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悠久の輪舞10話「花より男」
ユーイチ


悠久幻想曲「悠久の輪舞」
10話「花より男」
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春・・・・心和むこの季節。
小鳥のさえずり、小川のせせらぎ、美しくもはかなき桜の花びら、




















そして・・・・・・・
花見!!!!!!!


「え〜、本日はジョートショップ主催、さくら亭での大花見会にお集まりいただいて有り難うございます。
司会は私、花と女性の良く似合う男、アレフ・コールソンが務めさせていただきます。」
「どんな男だ!」
アレフにリサの放った酒瓶がヒットした。



さくら亭のその名の由来ともなった裏庭にそびえ立つ桜の木、
アリサさんの提案で、今日はこの木の下でシン達は花見に興じることとなった。
しかし、この楽しげな花見の席が阿鼻叫喚に包まれるとはこのとき誰が予想していただろう・・・・。





「イデデ、思いっきり投げつけやがって。まあいい、
それじゃあ、ただいまめでたく仮釈放中の身であるシンからコメントでももらおうかなあ。」
突拍子も無くアレフに振られ、シンがマイクを持った。

「え、ああ、ええと。いつもみんなにはお世話になってる。
流れ者の俺をすんなり受け入れてくれて、犯罪者の烙印を押された時も信じてくれて本当に有り難う。
今日はパティんとこの親父さんが奢ってくれるそうだからパーッとやってくれ。」



「ウウウッ。」
しんみりした話に涙を流したのではない。今すすり泣きしているのはさくら亭の主人、ライル・ソールその人だった。実はこの日の3日前、ライルは酔った勢いで無謀にもシンとチェス勝負をし、あっさりさくら亭の一日貸しきり券とタダ券を奪われていたのだ。

そんなことは露知らず、アリサ、テディ、ミーコは「ライルさんって親切ですね。(ッスね)(ですわね)」
などとライルに留めの一撃をさした。







「ほーらクリスくんも飲んで飲んでェ。」
「う、うわあ、ボクはまだ未成年ですよ!やめて下さいよ由羅さあん!ピート君助けてェ!!」
「アハハハハ、酒って気持ち良いなあ。ウハハエヘヘ〜。」
由羅はここぞとばかりにクリスにべたつくしピートは子供の癖に酒をあおって完全に出来上がっている。
既に呂律が回らなくなっているようだ。
レインやアルベルトが任務のせいで欠席しているから良いが、彼らも一応自警団なのだから








このように、花見の席も盛り上がってくるとエンフィールドのカシマシ娘たちが行動を開始した。
「ねえ、ちょっとトリーシャちゃん、シンお兄ちゃんのことどう思ってるのよ。」
「え、ええっ、いきなり何言うのさ、ローラ!」
「ぶ―――☆トリ―シャ、もしかして・・・。」
年頃の娘が幾人も集まれば当然こんな談笑が始まる。

シンはいつもの言動(寝ぼけ魔人の姿や大喰らい)から忘れ去られているが、かなりの美形である。
長く伸び後で結った黒髪は流れるようで、端正な顔立ちに深い海のような瞳。
まともな服を着ればエンフィールド1といっても大げさではない。
プラス、リカルドも舌を巻くほどの戦闘能力、
従って周りの女性が彼に惹かれても何ら不思議ではない、
いや、彼に惹かれないほうが考えにくい。




「エ、エルさんはどうですか?」
普段このような話には無頓着なシェリルでさえ勇気を出して顔を真っ赤にしてまで聞き出す始末なのだからシンの魅力は底知れない。
「な、な、な、何言ってんだよ!あ、あたしは・・・・。」
「うみゃあ〜、エルちゃんもシェリルちゃんも顔が真っ赤だよ〜。かぜでもひいたの?」
必死に弁解しようとするエルだがどう見てもバレバレだった。





「何はなしてるんだ?」


「ワァ!!!!」
不意に声をかけたシンに、全員がものすごい悲鳴をあげる。

「なによ、いきなり!」
シンと一緒に食事を運んできたパティが驚いた様子で顔を出す。



ジー―――――――――――――――――。

「な、なに?ローラ。」
みるとシンの隣にたつパティにローラが熱視線を送っていた。
「パティちゃん、話に入って!ほら早く早く!!」
「え、オレは?」
無論シンは娘たちに放り出された。





「ちょっとパティちゃん、さるげな〜くシンお兄ちゃんの隣に立っちゃったりして、もしかしてシンお兄ちゃんに気があるんじゃないの〜?」
恋のライバルに対する怒気の混じった口調ながらも、いつもの野次馬精神のせいでおばさん口調になるローラ。

「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと、いきなり何よ!」
「どうなの?パティちゃん!!」
「さっさとはいちまいな。」
いつのまにかシーラやリサまでもが輪の中に入っている。



「気があるって、何を根拠に・・・・・・。」
やはりパティも満更ではないようだ。






「あーもう!!じれったいわねえ、こうなったら直接シンお兄ちゃんに聞いてみましょ!!」
業を煮やしたローラがなんとも大胆な行動に打って出る。
「そうだね、こうしていてもなにも始まらないよ!」
トリーシャとローラを筆頭に恋する乙女の軍団はほろ酔い気分の男性陣突進していった。



「おっ、どうしたんだみんなして?」


バギャ!!


アレフ本日二回目の撃沈、哀れ・・・・・。






「シン!!!!!!(さん!!!!!)(君!!!!!!!)(お兄ちゃん!!!!!!)」
「ぶはっ、何だみんないきなり?」
あまりの剣幕に飲まれ、思わずライルに持っていたコップ(本醸造「オーガ殺し」入り)を放り投げるシン。



「「誰か好きな人いるの!?」」
娘たちにしては切実な問題だった、ライバルが7、8人もいるとあれば酒の力も加わって恋の街道まっしぐらであった。




「へっ?」
「ああっ!いけません、みなさん、それを言うと!!!!」








カ――――――――――――――――。




ミーコが制した瞬間、シンの顔が今にも爆発しそうに赤くなった。





「なんてことを!!主様はその手の話題にとても弱いのに!!」







「えっ?つまり、シンがウブってこと?」
いつでも冷静沈着で真面目なシンというのがこのエンフィールドでのシンの共通認識だっただけに一同茫然・・・。
しかも、当のシンは顔を真っ赤にしているのに8人娘の気持ちにはまったく気づいていないドンカン、ウブであったのだからタチが悪い。
もしかするとエンフィールド一の女泣かせはシンなのかもしれない。







ちなみに今回の花見で一番被害をこうむった人間、(ライルとアレフ)はシンの弱みを握り彼をおもちゃ扱いしたため、
あとでシンと8人の娘たちに言葉では言い表せない恐ろしい仕打ちを受けた。











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あとがき
御久しぶりです。ユーイチです。
パソコンがぶっ壊れている間に夏真っ盛り、
季節はずれなネタになってしまいました。
まだシンがエンフィールドに来て1ヶ月ちょいなんですねえ、
10話目なのに、これじゃあエンディングは80話位?
もう少しがんばりたいとおもいます。
それでは Next Timeまでさようなら。
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