中央改札 交響曲 感想 説明

死に神の奏でる幻想曲
わ〜の


   プロローグ 呪いの光、放たれん・・・


 ガシャァァァァン!!

『第六防御結界、突破されました』
どこからか無機質な声がきこえる。
「最終防御結界が、破壊されるのも時間の問題だな」
「陛下、このままでは死に神の一族は滅びてしまいます。いかが致しましょう?」
よく言う『謁見の間』という部屋で、二人の男が話をしている。(話から察するに)死に神の王は、もう一人の男の愚問に、苦笑しながら答える。
「私とて、いきなり神族が攻めてくるとはおもわなかった。奇襲を受けて精鋭部隊は全滅、防御結界も後一枚、侵入してくる者共は・・・だめだ、数で押されるだろう。この状況からどうしろと?」
死に神の王と男は、この状況でかなり落ち着いていた。死に神の一族は、神でも魔でもない。混沌である。その混沌を、限りなく小さくしたのが、人間やエルフである。
神族は、死に神を恐れたのだ。大人しくしているが、何時牙を剥くか解らない存在に・・・。それでこの奇襲というわけである。
「はぁ、これで一族の生き残りは、レアミノ殿一人になってしまいましたなぁ」
「姉上の子か・・確かに血を引いているな」
「でも人間である以上、すぐに死んでしまうでしょう」
二人は、人間と恋に落ちて、子を産んですぐに死んだ女性に思いを馳せた。
「だいたい陛下のせいですよ!『てぃーたいむ』とか言う悪趣味なことをして!!」
言う男に王はむっとして言い返す。
「自分のことを棚に上げよって。お主こそ『まじっくあいてむのさくせい』とのたまって、爆発ばかり起こしてばかりいるくせに!つい先ほどまでその『がらくた』を作っていたのは誰だ!」
二人はにらみ合いう。視線同士がぶつかり、火花を散らす。そして不意に笑い合った。そこからは、場違いな雰囲気が流れ出す。
「私らは、昔のままだな」
「ははは・・・、全くですよ。ところで陛下、マジックアイテムで思い出したのですが・・・これを受け取ってください、私が作った物ですが」
男が懐からピアスを取り出す。銀でできていて、金色の宝石がはまっている、なかなかの芸術品だ。宝石の中には、死に神の一族の紋が浮かんでいる。王はそれに気づかなかった。
「お前が?おいおい、爆発しないだろうな」
「それはないと思います。たぶん」
王は、最後につけた『たぶん』にかなり胡散臭い感じを受けたが、
「まあいい。今さら爆発しようが、猿になろうが、芋虫になろうが問題ないからな」
と言いながらピアスを強引に耳に通す。
とたんに王はあらがいがたい眠気におそわれた。
「おい、眠くなってきたぞ」
「あなたはこれから、人間のなかに転生するのです」
「!?」
さらりと言った男に、王は力のない驚愕の表情を表す。
「このままでは、我々の血は失われてしまいます。あなただけでも逃がさなくては。陛下、私はあなたに使えることができて本当に幸せでした」
もはや立っていられず、膝ついた王に、悲しげな表情で言う男。その目の前で、男の忠誠を誓った、それでいて、親友の姿が、光となって消える。

 ガッシャァァァァン!!!!

『最終防御結界、突破されました』
「あのマジックアイテム、記憶を受け継ぐ部分が不完全なんだよな。」
もしかしたら王は何も覚えていないかもしれない。まあ、ここで何を言ってもしょうがない。それに、神気がこちらに急速に迫ってくる。
「陛下が居ないと知ったら、連中血なまこになって探すだろうな」
男の記憶を探ったり、『センス・マジック』で魔法の痕跡を探すだろう。そうなっては厄介だ。
「さて、証拠隠滅といこうか」
男は呪文を唱えだした。
『我らが力の根源、全てを飲み込む混沌よ。我の力を喰らいて、彼の海より現れ、その力を示せ!』

 ボッッッ

男から広がった混沌が、彼自身を、神族たちを、王宮を、城下町を、その周辺の大地を呑み込んだ。かくて、強大な魔法により、証拠隠滅は成されたのだった。



 ネール王国、小さいながらも自然豊かで、なかなかの軍事力を保持する王国である。その首都ネールの町に、代々有能な人物を排出してきた名家、ヴァルシェンク家の屋敷で、奇しくも、死に神の王が光となり消えた直後、新しい命が誕生した。金の宝石で装飾されたイヤリングをつけた・・・。もちろん家の者は、騒然とした。だがこのフィラネス・ヴァルシェンクと名付けられた赤ん坊は、周りの心配をよそに、有能で、元気すぎるくらいに元気に育った。


だが、少年は気づいていた・・・。自分のなかに宿る死に神の力に・・・。
そして、恐れていた・・・。恐ろしいほどの力を持つ自分と、そのせいで家族を失うのではないかと・・・。



そして、恐れていたことが、現実となる・・・。



   後書き

 どうもはじめまして、わ〜のと申します。暗すぎたかな・・・?
まあ、今回は初めてと言うことで、その辺は勘弁してください。
「どこが悠久幻想曲だ!」と思う方が多々(と言うより殆ど)いると思いますが、次にはエンフィールドにはいるのでそれもご容赦下さい。
ご意見ご感想お願いします。
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