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悠久なる輪舞曲第三話
kugutsushi[HP]


悠久幻想曲「悠久なる輪舞曲」
第3話「運命と偶然に導かれて」
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エンフィールド中の人々が、認める天才医師、ドクター・クラウド、彼の医院に一人の青年が担ぎこまれた。

運んできた少女達の話を聞くと、街に入った瞬間,糸が切れた操り人形のように倒れこんだらしい。


ドクターのカルテより抜粋,
「原因:極度の空腹と栄養失調」



「気がついた?」

「・・・・・アリサ、さん・・。」
シンが眼をあけると,そこにはアリサの姿があった。

「ここは?」
「病院,トーヤ先生の病院よ。」
「そうか、あの時、意識が朦朧として・・・・.」
街についたときからの記憶が無い事に気づく,成る程,気絶したのか。ざまあない。

「全く,あの体でモンスターと戦うとは,人間ばなれした奴だな。」
扉の前に、白衣を着て、眼鏡をつけた医者,トーヤ・クラウドが立っていた。
「あなたがドクターですか、どうも、お手数おかけしました。」
「一応、点滴は打っておいたが,しっかりした食事を採れ。」
呆れたようにトーヤが言う,外傷など全く見当たらない,単なる栄養失調なのだが、そんな体で非常識な闘いをしたと聞けば、驚かざるをえない.


「あ!!目が覚めたのね!」
勢い良く中に入ってきたのは、シンが助けた少女の一人、パティだった。
その後ろから、傭兵稼業を経験しているであろう身のこなしの女性と,優男、といった風体の男、そして猫耳の少女が部屋に入ってきた。
「ええと、そちらの方達は?」

「私はリサ・メッカ―ノ、ボウヤと同じく旅の途中でこの街にきて,今はパティの両親がやってるさくら亭に世話になってる。」
「俺は、エンフィールド中の女性に愛をささげる男、アレフ・コールソンだ、アレフって呼んでくれ.」
「ふみィ~、メロディはメロディなの〜。」
入ってきた順に自己紹介をする。
「アンタが倒れた時、ここまで運んでくるのを手伝ってくれたのよ。」
とパティ。
「そうだったのか、迷惑をかけたな,すまない。オレは火傀真,シンと呼ばれてる,よろしく。」
一通り挨拶を終えると、ベットからシンが出る。

「お、おい、もう大丈夫なのかよ!?」
「別に問題はない、それより早く食事をしないとまた倒れそうだ。」
至極当然の質問を一蹴されて、アレフは笑うしかなかった。




カラン
「いらっしゃい。」
ドアにつるされたカウベルの音と共に、店主の声が店内に響く。
店内に入りながら、パティがただいまと言って、カウンターの中に引っ込んでいった。
 一行が向かった先は、パティの家、大衆食堂兼宿屋を営む「さくら亭」である。
ここなら食事も済ませるし,親しい友人も多く集まっているため、シンを紹介するにはもってこいなのだ。

「おお、君がうちの娘の命の恩人か!!」
さくら亭の主人,パティの父であるタリスが大口を開ける,シンの食事を奢るとも付け加えた。
しかし、この言葉を吐いた事を、後にタリスは深く後悔するのだった・・・・・。



「おーっす!!お前がぶっ倒れ男か!おれ、ピート!この街のサーカスに住んでるんだ!!」
赤い髪の元気な少年、ピート・ロスがシンの耳元で大声を出す。隣で食事を運んでいたパティが、うるさい、といって、ピートの頭にお盆を叩きつける。
「あ、私、シェリル・クリスティアと申します。趣味は読書です。」
いかにも自己紹介,といった様子で喋るのは、旧王立図書館の常連,シェリルだ。
「ボク、クリストファー・クロス、クリスって呼んでください。」
大きな眼鏡をかけた少年,クリスは幼いころ姉達におもちゃにされて、女性恐怖症になっている。

一人一人に挨拶をするシンだが、三人の自己紹介が終わった段階で,既に彼の前にはパーティーのあとのような皿の山が築かれていた。

「マリアは天才魔法少女なの☆」
語尾に星をつけて話す器用な子、マリア・ショートは、エンフィ―ルドでかなり有力な財閥,ショート家の娘だ。
「なにが天才魔法少女だよ,この爆裂魔法お嬢が!」
思いきり皮肉るのはエル。マリアは非常に魔法を使う際、大事なプロセスをとことん無視して、我流に使うため,いつも街に災厄の種をまいている。
エンフィールドにおける爆発事件の7割がマリアの仕業、と考えてもあながち間違ってはいないだろう。

「えっと、あの、私はシーラ・シェフィールドです。」
そういって顔を赤らめたシーラ。シーラの両親は有名な音楽家で,彼女自身も、天才的ピアニストである。
「この子ってば、家に篭ってばっかりだったから、男に対して免疫が無いのよね〜。」
これはパティの証言だが,シーラは少々過保護な環境で育てられたため,男性と話すのが苦手となってしまった、しかし、これでも前よりは良くなったほうなのだ。

シーラの自己紹介がすんだところで、シンの食事も終わった。
彼の眼前には、皿の山、もとい皿の塔が完成していた。2度と奢りなど口走るか、そう堅く誓ったタリスであった。



「ボクはテディっス!」
アリサの膝に座っていた犬、失敬、魔法生物が言う。
「よろしく、テディ。あ!忘れてた!!」
シンが急いで自分の荷物の紐を解くと,中から猫のようなテディサイズの動物が出てきた。

「酷いです!主様、わたくしをお忘れになるなんて!」
「悪かったよ,ミーコ。」
どうやらテディと同じ魔法生物のようだ。

「わたくし、主様にお仕えする使い魔のミーコと申します,以後お見知りおきを。」
深深と頭を下げるミーコにつられてテディも頭を下げる。

「ところで、シン君は何故この街に?」
「実は、オレ、2年前に記憶喪失になって、それで、記憶を戻す旅を続けていて,偶然立ち寄ったんです。」
アリサの質問に答えるシン,その言葉に一同は驚きを隠せない。

「世界に散らばる魔宝と言うものを集めて、暁の女神に記憶を戻してもらおうとしたんですが・・・・。」
「文献で読んだ事があります,真に願っている事を叶えてくれる暁の女神,それでどうなったんですか?」
小説家を目指すシェリルにとって、彼の話しは格好の種だったのだろう,興味津々といった具合で問いただす。
「何故か記憶が戻らなくて,それで他の方法を探すためにもう一度旅に出たって訳。」
悲哀の色を顔に浮かべながら、シンが語る。

「それで、この街にはどれくらい滞在するの?」
トリーシャだ。
「この街の雰囲気って好きだし,みんなも親切だし,丁度手持ちも尽きてきたし,軍資金を稼いで、次の目的地の目処が立つまで、かな。」

「それなら、うちの店に住み込みで働いてくれないかしら?人手が足りないところだったし,食事も出すわ。」
アリサの提案した条件に、シンは二つ返事で承諾した。


「それじゃあ、これからもよろしく。」
「ここはいい街だよ,つい居座っちまう。」
同じく旅から旅の人生を歩むリサ。





「ところで、パティ、デザートも貰える?」
シンのとどめの一撃で、タリスは二日ほど寝込んだらしい・・・・・・・。




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後書き
 さて、いつまでも文章力がショボイのに、読んで下さっていらっしゃる皆様、誠に有難うございます。
ご期待に応えられるように日々精進していきたいのですが、なにせ学生の身分では、中々叶いません・・・。

 各人の自己紹介が多くて、かったるいみたいですが、悠久を知らない方も理解できる、悠久小説をコンセプトとしているので、ご了承ください。
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