中央改札 交響曲 感想 説明

学校へ行こう!
とも


 ガヤガヤガヤ…

 「おっはよー。」

 「よ、朋樹。今日も同伴出勤か?」

 雲ひとつ無く清々しい朝、学園の生徒たちが登校している。そんな中、相も変わらず二
人そろって登校している朋樹とトリーシャを見て、ラティンがからかうようにあいさつを
返してきた。

 「僕、居候の身だしね。お嬢様のご機嫌損ねると後が怖いし。」

 「お嬢様ってガラか? オレはどっちかと言うと……」

 わざとらしく腕組をして無意味に「悩める少年」を演じる朋樹と、苦労してるんだなと
言わんばかりに肩を叩くラティン…少しばかり芸が細かいと思うが。

 「ラティン、ボクってどっちかっていうとどんな感じなのかな?」

 「え?! あの、そうだな……」

 が、冗談通じそうに無いトリーシャに睨まれラティンは何も言えなくなってしまう。そ
の笑顔は、天使の笑顔と思えるほどに輝いてはいるが…それが逆に威圧感を放っている。

 「あ、そうそう。そういえばラティンは知ってる? 例の王女様の編入さ。」

 「ああ、昨日さくら亭で働いてた娘だろ? あれ、マジか?」

 「大マジだよ。先週の末にテストしてさ、今日あたり来るんじゃないかな?」

 「えっ、今日なの?」

 危うくチョップの餌食となりそうになっていた友人を、朋樹は話題を摩り替えることで
救えたらしい。その話題にのってきたトリーシャは、すでにラティンの悪口すら忘れてい
た。

 「みたいだよ。紅蓮、僕にトラブルを未然に防いでくれとか言ってたし。どこのクラス
 に来るかもわからないけどね。」

 「ふ〜ん……でも、王女様なんだし気難しいんじゃないか?」

 ラティンの意見ももっともだ。普通、王女とかあーゆー生まれの人間というとワガママ
だとか偏屈とか変にプライドが高いとか見下す嫌な性格とかお上品過ぎて近寄りがたいだ
とか思われがちだ(そうなのか?)

 「大丈夫大丈夫。なんてったって紅蓮がらみなんだよ? それに、そんなでも無いと思
 うけど。ね、トリーシャ?」

 「え? うん、ボクはそんなとっつきにくいような娘とは思わなかったよ。この前も楽
 しかったしね。」

 朋樹の変なところから来る自信は別として、トリーシャも同じような意見を言う。それ
を聞いたラティンは、なるほど、と頷いて見せた。

 「へぇ。トリーシャがそう言うならそうなんだろうな。」

 「おっはよー! ねね、何話してるの〜?」

 ドゲシィ!!×2(笑)

 「「いだぁっ!!!」」

 元気な少女の声と痛々しい鈍い音…と共に現れたのは、以前学園が占拠されたとき(学
園を取り戻せ!を参照)に暴れまわっていた姉妹の片割れ、カレアだった。目と同じ青色
のセミロングの髪をふわりとなびかせ…好奇心剥き出しといった感じで話し掛けてくる。

 「痛いなぁ…通り抜けざまにラリアットなんかかまして行かないでよ……」

 「ったく…そんなんだから男にもてないんだ…っでぇっ!!!」

 ボコッ!! ゲシィッ!!

 文句たれる二人のうち、禁句なことを言ってしまったラティンは…不幸にも二人も一気
に敵に回してしまったようだ。体重乗せた中段の蹴りに、これまた体重乗せたチョップを
まともに喰らっている…まったく、朝っぱらからテンション高いもんである。

 「そんな事言うなんて…女の敵ね。」

 「うんうん、酷いよね。」

 「(ラティン、正しいけどそれはやばいって…。尊敬するよ、迷わず成仏してね…(汗)」

 当然のように頷くカレアとトリーシャの横…朋樹は心の中でラティンにエールを送って
いた。んなこと口に出して言っちゃった日にゃ、ボコられること間違い無しだからである。



 「で、何の話なの?」

 気になっていたのか、落ち着いた途端にカレアは聞いてきた。トリーシャは待ってまし
たとばかりに、楽しげにそれに答える。

 「ほら、夜鳴鳥雑貨店であったレミット。今日から来るんだって〜!」

 「トリーシャ、それってホント?! 楽しそうじゃない!」

 ちなみに、カレアとレミットはその時に思いっきり意気投合していたりする。

 「でもさ、レミットって結構マリアっぽいところあるじゃない? あの二人が鉢合わせ
 にでもなって、対決なんて起きたら大変よね〜。」

 ビビクゥッ!

 カレアにとっては単なる疑問だったのだろうが…それは朋樹とトリーシャを十分ビビら
せる言葉だった。それを不審に思ったラティンが不思議そうな顔をする。

 「朋樹にトリーシャ、いったいどうしたんだ? そんな簡単にマリアが対決なんてする
 わけないだろ、そんなにビビることなんて…」

 「マリアがどうかした?」

 と、ちょうど登校してきたマリアが会話に入ってきた。

 「あ、紅蓮の知り合いが転校してくるって話でね。マリアに似てるって話してたんだ。」

 「え〜? って言うことは、すっごく可愛い娘なんだっ☆」

 「そうだね、結構可愛いよ?」

 「やだ〜、朋樹ってばうまいんだから☆」

 ご機嫌な表情で喜びだすマリア。どうにか「マリアに関して何の話をしているか」から
関心をそらす事には成功したようだ。

 「ま、どこのクラスに来るかはわからないけどね。」

 「そうなんだ。でも、どんな娘かマリア見てみたいな〜☆」

 ビクゥッ!!

 訂正……余計に関心を持ってしまったらしい(笑)

 「……………ま、今日か明日かはわからないしね。そろそろってことだから。」

 「ぶ〜☆ つまんな〜い。」

 キーンコーンカーンコーン…

 そんな事を話していると、HR10分前の予鈴が鳴り響く…実は結構話し込んでいたら
しい。

 「やばっ! あたしお先に失礼するわねっ!」

 そう言って疾走してくのはカレア。彼女のクラス担任は少々堅物で、時間厳守をモット
ーにしている上遅刻にはかなり厳しいのだ。朋樹たちのクラス担任は、超の字がつくくら
いに生徒に甘いが。

 「いってらっしゃ〜い。ボク達も早くいこうよ、委員長が五月蝿いし。」

 「うん、じゃあラティン、先に教室ついたほうが…」

 「昼飯奢りか、OK!」

 言い出しっぺの朋樹が走り出すと同時に、ラティンも同じく走り出す…先を読んでいた
らしい。そしてあっさり同意し、二人は学校の奥へと走り去っていった。

 「あ〜! 待ってよ二人とも〜!」

 「ちょっとトリーシャ、マリアを置いていかないでよ〜!!」

 遅れて女の子二人も駆けていく。余裕を持って登校するのはほとんど無いと言うくらい
日常的な光景だが…彼らにはそれがあっているのかもしれない。







 「で、俺は何でここにいるんだ?」

 学園の職員室の中…なぜか紅蓮はそこにいた。理由は簡単…

 「何でって、あたしのために決まってるじゃない。」

 「レミット様、そんな事を言っては編入を取り消されてしまいますよ?」

 「う〜…それはヤダ……」

 学園の制服に身を包んだレミットに、メイド服ではなく私服に身を包んだアイリスが脇
にいる。一応、保護者はアイリスと言うことになっているのだが…紅蓮もある種の保護者
であるとして編入手続きと説明のためにここに呼ばれていたのだ。

 「レミット…前頼むから無茶苦茶だけはすんじゃねぇぞ。俺だってここで授業とか進め
 なきゃいけねぇんだからな…」

 「えっ、紅蓮って先生なの?!」

 「臨時講師ってとこだ。魔法理論やら原理、実習講習とかをバイトでやってるんだよ。」

 意外そうな顔をして驚くレミットに、紅蓮はちょっと自慢げに話す。が、コホンという
せきが響いて二人は話を中断した。

 「紅蓮さん、そろそろ行きたいんだが。」

 「あ。すまねぇ、ガフォー先生。悪ぃが…あいつらとまとめて面倒頼むよ。」

 「大丈夫だろう。…まあ、あいつはサボりが多いがな。」

 穏やかに微笑う初老の教師に、紅蓮は苦笑した。くせものが多いあのクラスを受け持ち、
その連中と胃をキリキリさせる事も無く付き合っている、くせものなその教師に。

 「まあ、任せておけって。うちのクラスならすぐ受け入れてくれるだろう。さ、レミッ
 ト。今日からお世話になるクラスに行きましょうか。」

 「うん…じゃなくて、はいっ♪」

 ガフォーの後につき、レミットは鞄を抱えて返事をした。そしてアイリスと紅蓮に手を
振りながら、廊下へと姿を消す。

 「紅蓮先生、また楽しそうな生徒を面倒見る事になっちゃいましたね?」

 「俺は単なるバイトで先生じゃないスよ、アイリスさん。」

 クスクスと微笑うアイリスの言葉に、紅蓮は面倒くさそうに髪をかきあげて返した。





 「なぁ、今日は転校生が来るらしいぜ?」

 「マジ?」

 「ああ。しかも女の子だったし、すっげー可愛いんだよ〜♪」

 「〜〜〜〜!!!」

 教室に入った途端、そんな会話が聞こえてきた。話の元は朋樹のサボり仲間(爆)翔夜、
朋樹はそれを聞いて唖然と口を開けた。

 「ど、どうしたの朋樹くん?」

 「レミットがこのクラスに来る…」

 「え゛」

 隣にラティンもいるが、実際に話を知っていてこの場にいるのはトリーシャのみである。
顔を引きつらせ、トリーシャは面白い顔をして固まってしまった。

 「…おいおい、いったいなんだってんだ?(汗)」

 「…聞かないほうがいいよ。それより、その娘って金髪だった?」

 「なんで知ってるんだ? そうだけど…そうそう、なんとなくマリアに似てたぜ?」

 「…決定、レミットに間違い無しだよ。」

 心底疲れた口調で朋樹は呟く。翔夜達は何も知らないんだろうが…関係者である朋樹に
とっては頭が痛いことこの上ない。まあ、どうせ逃げようとするんだろうけど(ぉ

 「さて、僕はそろそろ行こうかな…」

 ガシッ

 「朋樹くん、どこ行くのかな?」

 トリーシャには行動バレバレだったりする。しっかりと襟足を掴まれチョップ棒を構え
られ…逃げる事不可能に近い。

 「いや、ちょっとトイレに……(汗)」

 「少しくらい我慢しなよ、もうすぐ先生来るんだからね?」

 「………………はい。」

 「…あれ? 朋樹君にトリーシャさん…何やってるんですか?(汗)」

 観念した朋樹と説得(脅迫?)しているトリーシャを見、トイレから帰ってきたクリス
は冷汗たらしながら何事かと尋ねていた。





 「それじゃ今日は転校生を紹介する。男子共、喜べ……女の子だ!」

 『おおおおおっ!!!!!』

 結構ノリが良いガフォーの言葉に、血気盛んで夢見がちな男共は歓喜の雄叫びをあげた。
女の子達はため息と共に、叫ぶ男子を冷ややかな視線で呆れたように見ている。

 「レミットさん、入ってきなさい。」

 「は、はい。」

 『お〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!』

 ガフォーの声で入ってきたレミットを見、一部の男たちがまたも雄叫びを上げる…お気
に召したらしい(笑)

 「えと…レミット・マリエーナといいます。みなさん、よろしくお願いします。」

 ぺこりと頭を下げ、少し緊張した面持ちでレミットは挨拶した。

   「…マリエーナ?」

   「ちょっと待てよ、レミットってまさかあのレミット王女か?」

   「嘘…でも、そうだとしたらなんで?」

 「あ〜、静かにしろ。」

 やはりマリエーナの名には生徒達も敏感に反応したようだ。そんな生徒達を、ガフォー
は普通に静める。

 「そんな些細な事は気にするな、大した事じゃないだろう?(些細じゃありません(汗))
 気になる者もいるだろうが、今のレミットはそんなもの関係ない普通の女の子なんだ。
 まったく、まだまだ人間ができていないな。」

 「先生、そういった問題ではないでしょう?(汗)」

 パクパクと開いた口がふさがらない&固まっている生徒達の中、何とか反論できている
堅物学級委員長・ロイ。が、いつもの調子は出ず一言のツッコミだけだ。

 「朋樹、レミットは紅蓮の知り合いと言うことだそうだからお前の知り合いでもあるな。
 席はお前の隣にしよう、周りの奴も仲良くやってくれ。…では、出席をとる。」

 事実だが、なんとも強引なこじ付けである。そして、ガフォーは何事も無かったように
出席をとり始めた…もちろん朋樹の懇願の視線は無視だ(笑)

 「…先生、僕は反論ひとつもできないんですか?(涙)」

 「ま、仕方ないんじゃない? これからよろしくね、朋樹。」

 肩を落とす朋樹をよそに、レミットはただ楽しそうに笑って席につく。

 「でも、王女様が通うようになるとはな〜。ここも結構有名じゃん?」

 「何言ってんの、あたしは紅蓮がいるから来たのよ? まあ、元々この街には興味あっ
 たけどね。」

 呟くラティンの言葉に、レミットは楽しげな笑みを浮かべて答えた。

 「ティナさんいるのに良く言うな、レミットさん?」

 「レミットでいいわよ。あたし、変に特別扱いされるのって大嫌いだから。」

 「…おう、わかった。」

 少しからかおうとしていたラティンだが、レミットの警告するような冷たい視線に素直
に首を縦に振った。本能的にヤバイと感じたのだろう。



 「(ラティン、よく我慢したね。)」

 「(なんかヤバイ雰囲気だったからな。)」

 前後の席である朋樹とラティンは、こそこそと目配せの合図を経て内緒話を始めた。す
でに一時限目の授業が始まっており、周りの連中はノートを取ることに夢中になっている。

 「(うん、良い判断だよ。レミット、簡単に言うと「魔法制御のできるマリア」なんだ。
 でも大丈夫、そんな簡単に魔法は使わないはずだから。)」

 「(なんでそう言い切れるんだ?)」

 「(紅蓮と約束したんだよ、ここにいるための条件として。でも…レミットだし…)」

 「(なんだよ、そのため息はっ!)」

 「(まあ、マリアよりは子供じゃないから大丈夫だよ。)」

 世間の厳しさを良く知っているといったことから、マリアよりレミットの方がある意味
大人だといえるが…精神的には同レベルかもしれない。





 「ねね、レミットってマリエーナの魔法使える?」

 神はイタズラ好きらしい…(笑)。休み時間になった早々、マリアがレミットに話し掛
けていたのだから。

 「うん、使えるわよ。じゃ、エンフィールドの魔法教えてよ。お礼にあたしのところの
 魔法教えるから。」

 「ホントっ? ラッキー☆」

 この間、わずか数秒(笑)。隣にいた朋樹が止める暇も無く、会話と約束は終了してし
まった…

 「…………………ね、ラティン。僕…今日はもう早退するから。」

 止める事のできなかった朋樹は、ポンとラティンの肩を叩いたと同時に駆け出していた。
ただ声をかけられただけのラティンは唖然とし、いきなり姿を消した朋樹の行動にその場
の生徒たちは首をかしげた…が。朋樹がサボるのは結構あることだし、様子が変だったと
判っているラティン以外の生徒はすぐに平然と次の授業の準備に取り掛かった。レミット
も紅蓮から聞いていたりするため、平然としていたりするが。

 「あ〜! 逃げられた〜!!」

 訂正、もう一人事情を知っている人間がいた。あっけにとられていたため、朋樹を逃が
してしまった…トリーシャが。





 カランっ!

 「紅蓮、たいへ……」

 「ドアが壊れるって言ってるでしょっ!!!!!」

 ベヂィッ!!!! ゴスッ!!!

 壊れんばかりの勢いでドアを開けた朋樹を待っていたのは、パティのフライパンだった。
ちょうど勢いに乗っていた朋樹の顔面にヒットしたため、慣性の法則に従い首から下だけ
が前に進もうと力が働き……頭を床にこれもでかと言わんばかりに打ちつけてしまう。

 「……………あっちゃ〜…やりすぎちゃったかな…」

 「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」

 ちなみに、朋樹は顔と後頭部を押さえながら床をのた打ち回っていたりする(笑)。

 「…パティ、お前いったい何やったんだ?(汗)」

 と、ちょうど二階から盛大な音を聞きつけて紅蓮が降りてきた。どう見たってパティが
朋樹をシバキ倒したようにしか見えない状況だ。

 「ぐっ……紅蓮、大変だよ………マリアとレミットが……………(黙&気絶)」

 それでも自分のやるべき事を忘れていなかった朋樹は、それだけ言って気を失った。か
なり強烈だったようだ……そのままピクリとも動かない。

 「パティッ!! ドクター呼んでこい、洒落んなんねぇぞっ!!(汗)」

 「わ、わかったっ!!」

 気絶以前に逝きかけているらしい朋樹の状況に、紅蓮の言葉でパティは慌ててクラウド
医院へと駆けていった…………




 ……………………だだだだだだだだっ!!!!!

 「朋樹君、大丈夫ですかっ?!」

 自慢の駿足を生かし、ディアーナがトーヤを置いて駆け込んできた。が、よく見ると顔
面強打の際に流したであろう鼻血が朋樹の顔を少し赤く染めていた…

 「はぅっ……」

 ばたっ(爆)

 血にはまだ弱いらしい(爆)…そして朋樹が血を流しているというショックも重なり、
ディアーナはあっさりと没する(笑)。

 「まだ治ってねぇんかよっ! つか、せめてともの前くらいは根性見せろって…」

 思わずツッコミ入れる紅蓮(笑)。そして、ディアーナは朋樹に覆い被さるようにして
気絶してしまった(汗)

 「……まったく、最近慣れてきたと思っていたのにな…また気絶か。」

 「ドクター、とりあえずちょいと診てやってくれ………」

 少し遅れて到着し、すぐさま頭を抱えたトーヤの肩を叩き…紅蓮は疲れたように言うの
だった。



 「ま、頭部に強い衝撃はあったが脳震盪程度だろうな。怪我もたいした事は無い、しば
 らく経てば気付くだろう。…紅蓮、こいつは放っておいてくれ。」

 朋樹の診断を終え、トーヤはたいした事は無いと判断を下した。…朋樹の横に寝ている
かなり不肖の弟子に向かっては冷たい言葉&視線を向けているが。

 「万一にも弟子なんだろ…優しい言葉くらいかけてやれよ…(汗)」

 「血を見て気絶しないようになるまでは問題外だ(キッパリ)」

 さらに苦労していたらしいトーヤは、慈悲も無しにキッパリと言い放つ。いい加減慣れ
て欲しいものなのだろうが…

 「っ!」

 と、意外にあっさり朋樹が飛び起きた。が、やっぱり脳震盪起こしているらしく…歪む
視界とぐわんぐわん言ってる頭の違和感に頭を抱える。

 「お、とも。気付いたか?」

 「…うん…って、なんでディアーナとドクターがここにいるの?」

 「お前、パティのフライパン喰らってぶっ倒れたんだよ。んで…レミットとマリアが何
 かあったのか?」

 まだ記憶がまとまらないのか、朋樹はしばらくぼんやりとしていた。が、紅蓮の言った
言葉…「レミットとマリア」。これを聞いたとたん、何かを思い出したように顔を上げる。

 「そうだっ! 紅蓮、僕が気絶してどれくらい経った?!」

 「いや、せいぜい一時間くらいだぞ。」

 「マリアが、レミットに魔法教えてもらう約束をしてたんだよっ! レミットもこっち
 の魔法教えてもらうとかで乗り気だったし……僕、それを伝えに………」

 「あんだとぉぉぉぉぉぉっっ!!!!!!?」

 みなまで聞かず、紅蓮は絶叫かました(笑)…かなりヤバイ状況と判ったらしい。

 「…ってちょっと待て。今日の二、三時限目って、確か魔法の実習授業…………」

 そして、壊滅的なことを思い出した……ちなみに担当は紅蓮ではないが。

 「ヤバイぞっ、今すぐいかねぇと……………!!!」

 ずっどぉぉぉぉぉぉぉぉん☆

 駆け出し、自身に風の合成魔法をかけようとした紅蓮だったが…すでに遅すぎたらしい。
はるか彼方、学園方向からどでかい爆発音が響き…ピンクの煙のきのこ雲が見えていた。

 「…紅蓮、ごめん……僕がミスしたばっかりに……(汗)」

 「あ、あたし…もしかしてすっごくやっちゃいけないことしちゃったの?(汗)」

 「とも、パティ…気にすんな。俺らじゃあいつらは止められなかったんだよ……(汗)」

 今、学園ではそれなりに大変な事になっているのだろう。もしかすると、紅蓮のところ
に文句がくるかもしれない。




 「あっれ〜(汗)。何がいけなかったのかなぁ……」

 「おかしいわね…あたし、ちゃんと教えたのに。大丈夫、次は成功するって☆」

 「うん、ありがとレミット☆」

 失敗したのに意気投合してるし…危険な二人が出会ってしまったようだ(笑)




 その後、マリアの家ではよくレミットが目撃されたり…レミットとアイリスの住んでい
るアパートではマリアが目撃されたりしているらしい。
中央改札 交響曲 感想 説明