中央改札 悠久鉄道 交響曲 感想 交響曲

「<未来と現在と最強と> 〜後編〜」 hiro


 太陽の差し向ける光の穂先が新緑を貫き、ぽかぽかとした陽気を作り上げていた。
 それをさけるように一本の樹木に涼を求め、画筆を握って白い厚紙にさっさっと筆先を
おろしているのは、青い髪の中肉中背の青年――アイン・クリシードだ。
「へぇ、うまいもんですね」
 おなじくらいの背カッコウ、天羽志狼が感嘆にそう漏らした。
「そんなことないよ。僕の見えるありのままを描いてるだけなんだから」
 謙遜でもなくアインはそう言うが、そのありのままを描くのがどれほど困難かは、絵心
のない志狼にだってわかる。
「それはそうと、メロディはお昼寝かい?」
「こんなに気持ち良い天気だと、眠くなっちゃいますからね」
 芝生の上でゴロンと横寝していたメロディは、ついさっきまで志狼に童話の絵本を読ん
でもらっていたのだ。
「はい、志狼くん、アインくん。お茶よ」
 シーラがカップに入った冷たい麦茶を持ってきてくれた。
「サンキュ、シーラ」
「あ、僕のはそこに置いといて」
 筆尻をアゴにこんこんとしながら絵とにらめっこしていたアインが、そう言ってきた。
シーラ、横からのぞき込む、
「これって街の景色?」
「そうだよ。公園の上から見下ろした街並だ」
 風景画。淡彩画みたいに淡い色彩で、でももろくはかない印象はない。力強さがあるワ
ケでもないけど、どこかヒトのココロを引き付ける。
「アインくんらしい絵ね」
「それって誉めてるの……?」
「うん。私も何か描いてみようかな」
 そのシーラの自発的に物言いに、志狼が含んでいたお茶を「ブーッ!」と吹き出した。
「そ、それ本気で言ってんのか?」
「なんでそんなに驚いてるの、志狼くん」
「…………」
 さる昔、ジョート・ショップにシーラ自身に絵を描いてほしいとかいう依頼がきて、そ
のときはじめて彼女の絵を見たのだが……ちょっとコメントを控えるくらい、とんでもな
い代物だった。音楽家の血は引いていたが、画家の血は引いてはいなかったってトコか。
「い、いいけど、俺に批評を求めないでくれよな……」
「?」
「なんなら僕がやってもいいけど?」
「うん」
「それじゃ、これが紙と筆。まずはなにかひとつをモデルにした方がいいよ。木一本とか
ね」
 アインにシーラへの好感点数を奪われてしまった志狼は、はぅ、とため息をついた。押
しとさりげない気配りが志狼には足りない――ゆえに、アインにこうもた易く敗北するの
である……なんでもかんでもだけど。
 ま、ピクニックと称してこの公園にシーラを誘ったのは志狼だから、もうそれでいいと
言えばいい気もするが。そこにアインがいたのが誤算か。
 ――草木を揺らす風が一陣、吹き抜けた。
 目を薄めた志狼の視界に―― 
「パティ、総司? ローラも……」
 こちらにのぼってくるのはいま言った三人に、ジャケットと帽子、ジーパンで身を固め
た少年らしき人物がひとり。
「やぁ。やっぱりここにいましたね、アイン」
 手をあげてアイサツしてきた総司に、少年が眉をヒクつかせ、
「おい。まさかこんなのが"最強"とか言うんじゃないんだろうな……!?」
「そのまさかですよ」
「オイ!」
 いきなしやってきたと思ったら、なにやらモメてるし……志狼にシーラ、困惑に互いに
顔を見合わせる。
「"最強"……?」
「なんのハナシだよ、総司」
「いえいえ。この少年――ソウイって言うんですけど、このソウイくんは"最強"を目指
してましてね、戦いにおいての。それで、手っ取り早く"最強"にしてあげようと、アイ
ンのところに連れて来たってワケですよ」
 とくとくと総司が語り、アインが、
「僕が"最強"? 冗談でしょ? 僕は誰にも勝ったことがないんだよ」
 たしかにウソは言ってない。
 かわりに誰にも負けたこともないが。不敗の青年なのだ。……不敗なだけだけど。
「よく言うじゃないですか。攻撃が最大の防御って。アインの防御は誰にも抜けない――
てことは攻撃も強い、イコール"最強"」
 ちょっぴりムリヤリっぽく結びつけている気もするが、総司の理屈にも一理ある。アイ
ンの防御を崩せるならば、それは"最強"の攻撃力と言っても過言じゃない。つまり"最
強"の防御力の持ち主を倒せれば、それイコール"最強"と考えてもいいのである。
 アイン、ふるふるとかぶりを振り、
「とにかく、僕は遠慮しておくよ。それにそのソウイって子、あんまり乗り気じゃなさそ
うだよ」
「ふん。おまえみたいな弱そうなヤツとはやりたくはないな」
「ほらね」
 肩をすくめてからアインは、絵の方に集中しはじめた。
 まぁ、これくらいは総司の想定に組み込まれている。そんなヤワな企図を立てるほど、
総司は浅はかな青年ではない。
「ならこれならどうですか? 志狼がソウイくんと戦って、負けたらアインがやるっての
は?」
「なんだって?」
 これに反応したのは志狼。これまで関わりなさそうにしてたのに、いきなりフラれたん
だから志狼くんはビックリ。
「どうしてそこで、俺の名前が出てくるんだよ」
「ここにいたのが不幸だったと思ってくれ」
 もし誰もいなかったら総司が代わりにやるつもりだったのだが、志狼がいてくれた。し
かもソウイには、妥当な相手だ。
 アイン、
「それで、なんで志狼が負けたら僕がやらなきゃいけないんだ?」
「さくら亭の修繕費がかかってるからに決まってます。ソウイくんに誰も勝てなかったら、
ジョート・ショップにそれが回ってくるんですよ」
「……は? 修繕費?」
「ちょっと総司、それは――」
 パティが何か言いかけるが、総司がそちらを向いて唇に指を立ててつぐませた。
 理不尽っていうか、もはや理路が歪曲しまくっている。それでもアインや志狼は事情が
よくわかってないから、疑うことはできても断るのは難しい。
 総司お得意の方便――っていうかハッタリである。しかも、調べられれば一発でバレる。
ここでどれだけ堂々としてられるかが策士かそうでないかの違いであって、総司はもちろ
ん堂々としている方だ。
「わかったよ……まずは志狼、おまえから頼む」
 アインが根負けしてそう言った。


 小春日和の中、志狼とソウイが対峙する。
 すでに勝負ははじまっていた。ふたりに合図はいらない。どちらが早くタイミング良く
初手をかけるかがこの戦いのポイントだ。
(こいつ……できるな)
 こうやって構え合ってみて志狼は、ソウイの力量をはかることができていた。
 彼とはあまり長く手を合わせていられない。はっきり言うとあっちの方が上だ。しかし
勝てないか、と自問すると、そうでもないという自答が返ってくる。
「要は、どれだけこっちの技が決められるか――か」
 つぶやいた志狼のふところに、ソウイが滑るように入り込んできた。発言はおおざっぱ
なソウイだが、戦闘はなめらかとすら賞せる。
 ガヅッ!
「い……ッ!」
 右足のつま先を踏まれたのだ――しかも、逃げられないように踏みつづけられ、そして
前のめりになった志狼の胸にソウイの蹴りが叩き込まれた。
 草原に倒れ込んだ志狼は、すぐさま跳ね起きる。
 両腕でしっかりブロックしていた志狼が、どっしりと低く構えつつ、
「いまのは、ケンカ殺法か?」
「まぁ、な。いまのを防ぐなんてな。やるじゃねェか、テメェ」
 ソウイは純真に喜んでいる。見かけの歳より幼く感じた。
「ひゅうッ!」
 かすむほど速いソウイの拳を、志狼がモロに食らった――いや、それはゆらゆらと揺れ
て溶け消える。――残像!?
 がっ。
 突き出したソウイの腕に、横手から突如現れた志狼の両腕がからみつく。
「――蛇絡み」
 天羽流無手技のひとつで、相手が攻撃した腕・脚をつかみそこを一気に折るという荒技
だ。
 ソウイは一瞬のちゅうちょもなく、地面に転がった。それにより志狼の腕から逃れられ
る。本能的な回避だ。遅れていれば、骨を砕かれていた。
 だが転がったスキを、志狼は見逃してはくれない。
 飛び上がりからの突き蹴りがソウイの背を襲うが、彼はそこから横に一回転して、それ
をさけきった。


「す、すごい……」
 こうやって格闘を近くから見るのははじめてなのか、ローラがほうけたようにつぶやい
た。
「ただでB−1グランプリが観戦できると思ったら、たしかにこれは面白いかも」
「でしょ?」
 パティのウキウキした横顔に、総司がすかさず相槌をうつ。
「しかもレベルが高い。思ってた以上にやるみたいですね、ソウイくんは」
「ほんとに……すごいよ、ソウイくん……」
 ローラが手に汗握るといった面持ちで、胸の前で両手を握り締めながらつぶやいた。ち
ょっとほおが紅潮していたりするのは、やっぱり理想の王子様だったからだ、ソウイが。


 そのころ。
「くそ――ッ! あいつらしつこ過ぎるぞ!」
 いまだにヒロは追いかけられていた。あれから一時間以上が経過しているにもかかわら
ず、脱落者はゼロ。物欲に燃えた人間の底力を甘くみていたようだ、彼は。
 背後から、拳銃だとか攻撃魔法だとかが撃たれていて、それが街路をムチャクチャにし
てくれている。街の損害賠償が自分に請求されないかと、ヒロは危惧していたりした。
「――よし! あそこでなんとか」
 陽の当たる丘公園。ここの直線コースでやつらを引き離す!
 石段を五段飛びで駆け上り、公園内に飛び込んだヒロは、内の気を爆発的に排出した。
これで百メートルを三秒でいける。神速ってやつだ。チーターなみで、時速百キロを超え
ている。
 と言っても、これより速く走れるのがこの街に三人はいるが。
 総司は二秒きっているし、アインとルシアにいたっては音速だ。ふざけた速さである。
 草原でバク走していたヒロは、上の方になにやら戦いの気配を感じて振り向いた。
「……志狼――と誰だ、あれ……」
 青の服装の少年が、志狼とやりあっていたのだ。手合わせっぽくない。ふたりとも気が
マジだ。
 ――そのとき、なんのイタズラか――
 突風に近い風が、公園内を横切った。
「あ――」
 少年の帽子がさらわれて、それがあらわになった。
 赤い――紅(くれない)の髪。
 いつの間にか立ち止まっていたヒロは、呆然とその少年を見入っていた。


 その帽子がソウイの視界を封じてしまっていた。
 運悪く、彼の前に落っこちたのだ。
 志狼の両手がソウイの肩をつかみ、飛び上がると同時に――
「幻鷹脚(げんおうきゃく)!」
 首元に一発、胸に一発、腹に一発、脚のヒザと突きを決め、そのまま押し倒し、両膝を
みぞおちにブチ込んだ。打・投・打、これを一動作でやったのである。……殺人のための
技だ。
「秘奥義・鬼仏拳っ!」
 志狼の拳が妖しく光る。
 組み付いたまま、ソウイにかわすことすら許さずトドメの一撃を。
 カッ! っとソウイの紅の瞳が大きく開かれた。
 志狼のその右腕にソウイの左手がからみ、なんとみずから自分の顔面へと導いたのだ。
当惑する志狼の目の前で、ソウイの口がにやっと笑った。
 どがぁッ!!
 鈍すぎる音調に、パティやローラやシーラは、ソウイの頭がつぶれでもしたのかと勘違
いしたほどだ。
 音から数瞬遅れて、志狼のうめきとともにその上半身がのけぞった。その腹には、ソウ
イの手の平が押し当てられている。
 あの至近から、ソウイはカウンターの掌底を食らわせたのだ。
「ハッ!」
 志狼を蹴り飛ばし、ソウイは、しかしカラダを崩した。幻鷹脚が相当効いていたのであ
る。こんな反撃できたのは、ひとえにその気丈さのおかげだ。
「や、やるじゃねェか……」
 連戦がつづき、リカルドにやられた脇腹も熱を持って痛みを訴えてくる。
 やっぱりこの街の、この時代の人間は化け物ばかりだ。言い伝えは間違ってなかった。
(くそ……! こんなトコで……負けてられるかよ……)


「え……ヒロ?」
「お兄ちゃん……?」
 ソウイの素顔を――紅の髪を直視したパティとローラが、いちどきにそうつぶやいてい
た。顔の線は細くてシャープな感じだが、ぱっと見た目ならヒロに似ている。兄弟とかで
通るだろう。
「なんとなく、読めてきましたね」
 ソウイに感じていた違和感の正体に、答えの光が差しはじめた総司は、ぼそっと言った。
「彼の正体がかな?」
「アインも気づいてます?」
「ま、ね。存在がなんとなく安定しきってないし。だからと言って、召喚されたってワケ
でもなさそうだし。そうなると……」


「ほ〜い、ヒロちゃん捕まえた〜」
「ヒロ、私の財政のためよ」
「ヒロさんヒドいじゃないですかぁ〜!」
「このガキィ、よくも盾にしてくれたな!」
 順に、まるにゃん、輝羅、ゆーき、紅蓮である。すでにヒロは取り囲まれていた。逃げ
る気をなくして突っ立っている彼のまわりで、誰が彼を役所に連行するのかモメている。
 ふらっと、ヒロが歩み出した。
 視線の先には、少年――ソウイがいる。
 そのコトに気づいたのは、みんな一斉にだった。
<お、おい……あれって……>
 手配書、ヒロよりあっちの少年の方がそっくりだ。 
「そ、そうよね。ヒロがフォスター隊長を倒したりするワケないもんね」
「わちきは最初からヒロちゃんを信じてたもんね〜」
 輝羅とまるにゃん、それにほかの連中が調子の良いことを言いはじめる。
 ――じゃない。
 そんなコト言って取り繕っている場合ではない!
<あいつだ!! あいつを捕まえろ!>


「なんてヤツだ……」
 胃の内容物が逆流してくるのを必死に押さえながら、志狼が戦慄にうめいていた。倒れ
た状態から掌底を放つなんて、一般の格闘理論をくつがえしかねない。
 ふらふらで、立っているのもやっとの志狼は、トキの声を聞いた。
「……どわあああ!! なんだあいつらは!?」
 猪突猛進がお似合いなそいつらは、デンジャラスな目つきでこちらに向かってきていた。
 ドン。
「よろしく」
 ソウイに蹴飛ばされた志狼は、よろよろとその集団に巻き込まれる。
 大殺到の中、悲鳴にならない悲鳴がこだました。
 ……どこかの誰かさんがやった手段にそっくりである。
 そして数分後、モミクチャにされボロ雑巾と化した志狼が足跡だらけで倒れていた。再
起には一週間単位はかかりそうだ。
「卑怯よ、キミ! 志狼くんを身代わりにするなんて!」
 ヴァネッサが代表で言って来る。
 紅蓮のときもだけど、身代わりもなにも無差別にやってないか……?
 アイン、
「ま、賞金目当てのヒトたちは、しばらくおとなしくしててくれないかな。これから僕と
ソウイくんが手合わせするんだから」
 それで得心するようなヤツなんかいるワケないが、ソウイのきな臭さに手を出しかねて
いる。触れたら斬殺でもされそうなのだ。
「それじゃ、やる?」
 アインが確認に聞くまでもなく、ソウイは構えに入っている。このヌケた青年をとっと
っとカタづけて、パティのとなりにいる紅の髪の青年と戦わなければならなかったから。
あちらもこっちの存在を気にしているのか、凝視している。
「一分でカタをつけてやる」
「お手柔らかにね」
「ふん!」


 向き合ったままソウイは、どうやって攻めてやろうかと思考に回って――
 ――ふ。
 アインの姿がかき消えて、超強烈なハイキックがソウイをきりもみ状に吹き飛ばしてい
た。
 ズドドドド!!
 芝生をたがやしながら滑り、五十メートルほど進んでやっと止まる。土がむき出しの地
面は溝になっていて、畑の種まきにはもってこいだ。
 あまりのことに、その場の全員が絶句した。
 神龍闘技術・飛龍脚。
 音速から蹴り飛ばすという、なにが常識なのか信じられなくなる技である。ちなみにこ
れは初伝技と言い、ただの基本の技だったりする。
「これで修繕費払わなくていいのかな」
 普段なら自分から攻撃に回ることの少ないアインだが、今回だけはとりあえず勝ってお
こうと思ってこうやったのだ。
「まだだ!」
 紅い風を巻き起こして突っ込んできたのは、ダメージを物ともしないソウイだ。嬉しそ
うに笑っている。戦いが、三度の飯より好きらしい。
 ソウイの猛烈なまでの拳打と蹴打の連撃を、アインはのこらずそらしていた。
「ハッ!」
 右の回し蹴り――アインはこれを顔をそむけてかわすが、そこにありえないおなじ方向
からの左足が飛んできた。空中を横に回転しているのだ。つまりカラダが大地と平行にな
っていると思えばいい。左足がほおを打ち、それですら終わらず両足の蹴りがアインの胸
を殴打した。
 空中にいるあいだに、三連発放ったことになる。
「神風打……」
 こいつは効いただろうとソウイは内心で喝采していたのに、アインは平然と立っていた
りした。
「ムダだよ。物理的な攻撃じゃ、僕は倒せない」
「…………」
 ヒットはしている。ただ、衝撃がアインに及んでいないために、ダメージがないのだ。
当たっても、瞬間的に防御系統の技を使用してるらしい。それより速く当てるには、音の
壁を突破する必要があるが、ソウイにはどうあがいても出せそうにない。
(ならば――その技ごと砕く!)
 建設的な結論というより、直情的な単純論だ。しかし、それしかないか。
 紅の残像を引きつつソウイが疾風となり、そこから放たれた銀光がアインに襲いかかっ
た。
 ザシュッ!
 アインは赤のしぶきを引きつつ飛び離れ、それを追撃するソウイの速度はますますキレ
を増している。そこから素人目には一回、それなりに戦闘慣れしている者には三回、斬撃
が走っているように見えた。
「そのカタナは……」
 実際は六回斬られたアインが、赤く総身を染めつつつぶやく。
 ソウイ、トンとカタナを肩にやり、
「こいつに斬れないものはない。……テメェにこれを使うつもりはなかったんだけどな」
 素手と剣ではソウイの力量が別次元だった。ただでさえ強かったのに、そこからさらに
化け物じみた強さに変化したのだ。
 するとアイン、しばし考え込み、
「僕の負けだね」
「なに?」
「負けだっていってるんだよ。ムダなことはしない主義なんだ」
 アインが両の手のひらを空にかざしてバンザイする。降伏のつもりらしい。の割りに、
敗北感がゼンゼン感じられないのは、余力を相当残していたからだ。ソウイの強さに合わ
せてこれ以上やると、観客に被害を与えかねない。
というか、ソウイの方が敗北感を味わっていたりする。
「なんだかうまく逃げられただけのような……」
「気にしない気にしない。それにきみ、ほかにやりたいヤツがいるんじゃないの? 僕と
戦っているあいだも気がそれていたよ」
「……テメェ、あなどれねェな……」
 キンッ、とカタナをおさめたソウイは、気になってしょうがなかったその青年――ヒロ
を見据えた。
「あんたで最後だ。勝負、受けてもらうぜ」




<あとがき・後編>

 やっぱアインはどうにもならなかったです。はい。
 いちおう斬ってみましたけど、あれで限界ですね(^^)
 にしても。メロディってなんか意味あるんだろうか。いまだに寝てますけど。なにか伏
線にでもなればいいと思って出してはおいたんですけど、意味なさそうな……

 志狼は心伝さんのキャラで、アインは埴輪さんのキャラです。
 
 終われるのかな……明日中に。
 もうエピローグはムリかもしれません。これだって相当ムリして書いてますからね。



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