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悠久の輪舞7話「自身が大事」
ユーイチ


悠久幻想曲「悠久の輪舞」
7話「自信が大事」
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「ねえ、この中でシーラ以外に楽器の使える人って、いる?」
ジョートショップのいつもと変らない朝、その日のミーティングを始めた一同に、パティからそんな疑問が出される。


この日入った仕事は3件、ラ・ルナの臨時ウエイター2人と楽器奏者2人、それに木彫りのペンダント作りだ。
一般的にクラフトは手先の器用なシンや、元々そう行った芸当が得意なエルなのだが今回の仕事は、
期限が長いため、今日は保留としておける。
問題はラ・ルナの楽器奏者の件だった。
楽器奏者が2人、1人はもちろんシーラで決まりだが、後1人がいない。

「どうしますか?」
手伝いに来たクリスが心配そうに尋ねる。無理もない、今日手伝いに来たのはシーラ、パティ、クリスの3人なのだから・・・・。



「何言ってるんですか、みなさん?主様がいますよ。なんといっても主様の・・・」
不意にミーコが口を開く。また得意の主自慢が始まった、とテディがうんざりしたような口調でシンに問いかけた。
「シンさん、何ができるッスか?」
「ギターをちょっとな。でも対した腕じゃないよ。」
口ではそう言っているがミーコの様子を見ればシンがかなりの腕である事は一目瞭然だった。

「それじゃあ今日はラ・ルナに全員行こうか。」

そんなこんなで一同はラ・ルナで一日働く事になった。






「やあ、よく来たね。」
店に入るとふくよかな体つきの支配人がやってきた。
彼が言うには、今日は市長が食事に来るため、人手が足りなくなったそうだ。

「市長さんの前で演奏・・・・・。大丈夫かしら・・・・。」
いきなりの大役にうなだれるシーラ、しかしいつもどうりの演奏をすればシーラの腕は相当な物だ。
「自分に自信を持ちなよシーラ、シーラの腕はみんなが認めてるものだよ?」
「そうよシーラ、お客が誰だってベストを尽くせば良いじゃないの!」
シンとパティに激励され、シーラにもいつもの調子が戻ってきた。



「それじゃあ、パティとクリスはウエイターの仕事に行ってくれ。パティ、クリスにしっかり仕事を教えてやってくれよ。」
「まっかしといて!」
そういうとパティはクリスを引きずって(!?)行った。
「よし、音を合わせようか、シーラ。」

シンは持っていたケースを開けた。その中には素朴だが仕事のされている一本のギターが入っていた。
「うわあ、良いギターね。」
シーラは流石にその楽器の良し悪しを見きった。
「分かる?2年前、ロクサーヌっていう吟遊詩人に薦められて買ったんだけど、なかなかの年代物なんだよ。」
話ながらシンは手際良く音を合わせていく。




「よし、それじゃあ何をやろうか?」
素早く音を合わせたシンが口を開く。
「そうね、やっぱり楽器が少ないからボサノバとかジャズとか・・・・・。」
「じゃあ、俺についてきてくれ。」



シンが徐にギターを奏で始める、その音色は幻想的でかつテンポの良いプロ顔負けの物だった。
いつのまにか来客している者のみならず、従業員まで聞きいっていた。
シーラもまた然り、我に返るとそのギターの音色に会わせて伴奏を始める。
すると客から感嘆の声が上がった、即興とは思えない見事なハーモニーだったのだ。



「うまいわね〜、2人とも。」
パティやクリスも聞き入ってしまった。




ポロン♪


演奏が終わると2人に拍手の雨が待っていた。
「すごいなシーラ、まさか即興であそこまでついてこれるとは思わなかったよ。」
「ウフフ、シン君のギターがついていきやすいのよ。」
拍手の中心にいる2人はそんな事を話し合っていた。





「凄いじゃないの!2人とも!」
「そうですよ!凄いです!」
パティとクリスが一目散にやってきた。
「まさかシンがあんなに上手だなんて、今度うちの店でもおねがいしなくっちゃ。」
どんなときでもさくら亭のことを考えるパティだった。




この演奏に市長も感激し、リヴェティス劇場での演奏会まで開かれる事になった。
「ほらな、シーラ、自信を持てば大丈夫なんだよ。」
シンが笑みをこぼす。
「ええ、ありがとう。シン君。」
このあと2人は何曲も素晴らしい演奏を奏でた。
ちなみにラ・ルナの給料もかなりの額になっていたりする。
「さすが抜け目ない支配人だ。」などと巷で噂である。






この日以後、ジョートショップに来る音楽関係の依頼は倍増した・・・・・・。




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後書き
作者:お久しぶりです、ユーイチです。
   復旧されたのでまたがんばりたいと思うので忘れないでください。
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