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悠久の輪舞序曲「ある青年の出会い」前編
ユーイチ


悠久幻想曲「悠久の輪舞」
序曲:ある青年の到着(前編)
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青年は歩き続けていた・・・



黒アザミの花が咲き乱れる湖畔を・・・



ただ黙々と歩いていた・・・




どのくらいの時が流れたのだろうか?青年はふと足を止めた。


赤茶けた長旅用の衣を身にまとい、肩に大きな麻の袋をかけたその青年は、
懐から地図を取り出すと、自分の現在位置を確認した。

「ふうっ。どうやらこの辺りは、ローズレイクという湖の上流のようだな。」
薄汚れたローブの中から透き通った声が聞こえた。

 カサッ  麻の袋が揺れ動いた。青年はその袋に応じるように言った。
「狭くてももう少し我慢してくれよ。もう少しで次の街だ。
名前は     ――エンフィールド――  」

青年はまた湖畔を下流に向かって歩き始めた。










―同時刻―


エンフィールド唯一の湖、ローズレイクの下流に大きな罵声が飛び交っていた。

「ちょっとぉ!トリーシャ!しっかり働きなさいよぉ!」ショートカットの明朗な少女が叫んだ。
その少女の目線の先にある、大きな黄色いりぼんをつけた少女が肩をすくめた。
「うーん。分かってるよう、パティ。」

二人のやり取りを見ていた緑色の髪の女性が、ヤレヤレとため息をついた。
「だから言ったんだよ、トリーシャを薬草摘みに連れてったら日が暮れるってね。」
「エルまでなーに言ってるのさあ!ボクはさくら亭の料理に使うハーブがなくなったって言うから
わざわざ手伝ってあげてるのに!別に何か面白そうな薬草があるかもしれないから来たわけじゃないよ!」
リボンの少女、トリーシャが憤慨して、緑色の髪をした女性、エルに言った。

次の瞬間

のそり  「トリーシャぁ〜。」トリーシャの後ろから重苦しい声が聞こえた。

「そこまで分かってるんだったら、変な毒草にばっかり目をやってないで、ハーブを摘みなさい!!」
先ほどパティと呼ばれた少女がトリーシャを一喝する。
「ひええ〜。」トリーシャは頭を抱えてうずくまった。
「その辺でやめときな、パティ、トリーシャ、本当に日が暮れちまうよ。」
エルが二人を静めた。

「あっと!そうだったわ。早くしないとお父さんに怒られちゃう。」
クルリと方向転換すると、パティはまたせっせとハーブを摘み始めた。
「ふうっ。」トリ―ジャが安堵して息を吐く。 
「ほらトリーシャ!早くはじめたはじめた!」パティが後から声を出す。
「ハイハイ!分かったよぉ。」トリーシャも身をかがめる。
「やっとはじまったか。」エルもハーブ摘みをはじめる。


彼女達はここ、エンフィールドの住民だ。
この町の料亭兼宿屋「さくら亭」で使うハーブがきれたため、さくら亭の看板娘パティ・ソールが、
薬草に詳しいエルフのエル・ルイスを誘ったのだが、偶然店に来ていた好奇心旺盛な少女、
トリーシャ・フォスターに盗み聞きされ、「ボクも手伝うよ〜!」と言うふうについて来られたと言う訳だ。
ちなみにもう既にハーブを摘みに来てから2時間ほど経っているが、いまだにかごの一個も満杯になってはいない。






「あら?パティちゃんにエルさん、それにトリ―シャちゃん。こんなところで何をしているの?」
ハーブを摘んでいる少女達のもとに、一人の女性が現れた。


「あっ。アリサおば様。」パティがいち早く返事をする。
「僕もいるっス!」アリサと呼ばれた女性の後ろから、二足歩行の犬か何か分からない生物が飛び出した。
「そんなことは分かってるわよ。」パティはさらりと受け流した。 「ううっ・・・」
「今、水辺小屋のカッセルおじいさんの所へピザを届けていったところなのだけど、
三人で何をしているのかしら?」そう言ったアリサの手には、バスケットが下げられていた。

「ええ〜っ。アリサさんのピザ〜!ううカッセルおじいさんがうらやましい・・・」心底悲しそうな
声でトリーシャが言った。
「全く、食い意地がはってるね、まあ分からない事もないけどさ。アリサさん、今さくら亭で使う
ハーブを摘んでいるんですよ。」とエルがトリ―シャの意見を認めつつアリサに説明した。

「あら、そうだったの、大変ね。」
優しい口調で言うこの女性は、街の何でも屋である、
ジョートショップの経営者、アリサ・アスティアである。
後の犬のような生物は、生まれつき弱視のアリサのお手伝い役として、今は亡き、アリサの夫が
連れてきた魔法生物のテディである。 
補足しておくとアリサの作ったピザはトリーシャのみならず、
エンフィールド中の人々が欲しがるほどの一品である。







しばし雑談をしていた彼女達の前に、不意に黒い影が迫った。
「グルゥ。」
「!!!」

彼女達の前に現れたのは体長2メートル程もあるオーガだった!

「なっ!!こんな下流に魔物だって!」武器屋で働き、多少なりとも武術に心得のあるエルが
攻撃態勢はいりながら言い放った。しかし、なんの武器も持たない状態でこれだけ大きな
魔物を相手するのは、いくらなんでも無理だった。
「きゃっ!ど、どうするのよ!」さすがのパティも魔物にはなす術もなかった。
「ボ、ボクに任せて!!」その後からエンフィールドの学園で、
魔法学科を受け、魔法を覚えたトリーシャが手の中で印をくむ。

『大気に住まう炎の精霊サラマンダーよ、その力を我に顕わせ!!ルーン・バレット!!』

呪文を詠唱したトリーシャの掌中から数個の火球が現れ、交わりながらオーガに向かった。

バシュッ

トリーシャの放った火球がオーガに直撃したと思った瞬間、その火球は露散した。
「う、うそ、効いてないじゃないの。」パティが驚愕の声を発す。
「どうやら相当レベルの高い魔物みたいだね。」エルがつぶやいた。
「そんな―、せっかく成功したのに〜。」自分の放った火球がいとも簡単に吹き飛ばされた
トリーシャも落胆した。
「あわわわッス!」テディはアリサの後で小さくなっていた。


「みんな逃げて!危ないわ」アリサが叫んだ。
攻撃を受けたオーガは頭に血が上り、今にも襲ってきそうだ。
「ちっ。みんな、逃げるよ!」エルが敵わぬと見て言ったその時、
「ガルゥ!!」オーガが目にもとまらぬ速さで突進してきた。
「はっ、速い!」エルが言うか言い終えるか分からないうちにオーガは動いていた。

オーガは攻撃をしてきたトリーシャのもとに向かった。
「危ない!トリーシャ!!」
それに気付いたパティがオーガの前に立ちふさがる!

「だめだパティ!」「パティちゃん!」「あぶないッス!」「パ、パティ!」

しかし既にパティの前にオーガは立っていた。

(ダ、ダメっ、殺される!!)

パティは心の中で叫び、目をつぶった。


「ウガガ!!」
オーガの腕があがった。

「「危ない!!」」全員が叫んだ。












ガキン!!
「!?」


今まさにパティにオーガの腕が振り下ろされた瞬間に耳を割くような金属音が鳴った。


「えっ?な、何?」
一番驚いたのはパティであった、死を覚悟した瞬間、何者かによって救われたのだから。



「大丈夫かい?」

パティとオーガの前にローブをきた青年が立っていた。






     To Be Continue・・・・・・・・







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後書き
はじめまして、ユーイチと申す者です。
初めての投稿と言う事もあり、まだまだ御見苦しい点もあると思いますが、
どうかながい目で見てやってください。
さて、物語の序曲です。
いきなりの戦闘でしたがこのあとどうなるのでしょう?
こうご期待!(して頂ければうれしいです・・・・・笑)
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