中央改札 交響曲 感想 説明

オテンバ王女の襲来!(笑) 3
とも


 場所は変わってさくら亭。

 「んで、なんで城を抜け出してきたんだ?」

 「ひょっとまっへへっ!!」

 よほど腹が減っていたのか、レミットは作法など関係なしに定食をがっついていた。脇
にいるアイリスは、それをとがめようとはせずゆっくりと食事をとっている。それに関し
て口を出すのはキャラットくらいであろう。

 「…レミット、少しは落ち着いて食べた方がいいよ…?」

 「いいのっ! んぐんぐ…………あ〜、美味しかった♪」

 最後に水でのどを潤し、満足げに呟く。目の前で現実に起きていることとはいえ、我が
家さくら亭で一国の王女が食事をとっているということが意外も意外。パティは呆然とレ
ミットの一挙一動を見ていた。

 「…えっと、パティって言ったわよね? あとジュースちょうだい!」

 「え? は、はい! 少々お待ち下さい!」

 レミットに呼ばれ、パティは敬語でそれに答えた。すると、レミットは面白おかしく笑
い出す。

 「あはは、別に敬語なんていいわよ。あたし、そういうの嫌いだから。」

 「…え?」

 そう言われ、パティは戸惑いながら紅蓮とキャラットを見た。紅蓮はレミットとつきあ
いが長いし、キャラットは一年以上同じパーティだったと聞いているからだ。いくら気の
強いパティでも、王女にいきなり敬語無しはできない。

 「ああ、こいつなんぞ呼び捨てでかまわねぇんだよ。言葉遣いも普通通りでいい。つい
 でに、いつもみたいにフライパンで叩いてやってもいいぜ。」

 「そんなことするかっ!!」

 スパーン!

 景気よくフライパンの一撃がヒットした…かのように見えた。実際には一瞬のうちにそ
れを防ぎ、その際に出た音が響いただけだったらしい。

 「くすくす…まったく、相変わらずですね。」

 「…ホント、なんであたしったらこんなヤツに惚れちゃったのかしら。」

 「紅蓮さんの内面に惹かれたんですよ、レミット様は。」

 レミットの言葉を聞いて、その場にいたパティが驚いたように紅蓮を見た(ピート、メ
ロディ、キャラットは気にしていないように飯を食べている)。アイリスはただ、微笑み
を浮かべてレミットに答えていた。

 「紅蓮…あんた、そんな趣味まであったの?!」

 「あるかぁぁぁぁぁい!!!! それに、「まで」っつーのはなんなんだよっ!!」

 パティのセリフに、紅蓮は思わず叫びながら席を立った。

 「紅蓮ちゃん、もてもて〜!」

 「ひゅ〜ひゅ〜!!」

 「…ボクだって…!」

 脇の半獣人族達は、マイペースにはやしたてたり燃えたりしている。一人、レミットは
ブスッとした表情でふくれていた。

 「いいじゃない…あたしだって恋くらいするもん…」

 「あ、ゴメン。そう言う意味でいったんじゃないのよ。ゴメンね、レミット。」

 「パティ、後で王宮に来てね。お礼してあげるから…」

 ふふふ、と含み笑いをしたレミットが、パティを見てつぶやく。その不気味さとプレッ
シャーに、パティは思わず身を引いた。

 「ちょ、ちょっと! さっきのはそういう意味で言ったんじゃないって言ったでしょ!
 それに、それって職権濫用よ?!(←何か違うと思うが)」

 急に死刑宣告のような言葉を聞かされたパティは、真っ青になりながら騒ぎ出した。少
しパニックに陥っているのか、動作もどことなくふらついている。慌てて弁解したりオロ
オロする様を見たレミットは、急に笑い出した。

 「……ぷっ…。あはははは、冗談、冗談よ! あたしが、その程度で怒るわけないじゃ
 ない♪」

 「へ? まったく、脅かさないでよね!」

 笑われてきょとんとなったパティは、我に返るとレミットの頭をぐりぐりと万力のよう
に締め付けながら言った…いわゆるウメボシと言うやつだ。レミットは抜け出そうとして
いるが、アイリスに今だけ見捨てられているため、逃げだすことができない。

 「いたたたた! 痛い、痛いってば! アイリス、ボサッと見てないで助けてっ!」

 「レミット様、少し度が過ぎてますから反省なさって下さい。パティさん、遠慮はいり
 ません。少し懲らしめてあげて下さい。」

 さらっと口に出たアイリスの言葉に、パティは呆然となった。レミットはパティに捕ま
ったまま固まっているし、紅蓮はそれを見てケラケラと笑っている。

 「…もういいわ、許してあげる。」

 「え?」

 ため息をひとつつくと、パティはすんなりとレミットを解放した。まだシメ続けられる
と思っていたレミットは、拍子抜けしたのか意外だったのかポカンと口を開けている。

 「なんだ、いつものようにシメちまえばよかったのに。」

 「だから、あたしはそんなコトしないってばっ!!」

 怒声と共に、パティ怒りのフライパン(400℃)が紅蓮に襲いかかるっ!!

 「甘い。…『アイシクル・スピア』。」

 じゅぅっという音と共に、熱せられたフライパンが冷やされていく。熱疲労を起こしか
ねないが、そこら辺は大丈夫らしい(何)。丈夫なフライパンである。

 「もういいわよ…。で、紅蓮。あた…」

 「無理。無駄。無謀。無意味。無知。無茶。…何か言うことは?」

 「…………そこまで言うことないでしょ、バカァッ!!」

 何をわかっているのか知らないが、紅蓮はレミットの言葉をさえぎった。しかし、ここ
まで言わなくてもいいと思うが…涙目になっているレミットが、かなり可哀想だ。

 「紅蓮さん、レミットが何も言わないのにそこまで言うなんて酷いよ!」

 「レミット、お前どうせエンフィールド学園に通いたくてここに来たんだろ?」

 「な、なんでわかったのっ?!」

 キャラットの抗議の声も聞かず、紅蓮はレミットに指を突きつけて断言した。いとも簡
単に自分のたくらみをあばかれ、レミットは困惑する…図星だったらしい(笑)。

 「…お前、前に魔法で有名なここの学園に通いたいって言ってたろ? 絶対にいつかは
 行動起こすと思ってたからな…」

 すっごく深刻そうな顔をして呟く紅蓮。紅蓮からするとかなり深刻な問題なのだろう…
魔宝探索の時に散々振り回され、面倒を見続けていたんだし…当時の苦労を思い出してい
るのか?(笑)

 「んで、おっちゃんの許可は?」

 「…お父様が許すと思う?」

 「だよなぁ…」

 一国の王をおっちゃん呼ばわりとは、紅蓮もよくやる。まあ、それだけいろいろと何か
あったんだろうが。

 「んで、どうするつもりだよ。」

 「…どうしよう…」

 「考えてなかったんかいっ!!」

 どうやら勢いに任せてここに来たらしい…レミットらしいといえばレミットらしいが。

 「アイリスさん…アイリスさんはそれ知ってて来たんすか?」

 「ええ、紅蓮さんならどうにかしてくれると思いまして。レミット様が学校に通いたい
 と思っているのを聞いていますし…そのお気持ちは尊重したんです。無理なお願いとは
 思いますけど…レミット様の夢をかなえてもらえませんか?」

 「紅蓮…お願い。」

 アイリスも同じくちのようだ。アイリスの事だ、レミットのためにいろいろと奮闘した
であろう。最後の望みをかける感じで直接このエンフィールドに来たようだ。紅蓮は頭を
ひと掻きすると、頭を下げているアイリスと真剣な目で見つめてくるレミットを見た。

 「…どーなっても知らねぇぞ?」

 「うん。」

 ため息混じりに紅蓮は言う。と、レミットはそれに大きく頷いて即答した。

 「言い出したからには最後までやるんだろうな?」

 「うん!」

 「途中で投げ出したりはしねェだろうな?」

 「そんなことしないわよっ!!」

 紅蓮の問いにも、レミットは間をいれずに即答した。やる気があるのはわかるが、紅蓮
はそれが空回りしないかと少し頭を痛めたが…覚悟を決めた。

 「ったく……しゃーねぇな。レミット、お前約束しろ。」

 「え?」

 「1つ、問題を起こしすぎるな。2つ、魔法対決はなるべくするな。3つ、学校の勉強
 をおろそかにするな。」

 「……それって…」

 レミットの言葉を聞かないかのように、紅蓮は指折り数えて条件を言い出す。

 「4つ、バイトを探して金稼ぐ事。以上の4つが守れるか?」

 「うんっ!! ありがと紅蓮ッ!!!」

 声をあげてレミットは紅蓮に飛びついていた。満面の笑顔で、紅蓮の首根っこにしがみ
ついて喜んでいる。

 「世話のかかる奴だな…。」

 「世話のかかる妹ってのも良いじゃない、お兄ちゃん♪」

 ピシッ

 抱きついたままのレミットの言葉に、レミットとアイリス以外の全員が固まった。時が
止まったかのように硬直し、1oも動く気配を見せない。

 「……紅蓮、そんな趣味あったんだね。」

 そして、入り口付近から声がする…学校が終わったので来た、朋樹達学生組だった。

 「ともっ?! つーことは…」

 「あ、トリーシャ!?」

 紅蓮が反応する間もなく、トリーシャはすでに逃げ出していた。なぜ逃げ出したのかは
わからないが…少なくとも朋樹とクリス、シェリルはほとんど動く事ができないでいる。

 「だーっ!!! レミット、お前のせいでいろいろ勘違いされちまうだろうがっ!!!
 時と場所を考えろっつーのこのバカ王女っ!!!」

 「そう呼んでいいって言ったのは紅蓮でしょ!!」

 「だから時と場所を考えろっちゅーねんっ!! 変な噂流れたらお前のせいだからな、
 レミット!!!」

 「で、あの娘は放っておいていいの?」

 レミットが指差した先には、何かをメモっているトリーシャの姿が窓の外に見える。い
ったん逃げたように見せかけ、窓から様子をメモっていたらしい。ビクッと体を縮こませ
ると、冷汗たらしながら苦笑し…ゆっくりと後ろに下がっていく。

 「あはは…紅蓮さん、そんなに怒らないでさ、ほら、ボクって…」

 「トリーシャ、問答無用だ! ……レミット、お前アイツ捕まえるの手伝えっ! 捕ま
 えたら、後で新しい魔法教えてやるっ!!」

 「ホントっ?!」

 「本当だっ! さあ行けレミットっ!!」

 それを聞いたレミットの目が輝きだした。すぐさま自分に風の精霊魔法をかけ、トリー
シャ目掛けて走り出す!(ああ、単純王女…(爆))

 「あんたっ、あたしの野望のために大人しくつかまってちょうだいっ!!!」

 「ちょ、ちょっと待って………うわわあぁぁ〜〜〜!!!」

 トリーシャも慌てて駆け出すが、風の加護を受けたレミットからはそう簡単には逃れら
れなかった。すばしっこさもアルザやキャラットに次ぐほどだし(謎)。

 パシィ!

 「キャッ!」

 身を低くしたレミットが素早く先回りをし、その足を払う! トリーシャは足払いに対
応できず、小さな悲鳴を上げて倒れてしまう。

 「あははっ、あたしの勝ちねっ!」

 「ううぅ…なんでぇ〜?」

 勝ち誇ったように仁王立ちし、Vサインまで決めるレミット。

 エンフィールドと言う限られたところで生活しているトリーシャに比べれば…1年以上
かけていろんなところを巡り、閉鎖遺跡の凶悪なモンスターをあっさりシバき倒していた
レミットの方が強いに決まっている。その後も、いろいろと面倒な事件を起こしていたの
だが…それはまた別だ。

 「トリーシャ、変な噂流してみろ………どうなっても知らねぇからな?」

 「(コクコクコクコク!)」

 倒れたトリーシャに、紅蓮は目の据わった笑顔で忠告(?)をする…そんな怖い笑顔で
見られては、トリーシャも素直に頷くしかない。紅蓮はそう告げるとため息をついて立ち
上がった。

 「レミット、後1つ。5つ、さっきみたいに俺を呼ぶな。」

 「え〜〜〜〜〜〜〜っ?!」

 「不満気に言うんじゃないッ! ちなみに、面倒くせぇから言っておくが泣いても笑っ
 ても拗ねても怒っても何しても駄目だからな。」

 「ぶ〜〜〜…」

 レミットの反応から見て、実はそう呼びたかったらしい(笑)。可哀想といえば可哀想
かもしれないが、またしばらく話のネタにされたりからかわれたり絡まれたりするのは嫌
みたいだ…紅蓮が。

 「パティ、適当に二人の部屋用意しててくれ。とも達は、二人を案内してやってくれ。
 俺は、学園長説得してからおっちゃんに話つけてくる。」

 そう言うと、紅蓮はため息をつきながら外へ出て行った。文句言うそばから行動起こし
てるあたり、レミットにはやはり甘いようだ(笑)。

 「はいはい。アイリスさん、宿帳の記入お願いできます?」

 「ええ、わかりました。」

 「ねえ、あんたが朋樹って奴?」

 アイリスが記帳してる間、レミットが話し掛けてきたのは朋樹だった。ちなみに、すで
に自己紹介は終えている。

 「……どうせ紅蓮が悪口でも言ってたんでしょ?」

 「えっ、なんでわかったの?!」

 やっぱり幼馴染、行動はすでにバレバレだったようだ。

 「それと……」

 「はいはい、紅蓮の昔でも知りたいの? 言ったら僕が危険な目にあうから、すまない
 けれど話せないよ。」

 「…………なんで人が言おうとしてる事がわかるのよぉ!!」

 紅蓮と朋樹、二人そろってレミットの言いたい事を遮って答える。納得がいかないのか、
レミットは怒り出してしまった。

 「だって、レミットの考えって読みやすいし。紅蓮から散々話も聞かされるから、ある
 程度の事まではわかるよ?」

 「…………ぅ〜。」

 紅蓮が自分の事を幼馴染にいろいろ話していたと言うことを聞き、レミットは複雑な心
境になっていた。嬉しいがなんとなく悔しい。

 それに、アイリスが手紙を出していた事は知っていたので…紅蓮をびっくりさせてやろ
うと近道を通ったはいいが、変なのに出会ってしまい計画はおじゃんになってしまった。
………でも。


 「……仕方ない…かな。」

 「え?」

 そんな呟きに、あれこれとエンフィールド巡りを思案していたトリーシャが気付く。聞
こえてはいなかったらしく、しきりに首をかしげている。

 「レミット、どうしたの?」

 「…ううん、なんでもない。」

 声をかけてきたトリーシャに、レミットはなんでもないと笑いかけた。トリーシャの方
もそれなら…といろいろと練った計画を話し始める。キャラットやメロディも話に加わり、
わいわいとにぎやかになる。

 「あら? 姫様、どうかなさいました?」

 「え? アイリス、なんで?」

 「いえ、とてもいい笑顔ですよ?」

 記帳の終わったアイリスもその輪に加わり、楽しそうにあれこれと案を講じていく。そ
んな中、嬉しそうに…楽しそうにしているレミットを見て、アイリスは静かに微笑んでい
た。



 「そう? アイリス、ありがと!」

 そんな言葉をかけられ、レミットはちょっと照れながら笑い返し…

 「レミットレミット。ここのアイス、美味しいんだよ?」

 広げたこの街の地図の上…キャラットが美味しいアイスの店を指差し…

 「それなら…あ、ここって可愛い洋服とか小物があってね…」

 トリーシャも負けじと自分の得た情報を元に洋服店を指差し…

 「うみゃあ、そこならメロディのおうちのすぐそばですよぉ? レミットちゃん、こん
 どいっしょにあそぶのだ〜!」

 トリーシャの指の近くに自分の住む家を見つけたメロディは、レミットにじゃれ付きな
がらそんなことを言い…

 「クリス、それなら僕達で学園を案内してあげようよ。同じ学校に通うんだしね。」

 「うん、いいかもね。」

 朋樹とクリスは、同じ学校に通うのなら…とどう案内しようかと相談をはじめ…

 「そういえば、レミットちゃんは魔法が…それなら、この街で使う魔法の魔道書を……」

 前に聞いたことがあったため、シェリルは魔法形態の違うこの街独自の魔法書(なぜか、
かなり複雑&高位)のあったところを思い出そうとし…

 と…皆、この街に来た新しい仲間を歓迎しようと自分たちなりに案を練っていた。





 その日、レミットとアイリスは皆に連れまわされながらエンフィールドの街を案内され
ていた。レミット自身の心配―王女である自分が、上手く溶け込めるだろうか…―という
悩みも悩むだけ無駄だったらしく、終始自然に会話を交わしていた。一番よく話していた
のは、やはりというか当然というかトリーシャだったが。


 気になったのでそれと無しに聞いてみると…

  「そんなことするのなんて、友達じゃないって。」by朋樹

  「ボクは気にしないよ?」byトリーシャ

  「僕は、気にしてませんけど…。あ、この口調はいつもの事なので気にしないでくだ
  さいね。」byクリス

  「気にする事じゃないですよ、レミットちゃん。」byシェリル

  「レミットちゃんはともだち・なのだ〜♪」byメロディ

  「そんなの、気にする事じゃねーって!」byピート

  「ボ…(以下略)」byキャラット(酷いよっ!(涙))

 と、それぞれ同じような返答が返ってきた(オイ)。




 その後、さくら亭でレミット&アイリスの歓迎パーティが催され…さらに様々な者達が
集まってきた。顔見知りであるティナやアルザをはじめ、ジョートショップ関係やら自警
団関係やら学園の生徒たちやら…さくら亭は大混雑になっていた。(緊急バイト:朋樹、
トリーシャ、ティナ、セリーヌの四人(笑)&費用:全て紅蓮持ち(爆))


 その後、レミットのエンフィールド学園編入も了承され…レミットとアイリスは晴れて
エンフィールドの一員となった。









 お・ま・け☆「紅蓮vsレミットの父(マリエーナ前国王)」


 「よ、おっちゃん。元気か?」

 『……………』

 エンフィールド学園の学園長は、レミットの父であるマリエーナ前国王の了承があれば
レミットの編入試験を認める…という結論を下した。当然、とそれを予測していた紅蓮は、
そのためにまたもや魔術師ギルドの長の部屋を占拠している。目の前の水晶球には、肩を
落としたマリエーナ前国王が落ち込んだ様子で映っていた。

 「…おっちゃん、レミット止められなかったな……」

 『レミットぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!』

 「?!」

 『なぜ私の選んだ学校が気に食わなかったんだぁぁっ!! 私は…お前のことを思って
 あの学校を選んだんだぞぉぉぉっ!!!!』

 「おっちゃん…」

 彼もレミットのためを思っていろいろと奮闘していたのだろう。涙を流しながら上を見
上げていた。紅蓮はそれを見…おもわず言葉を失う。

 『レミット………』

 「おっちゃん、気にすんなよ…レミットだってきっとわかって………」

 『レミットのためにあの学校を作って…』

 「は?」

 『名前も、親しみやすいようにレミットの名前にして…』

 「……(汗)」

 『生徒も、下民ではなく貴族階級の者ばかりを集めて…』

 「………(滝汗)」

 『学則も、はめを外し過ぎないように少し厳しめにして…』

 「ちょ………(少怒)」

 『学長は、私自らが………………………』

 「おっちゃん…(怒)」 

 『どうしたのだ、紅蓮………?』

 「………………」

 『紅蓮、わかってくれるのか…?』

 「そんな学校…俺だって逃げ出したくなるわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!(激怒)」

 前国王の言葉を聞き、紅蓮はおもわず声の限り叫んでいた。…ちなみに、脇にいた長は
すでに石となって固まっており…学園長はショックのあまり泡吹いて倒れている(爆)。
 …そんな学校で…喜ぶ人がいるのであればその人見てみたいです(汗)

 『なぜだ、なぜわかってくれんのだぁぁぁぁぁぁっ!!!』

 「わかってたまるかこんちきしょぉぉぉぉぉ!!!」

 目の幅涙を流す前国王の絶叫に、紅蓮はデカイ青筋立てて怒鳴り返す…(笑)。ほんま
に国王しとったんかい、あんた…(汗)

 『わ…私は良かれと思ってやったはずなのに…アイリスをはじめ皆が反対を……』

 「んなもん、俺だって反対するし存在すんのなら即座に消滅させたるわいっ!!!」

 少し暴走気味(というか暴走中?)になってきた紅蓮は、水晶球に掴みかかって怒鳴り
散らした。そりゃ…国王の判断とはいえ、そんな学校作られちゃみんな反対するわな…

 「おっちゃんっ! レミットはエンフィールド学園に入れるからなっ!」

 『なにっ?! レミットはすでに即位して王女なのだぞっ?!』

 本能的に察したのか、紅蓮は一方的に言い放つ。親には任せておけないとでも判断した
のだろうか(笑)

 「んなもん、おっちゃんならなんとでも誤魔化しできんだろうが! あいつに必要なの
 は…ダチと、国民を良く知るための生活だっ!」

 『なんと…レミットが………またあの人としての生活でない生活を?!』

 なんとも無茶苦茶言うオヤジである(爆)。そこまで言うなら、国民のために何かしろ
とか言いたい気分だ。

 「十分人としての生活しとるわっ!! 国を治める者として、そーゆーもんも知らにゃ
 どうしようもねーだろっ!!!」

 『紅蓮、レミットの生活費はどうするのだ?! レミットの所持金も少ないだろう!』

 それはそうだ。レミットが飛び出したときに持っていったのは、本当の意味でマリエー
ナ〜エンフィールド間の生活費くらいしかなかった…アイリスも同様だったはず。それは
すでに本人たちに確認済みだし、予想範囲内だ。

 「そんなもん稼がせるに決まってるだろうがっ!」

 『レミットができるわけ…』

 「バイトもできねーような甘ちゃんなら、閉鎖遺跡まで行けるわけねーだろーが…」

 『む………』

 もっともである。いくら仲間がいたとしても…皆が協力していなければ、パーティ自体
があの長い道のりを乗り越えられるわけがないのだから。

 「おっちゃん、も少しレミットのこと信用してやれよ…」

 『信用といってもな…私はレミットのことを思ってこそで…』

 「思ってんなら信用してやるこった。レミットももうガキじゃねぇんだぜ? レミット
 の起こした事件や後処理なんかはは俺が面倒見てやる…。住むところも仕事も心配しな
 いでくれ、なんとかするから。」

 『……………わかった。紅蓮、レミットのことくれぐれもよろしく頼むぞ。』

 途中で暴走していたものの、なんとか場は治まった。前国王もレミットのことを了承し、
紅蓮にレミットのことを任すと断言する。

 「ああ、任せとけって。」

 『そうそう、レミットが金に困るようだったら言ってくれ。すぐに何万Gでも……』

 「おっちゃん、その金の出所って…」

 『もちろん税金だ(断言&威張)』

 冷汗たらす紅蓮の言葉に、前国王はキッパリと言い切った(爆笑)

 「なに考えとるんじゃこのバカ国王がぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!」

 このとき、紅蓮はマリエーナまでとっとと行ってこの前国王をシバき倒したいと心の底
から思ったらしい…(笑)
中央改札 交響曲 感想 説明