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悠久の輪舞2話「エンフィールドの住人」
ユーイチ


悠久幻想曲「悠久の輪舞」
2話「エンフィールドの住人」

〜エンフィールド〜
五十年前の戦火から復興し、今は自治都市となっているこの近辺では最大の都市。
美しい自然に囲まれ、魔術組合から学校まで、都市に必要不可欠な機関はすべて存在しているのがここ、エンフィールド。
この街にある料亭兼宿屋のさくら亭では、信じられない光景が広がっていた・・・・・



カチャ  カチャ   カチャ  カチャ
一定のリズムで刻まれる音、静まり返った空間、ナイフとフォークのすれる音、その音源に彼はいた。
彼の眼前には大きく積まれた皿の山があり、同じスピードで高くなっていく。
その隣ではこの店の主人、ライル・ソールとその妻、サリル・ソール、娘のパティ、そしてバーテンダーの女性が口をあけて立っていた。
「いやあ、本当にすいませんね、おごって頂いて・・・」依然、食べるスピードをかえないまま男、火傀真が言う、しかしその言葉に反応する人間は誰一人いない。彼のあまりの食べっぷりに目を奪われているのだ。


カチャ
「ふう、美味しかった。どうもありがとうございました、おかげで助かりました。」そういって、シンはフォークを置いた。
この出来事の始まりはこうだ、
ハーブを摘みに行った少女達と、その少女に偶然であった女性と魔法生物、彼女達は魔物に襲われていたところを一人の旅人に救われる。彼はかれこれ1週間も食べ物を口に入れていなかった。(普通それだけ断食していれば倒れてしまうだろうが、彼はその状態で魔物も倒した。)そこで、助けられた少女の料亭で料理を振舞う事になったのだが、両親が娘の命の恩人ということで彼の飲食代を無料にするといったのが悪夢のはじまりだった。
当初彼は、強く断っていたのだが少女の両親の要望で遂に折れたのだった。そこまでは良かったのだが、彼の注文した物はさくら亭のメニュー(デザート含む)30種類すべてを2人前だったのだ、そんなことで、今この店は開店休業中である。(補足しておくが、この月のさくら亭の収入は前月の半分であった。)
ちなみに彼に助けられた他の人々は、自分たちの知り合いを紹介するために出かけていったのだが、その間に彼は料理を平らげてしまった。



カラン
店のカウベルが鳴り、一団が入ってきた。「いらっしゃあ〜い・・・」パティが力なく接客する。
「どうしたの?パティ?」いの一番に店に飛びこんできたトリーシャが首をかしげる、そのあとから続いてきた人々がその光景に息を飲んだ、(無理もない・・・笑)「す、すごいな。」彼に助けられた少女の一人、エルが感嘆の声をあげる、「あいつがその旅人か!?」薄いえんじ色の帽子をかぶった青年が言った。

「みんな来たのね、紹介するわ、ここにいるのがエンフィールドに住む私たちの知り合いよ。」シンに話しかけるパティ。
シンは席を立ちあがって御辞儀をした。「はじめまして、の人が多いのかな?俺の名前は火傀真、そこにいるアリサさんにはシンと呼ばれたので、そう呼んでくれ。」





だがその言葉に対し返事をする者はいない、みんな彼の食べ終わった皿の山に目を奪われている。

ようやく一人の男ががシンに反応する、「あっと、俺の名はアレフ・コールソンだ。アレフって気軽に呼んでくれ。」
「ああ、よろしくアレフ。」優しい笑みを浮かべ言葉を返すシン、次にアレフのとなりにたつ眼鏡をかけた少年がおどおどしながら挨拶をした。
「ぼ、ボクの名前は、クリストファー・クロスです。みんなにはクリスって呼ばれています。よ、よろしくお願いします。」「こちらこそ、クリス。」そういって返事をする。

「どっか〜ん!オレはピート・ロス!!ピートって呼んでくれェ!!」短パンの赤毛の少年が自己紹介をする、なんとも大きな声だ、シンも驚いている、「あ、ああピート。」次に前に出たの黄色い髪の元気そうな少女だった、

「やっほ〜☆マリアの名前はマリア・ショートだよ。そこにいる魔法アイテムがないと魔法の使えないエルフと違って大魔法使いなんだよ!」「なにを言ってんだい、この爆裂魔法お嬢が!こいつはいつも変な魔法を使って街を破壊するデンジャラスガールだよ!!」マリアの挨拶に横槍を入れたのはシンが助けた少女の一人、エルだった。
「ぶ――――☆自分が魔法使えないからってひがんじゃって!」エルの言葉に頬を膨らますマリア、シンはすぐにこの二人の少女の仲の悪さを読み取った。「だれが!っと、さっきは助かったよ、2度目になるけどあたしはエル・ルイス、よろしく頼むね。」きをとりなおすエル、シンはただ笑っていた。

「あ、私はシェリル・クリスティアといいます。趣味は読書です。」眼鏡をかけた三つ編みの少女が言う。「へえ、俺も読書は好きなんだ。スタンザアルとかゴストエフスキイとか、」シンの言葉にシェリルと名乗った少女は目をときめかせた、「そうですか!良いですよね!「赤と白」とか「罪と初」とか、あの主人公の繊細かつ狡猾な精神とか、それに・・・」どうやらシェリルは本の世界にトリップしているようであった。そのシェリルの頭上からおかしな物体が振り下ろされた。「わあ!目を覚ましてよシェリル!!必殺トリーシャチョ〜ップ!!」

スコン

トリーシャの放ったチョップ棒の一撃でシェリルがもとにもどる。
「あっ、すいません、つい。」正気に戻ったシェリルは恥ずかしそうに弁解をして後ろに下がっていった。シンは唖然としていた。
「ふう、シェリルは時々本の世界にトリップしちゃうんだ。シンさん!ボクはトリ―シャ、さっきはありがとうね!この街の流行配達人といってよ!!」「わ、分かった、トリーシャ・・・」説明よりもチョップの一撃の方が印象に残ったシンだった。

「はじめまして、私の名前はシーラ・シェフィールドです。ピアノを習っています。」黒髪の清楚な少女が言った。「よろしく、シーラ。俺もギターを少しばかり弾くんだ、今度一緒にやらないかい?」そう言われてシーラは顔を真っ赤にした。「は、ハイ、ぜひよろしくお願いします。」
同やら男性に対する免疫があまりないようだった。
彼女の後ろから頭に耳のはえた女性と少女が顔をのぞかせた。

「ハ〜イ。シン君。わたしは橘由羅よ。由羅って呼んでね。この子は・・「メロディなのだ〜〜。シンちゃん、よろしくなのだ〜ッ。」「よろしく、由羅、メロディ。」インパクトのある挨拶を済ませて二人は席に戻った。

その次に現れたのは体の透き通った少女だった。
「こんにちは。お兄ちゃん!わたしはローラって言うの!訳があって今幽体なんだけど、、よろしくね!」元気に挨拶をしたローラに笑いかけるシン。「よろしく、ローラ、どういきさつでそうなったかは今度じっくり聞かせてもらうよ。」

「あたしはリサ・メッカーノ、この店でバーテンをやる前は傭兵稼業をやってたのさ、パティ達からボウヤの強さを聞いたよ、今度一度手合わせ願いたいね。」といったのは身軽そうな忍び衣をきた女性だった。「ああ、お手柔らかに頼むよ。」シンは快く了承した。

「次はあたしね、あたしはパティ・ソール、このさくら亭で働いてるわ。さっきは本当にありがと、それにしてもアンタ良く食べるわねえ、あんなに食べた人、これまでに見たことないわよ。」皿の山がそのことを物語っている。
「いや、本当に1週間も食べてなかったから、」そういうが1週間食べていなくてもこれだけの量は食べれないというのがまわりの全員の意見だった。

「最後はわたし達ね、わたしはアリサ・アスティア、この街の何でも屋、ジョートショップを営んでるわ。この子はテディ。」「うイッス!シンさん!よろしくッス!」「アリサさん、テディ、よろしく。」シンもすっかりなじんでいる。


「さて、これで全員かな?」シンが言ったその時、彼の持つ麻袋が動いた。
「ああ、悪い、お前を忘れてたな。」といって、袋をあけるシン。 ガサッ 袋の中から出てきたのは一匹のネコだった、
「ぷっはあ、死ぬかと思いましたよ!主様!!わたしを忘れるなんて!」なんとそのネコは人の言葉をしゃべったのだ、正確に言うと二足で歩いてる、「「ネコが歩いてしゃべった!」」全員が驚きを隠せない、「なんですか、そこの犬もしゃべって立っているじゃないですか。」もっともな事を猫が行った。

「ボクは犬じゃないッス〜」情けない声で言うテディ、しかしネコはそれを聞いてはいなかった。「あ〜っと、こいつは俺の使い魔で、ミーコというんだ。」「よろしくおねがいします。」そう言いミーコは器用に礼をした。



「ところでシン君、この街にはどうして立ち寄ったの?」アリサが問う、周りのみんなも興味心身だった。「ええ、実は俺、2年前記憶喪失になってしまって、今記憶を取り戻すために旅をしていたんです、それでこの街でなにか食べ様と思って向かってたら皆さんがオーガに襲われてて。」
「あら!記憶喪失だったの。それは大変ねえ、それじゃあこの街にはいつまで滞在するの?」不幸な境遇に同情しながらアリサが聞き返す。
「ええ、今のところ次にどこへ行くかも決めてないのでこの街には長くいようかと・・・・」シンがそう言った時点でアリサはにっこりと満面の笑みを浮かべた。「それだったら家の店で働かない?旅に必要なお金もたまるし、泊まる場所もあるし、それに家の店も助かるわ。」「それは良い考えッス!さすがご主人様ッス!」テディも同意したようだ。
アリサの突然の提案にしばし考えこむシン、「主様、なかなか良い話なのでは?」「うん・・・」





「よし、お言葉に甘えさせていただくとしよう。よろしくお願いします、アリサさん。」考えた結果シンはアリサの店で働く事にした。



「ええ、こちらこそよろしく、シン君。」







この日美しいエンフィールドの街に仲間が一人増えた、名前は火傀真、これからどのような波乱万丈の物語が展開するのだろう?
そのよしを知る者は誰一人としていなかった・・・・・・・






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後書き
どうも、ユーイチです。続けて3作書きましたが、
オリジナルキャラがバリバリですね、がんばりますので
よろしくお願いします。
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