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悠久の輪舞5話「ザ・闘魂」
ユーイチ


悠久幻想曲「悠久の輪舞」
5話「ザ・闘魂」



「っせい!!」


「しっ!」



鋭い風切り音、気合の入った掛け声、
穏やかなエンフィールドの朝
ここ、陽のあたる丘公園の静寂の中に響きわたる音。





「でやあああああ!!」


トッ




交錯する影が交わった瞬間、これまでの熱気が嘘のような静けさが訪れる。




「ふう、負けたよ、ボウヤ。」
リサが深い吐息と共に自分の首に指を当てている青年、シンに告げた。
その言葉を聞くとゆっくりとシンが手を引く。
「それじゃあ、さくら亭の無料お食事優待券の件、よろしくな。」
満面の笑みと共にシンが口を開いた。


この日は土の曜日、
あらぬ疑いを掛けられ、一年後の住民投票までに10万Gを稼がなくてはならない青年、
火傀真は、普段常人の5倍程の仕事をこなすだけでなく、休日も返上して働こうとしていた。
本人曰く、「10万Gをなんとしてでも稼がなくてはいけないからこれ位しなくては・・・・。」
との事なのだが、心配する店長のアリサさんに
「お休みを取らないのならこのお店を首にします。」
などと言われては流石のシンも受け入れる他なかった。

そのため、今日は眠っていようと決めていたのだが、
もしボウヤが勝てばさくら亭で昼飯をおごる。というリサの誘惑に負け、腕比べをする羽目になったのだった・・・・。




「ホントに凄いわねえ、シンってば。リサより強いなんて。」
兼ねてよりシンの実力に興味を示し、観戦していた一同が感嘆の声をあげる。
「別に腕っ節が強くても大して良い事はないよ。」
タオルで軽く汗をふき取りながらシンが言った。



「なあ、シン。オレにも体術を教えてくれないか?ジョートショップの仕事でも、魔物退治とかの荒業の方が収入は良いんだし・・・。」
なにか裏のありそうな言葉を発するアレフ。
しかし実際シンがジョートショップで働き出してからというもの
依頼内容は自警団の手に負えないような魔物退治や危険区域での仕事が格段に増えていた。
(まあ、シンが来る前はその手の仕事は全くなかったが・・・・・・・・。)




「う〜ん。オレは武器を扱う戦闘が主体だから、リサやエルとか、あとシーラなんかに頼んだ方が良いんじゃないか?」


シンの一言で凍りつく人々。
一瞬時の流れが止まったようだ。



「・・・・・・、なあボウヤ。今最後に誰の名前を呼んだ?」
「シーラ。」
からだの底から搾り出すように質問するリサにさらりと答えるシン。
みんなの後ろでシーラは顔を伏せている。顔は当然のごとく真っ赤になっていた。




「どうやらみんなはその事実を知らないようだな。」
腕を組みながら探偵のような口調で語り始めるシン。
「まず、シーラの根本的な行動力の値は非常に高い。
たとえば雷鳴山での薬草摘みの時、普段山に登りなれているエルでさえ仕事の後ぐったりしていたのにシーラは息一つ切らしていなかった。
それにアレフの執拗なナンパを受けていたとき、つい勢いでアレフが突き飛ばされた。」
「あっつ!!」
その言葉にアレフは合点がいったという表情を浮かべた。
「そう、あのときアレフが吹っ飛んだ距離は10M、途中、ラ・ルナの窓ガラスも突き破ったのにだ。」
次々明かされるシーラの日常の偉業に呆然とする一同。
シーラは相変わらず顔を伏せている。



「そう言う事だからシーラに稽古をつけてもらったらどうだ?オレはリサにおごってもらわなくちゃいけないし。」
飄々とシンが言った。
その途端シーラが顔を上げてシンの前にすっ飛んできた。

「ほ、本当に私で良いの?」
相変わらず顔は耳までも真っ赤だが、その目は異様に力強い。
「もちろん!アレフもうれしいだろ。」
「アハハハハハハッハハ・・・・・・・」
引きつった笑いをこぼすアレフ。





土の曜日の陽のあたる丘公園はこの後、地獄の体術練習場と化した。(ただしアレフにとっての。((笑)))







シンがジョートショップへの帰路に立ったとき、さくら亭からは、
リサの乾いた笑いと、
「また代金もらえなかった・・・。」というライルとサリル、そしてパティの声が延々と流れ続けたそうな。










後書き
作者:お久しぶりです、ユーイチです。
   いきなり私情ですいませんが高校に合格しました!!と言う事で投稿再開です。
   さて、今回はありきたりですがシーラの体術について書きましたが如何ですか?
   あえて本当のシーラの戦闘シーンがなく、追憶のみなのはこの後の展開を強調させようと思ってなのです。
シーラ:・・・・・・・(真っ赤。)
作者:あはは、そう言う事でサヨウナラ。
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