早くもキッチンの用意はローラ一人で済ませていた。

 「ティナさ〜ん、いないの〜?」

 いつもなら、ノックの二〜三回ほどで出てくるはずである。仮にヴァナとなってしまっ
た場合でも、しつこければすぐに怒声と共に出てくるはずであった。しかし、今日はまっ
たくの無反応であるのだ。

 「変だな…ティナさん、お昼寝でもしてるのかな?」

 いくらローラでも、返事がない部屋にいきなり入ることはない。しかし、妙に静かな部
屋に違和感を感じたローラは、意を決して入ることにした。

 「ティナさん…? それともヴァナさん…? ……入るわよ?」

 キィ、という少しきしんだ音と共にドアが開く。そして、部屋の中の違和感と異様さに、
ローラは言葉を失った。

 「なんで…? なんでこうなっちゃうの…? …そうだっ! ぐ、紅蓮さん! 紅蓮さ
んに言わなきゃ!!」

 それを見たローラは、オロオロしながらも走って部屋を出ていった。…窓から指す光の
中、何も言わなくなったティナの石像を残して。





 「………と。これでいいですか?」

 「…う、うむ…よろしい。座りたまえ。」

 エンフィールド学園の数学の時間。居眠りしていた朋樹が指され、黒板の問題を解いて
いた。しかし、向こうの世界の数学がかなり進んでいたため、朋樹にとっては朝飯前のよ
うなものだ。

 「(ブイッ♪)」

 席に戻る途中、同じクラスのクリスとトリーシャに余裕のVサインを見せる。クリスは
苦笑するが、トリーシャはそれにVサインで合図した(もちろん教師に見つからないよう
に、だが)

 「え〜。次はそうだな…ん? どうした、朋樹。どこか具合でも悪いのか?」

 「い、いえ…なんでも…ない…で………」

 次に指す生徒を捜していた教師が、急にふらついた朋樹を見て驚いた。先ほどまで元気
だったはずなのに、今は重病人と変わらない顔色と息の荒さ…足下のおぼつかなさで歩か
せるのも危険に見えたのだ。

 「トリーシャ、クリス。確か朋樹とは仲が良かったな? すぐに保健室に連れて行きな
さい。」

 「「はい!」」

 「…くっ……もう…だめ……抗え…な………」

 すでに立ってもいられず、跪く(ひざまづく)ようにして朋樹は床に座り込む。……そ
して……

 「朋樹くんっ! なんで…どうしてこうなっちゃうの…?!」

 「先生、僕ちょっと早退しますッ!!」

 やはり石像と化してしまった朋樹。トリーシャは現実を受け入れようとはせず、朋樹で
あった像に抱きついて泣き出した。クリスは教師に一言だけそう言うと、一目散に駆け出
した。真っ先に…紅蓮に…現状を打破できるであろう友人の元へ。









 一方、さくら亭では

 「ったく、イタズラにも度が過ぎてるぜ…」

 「ああ、まったくだ。」

 紅蓮とデューク、二人そろってブツブツと文句を言いながらカウンターで一緒に遅めの
昼飯を食べていた。文句の原因は手紙で、「あなたの親愛なる人間を人質に取った」とい
う内容だった。しかし、紅蓮は朝方にティナと朋樹にあっているし、デュークは昨日シー
ラに会いに行って帰ってきたばかりだった。

 「消印も結構前だし…あん時の盗賊達か?」

 「さあ? ま、いーんじゃねぇの?」

 特に気にするわけでもなく、紅蓮は自作の炒め物を口に入れた。少し辛めのソースを肉
にからめ、適当な野菜で一気に炒め上げるという簡単なものだが、辛めの味付けが食欲を
そそる。暇つぶしに適当に作ってみたのだが…それが大当たりだったらしく、今はメニュ
ーの一つとなっている。

 「紅蓮さんっ!!!」

 そんなとき、血相を変えたクリスがローラをおぶって現れた。いつもからは考えられ無
いようなクリスの迫力に、紅蓮達は少し引く。

 「おう、クリス。そんなに急いでどうした?」

 「いいから来て下さいッ!! 朋樹くんと…ティナさんがっ!!」

 「紅蓮さん…ティナさん…石…像に……! うわーーーーーーんっ!!」

 「…な…?!」

 いきなりの事とに紅蓮は言葉を失った。クリスはその場に座り込むと声を押し殺して泣
き、ローラは紅蓮の服の裾に顔を押しつけると大声で泣きはじめた。

 「クリス、説明してくれ。いったい何があった!?」





 「ちっ…!」

 「ぐ、紅蓮ッ!!」

 みなまで話をを聞かず、紅蓮はさくら亭を飛び出した。パティが止めようとするも、す
でに姿は消えている。

 「まったく…二人ともこのままにして…」

 「…ぐすっ…」

 「紅蓮さん…」

 未だ泣き続けるローラを抱きしめ、髪をなでながらパティは呟いていた。

 「クリス、なにか変な気配は感じなかったのか?」

 「いえ、まったく…。でも、なんで朋樹くんが…」

 その中で、比較的冷静だったデュークはクリスに再度問いかけた。しかし、クリスはそ
れに対して首を横に振る。

 「紅蓮さんっ!! いますか!?」

 と、さくら亭に駆け入ってきた男の姿があった。

 「今日は来客が多いな…今はいないぞ?」

 「デュークさん、あなたにも関係あるんです。至急、魔術師ギルドに来て下さいッ!」

 「…ああ。パティ、すまないけどクリスの方も頼む。」

 遣いの者の真剣な表情に、デュークはすぐ首を縦に振る。そして、パティの方を見ると
苦笑しながら頭を下げた。

 「…はいはい。とっとと済ませてきなさいよ。」

 ワザと突っぱねたように手をヒラヒラとさせ、パティはデュークを追い出すように送り
出した。切羽詰まっている状況なのは確実であるからだ。

 「早くして下さいッ!」

 「今行くッ!」





 「デューク…シーラが…シーラが……」

 長の部屋に通され、見せられたのは…。水晶玉に映る、由紀の姿だった。つい先日見た、
明るく賑やかだった表情は見る影もない。目を真っ赤に腫らし、それでもなお涙をそのま
まに流していた。

 「由紀…シーラが…? シーラがどうしたっ?!」

 「シーラが…石…に………」

 それだけ言い、ゆっくりと由紀は水晶玉から見えなくなっていった…もとい、座り込ん
でいた。代わってローレンシュタインの長らしい老人が代わって水晶玉に現れると、少し
表情を堅くしてデュークに問いかけてきた。

 「デュークとやら。お主、この現象をどう見る?」

 「俺にそんなことを聞いていいんですか? それに、俺がそんなこと…」

 「なにを言う…お主の過去に関係があるのじゃぞ?」

 びしりとデュークの顔に指をさし、長ともあろう者が冷や汗を流しながら言い放った。
表情、その動作からいっても何かを知ったに違いない。

 「教えてくれ! いったい、シーラに何が起きたんだ?!」

 「…呪術じゃ。強大な魔力を持った何者かが、お主の想い人に呪いをかけたようじゃ。
 そこの誰がかけたまでは、儂にはようわからぬ。だが、お主とお主に親しい者の過去の
 行い…。それが関係していると出た。…心当たりはないのか?」

 「…俺と紅蓮に関係して…魔力の強大なヤツ………っ?!」

 一瞬、脳裏をかすめた者がたった一人だけいた。過去に初めて、紅蓮と共に闘った時。
その時、行方をくらまし、記憶の彼方から忘れ去っていた魔族―ルーンの存在が。

 「……その目、思い出したようじゃな。ならば$%@*#☆※………」

 「長ッ?!」

 ローレンシュタインの長が何かをしゃべろうとしたとき。急に水晶玉にノイズが走った
と思うと通信が途絶えてしまった。慌ててこちらから通信を試みるも、うんともすんとも
言わなくなってしまっている。

 「いったい何が…」

 『お久しぶりですねぇ…デューク。1、2年ぶりといったところですか。僕の贈り物は
 お気に召しましたかな?』

 ニヤリといやらしく笑い、ルーンは小馬鹿にしたようにお辞儀をする。それがしゃくに
さわったのか、デュークは睨み付けながら怒鳴った。

 「お前か…? お前が…シーラを石にしやがったのかっ!?」

 『ご名答。言うなれば、他にももう2,3方ほど芸術となってもらっていますがね。君
 はご覧になっていないようですね、デューク。最愛の人間が石像となった姿を…!』

 そう言い、高らかに大笑いをする。デュークはただグッと拳を握りしめ、その笑いに対
する怒りに耐えていた。

 『あと二週間。それ以内に彼女にこの薬を投与することです……。そうしないと、永遠
 に彼女は石像のままです。それまでにここを見つけてご覧なさい。……くっくっく…
 は〜っはっはっは!!』

 再び笑うと、ルーンの姿はプツッと消える。後の水晶玉には、いつまでも絶えることの
ないノイズが流れていた………





 「ちきしょうっ! ちきしょうっ!! ちきしょうっ!!!」

 床を――叩いていた。すでに拳の皮が無いかのように、止めどなく血がわいて出てくる。
周囲に広がる石の床にはヒビが入り、殴りつけている石の床は原形をとどめていない。砕
かれ、とがった石片は紅蓮の拳に深く食い込むが……紅蓮はそれでもなおすでに床ではな
く地面と化しているそこを殴りつけていた。

 「紅蓮さんッ、いいかげんに落ち着いて下さい〜!」

 「うっ…ぐぁ………っ!!」

 見かねたセリーヌが紅蓮を羽交い締めにし、その動きを止めた。普通の成人男性よりも
力のあるセリーヌでさえ本気を出さないと、今にもその手をふりほどかされそうだ。

 「悔しいのはわかります〜! でも、こんなことしてもいけないですよ〜!」

 「く…そ……ぉ…」

 珍しく怒った表情でとがめるセリーヌ。その言葉で、紅蓮はようやく暴れることを止め
た。力無くそこに座り込み、己の無力さをただ呪い、うつむいて涙を流している。

 「はぁ…困りましたねえ…。朋樹さんとティナさんは石にになってしまいましたし、紅
 蓮さんはこうなってしまいましたし。神父様、どうしましょう〜?」

 「そう言いますけどね、セリーヌ。私達の解呪の奇跡をうけつけない強力な呪いなので
 す。魔術師ギルドの長殿でも無理でしたから…」

 今、教会には石になってしまったティナと朋樹が連れてこられていた。あれからギルド
と神父が協力して解呪の法を幾度も試みたのだが、その呪いが解けることはなかった。

 「やっぱ、ルーンを探すしかないのか…」

 「そのルーンという魔族ですが…」

 なんとか自我を強く持っていたデュークは、くじけずにルーンの探索を行っていた。し
かし、協力を依頼していた者達でもその居場所を特定することができないでいる。

 「紅蓮…」

 「ティナを…ともを……ちきしょう………」

 未だ復活できないでいる紅蓮を見、デュークは心を痛めた。気持ちは痛いほどよくわか
る。しかし、最愛の人と…親友であり、血よりも濃い絆を持った弟が石と変えられたとい
う心の傷痕は…紅蓮を絶望の底に叩き落とすほど深いものだった。








 そして、何も手が進まないまま……一週間が過ぎた。





 「まだみつからんのかっ!!」

 「すいません…しかし、皆はすでに限界に近いのです。これ以上は…」

 「……わかった。今日は休めと皆に伝えよ。」

 「はい…。では、失礼します…」

 肩を落としたまま部屋を後にするギルドの若者を見送ると、長はため息混じりにイスへ
座り直した。この一週間、やれるだけのことはやった。しかし…未だ足取り、行方のつか
めないルーンという魔族への憤りに皆疲れ、絶望の文字が頭をよぎるばかりであった。

 「すまんな、紅蓮…。この儂では無理のようじゃ…」





 「………ここがエンフィールドか。」

 「ええ…。そして、紅蓮さんもここにいるはずです。」

 祈りと灯火の門を見ながら、会話をする男女二人組がいた。男の方は背中に届くほどの
銀髪と、魔族特有の縦に瞳孔の入った真紅の目を持ち…鋭い眼光を放っている。女の方は
赤の強い茶系の目の色と、背中まで伸びたストレートの黒髪をもち…独特な民族衣装っぽ
い服に身をまとっている。その外見は神秘的な雰囲気をかもしだしていた。

 「揚雲(ヤンユン)。本当にルーンもこの街にいるのか?」

 「ええ…この街には大きな湖もありますし、そこに島と古代遺跡もあります。ほぼ間違
 いありません。」
 男は疑り深く揚雲と呼んだ女に問うが、揚雲はキッパリとそれに答えた。

 「私達、「影の民」の占いに間違いはありません。そして…紅蓮さんも…」

 「あのバカ野郎、本気で死にたいみたいだな…。ヤツを殺すのは、最大のライバルであ
 るオレ様以外に無いというのに。自分の女が危機ならば、自身で動けば容易いはずが…」

 「すみません、カイルさん…。美月(メイイェン)のために…」

 「勘違いするな、そいつのためではない。オレ様のやりたいようにやっているだけだ。」

 カイルと呼ばれた男は、言葉とはうらはらに顔を少し赤くする。その後、突っぱねるよ
うに言い放つと先立って歩き出した。

 「まずは、紅蓮だ。あの根性無しを叩き直さねばならんからな。」

 「…判りました。紅蓮さんもお辛いでしょうが…まだ、諦めるときではない…ですから。」

 「ふん、だんだんわかってきたじゃないか。行くぞ。」

 足早に歩き出したカイルを追いかけ、揚雲は小走りに後についていった。




 「きっ…貴様、魔族だなっ?!」

 「黙れッ!!」

 その時門の監視をしていた自警団員が、カイルの目を見て殺気づく。しかし、それもつ
かの間。カイルの一喝に身を縮ませた。

 「オレ様が用のあるのは紅蓮のみ。…あのフヌケはどこにいる?」

 「ぐっ…魔族に教えるものかっ!!」

 「ほう…貴様、人間の…それも結果が分かるほどの弱者が。オレ様に逆らうか?」

 背負った、黒い刀身の巨大な両手剣をかまえるカイル。それだけで気に圧され、団員は
剣すら抜くことができないでいた。

 「カイルさん…時は一刻を争います。紅蓮さんの居場所なら、私が…」

 「ふん…なら、さっさと教えろ。心配するな、人間。オレ様はお前達の命なぞ興味はな
 い。先を急ぐぞ、揚雲。」

 「はい…」

 揚雲は申し訳なさそうに団員に一礼すると、カイルを案内するようにさくら亭の方角へ
と歩いていく。

 「…っ! みんなに報告しないと…!」

 その一挙一動を見ていた団員。そしてカイルの行動にポカンとしていたが、ハッと我に
返ると事務所へと走っていった。





 「邪魔するぞ。紅蓮はどこだ?」

 さくら亭のドアを乱暴に開け、カイルはずかずかと中に入っていった。中にはあれこれ
と試行錯誤中のリサとアルベルト、フィドルにリカルドの四人がいる。

 「…君は…魔族だね? そちらのお嬢さんは…影の民か。紅蓮くんに何か用かな?」

 すぐさま臨戦態勢に入った他の三人を抑えると、前に出たリカルドがカイルに尋ねた。
カイルはそれを見てニヤリと微笑うと、感心するよう頷く。

 「ほう……、人間にも少しは話の分かるヤツがいるみたいだな。残念だが、貴様に言う
 必要はない。オレは、紅蓮とやることがあるんでな。」

 「それを教えてはくれないかね? 私達にも事情というものがある。まずはそれを…」

 「…なるほど、紅蓮は上か…」

 冷たい笑みを浮かべ、リカルドの言葉を途切れさせてカイルは呟いた。無意識の行動で、
リサとフィドルが上への階段を守るように動いていたのだ。それを見たカイルは、紅蓮が
二階にいると確信する。

 「通してもらう。」

 「…断るといっても聞かないようだな。三人とも、下がっていなさい。……私が、相手
 をしよう。」

 リカルドが隙無く剣を抜き、カイルもそれに答えるように背中の大剣を抜く。が、そこ
へデュークが帰ってきた。

 「ただいま…って、カイル?! それに、揚雲も!」

 「ん? …貴様、デュークか。それなら話は早いな。」





 「そうか、そっちもか。」

 「ふん、オレ様の下僕に手を出す輩には鉄槌をくださんとな。そう言うわけで、紅蓮に

 会わせてもらう。」

 お互い事情を説明しあい、現状を理解した二組(といっても話したのは揚雲であり、カ
イルは揚雲任せにしていたが)。話を終えると、カイルはさっそく紅蓮の部屋へと行こう
とする。

 「待ちたまえ、カイルくん。会うといっても、今の紅蓮くんは非常に不安定な精神状況
 だ。無茶をされては困る。そこのところを…」

 「今のオレ様に、そんな余裕はない。手っ取り早くやらせてもらう。」

 それだけ言うと、カイルは紅蓮の部屋の前に立ち……言葉を失った。

 「……ひとつ聞きたい。何だ? これは………」
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